ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
独裁者っておそらくとっても大変だと思うんですよね。
だって全部自分でやらないといけないわけですよ。権限が集まるということは自分で決めなきゃいけないことがどんどん増えるわけですから、仕事もどんどん増えます。
権限は適切に分配するのがとても重要なわけです。
「そう、権限の適切な分配が大切なんですよ」
「私が全部やれば問題ないだろう?」
「それでパンクしかけてるから問題なんでしょうが!!!」
目の前のライオン丸、シンボリルドルフの顔面に思わず拳を叩き込みそうになりました。
根本的な問題として生徒会の権限が強すぎるんです。学園内の備品の決定権すらあるのは正直頭がおかしいと思います。トレーナー関係はURA、教官関係は理事会に権限があるのですが、生徒関係の権限はすべて生徒会にあるわけです。予算もちょっとビビるぐらいありますし、当然やらなければならないことも死ぬほど多いです。
にもかかわらず、生徒会のメンバーは生徒会長一人、副会長がルドルフとボク、以上です。本当狂ってると思います。
「しかし、権限を分配といってもだれにするんだい? URAにも理事会にも頼めないぞ」
歴史的に、URAとウマ娘生徒会は対立してきた関係があったと聞いています。そのため、生徒のことは生徒がやる、ということで生徒会の権限が強化されてきたらしいです。ウマ娘の自主独立の歴史が生徒会の権限の強さという結果につながっている以上、安易にそれを手放すわけにはいかないのはルドルフの言うとおりです。
「ひとまず生徒会の人数を増やしましょう。庶務を20人ぐらい」
「おいおい、そんな人員どこから確保するんだい?」
「高等部の成績優秀者を生徒会枠の推薦で釣ってきてください。ほら、今すぐ」
「私が!?」
「知名度のないボクが声をかけても集まるわけないでしょう」
一番手っ取り早い手段は人数を増やすことで、その報酬をちゃんと用意することでしょう。大多数の生徒は、トゥインクルシリーズのオープンクラスに上がれない生徒であり、大学進学からの就職を考えているだろうこういった生徒たちには推薦は喉から手が出るほど欲しいはずです。特に、生徒会は権限が強いので有名大学への推薦権をいくつも握っているのは確認しています。こんなの、ばらまいて人集めに使うのが一番に決まっています。ルドルフみたいなのは潔癖だからふさわしい子を探すとか考えていたのでしょうが、推薦の適否を一から生徒会が審査するというのがさらに仕事を増やしているのを今一度考え直すべきです。
「あとは各委員会に権限を大幅に投げてください。予算承認と決算承認だけ生徒会ですればいいでしょう?」
「しかし、トラブルが起きたときの対応は……」
「それも各委員会にやってもらってください!!」
生徒会は保護者じゃないんです。同じ学生なんだから、トラブル対応をどこでやっても一緒なはずです。
「生徒会が上役です、みたいな顔で出て行ったら各委員会に責任感も何もなくなっちゃうでしょう?」
「うむむ、だが……」
「ルドルフはルドルフのやり方でいいですが、ボクに投げられた仕事は基本このスタイルで行きますよ。トレーナー業もありますからそんなに時間は生徒会に割けないです」
仕事をだれかに任せるという作業もまた大変なのです。おそらくそれをやるだけでボクの場合は手いっぱいだと思います。いくらでも働ける目の前のライオン丸とは違うのだから。
ぷうぷう唸っているライオン丸を置いて、さっさとボクは自分の仕事として引き受けた構内備品の管理関連の資料を持ってトレーナー室へと戻ります。
こんなの、普段から見回りをしている風紀委員の皆さんにやってもらえばいいだけです。発注関係だけは書類仕事をしてもらえるかという問題がありますが、現状確認は生徒会が回るより、使命感を持って学内を巡回している彼女らのほうが上手くできるはずです。そのためにはチェックリストも作らないといけないな、とか考えると仕事の面倒さにため息が出るのでした。
生徒会のメンバーは、生徒会長が全生徒から選挙でえらばれ、副会長は会長が任命し、ほかのメンバーは生徒会長からも副会長からも任命が可能です。
一応ボクも、ルドルフからの推薦ということで生徒会長から任命されています。
こういうシステムですから、ボクの判断だけでメンバーを増やせるわけです。
ルドルフにメンバーを増やすようにお願いしましたが、彼女のことです。選り好みするに決まっていますから、一人二人でも集められたら御の字ぐらいしか期待していません。
なので自前で集める作業もするべきでしょう。
「ということでラモーヌ姉さまは今日から生徒会庶務です」
「え? いやだけど」
「拒否は認めません」
理由は何となくわかっていますが、それでもボクをルドルフに売ったのは許してないですからね。姉さまのカリスマ性は何かに役に立つでしょうし、トレーニングして学業しても、絵を描く時間を減らせば仕事をする時間は余裕であるでしょう。
「シリウスさんも、お願いできませんか?」
「むぅ」
「お願いしますよ~」
同じくトレーナー室にいたシリウスさんも引き込むべくお願いをします。
すごく嫌そうですね。理由はわかりますよ。ルドルフとあまりかかわりたくないのでしょう。ただ、ボクのことをかわいがってくれているシリウスさんですから、無下にも断りがたいのでしょう。
「シリウスさんのお友達も、生徒会の杓子定規な対応いやだっていう話してるでしょう?」
「よく知ってるな」
「トレーナー界隈で評判立っていますからね」
シリウスさんが不良を集めて悪さしている、といった評判はトレーナーたちの間で流れています。まあこういう噂は全く信用できるものではないですし、ボクはシリウスさんのことをよく知っていますからきっと困っている子の世話を焼いているんだろうなというのは予想できます。
「生徒会の対応が嫌なら、生徒会に入って好き勝手しちゃえばいいんですよ」
「……あいつらは根はいいやつだがお行儀がよくない。下手するとトラブルを起こしてマーリンが生徒会から追い出されるぞ」
「むしろ追い出してほしいので構わないですよ」
やりたいかやりたくないかで言ったら全くやりたくないのですから、生徒会から追い出してもらって一向にかまわないのです。
さすがに横領とか犯罪沙汰は困りますが、シリウスさんの紹介してくれるお友達なら、そこまでのことはシリウスさんがさせないでしょう。
「お願いしますよ、シリウスさん」
なかなか縦に首を振ってくれないシリウスさんに、さらなるひと押しとして甘えにかかります。正面から胸に飛び込んで抱き着いて、そのまま頬を頬に当ててすりすりと猫のように甘えます。
うーん、シリウスさんのいい匂いがいしますね。肌もすべすべでとても楽しいです。いや、説得のためと言い訳しましたが、単純にストレス解消です。抱き着いて摺ついていると、シリウスさんが頭を撫でてくれます。もう最高ですね。
「どこまで手伝えるかはわからないぞ」
「できる範囲で構いませんよ。何なら名前だけでもいいです」
「では私も名前だけで……」
「ラモーヌ姉さまはキリキリ働いてください」
今の生徒会が少数精鋭と認識されすぎているのが問題なのです。お仕事に対して人数が少なすぎるのにそれで回さなければならないとなれば負担が激増します。
ひとまず人数を増やしたことが周知されればそれだけ他の人も入りやすくなると思います。
できるだけ負担を減らすべく、ボクも頑張るのでした。
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