その男、商人であり将軍(仮)   作:ハーちみつNEXT

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お久しぶりです。体調が悪く数日寝込んでいましたので投稿が大変遅くなりました。
では本編どうぞ。


8話 伯という男

信side 場所:王宮内

 

「はぁぁぁぁぁ。」

 

と声を漏らしながら床に寝そべる。幸いにも戦闘中に負った傷は表面的なもので、致命的な怪我は一切なかった。

 

「壁。貂は大丈夫そうか?」

 

「あぁ…。お前の言っていた通り、刺された衝撃で気絶しているだけのようだ。本当にお前ら2人が大きな怪我をしなくて良かったよ。」

 

「カカカ。こっちを心配するよりも、自分の方を心配した方がいいんじゃねぇのかよ。」

 

「ははっ。確かにそうかもしれんな。」

 

と言いながら壁は自分の脇腹をさする。一方、信は頭の中で振り返る。ここ十数日の出来事を。幼なじみの死を目の当たりにしてから運命の歯車は連動を始め、決して交わることのなかった2人の道が重なる。出来すぎとも言える物語の中心に信はいるのだ。

 

(俺は天下の大将軍になる。見てろよ漂。)

 

信は心の中で再び誓う。2人の壮大で、憧れで、夢だったものに向けて信の歩みは始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥ…………」

 

「寝てる…………」

 

壁は少し呆れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信side 場所:王宮内

 

少し時は流れ、

 

「ゴバッ」

 

と信は急に脇腹に痛みを感じる。

 

「全く。お前はここをどこだと思ってるんだ。」

 

と声を聞いて、信は誰が蹴ったかを察する。

 

「痛ってぇな!昌文君のおっさん!俺がその蹴りが原因で死んだらどうすんだよ!!」

 

と言いながら信は立ち上がる。どうやら、寝ていたみたいだ。

 

「これくらいで死ぬなら、とっくに右龍でくたばってるわ!それに大将軍になるのなら、多少の礼儀やら教養は身につけんといかんぞ……」

 

「ふん!そんなものは大将軍になってから身につければいいんだよ!」

 

「はぁ……」

 

手を額に持っていき、やれやれとも言いたそうな顔をする昌文君。

 

「殿、大王様は奥の部屋に行きました。」

 

「むっ、1人でか?」

 

「いえ、伯という商人と2人で話をしたいと言い、奥の部屋に行きました。奥の部屋に行く際に、私に殿への伝言として先程の言葉を貰い受けていました。」

 

「なに??伯が来ているだと。」

 

「なにか、問題でも?」

 

「……………特別大きい問題ではないのだが……」

 

「???」

 

壁は頭の中に?が沢山浮かぶ。昌文君が少しだけだが苦い顔をしている。

 

「誰だよ、その伯とか言うやつは!」

 

「…儂や大王様とやり取りをしている商人のことだ。あくまで秘密裏にだが。」

 

「なんだよ、怪しいものでも買ってんのか??」

 

「別にそうゆう訳では無い。ただ情報を交換したり、やつの商会で扱っている食べ物やちょっとした遊戯を買い取ったりしているだけじゃ。」

 

「ふーーーん。ふつーーの商人じゃねぇか。なんでそいつとやり取りしてんだ?」

 

「理由を上げると幾つかあるが、1つはやつの能力の高さだ。情報を仕入れる速度がかなり早い。そして正確性もある。もう1つ大きな理由があるが、これは大王様のことに関わる。聞きたいのなら大王様の口から聞け。」

 

「わーかったよ。そいつは優秀なんだな。けど、俺には勝てねぇだろ!商人だからな!ハッハッ。」

 

「…………………」

 

「殿??」

 

「壁、お前はやつがただの商人だと思うか?」

 

「へ??」

 

壁は再び頭の中が?で埋まる

 

「どうゆう事だよ。おっさん。」

 

信も疑問をぶつける。

 

「儂はそんな気がせんのだ。儂は王騎などの大将軍には到底及ばないが、それでも戦場を駆け抜けたという自負と経験がある。その経験が、伯は武将だと言ってるようにも思えるのだ。」

 

「??つまりは、その伯とかいうやつは商人じゃねぇてことか?」

 

「分からんのだ…かれこれ5年から6年は関係があるが、未だに素性すら知っていないのだ。分かることは、やつが敵ではないこと。確かな腕があること、そして商人であることくらいだ。」

 

「なんだよそれ。」

 

「確かに、それは気になりますね。」

 

と3人が伯に関して思案していると、

 

「カタッカタッ」

 

と足音が近づいてきた

 

「大王様」

 

「昌文君か。よくやってくれたな。」

 

「ハッ。ひとまず全ての戦闘を終わらせ、兵たちを移動することを完了させ、そして武装解除まで見届けて参りました。」

 

「上出来だ。」

 

「ありがたきお言葉。」

 

大王である政と背丈が175cmほどで、白髪を後ろで少し結んだ男前の男が出てきた。

 

「お久しぶりです。昌文君。」

 

「伯……お前は儂らを困らせたくてここに来たわけじゃなかろうな。」

 

「まさか。そんなことをするのは平和な時くらいですよ。」

 

((するんかい))

 

とツッコミたくなる気持ちを抑え、昌文君は尋ねる。

 

「お前は一体何をしに来たんだ?」

 

「ちょうど、昌文君を呼ぼうとした所でしたよ。あとは………」

 

「バタッ」

 

と後ろの扉が再度開かれて、歩いてきたのは仮面を外した山の民の女王、楊端和と仮面をつけっぱなしの護衛のバジオウだった。

 

「久しいな。伯。」

 

「あぁ。最近は会えてなかったからな。バジオウも久しぶり。」

 

と伯はバジオウに手を振る。バジオウは手をあげて返答をした。

 

「なに!?お主ら知り合いか?」

 

昌文君は思わず驚く。

 

「うーーん、知り合いというか、幼なじみというか…古馴染みというか。」

 

「なんじゃと!?なぜ早く言わんのだ!!」

 

昌文君は詰め寄り、肩を掴みながら前後に揺さぶっている。

 

「いや、貴方の仕える偉大な大王様に伝えてたけどね。」

 

「なんじゃと!?」

 

「なんか、期待させるのも悪いじゃん。だから大王様だけに情報を渡したのよ。」

 

「ぐぬぬぬ……」

 

「まぁ。そう怒るな昌文君。彼にも考えがあっての事だ。」

 

嬴政が昌文君を宥める。

 

「……………分かりました。」

 

昌文君は引き下がる。

 

「……で、結局アンタがここに来た目的はなんだよ!」

 

信は声を張り上げる。

 

「君が信ですか?」

 

「そうだ。」

 

「先程、大王様から話を聞きました。右龍を抜いたのも、大王様を守り通したのも見事だ。」

 

「へへっ。そうかよ。」

 

「話を戻しましょう。なぜ、私がここに来たかですね?」

 

「そうだよ。」

 

信は返事をしながら頷く。昌文君も同じように頷く。

 

「では、壁はそこに倒れている子を連れて出ていって貰えますか?残りの人は私の話を聞いてもらいます。」

 

「…………壁、河了貂を連れ出して、ここに人を近づけないようにしろ。」

 

と昌文君は壁に指令を出す。壁は少し複雑な顔をするが

 

「分かりました。」

 

と指令を受け入れ、河了貂を抱えながら王宮を出ていった。

 

「いいのかよ。こんな場所に俺がいてもよ。」

 

信は疑問を呈す

 

「ええ。だって貴方は天下の大将軍になる男なのでしょう?ならば、今のうちに売り込んでおくのが吉です。」

 

以下にも当たり前のように言う。

 

「まぁ、もし死んでも死人は喋りませんからね。」

 

「お前は俺を信頼してるのか、してないのかどっちなんだよ。」

 

「一応信頼はしてますよ。信。だからここに残したのです。」

 

王宮にいる面子は、伯、バジオウ、楊端和、信、嬴政、昌文君である。

 

「では、お話を始めましょう。楊端和とバジオウはもう知ってる話ですが、一応今から話す話の保証人として居てもらいます。」

 

「構わん。」

 

「では、まず伯という名前は商人としての名前であり、本名ではありません。」

 

「…………」

 

「おや?皆さんいかにも当たり前だろといいたげな顔ですね。」

 

「…そりゃ、わざわざ当時の大王様に接近してくる商人が初めから本名で名乗るとは思わんだろ。」

 

「ははっ。それもそうですね。大王様、今までの失礼をお許しください。」

 

伯、いや孝覇は嬴政にお辞儀をする。

 

「構わん。お前がいたから出来たことが沢山ある。世話になっているのはこちらの方だ。」

 

「ありがとうございます。では、改めて名乗らせて貰います。私の名前は孝覇。肩書きを含めますと、樂成城城主孝覇です。」

 

「樂成だと!!」

 

「どうした、昌文君。」

 

「樂成は…あそこは流れ者の街です。元罪人や、職を失った人々が流れていく街です。」

 

「なぜ知っている。」

 

嬴政が尋ねる。

 

「文官になる際に、おおよその秦国内の内情を把握していく中で問題点の1つに挙げられていた街だからです。なにせ、文官がそこへ赴任するということが左遷を示すとまで噂されていたくらいです。そんな場所で正常に統治することなど…」

 

「出来る。だからコイツはやっているのだ。」

 

楊端和が口を挟む。バジオウをうんうんとうなづいている。それを聞いて、昌文君は信じられないと言いたいような顔をしている。

 

「正確に言うと、樂成一帯ですけどね。」

 

「お前は………本当にお前は何者なのだ。」

 

「ただのしがない商人ですよ。元ですが。

では、改めて。この孝覇、大王様が道を外さぬ限りはその覇道に可能な限りの助力をすることを誓います。」

 

孝覇は左膝をつきながら前に手を出して、右手に拳を作り、左手を重ねる。

 

「ありがとう。伯。いや、孝覇。これからもよろしく頼む。」

「ハッ。有り難きお言葉。」

 

この瞬間に、歴史に名を残す将軍兼商人がはたまた歴史に名を残す王に仕えることが決まった。

 

 

 

 

 




伯→孝覇
本名出しちゃったオリ主くん。なんと城持ち。

昌文君
やはりうるさいおじさん。とても書きやすい。

楊端和
オリ主の幼なじみというか、古馴染みというかという存在。

バジオウ
オリ主の古馴染みPart2

嬴政
優秀な駒GET

信
なんかすげぇ人なんだなぁ。まぁでも王騎将軍の方が凄いはず。
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