今回まで日常話です。次からは原作進めようかなと思ってます。
短いですが、どうぞ。
孝覇side 樂成城内 ある作業部屋
「…………………………暇だ。」
俺はそこら辺にあった椅子に座りながら呟く。おかしい、帰ってきてから一つも仕事がないのだ。
「「……」」
聞こえているはずの面子もフルシカトである。仮にも上司やぞ!!
俺は行政府の執務室にわざわざ足を運んだ。ここのメンバーの仕事は様々な案件や仕事をそれぞれの部署や軍に振り分けることである。つまり、仕事がないかどうか確認しに来たのだが、どうやら仕事がないらしい。
(なんでやねん。)
もはや心配になってくるレベルである。いつもはちょびちょびだが、何か来るのに今日は来ない。
「ねぇ、君らさ優秀すぎない?」
「そのように育てたのは殿ですよ。」
と1人の文官から返される。彼の言ってることは正論である。ぐうの音も出ない。しかし
「そりゃあ…そうだけど。帰ってきてから一つも仕事してないのはおかしくない??俺、一応この城の最高責任者だよ??」
悪態は出る。
「…そもそも、今回のように樂成から出ていく前から内政の話は――様に、そして軍事関係は――様に一任すると言われましたし、出ていく前に特別な許可が必要だったものは全て確認をしていただいたので、暫く殿のやることはないんですよ。」
「………だから出ていく前にあんな俺の机に書簡が山積みだったわけね。」
「そうですね。」
「てことは、俺しばらくは働かなくていい??」
「あくまでこの街などの行政に関して言えばそうですね。」
「よし。俺帰るわ。休憩入れながら仕事して、早く帰れよ〜。他のやつにも伝えておいてくれ。」
「分かりました。」
「じゃあな〜」
文官数名の礼を受け取ってから俺は、この部署を出ていく。どうやら俺はあと半日ほど暇になったようだ。
孝覇side 場所:行政府出口
(とりあえず屋敷に戻るか??それとも、練兵場に行くか??)
と悩みながらとりあえず、行政府を出る。行政府から下る階段を降りていく。誰かとすれ違う度に挨拶をされるのでそれを返しながら、頭の中で思考する。
しかし、何も思い浮かばない。体が少しばかり怠けているのは事実だが、今はお昼の時間帯なのもあってかそのような気分ではない。それに、トレーニングは一定のスペースさえあれば問題ない。
(屋敷に帰って飯でも食おう。)
階段を降り終わるとそこには外の門からの一本道が通っており、人が賑わう道の両側には様々なお店が立ち並ぶ。自分で作成した食器を売る店、ご飯を売る店、書物を売る店などである。賑わう人の中にも、行商人、子ども、客引きをしている店員、買い物に来ている女性や男性。樂成をしばらく留守にしていたからか、どこか昔を懐かしく思う気持ちに駆られる。
これほどまでには賑わっていなかったが、知り合いが1つの道にごった返しになっている風景が浮かぶ。父の商品を買うために詰め寄ってくる少年少女の姿が。父と談笑する街の大人たちが。家の前で一緒に父の帰りを待ってくれた母と侍女の姿が脳裏を駆け巡る。
(……………懐かしいな。)
どこか、しみじみとした思い出に気持ちを馳せていると。
「バシ''ッ」
と背中を叩かれる。振り返ると俺よりも少しばかり身長が高く、肩幅の広い、いかにも豪快そうな男がいた。
「お帰りだな!!城主様よ。」
「練…お前は相変わらず元気そうだな。」
「当たり前だろ?元気が有り余ってなきゃ魂のこもった武器は作れねぇ。」
とドヤ顔で言ってくる。
「はっはっは。会って数年経つが口癖は変わらないな。どうだ?俺がいなかった間の武器の出来は。」
「い〜や、俺個人としても工房全体としても納得のいくものは作れてねぇな。弟子たちの育成としてはちょうどいいんだがな。」
腕を組みながら練はそう言った。
「というと?」
「初めから上等な素材は使えねぇだろ??だから、大失敗したものを素材に戻してから打たせてるんだよ。あくまで練習だから、相当上手く出来ないと出回ることはないがな。」
「いいな。それ。」
「だろぉ〜。ある程度の腕を身につけるには量もいるからな。それに、最近は急いで武器を作る必要がねぇからよ。とりあえずは育成が主体だな。」
そう。このゴリラみたいにゴツイ職人である練。めちゃくちゃ良い奴でありながら何気に賢いのである。計算とかは弱いけど………
「上手くやってるみたいだな。」
「そりゃあ、もう数年もこんなことやってるからよ。初めは何も分からなかったが、今は少しだけ人を育てるということが分かってきたもんよ。」
「どうだ?この街に来てから最初に預けた奴らは?」
俺は気になって尋ねる。
「そりゃあお前。見違えるように上手くなったもんよ。初めは折れそうな奴もいたが、今となっては数人をまとめれる頭領よ。」
練も顎に手を置きながら、過去を思い出しながら語っている。
「そうかぁ〜。どこか嬉しいものがあるな。」
「だよなぁ。俺も分かるぜ、その気持ち。」
俺たちが共感し合っていると
「練さーーーーん。奥さんが今月の予算について話があるそうですよー。」
若い男が練を呼ぶ声がした。遠目で見た感じ、10代に見える。
「おう。直ぐに行くと伝えてくれ。じゃあ、工房に戻ることにするぜ。ウチの奥さんはせっかちだからな。」
「それは早く行った方がいいぜ?何時ぞやのサシ飲みの時みたいにこっぴどく怒られるぜ。」
と俺は少しばかし茶化す。
「そりゃあ、まずい。」
とクシャとした顔で笑いながらこっちを1度見ると、手を振りながら練は走り出した。こちらも手を振り返す。
段々と遠くなっていく背中を見送ると俺も歩き出す。
街は練と話し出す前より、賑わっているように見えた。
羌象side 場所:孝覇の屋敷の縁側
「ふぅーーー」
羌象はあぐらに近い形で足を組み、手首付近をを膝に置いて座禅を組んでいた。
(久しぶりの家だ。)
この家はかなり広く作られており、羌象個人の部屋は当たり前だが侍女の分の部屋もある。と言っても、家が大きいのは前の所有者の好みなところもあり、今は全ての部屋や場所を使えているとは言い難い状態である。
再び目を瞑り、静かに剣と会話をする。
(…………………大丈夫だよ。白鳳。瘣は死なない。それに前も言っただろ?私以外の人も大切にできるようになって欲しいんだって。あの時と気持ちは変わっていない。だから、今は我慢。)
と剣に心の中で語りかける。
ゆっくりとゆっくりと呼吸をする。シンプルなことだがこれが基本中の基本。羌族の天才の片割れは基礎を怠らない。それらが自分の強みを引き出す第1歩であることを知っているから。それが故に彼女らは天才と呼ばれるのだ。呼吸が定まったことを確認すると、羌象は、縁側から庭へと移り、剣を背中から抜く。
そして、舞う。
その舞は蚩尤が人を殺すために編み出したものとはまた別の、美しく、惚れ惚れとする舞。それは、未だに離れ離れになった妹の幸運を祈るためのものだった。
オリ主
仕事なくなったーラッキー!(イチャイチャ生活の始まり)
練
鍛冶師。奥さん思いのナイスガイ。職人の割には考え方が柔らかい。
羌象
住んでいる場所はオリ主くんの家。縁側で禅を組むことがマイブーム。