魔物の料理法から世界の救い方まで   作:呂斗六

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実質初投稿です



蛇足 とある世界の魔王の話

 

 

 

 

御然(おさ)らばです、魔王様」

 

 

 

待て!なぜそんな事を言う!なぜ…そんな顔をする!!

 

 

ワタシは…お前を—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシがヤツと出会ったのは、ワタシがまだ子供の頃だった。

当時から既に神童と持て囃され、驕っていたワタシには、男の姿はそれはそれは滑稽に見えた。

魔族ともあろうものが、まさか修行をするなんて!

 

 

「気、き、キ…うーん、構えが悪いのか…?でもあとは気合いって書いてあるしな……」

 

「貴様、何をしている?」

 

「え?あー、修行」

 

 

真顔でそう答えたヤツは、努力を恥とは微塵も思っていないようで、そしてそれは、魔族のプライドが微塵もない事と同義で。

結果としてワタシは、ヤツの逆鱗に触れる事を言ってしまった。

 

 

「努力…か、貴様にはよほど才能がないのだな……その珍妙な構えを見れば、修行の才能すらないのが容易に見て取れるぞ?」

 

「珍妙な…構え…?」

 

「その構え、一体何を目的としているのだ?誰もやっていない事をやれば特別になれると信じているのは健気だが…やっていない理由という物もあるのだぞ?」

 

「…め…の…ことか……」

 

「ん?どうした?何か言ってみろ」

 

「かめはめ波のことかーーーーーー!!!!」

 

 

後から聞いた話によれば、ヤツの師から最後に教わった技だったそれを侮辱したワタシは、激昂したヤツからの決闘を安易な気持ちで受け、魔王という名と共に受け継がれる最強の魔法で骨も残さず消し飛ばしてやろうとして、負けた。

あの眩い光に、ワタシに積み上がっていた愚かな誇り(驕り)は、この時完全に砕けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十年、我の行動を嗤い見下した老害が全員消えた後、本格的にヤツを探すことにした。

これまでも時間があればヤツを探していたのだが、まるで手がかりが掴めなかった。

その理由は、『自由気ままに旅をしている奇特な魔族がいる』という噂が流れて漸くわかった。

ヤツは、人間の国を旅していたらしい。

 

 

「こんな所でまさか同族に出会うとは…で、何の用だ?」

 

「単刀直入に言おう。我の元に付け、今なら最高の待遇を約束しよう」

 

「断る」

 

「理由は聞いてやろう……何故だ」

 

「俺にはそんな堅苦しそうな場所は合わないし…俺はそんなに強くない。もっと使える部下を探した方がいいぞ」

 

「そうか…なら…仕方ないな」

 

 

その後、少々()()()()()でヤツを部下にはしたが、当然の事ではあるがヤツは納得せず、我を魔王と呼ぶ事はなかった。

だが、それでも良かった。かつて我を完膚なきまでに打ち負かしたヤツが我の元にいる。そう思うとそんな事は些細な問題に思えた。

そんな破綻し掛けながらも満たされていた日々が崩壊したのは、それから数年後の事だった。

 

 

「予言?」

 

「ああ、『世界を呑み込む魔王が現れ、世界を絶望が包む時、闇を祓う勇者もまた現れる』だそうだ。そして実際に勇者の証を持つ者が現れたらしい…そして魔王役に選ばれたのが…」

 

「お前…って事か」

 

「ああ、世界を滅ぼすかもしれない存在の我を人間達は一刻も早く殺したいらしいが、自らの手を汚す気もないらしい。我からすれば劇の見過ぎだと思うがな」

 

「勇者さまは悪い魔王をたおしてハッピーエンド。ってなるだろうから周りの国は傍観してるって?」

 

「そんな所だろう、まったく、我に世界を滅ぼす気などさらさら無いのだがな」

 

「それはよくわかってるけど……そろそろ俺の腕と脚が滅びそうだからどいてくれませんかね……」

 

「まさか椅子がこの我に意見するとは…珍しい体験じゃないか?これは」

 

「その理論でいくとそっちは一人で自室の椅子に話しかける頭が可哀想なやつって事に…グおッファっ!!やめっ、ヤメロォ!脇腹は卑怯だろぉ!誉はないのか誉は!?」

 

「随分と揺れるなこの椅子は、そろそろ買い替えた方がよいか?」

 

「うおお動けん!パワハラ!パワハラだ!労基ー!早く来てくれー!!」

 

「無駄だ、その首輪は我の声にしか反応しない………ろうき?」

 

 

勇者は強かった、我を守る為に戦った者は全て返り討ちに遭う程に。

しかも返り討ちにあった者は全て生かされていた、それはつまり、隔絶した実力差があるという事。

結局勇者が我が城の前に辿り着くまでに勝てた者は、幹部を含めて終ぞ現れなかった。

 

 

「遂にここまで来たか…皆はもう逃げたが…どうする?我を見捨てて逃げるか?」

 

「それイヤミ?勿論あんたを守る為に戦うさ…なんせ首輪付きだからな!」

 

「フッ…そうか…」

 

「なんだよあからさまにホッとしやがって…乙女か?似合わない事すんなw」

 

「『動くな』」

 

「痛っ!すね蹴るな!やめっ、すみません!ナマ言ってすみませんでした!」

 

 

激戦。そう表すしかない戦いだった。

我とヤツの二人がかりでもなお勇者を打倒する事は出来ず、逆に我々が押される始末。

ヤツと勇者は知り合いらしかったが、その程度で手を緩める程勇者は甘くなく。

そして、この三人の中で最も弱いヤツが真っ先に狙われ、倒されるのは時間の問題だった。

 

「グアッ!!」

 

「そこで…じっとしていてください…私は貴方を殺したくない」

 

「……そういう訳には…いかないんだよなぁ…」

 

「なっ!?おい貴様!なにをして…っ!?」

 

 

ヤツが唱え始めたのは、数多くの魔法を修めた我にとっても未知の魔法だった。

ヤツの周りに膨大な魔力が集まって身体を廻り…その量に耐えきれずに全身から血が吹き出す。

あまりにも異常なその光景に、我も勇者も動きを止めた…止めてしまった。

それが、間違いだった。

 

 

 

御然(おさ)らばです、魔王様」

 

「『やめ———————」

 

 

 

轟音、衝撃、暴風。

全てが収まったその後に、残っていたのは。

 

全身から血を流し、満身創痍で立っている勇者と。

 

ヤツがいたはずの場所にこびりついている、膨大な量の血だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、あまりおぼえていない。

覚えているのは、結局ヤツの命を犠牲にしても負けた事と。

我にとどめを刺すことを躊躇うほど、勇者が甘かったという事で。

命からがら逃げ出した我には、最早復讐する程の力すら残らなかった。

 

 

「これから、我はどうすれば良いのだろうな」

 

 

今、我は人間達が住む街にいる。

我がいなくなった今、我が治めていた国は自然消滅し、周りの国に吸収された。

残党が暴れる事件も散発的に起こっているらしいが、それもしばらくすれば収まるだろう。

周りには、我らを踏み躙った人間達がいる。

が、我には今や街の警備が総力を尽くせば負ける程の力しかない。

無駄に死ぬ気にもなれなければ、何かをする力もない。

いっそのこと、全てを—————————

 

 

「あれ?魔王様じゃん。こんなところでなにしてんの?………あ」

 

 

顔をあげると、そこには、串焼き肉を頬張っているヤツがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【悲報】魔王軍逃亡兵ワイ 魔王とばったり会ってしまうw【死亡】

1:名無しの転生者

ドウスッペ…ドウスッペ…

 

2:名無しの転生者

せめて楽に殺してくれと懇願

 

 

 





だ い な し


魔王様

幼少期から莫大な力と権力を持っていたことと、魔族特有の思考で驕り、魔王になってからは力で世界を支配しようとし、見下していた種族である人間の勇者に負けたことで肥大したプライドと無様な現実に押し潰され暴走し化物に堕ちそれでもなお勇者に届かず負け消滅する……はずだったが、馬鹿のかめはめ波のせいでなんだかんだ丸く収まった。
この後馬鹿と二人旅する。

馬鹿

戦犯かつ英雄
撃つと死ぬ魔法を撃った後自殺することでコストを踏み倒す転生者の鏡。
実は勇者の元師匠。

勇者
女の子
偉い人に言われるがままに魔王を倒しに行ったが、話を聞くとみんな魔王を慕ってるし、元師匠は死ぬ気で魔王を守るしで悩んでいたら魔王を取り逃した。
多分この後魔王達と合流する。

スレ民

魂がこの世界の物じゃないため因果の外にいるという設定があったりなかったりする。




以上、蛇足オワリ
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