ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
さて、変態不審者さんに従うのも癪ですが、ほかに対策としてするべき候補もないですし、変態不審者さんは腕はいいと東条トレーナーは言ってましたからそのままやってみましょう。
ということで気が強い後輩一号、タマちゃんを捕獲です。
「なんでウチやねん」
「いやだって、なんか後輩のみんなボクを遠巻きにするし」
「そりゃ生徒会副会長様があんな風に走りで相手をひねり潰しているのを見たらみんな近寄らんって」
タマちゃんと出会ったときのレース、かなりの人に見られていたらしく、下手に逆らうとレースで叩き潰されると思われてしまったようです。
怖がられてしまったようですが仕方ありません。タマちゃん以外にボクに立ち向かってくるような相手を探しましょう。
「タマちゃんも友達で、ボクのこと叩き潰してやる、みたいな感じのタマちゃんみたいな気性の荒い子いない?」
「ウチが気性が荒いのを前提で話すなや!」
「だって気性荒いし…… ボクと付き合ってくれたらいいトレーナー紹介するからとか言って釣ってもいいからさー」
「んなこというたて、そんな相手思いつかんわ。というかそういうならウチにもトレーナー紹介してくれるのか?」
「してほしければするよ」
「じゃあ頼むわ。こんなちんちくりんでよければな」
タマちゃんのトレーナーというと、食事関連の管理が上手くて腕がある人、ということになるでしょう。とにかく食べさせないとタマちゃんの体調は改善しないでしょうし。今のところ胃を大きくするトレーニングとしてそれなりに詰め込ませていますが、荒療治ですしもっとちゃんとした管理をしてくれる人がいいです。
そうなるとうーん、やっぱり小宮山トレーナーかなぁ。あの人頼りがいあるし、調理師とか食品栄養士の資格持ってるって言ってましたし。
紹介するトレーナーを考えながら、いい相手がいないか見回りがてらうろついていると、一人、ウマ娘を見つけました。
その子はすさまじく美人でした。ウマ娘はデフォルトで美人なのですが、そんなウマ娘の中でもすごく美人だな、という子です。ただ、周りの子にはあまりなじめていないのか、結構浮いていて、一人黙々とトレーニングをしています。
その姿が近寄りがたさを生んでいるというか…… まあ生徒会のお仕事としても何にしろ声をかけたほうがいいでしょう。
「こんにちは。ちょっといいですか?」
「? ハイなんでしょうか?」
「おひとりでトレーニングされているから声をかけさせていただきました。よろしければ一緒にやりませんか?」
本当に見た目がいい人ですね。まつ毛まで金髪でキラキラ輝いているし。
とはいえいきなり話しかけられて戸惑っているようです。
「すいません自己紹介まだでしたね。中等部2年で生徒会副会長をしております、メジロマーリンです」
「中等部1年のゴールドシチーです」
「1年のタマモクロスや。しかしあんたがゴールドシチーか。噂以上やな」
「知ってるのタマちゃん」
ボクは知らない相手でしたが、タマちゃんは知っているようです。まあここまで美人だといろいろ情報は回ってそうですが。
「有名なモデルさんや。百年に一人の美少女とか言われてて、雑誌なんかによく載ってるって聞くわ。いろんな噂流れているけど実物はもっと美人さんやったけどな」
「ほえー、有名なんだねぇ……」
「いえ、マーリンさんの方がよほど有名なのでは? 最年少トレーナー、でしたよね」
「よく知ってるねぇ」
最近は話題に上がらなくなってきたネタですね。
そんなことも知っているとか、なかなか事情通に思えます。
「それに、マーリンさんだってすごい美人じゃないですか。スタイルもいいですし」
「スタイルはまあ、鍛えているからかな」
「どんなトレーニングされるんですか?」
「付き合ってくれるなら教えるよ」
「やめといたほうがいいと思うで、この人、このふわっとした見た目で鬼みたいなメニューしてくるからな」
「あれ、タマちゃんおじけづいた?」
「んなわけあるかい! やったろうやないか!」
少し挑発するとタマちゃんはすぐ乗ってきます。ちょろいもんです。
「では私もお願いします」
ゴールドシチーさんも付き合ってくれるようです。
では、地獄の特訓を始めるとしましょう。
一週間ほどおはようからおはよう迄みっちり特訓をしました。
これについてこれるなんて二人とも根性ありますね。
ボクの行う特訓はトレーニングにとどまりません。もちろんトレーニングはみっちり行うわけですが、食べることや寝ることも大事です。
トレーニング量に見合っただけ無理にでも食事を詰め込みますし、睡眠時間もきっちり確保します。
「もう、食べられへん……」
「ダメですよータマちゃん♡。 ほら、がんばれ♡ がんばれ♡ どうしても無理ならロイヤルビタージュースで足りない分は補いますが」
「もごぉ……」
「こんなに食べて太りませんか?」
「消費カロリーから逆算した量なので、食べないと胸とかが減りますよ」
「……もぐもぐ……」
特に食べる関係は二人とも苦戦していました。
トレーニングが厳しいので、その分食べないといけないですからね。
「しかしちゃんと寝るのが大事なんもわかるが、こういう合宿につきものなものもあるやろ。コイバナとか」
「すやぁ」
「寝るの早いな、マーリン」
「すやぁ」
「シチーも寝るの早いな!」
かなり厳しいと思うのですが、二人ともなんだかんだでついてきました。
そんな特訓を一週間続ければ、それなりに変わります。
「ひとまずこれで特訓は一通り終わりだけど、どうだった?」
「鬼やったな」
「鬼でしたね」
「特訓だからねぇ……」
さすがに少し厳しすぎたようです。
「でも成果はあったでしょ」
「体調はすごい良くなりました」
モデル業のせいで特に生活習慣が狂っていたシチーさんの体調はすごくよくなったようです。笹針も何回かやりましたからね。健康な状態なら痛くない場所も、シチーさんにはかなり痛かったようで何度も叫んでいましたが。
「なんでウチは大きくならんのや……」
「それは体質の問題としか…… でもタマちゃんはかわいいよ」
「うちもボンキュッボンになりたい……」
ボクたちぐらいの年齢だとまだまだ成長の余地があります。ただただ厳しいだけじゃなくてそういった成長を促しますから、スタイルがよりよくなったりするんですよね。現にシチーさん、ただでさえ美人だったのが余計美人になってます。スタイルもよくなってますね。まあボクの方も最近ここまでしっかりやっていなかったせいか、いろいろ成長しましたが。さすがに胸が大きくてちょっと邪魔な気がしますが…… そう言ったらタマちゃんに睨まれました。
ボクやシチーさんと違って、タマちゃんの体型はあまり変わりませんでした。でもタマちゃんの身長でボクぐらいのスタイルになるとさすがに不格好な気がしますしちょうどいいのではないかと思うんですが、タマちゃん的にはナイスバディにあこがれがあるようです。
そこまで言うならもうちょっと体型もよくなる方法も考えましょう。
「じゃあ、最後に模擬レースやって終わりにしようか」
「負けませんよ」
「うちも負けんからな」
闘志十分な二人とレースをして終わりにしましょう。今の実力もわかりますし。
そう思って軽く模擬レースをやったのですが……
「おおおおおおお!!!!」
「うるぁああああ!!!!」
「ひいいいいいい!!!!」
獣のような雄たけびを上げながらすさまじい追い上げを見せた二人に、先行していたボクは思いっきり差されました。
すごく怖かったです。噛みつかれるかと思いました。普段美人なシチーさんと、普段かわいいタマちゃんがそれをかなぐり捨てて差してくるときの表情、ちょっとトラウマになりそうです。
ただ、追いかけられる怖さは十分学ぶことができました。ライオン丸の闘志と全然違いますね。あれはあれで威圧感がすごいのですが、こちらもこちらですごく怖いです。ラモーヌ姉さまのトレーニングにこの辺りを生かすことにしましょう。
最後にタマちゃんには要望通りトレーナーとして小宮山トレーナーを紹介して終わりです。面倒見のいい小宮山トレーナーと相性は良さそうで、二人でキャッキャしていました。楽しそうです。
シチーさんの方は
「私は自分で探しますから」
と言っていました。
「ですので1回分貸しにしておきます」
と笑顔で言われてしまったので頷きましたがもしかしてこれ、弱みでも握られたかな、とちょっと不安になるぐらいきれいな笑顔でした。
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そこそこ前から動いているディスコード鯖です。
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