ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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第一章 第一部 病弱メジロ三姉妹の体質改善
1 病弱三姉妹って呼ばれています。


 メジロマーリンっていうんですけどね。そう、メジロです。全く知名度のないそんな馬の名前を継いだウマ娘になったんですよ。

 前世はウマ娘ファンではあったけど実際の競馬なんて令和になってからしか知らない程度だったボクには、一部の有名な馬以外の名前なんて全くわからないわけです。

 名前からメジロ家だっていうのがわかった程度です。

 

 そんなボクですが、姉が一人、妹が一人います。

 姉がメジロラモーヌ、そして妹がメジロアルダンって言います。

 

 なんか、すごい姉妹に挟まれてしまいました。

 

 

 

 

 メジロラモーヌ、メジロアルダン姉妹に、2人以外の姉妹がいたなんて聞いたことがなかったですが、元となったのは競走馬ですし、姉妹なんて何人もいてもおかしくないでしょう。サラブレッドは生涯で10頭ぐらいは出産すると聞いていますし史実をそのまま反映したら、多分姉妹が3人ではとどまらないと思います。

 とはいえ、史実がそのまま全てこちらの世界に反映される、というわけでもないようで、ボクの場合は3姉妹だけで、ほかの兄弟姉妹はいませんでした。

 

 さて、そんな三姉妹の真ん中に転生したボクですが、早速しなければならないのは……

 

「ラモーヌ姉さま、アルダン、大丈夫?」

「あまり大丈夫じゃない……」

「うううう」

 

 看病でした。

 メジロアルダンは元より、メジロラモーヌも小さい頃は病弱でよく寝込んでいた、という話がアプリにはありましたが、この世界でもアプリと同じように姉妹そろって病弱でした。ついでにボクも体は強くありません。

 特に走りすぎたりすると大体、身体中が熱をもって寝込みます。

 走ることが好きではないボクと違って、ラモーヌ姉さんもアルダンも、走ることジャンキーなところがあるので、こうやって寝込むなんてことは日常茶飯事でした。昨日メジロ家の身内でのちびっこレースがあったせいで、いつも通り張り切過ぎた姉さまもアルダンも寝込んでしまった、というのが現状です。

 ボクはまあ、手を抜いていましたから体調は崩していないのですが…… だって、寝込んでるとき熱いし苦しいし……

 

 ゆっくりとラモーヌ姉さんのおでこを撫でます。微熱程度ですが熱いです。アルダンのほうなんか、掛け布団を剥いでしまっています。ただ、冷やしすぎもよくないでしょう。

 看病といっても基本全てメイドさんと主治医さんがしてくれるので、幼女のボクはウロウロしているだけみたいなものです。

 

「いつものですね。解熱剤と鎮痛剤を出しておきます」

「ありがとうございます」

 

 主治医さんの診断も、いつも通りです。どこが悪いわけではないので、対症療法にしかならないのがもどかしいです。このまま病弱というのもつらいですしこう、どうにか、体質改善とかできないものでしょうか。よく考えたらメジロラモーヌは体質改善できたわけですし、今から始めても早すぎるなんてことはないと思うのです。

 まずは主治医さんに相談です。

 

「主治医さん」

「なんでしょうか、マーリンお嬢様」

「ちょっと相談したいことがありまして。お忙しくなければ少しお時間いただけますか?」

「かまいませんよ」

 

 いつもの無表情でそう答える主治医さん。

 このちょっと威圧感を感じる表情と顔付き、そして注射でメジロのウマ娘には嫌われがちな主治医さんですが、本質的には親切な人です。本当に時間があったのか、ボクのために時間を作ってくれているのかわからないですが、そのまま談話室へと移動します。

 

 談話室に移動してテーブルに着くと、メイドさんが紅茶を淹れてくれました。

 薔薇の形の角砂糖を1つ入れ、一口つけます。

 

 それにしてもメジロはすごいな、と何かにつけて感じます。

 こうして思い付きで談話室に移動しても、しれっとメイドさんがお茶を用意して、お菓子まで準備してくれるのです。正直ちょっと怖いぐらい尽くされてますね。屋敷の規模といい、人員といい、どこからその経済力が出ているのかが気になりますが。

 閑話休題、気を取り直して、主治医さんにボクの思ったことを話します。

 

「いつも治療にお世話になっていて何なのですが、ボクたち姉妹の体質をこう、根本的にどうにかできないかなと思いまして」

「根本的?」

「体質改善とかそういうものができないかなと」

 

 薬はあくまで対症療法だし、もうちょっと根治ができるような良い方法がないだろうかそう思って尋ねると主治医は少しうつむきました。どうやら何か心当たりがあるようです。

 

「あまりお勧めできませんが、漢方で体質改善をするという方法はあります」

「ふむふむ、漢方って副作用も少ないって聞くし良さそうに聞こえるけど」

「問題点は二つあります。一つは効果が出るまで時間がかかります」

「そっちは大したことないでしょ。ボクなんてまだ4歳児だし」

 

 時間がかかる、といってもどれくらいでしょうか。1か月や2か月でないのは確かですが、10年、20年とも思えません。現状ボクが4歳で、一つ上のラモーヌ姉さまですらトレセン学園に入るまで5年以上あります。今すぐ治るに越したことはありませんが、時間はそんなに問題には思えませんでした。

 

「マーリンお嬢様が話す内容はとても4歳児のものとは思えませんけどね。もう一つの欠点は、とても不味いんです」

「不味い?」

「はい、とても不味いんです」

 

 大事な事なので二回言いました、とばかりに繰り返す主治医さん。薬なんておいしくないものだと思いますし、懸念としてそこまで強調する必要ないと思いますが……

 ボクが怪訝な顔をしているのをみた主治医が説明を続けます。

 

「言葉で言っても納得されないでしょうし、1週間分、出しておきます。気虚に効きますので、食欲増進や精力増進などに効果がありますよ」

「気虚?」

「東洋医学の概念です。エネルギーが足りていない状況ですね。マーリンお嬢様も、ほかのご姉妹もそうですが、動きすぎると体調を崩されるので、エネルギーである気が足りていない、という考え方になります」

「へー。なるほど」

 

 食べる量が少なくて疲れやすい、というのはボクや姉さま、アルダンの現状そのものです。ボクも食べるのは好きなので二人ほどひどくはないにしても、平均的なウマ娘ほど食べられません。薬効と病状は合致しているように思いました。

 これで姉さまもアルダンも元気になるぞ、と期待する私を、主治医が微妙な顔で見ていたのを、ボクはこの時は気づいていませんでした。




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