ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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第四部 同期トレーナーと仲良くする話
10 挨拶は大事って古事記にも書いてあるそうです


 トレーナー試験に合格したら、その日からトレーナーです、というわけではありません。いや、トレーナーではあるわけですが、トレーナーとして働けるわけではありません。最低限の知識はありますが、当然最低限ですから、もっと修業が必要なわけです。ということで、試験に受かったらすぐにトレーナーとして働くわけではなく、研修を受けたり、誰かの下で修業をしたり、小学校に通ったりするわけです。

 

「いや、最後のお前だけだろ」

「でも年が若い人だと大学とかに通ったりするなんて話も聞きますよ」

「そりゃそうだけどさ」

 

 なんにしろ色々することがあります。そして今日ボクはトレセン学園に来て、同期のトレーナーである可児さんと奈瀬さんと3人であいさつ回りをしているところです。

 ほかのトレーナーさんにあいさつをして回って、お話を聞いたりするわけです。場合によってはそのトレーナーさんが管理しきれなさそうな子とか紹介してもらえるらしく、結構大事です。

 

「とはいえ、そういうのってもともと知り合いがいないのに難しいだろ」

「まあそうかもしれませんね。そのためのメジロです」

 

 こういう時こそメジロパワーであるといっていいでしょう。メジロ関係のトレーナーというものが何人もいるし、おばあさまにおねだりして何人か渡りをつけてもらっていた。

 

「奈瀬さんも知り合いに声をかけてもらったみたいですし」

「まあ、多少はですね」

 

 奈瀬さんもお父さんからこの界隈の人ですから、もともと知り合いが多いようです。もっともお父さんと確執がかなりあるようですし、扱いに若干注意が必要ですが。

 

「俺だけ何もしていなくて悪いな……」

「お礼はお寿司でいいですよ。回るので勘弁してあげます」

「……」

「財布が軽くなるな……」

 

 奈瀬さんからも期待する目で見られて、可児さんは撃沈しました。先行投資と思ってもらうとしましょう。

 夕食を決めつつ、まず最初についたところは、東条トレーナーのところでした。

 来年入学予定のルドルフの契約予定先です。あのレベルになると入学前からトレーナー候補がいるからすごいですよね。その関係で紹介してもらったところです。

 

「こんにちは! お約束していたメジロマーリンです!!」

「いらっしゃい。本当に小さいのね……」

「本物ですよ。ほら」

 

 世間的にはまだ噂になっていませんが、小学生ウマ娘トレーナーがいるというのは業界では当然有名です。ですがあまりにリアリティがなさ過ぎて、年齢詐称を疑われるのはまだましで、影武者とかいろいろな説が出回っています。

 なのでひとまず、トレーナーバッジを輝かせながら、耳と尻尾を動かすことで本物アピールをしています。トレーナーって大体ウマ娘好きですから、こういうかわいい動きをすると大体好意的に見てくれるんですよね。

 

 なんにしろほかの二人と一緒にトレーナー室に入って、お話を聞きます。スカウトのやり方とか、トレーニングのやり方とか、大体そんな話です。とても参考になりますね。ライバルではありますが、新人に対してはみんな結構いろいろ教えてくれます。

 

「そういえば私もマーリンさんに聞きたいことがあったのだけれども」

「ボクにですか?」

「体の弱いウマ娘の体質改善をする方法を編み出したって聞いたんだけれども、本当?」

 

 さすがトップトレーナー、情報が早いですね。おそらくシンボリあたりから漏れたのでしょう。そこで侮らずにボクに直で聴いてくるのは好印象です。どうせだし同期の二人にも布教しましょう。

 

「本当ですよ。ボク含めた三姉妹は小さい頃は体が弱くて、全力で走るだけで熱を出して寝込んでいましたが、今では元気モリモリ森鴎外です」

「なんで森鴎外だよ」

「なんとなく?」

 

 当然語呂で選んだだけです。

 

「今はどれくらい元気なの?」

「ボクはトレーナー試験に耐えられる程度、ですかね。妹なんかは毎日4時間走りっぱなしでも大丈夫なぐらいです」

「それはそれで大丈夫なの?」

「成長著しすぎてちょっと心配です」

 

 アルダン、本当に放置すると一人で延々と走っているのでちょっと心配なんですよね。そのせいか成長が著しすぎて、もう、ボンキュッボンを地で行く体型になってます。フィジカルお化けですよ、あれ。

 

「その方法、教えてくれる?」

「いいですよー。まずはこれです」

 

 この方法で何か儲けようとか思っていないので、教えるのはやぶさかではなかったりします。ただ、評判が悪いんですよね…… 主治医さんも実行してくれる人がほとんどいないって嘆いていました。

 ボクがカバンから取り出したのは、緑色の液体が詰まったペットボトルです。そう、アプリに出てきたものを再現した、ロイヤルビタージュースです!!! 体力フル回復できるこれが、自作なので無制限に使えます。味はまあ、すごくすごいですが……

 

「これを1日3回飲めばもう、健康そのものですよ」

「……なんか禍々しいオーラ放ってない?」

「気のせいかと。試しに味見してみますか?」

「……さすがにこれを教え子に先にのませるのは気が引けるわ」

 

 東条トレーナーがコップを4つ持ってきたので、東条トレーナーと奈瀬さん、可児さん、あとボクの4人分として注ぎます。

 

「それでは、いただきます」

 

 まずはボクが飲み干します。うん、青臭くて、生臭くて、苦くて、酸っぱくて、変に甘くて、端的にくそ不味いです。いつものですね。

 平然と飲み干すボクを見て、ほかの三人も覚悟を決めたようです。三人とも一気に飲み干しました。

 

「がふっ!!」

 

 まずダメージを受けたのは奈瀬さんでした。多分寿司の食べすぎですね。カラテパワーに体が耐え切れなかったのでしょう。死んだ目でソファに倒れ伏しました。

 

「こ、これは……」

 

 絶句しているのは東条トレーナーです。鍛えているからでしょう、意識ははっきりしています。ですが表現のしようがない不味さなようです。

 

「まあ、マーリンのやることだからな……」

 

 覚悟を決めていたらしい可児さんもどうにか耐えたようです。覚悟が違いますね。

 

「これを1日3回……」

「食前3回で、あとはスペシャル薬膳料理とかもありますし、笹針とか様子を見てお注射とかもあります。それを耐えきれば、強靭な肉体を手に入れられるわけです」

「……これを、教え子に完遂させられる自信がないわ」

「体にはいいんですけどね」

 

 東条トレーナーの指導力をもってしても無理なら基本絶対無理じゃないですかやだー。しょんぼりしてしまいましたが、全員にやばいヤツとしてみられるだけでした。

 

 

 

 東条トレーナーのところの次は、黒沼トレーナーのところに向かいます。

 ハードトレーニングで有名なトレーナーさんですね。

 奈瀬さんのお父さんの師匠に当たるらしく奈瀬さんも付き合いが長いんだとか。

 

「よく来たな、文乃」

「お久しぶりです、黒沼さん」

 

 勝手に奈瀬パパの師匠というから、お爺ちゃんを想像していましたが、予想以上に若く見える人でした。ただ、なんというか格好が独特です。なんで腹筋と胸筋を見せているのでしょうか。あれか、触っていいってことか。

 早速あいさつ代わりに黒沼トレーナーの腹筋を撫でます。カッチカチでした。これはいいものだ…… 感動を覚えていると、周りが困惑していました。

 

「マーリンさん、何してるの?」

「いえ、腹筋見せびらかしているから触っていいのかなって」

「その理屈で行くといつも太もも見せびらかしてるマーリンさんのトモも触り放題だな」

「可児さんのエッチ。ロリコン」

「はいはい、ひとまず腹筋撫でるのやめような」

 

 可児さんに黒沼トレーナーから引き離されてしまいました。仕方がないので可児さんの腹筋を撫でます。ふむ、これはこれでいいな……

 ちなみにボクの今日の格好は一分丈の短パンとおなかのところで結んであるへそ出しTシャツであり、確かに太ももを見せびらかしているといわれても仕方ない格好です。普段から大体こんな格好ですが、暑いから仕方ないんですよ。体質改善の副作用です。体が熱をもって大変なんです。

 

 気を取り直して黒沼トレーナーからもいろいろなお話を聞きました。特にハードなトレーニングのやり方はかなり参考になりますね。さすが、それで売っているだけあります。

 当然ながら黒沼トレーナーからも体質改善の方法は聞かれましたのでロイヤルビタージュースを飲ませたら一瞬にして撃沈していました。そんな不味いかなぁ……

 ボクは二杯目を飲みましたが、奈瀬さんと可児さんには断固断られてしまいました。




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次はどんなお話にしようか(12話ぐらいから

  • 公式ちびっこレースに参加する三姉妹
  • 他のメジロとの交流
  • そろそろ学園編初めてもいいんじゃない?
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