その男、商人であり将軍(仮)   作:ハーちみつNEXT

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初めは三人称視点です。
一瞬だけ信の目線も入ります。
いよいよ、本命の戦が始まります。
では本編どうぞ。


16話 開戦

王騎、そして蒙武や超荘がいる戦場から遠く離れた地に彼はいた。

その人物の名は李牧。趙北部の重要拠点である雁門含め、趙の北部軍を統括している男であり、秘密裏に現在の趙の宰相と三大天になった男である。

そして、今回の戦の全てを描き、最後の六大将軍である王騎を殺すための策を練った男でもある。

彼を中心に今後の中華が動くことを、まだ誰も知る由もない。

そう、普通なら知る由もないのだ。

普通なら。

 

李牧side 場所:????

 

黄金色の長い髪を後頭部の高い位置で結んでいる男、李牧は

 

「秦軍の動きは???」

 

そばにいる部下に尋ねる。遂に本軍へと合流した李牧は早速情報を集める作業に入る。

 

「蒙武軍は落石に引っかかりましたが、現在でも超荘軍を追跡中、王騎の本軍は山の上に陣取ったままです。その他の軍勢は万極将軍、公孫龍将軍、李白将軍らと対面したままです。」

 

部下は今までの戦の流れを整理した上で答える。

その情報は正確で、文句の付けようのないものであった。

 

「ありがとうございます。作戦に変更はありません。私の指示があるまでは軍を動かさないように徹底してください。あと、くれぐれも王騎の放つ斥候たちの間合いには入らないようにしてください。」

「ははっ。」

そう返事をすると、部下は馬を動かして李牧の近くから離れていった。

それを確認してから

 

「李牧様。」

 

護衛であり、部下でもある女が李牧に話しかける。

 

「なんですか?カイネ。」

李牧は顔色を少し緩めて、聞き返す。

 

「先ほど、斥候から報告がありました。馬陽に後詰として秦軍が5000が入ったようです。」

 

どうやら、新しい情報が入ったようですね。

李牧は新しく耳に入った情報を脳にしっかりと入れる。

 

「なるほど。秦軍はしっかりとしてますね。」

「私的にはたった5000と感じてしまいますが…」

 

カイネの発言は最もでもある。今の戦国七雄の時代において、国同士の戦は規模はとてつもなく大きい。加えて、今回の李牧が率いている軍は4万だ。たかが5000と思っても仕方がないが、

 

「カイネ。貴方含めて、我々北部軍は城攻めの機会が中々ないので、実感がないと思いますが攻城戦においての5000はしっかりとした意味を持ちます。」

 

李牧はそれは視野が狭いということを暗に示す。しかし、そこにカイネの落ち度はない。経験のないことは知識としては知っていても、実感がないが故になにせ想像しにくいのだ。

 

「と言うと?」

カイネは問う。純粋な疑問である。

 

「攻城戦の基本は城の戦力×3を用意することです。つまり先程の5000は攻城戦においては、こちらの1万5000に対抗出来る数です。万が一、王騎が敗れることになったとしても再び篭城戦を展開することも考えると、十分とは言えませんが時間を稼ぐにはもってこいの手です。」

 

李牧は攻城戦と向き合っての戦は勝手が違うとカイネに説く。

そう、平地で向き合っての戦と城を攻める・守る時の戦は全くの別物だ。

 

「なるほど………王騎を討ち取ったあとは馬陽を落とすんですか?」

「いえ、そこまではしません。欲張ってはこちらも痛い目を見ますから。」

 

納得した後のカイネの質問には否定の言葉を李牧は出す。

カイネのした提案は成功すれば最良の案である。しかし、そう簡単に行くことはないと李牧は踏んでいる。

 

「そうですか…李牧様すみません、質問ばかりしてしまって…」

「構いませんよ。疑問を解消するために質問することは大切なことです。その調子ですよ。」

「あ、ありがとうございます。」

 

李牧の目はカイネから遠くの戦場へと移っていた。無論、戦場が見えるわけでもない。しかし、内面的な全ては既に王騎を仕留めにかかることに()()の意識が割かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

三人称視点

 

背後には岩の壁、そして目の前には秦軍を遥かに上回り、視界を埋め尽くすほどの趙軍。趙軍は雑に攻めることなく、じわりじわりと秦軍の兵を削っていく。

 

蒙武と隆国は隙を伺うが、それを読み取っている超荘は時間を掛けながらも、包囲網には少しも穴を作らずに包囲網を少しづつ縮めてきている。このまま行くと秦軍は死に絶えてしまうだろう。

そう、このままだと。

 

「ドドドド」

 

人馬の駆け抜ける音が秦軍と趙軍が入り交じる戦場に響く。このような状態をこの男が見逃すはずがない。

 

「ンフフ…そう簡単には行きませんよ。超荘さん。」

 

蒙武が率いる秦軍の辿った細道から現れたのは秦国の、中華の大将軍であった。

 

 

 

超荘side

 

超荘は馬と人が走る音のする方向を振り返り、王騎の軍が来たことを完全に認識する。

 

「来たか…布陣し直す!右方の壁を背にして横陣を敷く!中央の後ろに俺が入る。右軍には亜景、左軍には陽火を入れろ。」

 

予め予測されていた動きをした王騎に対して、超荘は迅速に指示を飛ばす。

 

「はっ!」

 

それを受けて超荘軍は迅速に動き出す。後ろの兵から移動をし、陣を組み立てていく。

 

なにせこのままではもろに挟み撃ちを受けてしまう。例え、目の前の相手が死にかけの蒙武軍1000だとしても敵を2方向に作るのは悪手だ。

 

兵たちが続々と動く中、超荘も馬を走らせて横陣の後ろに入る位置に着く。 そして

 

「…………大丈夫だ。

 

周りの誰にも聞こえないように、ボソッと超荘は呟く。

その声はどこか自分自身に言い聞かせるような口調であった。

 

 

 

 

 

 

 

王騎side

 

 

 

「ンフフ…大天旗ですか。懐かしいものです。」

 

今、王騎は前に広がる光景懐かしく思う。廉頗、藺相如らとは何度も戦場で向き合い、互いに全力を出し合い、国を代表する将軍として、1つの時代を作っていった。まさに激動の時代であった。

 

そして目の前の趙軍は、かつての輝かしい時代の残り香とも言える三大天の象徴の旗を掲げることで、大いに士気を高めていた。

 

「ざんねんながら、六将にはそうゆうのはありませんでしたからねぇ…別の方法で士気を上げさせてもらいますよぉ。」

 

王騎は趙軍の雰囲気に気圧される秦軍の左軍の先頭に出る。

ただ、王騎は兵のたちの前に立ち、前を見つめ、そして矛を持つ右手を高々と掲げながら右へと馬を進めるだけである。していることはそれだけなのである。

 

「「「おおおぉぉぉぁぁぁ!!!」」」

 

しかし、それだけで喚声は上がり、兵たちも同様に右手を上げ始める。

異様な、そしてこちらが飲み込まれてしまうような雰囲気を趙軍は感じてしまう。ここで超荘は歯ぎしりをしてしまう。認めたくはない、しかし認めなくてはならない。やはり目の前で相対してある男は、秦における象徴であり、中華が認める歴史に名を刻む大将軍であること。

 

王騎という将軍1人が軍をそうさせる。させてしまう。

雰囲気が、将軍という地位が、国の中での英雄として称えられてきた名前が、そして兵たちに見せる華々しい姿が兵たちを熱狂の中に引き込んでいくのだ。

これが大将軍の戦のやり方なのだ。

 

 

(これが将軍…いや天下の大将軍の姿!)

信はそう確信する。王騎こそが自分の目指す大将軍の姿であると。形は違えど、王騎将軍と同じ結果を得られる男になりたいと漠然と信は思った。身が震える、体から熱が溢れる、そして目の前の姿に目を奪われる。奴隷からの成り上がり、そんなものが陳腐なものだと思えるくらいに天下の大将軍の場所は遠くに映った。

 

 

 

 

秦軍:11000 VS 趙軍:12000

士気は秦軍有利、しかし兵は以前として趙軍が有利。

 

「ンフフ…では早速始めましょうか。」

 

王騎は右軍まで進み、士気を上げきったことを確認すると、直ぐに中央へと合図を送る。それと同時に中央から騎馬隊が走り出す。

先頭を駆けるのは王騎軍の第一軍軍長の録嗚未、録嗚未に追随するは1000の騎馬隊

 

「いくぞてめぇら!!」

「「「おう!!」」」

 

荒っぽい激に彼ら答え、純粋に迷うことなく正面の本陣に向かって駆けていく。

無論、それを見ているだけでは無い趙軍。歩兵の奥から弓による矢が飛来する。それを確認すると録嗚未は

 

「右だぁぁ!」

「「「ははぁ!!」」」

 

舵を右へと切る。

飛来する矢が途切れると再び進路を少しだけ前へと移す。

趙軍左軍、中央軍は再び矢を放つ構えを見せる。

が、間に合わない。既に録嗚未たちは左軍の懐に入っていた。

 

趙軍の弓兵たちが無能だった訳ではない。むしろ有能だった。訓練された趙軍は、録嗚未たちの急襲に対してしっかりと焦らずに、引き付けて弓矢を放っていた。

これは敵を仕留めるために必要な技術である。

 

しかし、それが故に録嗚未たちは趙軍の2回目の弓矢が間に合わない所へと侵入出来た。

 

趙軍の歩兵たちは構える。盾を持ち、槍を突き出し、守りを固める。

そこに僅かな恐怖はあれど、慢心や油断はない。

 

しかし、その守りは一瞬で無に帰る。

 

「オラァァァ!!」

 

1列目、いや2列目・3列目の1部まで趙左軍は粉砕された。

録嗚未は騰や隆国のような王騎の手足のような存在では無い。純粋な破壊力を誇る槍だ。その存在は目の前の敵を当たり前に貫き、破壊する。

行くと度なく破壊する。激動の時代を生きた録嗚未の突破力は意図も容易く趙軍の出鼻を挫いた。

 

これにて、戦の火蓋は完全に切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




李牧…やはり名将。

カイネ…原作通りの人。なんか嫌われてるよね。

王騎…やはり大将軍。

超荘…有能なんだろうけど、化け物たちの領域には踏み入れれない。ドンマイ。

録嗚未…めちゃくちゃ強いけど、なんか描写的に強いイメージがない人。

龐煖と王騎の一騎打ちの描写欲しいですか?

  • 欲しい
  • 要らない
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