冬休みを満喫したり、他の作業をしていたらあっという間にもう1月の半分が終わってました。
めちゃくちゃ短いですが、許してください。
あと、皆様誤字報告をありがとうございます。とても助かっております。
では、どうぞ。
ある商人side 場所:関水付近
「ふぁーーあ。」
(今日も退屈だな)
ドドド
(どーするかね。とりあえずは関水から馬陽には寄って物を売りたいな。)
ドドドド
(あーーー女も久しぶりに抱きたい)
ドドドドド
「ん??」
妙に音がする。足元と馬を見るが、特に音源らしきものや出来事は見当たらない。
後ろの荷台を振り返る。しかし、特に何もない。
はずだった。
(ん??)
ドドドドドドドドド
地面からの音が耳に割り込んでくる。
荷台から視線を上げる。
遠くだが、景色が砂ぼこりで見えなくなっている
(これは…………まさか!!?)
男は目線を前に戻す。
(おいおい。嘘だろ。)
男は手網を握直す。
「はぁっ!はぁっ!」
自分の髪に土が振りかぶることも構わずに、若い男は掛け声を掛けながら馬を叩く。馬はそれに応え、脚を早める。
(なぜ……なぜ…なぜ!?なぜ!?趙軍がこの時期に来ているんだ!???)
男の後ろには騎馬に乗った大量の兵士が迫っていた。その大勢の兵たちがの隙間隙間に見えるのは「趙」の文字。正しく秦を踏み潰さんと迫ってきていたのだった。
男は振り返ることをやめた。
しかし、それでも耳には、はるか遠くにいるはずの趙軍らの足によって起こされる地響きがこびりついていたのだった。
王騎side 場所:王騎の城
「ンフフ。これはまた厄介な時に来ましたねぇ〜趙軍は。」
王騎は自分の網にかかった情報を聞きながらそう言った。
「誠にその通りですな。」
騰もこれを肯定する。
「騰、趙軍はだいぶ思いっきりがいいですね。」
王騎は自分の矛を手入れしながら話す。
「そうですな。流石、長平の恨みとも言えます。」
「ええ。そうですねぇ。将校らは納得していても、民草は納得していない。いや、受け入れないはずです。この出来事は私たち、趙のせいではないと。それらの苦しみや感情全てが秦に向きます。良くも悪くも戦はそういうものです。」
ここで、矛をひと振り。
ブォンという音とともに、矛は空気を切り裂く。
王騎は一息つくと
「騰。」
と名前を呼ぶ。
「なんでしょう?」
いつも通り聞き返す騰。
「咸陽へ向かいます。支度をしなさい。」
.「ハッ!」
騰は勢いよく返事をする。
「それと、追加ですが急いで伝令を2箇所に送ってください。」
「咸陽とどこですか?」
騰は聞き返す。
「咸陽と…………樂成です。」
王騎の城にはいつもよりも強い風が吹いていた。
孝覇side 場所:樂成
「あーーー、そこ。そこ気持ちいい。」
俺は今、至福のときを過ごしている。
「ここですね。」
紫夏が確認してくる。
「あぁ、そうそう。」
そう。俺は今、紫夏に耳かきをしてもらっている。いやーーいいね。妻に膝枕してもらいながらしてもらう耳かきは。
「はい。左耳は終わりましたよ。逆を向いてください。」
「はーーい。」
俺はだらーんとしながら右に半回転をする。紫夏の服で埋まっていた視界が、屋敷の小さな庭を縁側からみる景色へと切り替わる。
カリカリカリカリカリ
と耳かきの音が俺の耳の中で響く。
…………本当に耳かきって神だよ(n回目)
そんなことを思っていると
「ふーーー」
紫夏が耳に息をふきかけてくる。思わぬ耳への快感に体がビクッとなる。
「…クスッ」
上の方から堪えられなかった笑い声が耳に入ってくる。
「やったな?」
「あら?お気に召さなかった?」
横目に紫夏の顔を見るとニヤッとしながらこちらを見ている。
「………大層気に入ってるよ。」
俺は視線を戻し、正直な感想を伝える。
「ふふふ。でしょ?」
と以下にも予想通りと言った反応が帰ってくる。こうゆう所では紫夏に敵わない。
紫夏が再び耳かきを始めようとした時
「殿。」
と1人声が響いた。姿は見えないが声だけは聞こえる。
「なんだ。」
紫夏は耳かきを続行する。その傍らで見えない部下と会話をする。
「趙軍が侵攻を始めました。」
知らされたのは戦争のお知らせ。
「狙いの場所と軍の規模は。」
「第一目標は関水。その後は馬陽かと。軍の規模は10万は越えているとのことです。」
「………分かった。謙、引き続き趙の国境及び馬陽付近情報を吸い上げろ。あとは軍の情報を彰にまとめさせろ。焦る必要はない。細かいところまで見てくれ。」
(情報が足らねぇ………)
「はっ。では。」
声の主の気配は消えた。
「あら。また外出?」
と紫夏は耳かきを再開しながら質問をしてくる。
「うーーーーーん。まだ分からないけど、すごく行きたくない。どうにかならない?紫夏。」
俺は最高の耳かきを受けながらダメ元で紫夏に聞く。
「現状、もし軍を動かすなら貴方を抜くのは無理だと思うわ。」
「デスヨネ……」
やはり無理のようだ。
「秦軍の現状はどうなってるの?」
紫夏の純粋な疑問がとんでくる。
あっ、そこ気持ちいい。
「まず、大きな点は蒙驁将軍が韓に兵を率いて出陣していることだ。当然、そこに兵の数はある程度かけている。それに加えて、楚と魏からも目は離せない。少なくともこの3つの所にいる兵は動かせない。つまりはそれ以外の内部戦力だけで戦うことになる…はず。」
俺の持っている情報を整理しながら、紫夏に話す。
「数は足りそうなの?」
一通り終わった耳かきを止めて、紫夏はさらに質問を投げてくる。
「今回は防衛側に回るわけだから、相手側の援軍とかが無ければ、兵の数が足らなくてもなんとかはなるはずだ。あとは率いる将の問題だな。」
「…私はなにをすればいいの?」
紫夏が俺の頭を撫でながら質問してくる。
「いつも通り城代を務めてくれると嬉しい。俺の近衛兵の半分と零は置いていくから。困ったら零に丸投げしていいよ。」
俺は寝たまま返答をする。
「分かったわ。今回は――ちゃんを連れていくのかしら?」
紫夏が確認してくる。
「もし、この城をでるならそうなるな。もちろん後ろの方だけど。」
紫夏の確認に俺はそう答える。
「分かったわ。」
「その時はここを頼む。まぁ、何も起こらないとは思うけど。」
俺はそう言って、膝枕からゆっくりと立ち上がる。
「ええ、任されたわ。」
紫夏の顔を見るといつも通りの穏やかな顔で返事をしてくれた。
本当に、いい女ってのは紫夏のことを言うのにピッタリなセリフだ。
はい。導入終わりです。
次回は王騎将軍の出陣と樂成の話くらいですかね。
オリ主君活躍の日は近いかもしれません。