ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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4 授業は退屈でも、学校というのは楽しいものです

 学生なので当然授業を受けないといけないわけです。いや、上手くやれば授業免除という手もあったりはしますが、さすがに浮きすぎるので今のところそう言った手は使っていません。

 友達作りたいですしね。あと授業といっても内容的に特に受けなくても問題ないものと、あまり得意でないのでちゃんと聞いているものがあります。

 

 苦手なのは国語ですね。前世記憶が一番使える分野かと思いきや、結構言葉の意味が違ったりします。

 例えば馬子にも衣装、という言葉が前世にありました。中身がつまらない人間でも着飾ると立派に見えてしまうという意味でして、他人に使ったら侮蔑の言葉でしたが、こちらのマ子にも衣装は、ウマ娘にきれいな格好を着せると、すごく、すごく、すごいです…… という意味なので、最上級の誉め言葉なんですよね。

 こういう日本語の違い、というのが結構侮れなくて、国語や英語といった言語関係はあまり油断ができません。

 あとは歴史ですね。出来事が結構違うので、これも油断できない分野です。

 逆に理系科目はほとんど差がないですし、レース理論なんかも基礎的な部分でしかないので正直あまり頑張らなくても大丈夫な内容ばかりです。

 そういう授業の時は基本もちこんだノートPCで姉さまのトレーニングプランを考えたり書類を作ったりしています。やりたい放題ですね。先生もあまりかかわろうとしてこないので助かっています。

 

 飛び級、トレーナー資格持ちとなればまあ話しかけにくいのはわかりますけどね。

 ではクラスでも浮いているかというとあまりそんなこともなくて……

 

「マーリン、今日のトレーニング、何がいいと思う?」

「うーん、今は基礎固めでしょうし、プールかフォームチェックがいいんじゃないですか?」

「えー、そればっかりだと飽きるんだけど」

「ならフォームチェックの後、野良レースして実力確認してもいいと思いますよ」

「なるほどなるほど」

 

 こうやって人懐っこく声をかけてくれる彼女、ダイナムヒロインさんのおかげでそれなりに学生生活が送れています。

 

 

 

 きっかけは彼女がいきなり声をかけてきたことでした。

 

「メジロマーリンさん」

「なんですか? えっと」

「ダイナムヒロインよ。昨日休んでしまって、ノートを貸してもらえないかしら」

「ノートですか…… えっと、あの……」

「あなた、いつもPCでメモしているでしょう? きれいなの作っているのじゃないかしら?」

 

 確かに昨日彼女がいなかったような気がします、ぐらいの当時は認識でした。

 入学してあまり日が経っていなくて、なんというか、距離感が全然つかめていなかったんですよね。とはいえ全国から集まったウマ娘の学校ですから、みんな大なり小なり距離を探っている感じでしたが。

 ただ、ノートを貸してくれと言われて困りました。

 

「すいません、ボクノート作ってないです……」

 

 だって全くノートを作っていませんでしたから。

 もともとメモを取るとかあまり得意じゃないので、基本頭にぶち込むスタイルなんですよね。あとで見返すとかも面倒ですし……

 

「え、じゃあそのノートPCで授業中何を作っているんです!?」

「姉のトレーニングプランですね。見てみます?」

 

 明日から一週間、姉さまのトレーニングプランを見せます。

 とは言え内容は姉さまの気まぐれで変わることが多いですから、あくまで暫定的なものですが。

 

「そういえばトレーナー資格を持っている、と言っていましたね」

「ですです。姉が担当第一号です。こんなの授業中に作っているのでノート取ってないんですよね……」

「それでテストとか大丈夫なんですか?」

「まあ教科書は全部読んだので……」

 

 宿題などもちゃんとやっていますし、テストで悪い成績にはならないと思います。

 ただ、ノートは作っていないので申し訳ないな、という気持ちになりますが、何も渡せません。教科書は渡してもどうしようもないでしょうし。

 

「それにしても、ずいぶん細かいトレーニングプランね」

「トレーナーならだれでもこれくらい細かく分析してますよ。大事な担当ですからね」

「そうなのね。教官の指導も悪くないと思っていたけれど…… 確かにこれと比べれば画一的といわれるわよね」

 

 トレーナー契約がつくまでは生徒は教官からトレーニングを教えられます。教官だって中央のトレーナー資格を持っていますから凡百の野良トレーナーよりも腕はいいですが、担当に比べれば何十人と一括でやりますから、どうしても精度は落ちてしまいます。

 

「基礎トレーニングぐらいなら教官の指導でも十分だと思いますけどね」

「ねえねえ、不躾なお願いなんだけど私のトレーニングも考えてもらえないかしら?」

「ん?」

 

 ダイナムさん、ぶっこんできますね。顔を知っている程度の相手にそういうお願いをするとは。

 まあ、ラモーヌ姉さまは有名ですし、同期である姉さまがそんな緻密なトレーニングを受けているのを見て焦る気持ちはわかります。ただ、そのライバル候補の担当で妹のボクにそれを頼むのか、とは思ったりしますけどね。

 とはいえクラスメイトです。無下にするのもなんです。それに、ボクからもお願いがありますしね。

 

「一つの約束と一つのお願いを聞いてくれるならやってもいいですよ」

「本当? なんでもするわ!」

「ん? 今なんでもって言ったよね? 約束の方はこれ、身体データの一覧表です。身長、体重、トレーニングタイム、これらを全部、毎日メモしてください」

「……すごい量ね…… これもトレーナーは作ってるわけ?」

「人によりそうですが、結構作ってる人は多いと思いますよ」

 

 データは重要なのです。定期的に取っていれば異常にも気づきやすいですしね。トレーナーがついていれば記録はトレーナーがしてくれることが多いですが、ダイナムさんには自分でつけてもらいます。

 

「データがないとトレーニングの予定を立てたり変えたりもできないですからね」

「なるほど」

「で、お願いなんですけど」

「なんでもいいわよ」

「安易に何でもなんて言わない方がいいですよ。はい、これ」

「? なに、これ」

「ダイナムさんは生徒会庶務に任命されました」

「……?」

 

 これで人手をゲットです。クラスメイトを生徒会にどう引き込むか、考えていましたがまずは一人確保できました。

 

「え、何で生徒会?」

「先日ボクがなぜか副会長に任命されまして」

「新入生なのになんで!?」

「もう一人の副会長のシンボリルドルフの陰謀です。それで、手伝ってくれる人を探していたんですよ。いやー、助かります」

 

 ダイナムさんも青い顔をしていますが、もう逃がしません。

 こうしてボクは学校で初めての友達をゲットしました。

 さらに、ダイナムさんの社交性のおかげでボクは交友関係を広げられ、この後専属トレーニングで釣って、クラスメイトの数人を生徒会に引き込めたので、手としてはなかなか悪くなかったようです。




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  • シンボリルドルフ ライオン丸
  • 主治医です
  • 安心沢さん メイド
  • メジロマックイーン 名優子役
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  • メジロパーマー 義理の妹
  • メジロライアン 影が薄い
  • 可児さん トレーナー仲間1
  • 奈瀬さん トレーナー仲間2
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