塩漬け前の太古の戦士との生活   作:SUN'S

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一つ前のお話の後半を書き換えました。





白亜の時代に別れの時を

「グガアァァァッ!!」

 

太古の戦士は咆哮()える。

 

自分を喰らうために挑んできたティラノサウルスと威圧するように牙を剥く。己の後ろには巨大な恐竜に怯えて動けないツガイがいる。絶対に守護(まも)らなければならない。

 

ただの歩行ですら地響きとなり、大地を揺るがすティラノサウルスの歩みを太古の戦士は剛腕のみで妨げる。この先に行くことは許さない!!そう言わんばかりに彼は樹木や岩石を容易く粉砕するパンチやキックをティラノサウルスに向かって放つ。

 

「GOGYAOOOOOOO!!!!」

 

一撃必殺の噛みつき。

 

何百、何千、ティラノサウルスはこの噛みつきで獲物を狩ってきた。しかし、その噛みつきが全く通用しないどころか体当たりする事すら儘ならないヤツと彼は戦っている。こいつを喰うか、こいつに喰われるか。ティラノサウルスにとってはずっとそうだった。

 

だが、太古の戦士は違う。今の彼は自分のツガイを守るためにティラノサウルスと戦っているのだ。混じりけ無しの純粋すぎる気持ちで太古の戦士はティラノサウルスをブッ飛ばす。

 

「グルルァ!!」

 

おれのツガイに手を出すな!そう彼は訴えるようにティラノサウルスの首に右拳をめり込ませた次の瞬間、すべての時間は凍り付いた。

 


 

あの肉の焼ける匂いだ。

 

そう思った太古の戦士は身体を起こす。だが、そこに草木はなく石の世界だった。どこだ?どこだ?彼は肉の焼ける匂いを頼りに石の中を進んでいく。しかし、そこにいたのは小さな雄だ。

 

誰だ、こいつは!?

 

太古の戦士は目の前に存在する一切の脅威を感じぬ小さな雄を殴り飛ばす。おれのツガイはどこにいる!!そう言わんばかりに雄叫びを上げ、必死に逃げようとする小さな雄を追う。

 

太古の戦士の目の前を泣きじゃくりながら走る小さな雄の逃げた先から漂ってきたのはツガイの匂いだった。小さな雄は何かを叫ぶ。彼はゆっくりと眠ったまま動かない己のツガイを抱き締める。

 

「ハルルゥ…」

 

揺さぶる。起きない。頬に触れる。起きない。抱き締める。起きない。太古の戦士は涙や鼻水を垂れ流しながら己のツガイを優しく労るように抱き抱えたその時だった。

 

ドクンッ────。

 

微かに彼女の心臓は脈動した。約1億9000万年越しに二人は再会した。その様子を見ている小さな雄は平然とボタンを押し、彼と彼女は氷河期の寒さに近しい空間に隔離されたのだ。

 

「るるぅ…」

 

「ハルゥ!!」

 

その事実に気が付いていない太古の戦士は寒さに震える彼女を温めるために優しく抱き締める。お互いの体温を分け合う。

 

それは、ある種の神聖な行為に見える。

 

 

 

 




〈白亜の時代に別れの時を〉

ようこそ現代へ

太古の戦士と彼女は1億9000万年後に甦った。しかし、こらから待ち受ける闘争を太古の戦士は全く知らないのだ。
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