ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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第二部からしれっと1年ぐらい経過しています。


第三部 女王と主人公のメイクデビュー
9 北の国からこんにちは


 メイクデビューの時期、というのは大別して3種類に分かれます。

 

 ひとつは函館で始まるメイクデビュー戦です。夏の暑い時期に行われる最も早いメイクデビューであり、函館の後は札幌と、北海道での開催がメインになります。涼しい場所でのレースでトレーニングもはかどりますが、なんせ移動も長いですし長期間トレセン学園から離れないといけないというのがネックになります。

 

 次は新潟、小倉で行われるメイクデビュー戦です。こちらも比較的早い時期に行われるレースですが、やはり移動が大きいレースではあります。早くデビューしたい場合は北海道まで行きますから、中途半端なレベルのメンバーが集まりやすいなんて言われていますね。まあシンボリルドルフはここからスタートしたわけですが。周りの人かわいそう。

 

 最後は府中など四大主場で開催されるレースです。実施されるのは秋以降になりますから、時期的には遅くなります。もっとも移動が楽ですから、ここから始動するウマ娘も多いです。

 

 

 

 

「ということで北海道は函館に来たわ」

「わーい」

「わーい」

 

 ということでラモーヌ姉様のメイクデビューは函館になりました。単純に最近あまり一緒にいられなくて寂しい思いをしているアルダンを連れてくるため、夏休みを利用して長期旅行を兼ねて行こうということになったからですね。

 当然ボクもテンションが上がっています。アルダンはテンションが上がりすぎてずっと飛び跳ねっぱなしです。

 

「お嬢様方、喜ぶのはいいですが羽目を外しすぎないでください」

「「「はーい」」」

 

 そして引率してくれる大人としてついてきてくれたのが主治医さんです。

 自分のクリニックとか大丈夫なのでしょうか、と思いますが、どうやらほかの人に任せてきたらしく、今回ボクたちに同行してくれました。

 悪いなぁと思いますが、来てくれて助かるんですよね。赤ん坊のころから見てくれていますし、お注射は痛いですが腕も確かですし。

 よく考えたら主治医さんっておいくつなんでしょうね。物心ついたころからずっとあの老け顔ですが……

 

「年齢は秘密です」

「心を読まないでください」

 

 なかなか謎の多い人です。

 

「さて、いい時間だし、お昼を食べましょうか。アルダン、なにがいい」

「あの…… 行ってみたいところがありまして……」

「どこかしら?」

「回るお寿司、というのを食べてみたいです」

 

 時間もお昼なので早速現地のご飯を食べようということになり、アルダンの要望を聞いたところ回転寿司となりました。さすが海鮮が有名な地域ですから少し探すとお店はすぐ見つかりました。

 

「アルダンは回転寿司初めて?」

「はい、マーリンお姉さまは?」

「ボクも行ったことないなぁ。ラモーヌ姉さまは?」

「この前、友人といったわね。楽しい場所だったわ」

「ではラモーヌお姉さま、回転寿司の作法を教えてくださいな」

 

 ボクもこの世界では初めてですし、アルダンも初めてのようです。メジロで行くお寿司屋さんは回ってませんからね。

 ラモーヌ姉さまはどうやらクラスメイトと一緒に行ったことがあるようです。トレセン学園周辺にはウマ娘向けの店舗がいくつもあり、回転寿司もあった記憶があります。おそらくそこへ行ったのでしょう。クラスメイトと溶け込めているようで幸いです。

 

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか」

「四名よ」

 

 楽しそうにそうお店の人に応えるラモーヌ姉さま。店員さんに連れられて、テーブル席へと案内されました。皆でワイワイと席に座ります。姉さまとアルダンがレーン側に座りました。回ってるの見るの楽しいですからね。

 

「アルダン、まず手を洗いましょうね。ここで……」

「姉さまそれは!?」

「あっつっ!?」

「姉さま!?」

 

 お湯が出る場所で手を洗おうとしたラモーヌ姉さまを慌てて止めようとしましたが反応が遅れてお湯がラモーヌ姉さまの手にかかります。といっても手で押してお湯が出る仕組みではないのでかかったのはちょっとだけでしたが。

 主治医さんが慌てて姉さまを連れてトイレの方へと移動します。水道で冷やすつもりなのでしょう。

 

「マーリン姉さま、この蛇口はいったい……」

「お湯が出てくる蛇口だよ。そこのお茶のパックを湯のみに入れて、押し込むとお湯が出てお茶になるっていう仕組み」

「……なるほど……」

「ラモーヌ姉さまが回転寿司に行ったっていうのは嘘じゃないと思うけど、たぶんクラスメイトにからかわれたんじゃないかなぁ……」

 

 たぶんクラスメイトの人たちはラモーヌ姉さまがもう一度回転寿司に行くことなど想定していなかったのでしょう。だからちょっとしたお茶目を話したのでしょうが、それをラモーヌ姉さまが丸儘信じてしまったと……

 そんな話をしていると姉さまが帰ってきました。

 

「大丈夫ですか?」

「少しだけでしたから問題はないと思います」

「ふぅ、熱湯消毒はやっぱりまだ早かったわね」

「手を熱湯消毒はいつまでたっても人類に早すぎると思います……」

 

 全くめげていないラモーヌ姉さまです。アルダンは状況を察しているようでした。

 まあ、気を取り直しまして、早速食べましょう

 

「さて、何から食べようか」

「回っているのからとっていいんですよね?」

「注文して握ってもらうのもできるよ。そこの板前さんにお願いすれば握ってくれると思う」

「ふふ、せっかくだから、わたしはこの赤のお皿を選ぶぜ!」

「何がせっかくなんですかラモーヌ姉さま」

 

 ちょっとテンションがおかしくなっているラモーヌ姉さまは、赤身のマグロをとりました。なお、お皿は白いです。いったい何が起きているんでしょうか。

 

「というか姉さま、それさび入りじゃ……」

「かりゃい!!」

 

 さび入りのマグロを食べたラモーヌ姉さまは悲鳴をあげました。

 姉さまはワサビが全然ダメなんですよね。そもそも姉さまは薄味が好みなので、鯛とかイカのほうがいいように思いますが……

 

「では私も……」

 

 そういいながら、お皿をとったアルダンは、ちゃんとさび抜きのものでした。目ざとくさび抜きとさび入りのお皿を見ていたようです。

 

「まーりーん」

「はいはい、ボクが食べますから、姉さまはちゃんとさび抜きを頼みましょうね」

「でもぐるぐるしてるのからとりたいのー」

「じゃあさび抜きって書いてあるのからとりましょうね」

 

 なんか若干退行し始めた姉さまをなだめつつ、さび抜きのものをいくつか取ります。姉さまかわいいな。ほわほわした気持ちで、アルダンと二人、ラモーヌ姉さまのことを愛でるのでした。

 

 

 

 結局三人姉妹で100皿以上食べてしまい、食べすぎと主治医さんから怒られるのはこれから1時間も経たないのちのことです。




現在は6月過ぎから府中とかでも新馬戦をやっていますが、2000年以降の話であり昔は北海道から始まってその後に新潟、小倉のローカル、府中などの中央はそれ以降でした。ちなみに何月からどこでやるかは結構年によっても変わるので作中の設定はかなりざっくりしたものです。

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北の大地のお話の後は何にしようか

  • 秋の聖蹄祭
  • 他のトレーナーとの絡み
  • クリスマス
  • ラモーヌ姉さまのジュベナイルフィリーズ
  • ルドルフの秋戦線
  • シリウスさんの観戦にヨーロッパへ
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