魔物の料理法から世界の救い方まで   作:呂斗六

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なんか新しい感じになったので初投稿です


とある世界の魔王の話

 

 

パキッ…パキパキッ……

 

グッ…ググッ……

 

 

 

 

腕が、動く。

 

 

 

 

この世全てを支配しようとし、神とやらとの戦いに挑み、自爆同然の攻撃に巻き込まれ、凡そ912年。

 

 

 

 

未だ完全回復には至っていない。だが、この日、異変があった。

 

 

 

 

周りの魔物が次々と殺され、遂に我が眠りを護る門番でさえも殺された。

 

 

 

 

恐らくは、アレの先兵。

 

配下に力を与え送る程度にはアレも回復したのだろう。

 

 

 

 

 

カツ…カタン……

 

カツッ……カツカツ……

 

 

 

 

 

 

脚が、上がる。

 

 

 

 

いいだろう。我自らが相手してやろう。

 

 

 

 

この程度では我を妨げる事はできぬ。この程度では我を防ぐことはできぬ。

 

 

 

 

貴様らに我を思い出させてやろう。貴様らに我を味わわせてやろう。

 

 

 

 

眼が、開く。

 

 

 

 

 

 

そこに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャガシャ ハフハフ、ハフッ!!

 

ハムッ ぐァつぐァつぐァつ

 

 

切り分けられた我の門番の死体と、その側で鍋をつつく男がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

112:美食家イッチ

魔王起きた

ちょっと行ってくるわ

 

113:名無しの評論家

いてらー

 

114:名無しの評論家

いやー門番さんは強敵でしたね…

 

115:名無しの評論家

討伐時間よりも料理時間の方が長かったけどな

 

116:名無しの評論家

よかったね水汲める場所といろんな薬草があって

なかったらバイオ飯だったでしょこれ

 

117:名無しの評論家

肉、肉、肉!

鍋として恥ずかしくないのか!

 

118:名無しの評論家

>>116

そしたらThe Forest飯になるだけやし…

 

119:美食家イッチ

なんか魔王口パクパクさせてる

とりあえず待つか

 

120:名無しの評論家

魔王も食べたいんじゃね?(適当)

 

121:名無しの評論家

ちゃんとごちそうさました?

食材と農家さんへの感謝は忘れないようにしようね

 

122:美食家イッチ

>>121

やべ忘れてた

でもまだ食べ切ってへんし…

 

123:名無しの評論家

オ残シハ許シマヘンデ

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

 

そいつは、両手を合わせて祈った。

 

 

 

なんだ、それは。

 

 

 

祈り…祈ったのか?門番を食べて!?

 

 

 

「食った…のか?その門番を…」

 

 

絞り出せたのはそれだけだった。

 

 

「ん?ああ、対して美味くなかったけどな」

 

「……何故」

 

「なぜ?……知らないなら教えるが、生き物ってのはご飯食べないと死ぬんだ」

 

「そんな事は知っている!!我が聞いているのは!なぜわざわざ我の目の前でその門番を食ったのかということだ!」

 

 

いや、そうか。

 

口に出して理解した、こいつは我を動揺させようとしている。

 

 

流石、自分諸共自爆したアレの使い走りだ。我を倒す為になりふり構わないというわけか。趣味の悪い事だ。

 

 

「味が気になったから」

 

「な…は……味?」

 

「まさか食事をただの作業と思ってるのか?食事ってのは身体を作り、精神を作り、心を作るんだ。そこをないがし————」

 

 

何を言っているんだ、コイツは。

 

理解ができない。思考が読めない。目的がわからない。

 

まだアレの方が理解ができた、我が許せないという。我に抗おうという意志を感じた。

 

コイツは…!コイツは……ッ!!

 

 

 

「お前」

 

「………な、ん」

 

「美味そうだな」

 

 

 

 

131:名無しの評論家

名作絵本じゃん

 

132:美食家イッチ

冷や汗一つかいたら負けよ

笑えよホラホラホラホラこうすんだよ(暗黒微笑)

 

133:名無しの評論家

この人頭おかしい…(小声)

 

134:名無しの評論家

数百年前の闘いで消耗し、力を取り戻す為に眠っていた疲れからか、不幸にも黒塗りの不審者に衝突してしまう

全ての責任を背負わされた魔王に対し、イッチに言い渡された示談の条件とは…

 

135:名無しの評論家

示談というか殺されてバラされるんですけど

 

136:名無しの評論家

鍋だよ鍋!鍋の具材になるんだよ

 

137:名無しの評論家

ヤの字に鍋にするぞって言われたら怖すぎて全部漏らす自信がある

 

138:名無しの評論家

直接殺すっていうと録音されたら詰むからよくわからん隠語で脅す奴じゃん

 

139:名無しの評論家

まぁマジで鍋にされるんだけどな

 

 

 

 

 

空気が変わる、空間が静まり返る。

 

 

 

 

1対1、種族の差異で圧倒的に優位なはずの魔王は、しかしその空気に飲まれていた。

 

 

 

 

ほのかな香りが鼻腔をくすぐる、名も知らぬ人間の後ろには鍋が一つ。

 

 

 

 

 

代用品まみれの中の下な味であること以外はただの鍋であるソレから目を離せない。

 

 

 

 

 

咄嗟に目をそらし、人間と目が合う。

 

 

 

 

 

今まで相対した敵のどれとも違う、その目。

 

 

 

 

 

逃げ殺すために一歩駆ける。

 

 

 

 

 

()()が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

160:美食家イッチ

うーん

門番の腕と魔王の腕で腕がダブってしまった

[画像]

 

161:名無しの評論家

ん?え?

 

162:名無しの評論家

なにーーーっ!!

こ これは……………!?

今まで読んでいたバトル小説は?

 

163:名無しの評論家

あのすみません

イッチが説明放棄すると状況把握できないんスけど

 

164:名無しの評論家

>>162

そんなもの…うちには無いよ…

 

165:美食家イッチ

>>163

突き出した腕を切り落としてワンアウト

逆袈裟からの正中線を抜いてゲームセットですね

 

166:名無しの評論家

油断したか魔王

 

167:名無しの評論家

二円引き!?

 

168:名無しの評論家

>>167

三連撃だっつってんだろ

 

169:名無しの評論家

だれか流れるように鍋にブチ込まれた魔王の腕に言及しろよ

 

170:名無しの評論家

これからはイッチの中でずっといっしょだよ♡

 

171:名無しの評論家

親子丼ならぬ親子鍋だな!

 

172:名無しの評論家

狂い火エンドじゃん

 

173:美食家イッチ

ああああああああああ!!

 

174:名無しの評論家

うおびっくりした

 

175:名無しの評論家

イッチ!?

 

176:名無しの評論家

汁跳ねた?

 

 

 

 

 

困惑。

 

 

魔王が眠る地に足を踏み入れるのはいい。

過去にも自ら魔物蔓延る地に飛び込む人間はいた。

たとえその最後が死しかないとしても、それがその人間の選択だ。

 

 

 

その人間が今までの誰より強く、遂に魔王の場所まで辿り着いたのは良かった。

私にはよくわからなかったが、襲い来る魔物共に対し、特殊な脚捌きで即座に懐に飛び込んで一太刀で斬り捨てていた。

まさしく達人。蓄えている私の力を与えようかとも思った程だ。

 

 

 

その斬り捨てた魔物を食べ出すのは……うーん………

確かにその地は魔王に力を吸われ不毛の地になっているけどさ、食材を現地調達するにはそれしかない…のかな……?

もっと他に…………

 

 

 

 

 

え!?

キミ魔王も容赦なく食べるつもりなの!!?

 

速ッ!!

神業じゃん!!

 

ちょ!!?

その腕どうするつもり!?ほんとに!?本当に鍋にいれるの!!?

 

 

うわわわわ急げ急げこんなチャンスもこんなピンチも二度とないぞ!!?

もう力の温存とかどうでもいい!ここでやらなきゃ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「破ッ!!!!!」

 

「えっ?ああああ俺の鍋ぇぇぇぇ!!」

 

 

渾身の一撃。

 

 

魔を還す光に包み込まれた魔王の身体と、鍋に入っている腕、ついでに鍋の中身全てが消え去った。

 

 

いや……魔を還す光でなんで鍋の具材が消えるのさ…なに食おうとしてるのこの人間……しかもこの人間は消えてないからやっぱり純粋な人間だし……

 

 

「俺の…俺の晩御飯……」

 

「君さぁ!なに魔王食べようとしてるの!?魔の頂点の肉体なんて猛毒に決まってるじゃん!!!」

 

「え……いや…火を通せば食べられるかなって…」

 

「食べられる訳ないでしょ!!口に入れちゃダメな物がわからないのが許されるのは赤ちゃんまでだから!!」

 

「はい…すいません……」

 

「私はもう力を使い果たしちゃったから帰るけど!もうこんな拾い食いみたいなことしちゃダメだからね!!」

 

「はい…二度としません……チッうっせーな

 

「は?」

 

「反省してます」

 

 

 

200:美食家イッチ

魔王鍋完成!

謎の人型出現

人型「ヒャア!枢機へ還す光ィ!!」

鍋と残ってた魔王の身体消滅

人型「こんな毒食うな!!!!」

人型消滅

空っぽの鍋と立ちすくむ俺←イマココ

 

201:名無しの評論家

ぐうの音も出ない正論じゃん

 

202:名無しの評論家

人類で初めてきのこ食べれること発見してそう

 

203:名無しの評論家

魔女でももうちょっと材料選ぶわ

 

204:名無しの評論家

イッチその人型さんにもっと感謝した方がいいよ

 

205:名無しの評論家

お前らノリノリだったくせに!

裏切り者ぉ!

 

206:名無しの評論家

まるで仲間だった時があるみたいな言い方するじゃん

 

207:名無しの評論家

楽しかったぜェ!お前との友情ごっこォ!!

 

208:美食家イッチ

しゃーない帰るか…

え!?あの地獄の道のりを!?

 

209:名無しの評論家

そらそうよ

 

210:名無しの評論家

帰るまでが旅だって習わなかったのかよ

 

211:名無しの評論家

その前にもっと習うべき常識とかあっただろ

 

212:美食家イッチ

まって?

外に魔物いないんだけど

 

213:名無しの評論家

嬉しいだルルォ?

 

214:名無しの評論家

イッチが魔王を倒したからだろ

 

215:美食家イッチ

そ、そんな…たった魔王ぽっち鍋にしただけで…!

俺…このまま…死…死んで……!

 

216:名無しの評論家

なんで魔物がいなくなったら飢え死にするんですか?

 

217:名無しの評論家

まぁ勇者は魔王を倒したら魔王以上の暴力を持つやべー奴にランクダウンするし

死ぬのもやむなし

 

218:名無しの評論家

>>217

そういう悲劇とは別というか…

勇者が死ぬのは人の業だけどイッチが死ぬのは馬鹿が馬鹿やって順当に死んだだけというか……

 

219:美食家イッチ

さっきから皆正論しか言わなくな

まってなんか食べ物と置き手紙がある!!!

神は俺のことを見捨てていなかった!!!

 

220:名無しの評論家

見捨てろよそんなもん

 

221:名無しの評論家

次期魔王みたいな奴を助けてどうすんだよ(呆れ)

 

222:名無しの評論家

>>221

はい!よかれと思って!

 

223:名無しの評論家

お前は助けられた側だろ

 

224:美食家イッチ

鍋セットと「これでも食べて元気出してください」だって!

何週間ぶりかのマトモな食事だ!!!

 

225:名無しの評論家

そう言えばイッチはゲテモノ食いたいわけではなかったんだった

あまりにも思考がキチガイすぎて忘れてたわ

 

226:名無しの評論家

>>224

Estilo Hiten-Mitsurugi técnica das nove cabeças!!?

 

227:名無しの評論家

だから鍋セットだっつってんだろ!

 

228:名無しの評論家

なんで何言ってるかわかるんだよ

 

 




イッチ
この後調子に乗って食べすぎたことにより、その晩お腹が痛くて泣いた(hrpkaoms)
その後は老人になるまで世界中を旅することになる

魔王
周りのリソースを根こそぎ吸い取っていたため、神とのダメージ回復レースでは有利だったが、通りすがりの美食家に絡まれ敗北…
因みに完全復活するとギミックボスに進化しイッチでは討伐不可能だった


神というより善よりの思考を持つ上位種が正しい
このままだと魔王が復活するためあれこれ計画して仕込みをしていたが、一般通過スレ主が解決していった
あまりにもあんまりな最期を遂げた魔王に同情はしなかったが、目の前の不審者には心底動揺し恐怖した
一応魔王浄化ビーム後の余ったリソースでお礼はしたが、もう関わりたくはない







勇者となるはずだった少年
村で幼馴染と遊んでいる
勇者に選ばれる予定だったことも、村が焼けることも、両親が死ぬことも、消えない傷を負うことも、旅の末に仲間達の命と引き換えに魔王を倒すはずだったことも知らない唯の少年

世の中には知らない方がいいということもある

村に住み着いた変な老人から剣を習い、村を飛びだして世界を回る夢を持っている
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