ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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第五部 メジロの秋のファン感謝祭
16 メジロ喫茶とメイド喫茶って似てるよね?


「ということで秋のファン感謝祭ではメイド喫茶をするわよ」

「ラモーヌ姉さま、なんでメイド喫茶なんですか……?」

「いや、メジロとメイドって似てない?」

「一文字しか一緒じゃないです」

 

 こんな感じのラモーヌ姉さまの発案で、秋のファン感謝祭ではメジロ家のみんなでメイド喫茶をやることになりました。

 メイド喫茶の準備自体はそこまで大変ではありません。メイド服はメジロ家にいっぱいありますから、参加するメンバーがそれぞれ好みのものを選んでくればいいだけです。

 ただ、飲食物の用意と内装がめんどくさいですね。ラモーヌ姉さまがおしゃれな内装デザインのイメージだけささッと絵に描いてくれていますが、実働は全く役に立たないでしょうし……

 飲食物も料理できるメンバーいるかなぁ……

 

「私は無理よ」

「私も無理だな」

「やったことない」

「きょうみはある」

 

 ラモーヌ姉さまはもちろん、デュレンさんも他のメジロのみんなも、案の定、だれも料理ができないようです。まあメジロ家のウマ娘なんてこんなものでしょう。というか中高生で料理できる子、案外少ないと思います。でもなんでこれで喫茶店をやろうとしているんでしょう……

 なんにしろ場所はひとまず確保しましたし、メニューはボクに一任されましたので、内装は何となくみんなで頑張ってもらいましょう。ボクは料理側でいっぱいいっぱいです。

 ひとまずオムライスは準備しましょう。ラモーヌ姉さまがメイド喫茶ではオムライスにケチャップで文字を書くとかいう謎の知識をどこからともなく仕入れてきているので、それに合致したメニューはあったほうがいいでしょう。ただ、一個一個作っている余裕はないので冷凍です。あとは適当に仕入れておくプリンと、飲み物ぐらいでいいですかね……

 

 仕入れも考えてメニューをきめ、ほかの人にも確認を取ります。

 ラモーヌ姉さまはオムライスがあって満足そうでしたが、デュレンさんが物言いをつけました。

 

「パンケーキが食べたい」

「食べたいって、別にメニューに入れなくてもいいんじゃないですか」

「ふわふわパンケーキが食べたい」

「食べたいならパンケーキ屋さん行ってくださいよ!? そもそもふわふわパンケーキ、作るの結構難しいんですからね!!」

 

 ただのパンケーキ、ホットケーキなら冷凍のミニパンケーキでも買って適当にチョコレートソースとか盛り付ければいいだけですから簡単です。ですがふわふわな奴になるとおそらく焼く必要が出ますし、それがふわふわとなると、潰しちゃいけないわけですから多分技術が要ります。そんな面倒な事やってられません。

 ですが、姉さま以外のほかのメンバーがふわふわパンケーキにつられました。最近テレビなんかでも時々やっていますから、憧れがあるのかもしれません。いやでもそれなら作らないで自分たちで食べればいいじゃないと思うのですが、甘いものがかかった時のウマ娘なんて大体こんなものです。

 

「ふわふわ」

「ふわふわだよ」

「ふわふわ~」

 

 みんなIQが5ぐらいになってます。ふわふわとスイーツの組み合わせはウマ娘には猛毒でした。

 ですがこれに押し切られて作るとなったらボクが死にます。確信できます。

 

「じゃあみんなで試作してみようか」

「「「「「わーい」」」」」」

 

 出すとしても提案者のデュレンさんに作らせるし、できればめんどくさすぎるからメニューから外す方向にするために、みんなに作るのを体験させることにしました。

 

 

 

 

 レシピを見た限り作り方はシンプルでした。硬くメレンゲした卵白を大量に入れてふわふわに焼き上げる、これだけです。

 ただ、メレンゲを作るのがどれだけ大変か、みんなに体験してもらいましょう。

 

「では、卵を白身と黄身に分けて、白身だけを一杯泡立てます」

「「「「はーい」」」」

「わけるのは、こうやってボウルに割って入れて、黄身を手で掬って別のボウルに、残った白身をまた別のボウルに入れてください」

「直接入れちゃダメなの?」

「卵が悪くなっている可能性や、黄身が割れちゃう可能性があるからダメですよー」

 

 白身と分けるだけでも結構面倒です。一部料理番組だとエッグセパレーターをボウルの上において何個も一度に分離させたりしますが、あれはだめなんですよね。卵がきれいに割れなかったときに全部だめになりますし、そもそも万が一腐った卵が混じってたらやっぱり全部だめになりますし。

 一個ずつ割って、見て、分ける。この作業が必須です。

 

「あああああ!! 黄身が割れたぁ!!!」

「卵が上手くわれないぃいい!!!!」

 

 こんな感じで大騒ぎしながら、一人3個分の白身を用意します。

 

「次にこれを泡立てます」

「どれくらい泡立てるの?」

「死ぬほど泡立ててください」

 

 泡立て機を使って泡立てを始めます。

 この泡立てがまたすごく面倒です。混ぜ始めればすぐに白くなりますが……

 

「これくらいでどう?」

「まだ全然です」

「えー、もうちょっと」

「多分半分も来てないです」

「まじで!?」

 

 目標はメレンゲから泡立て機を持ち上げるとしっかり角が立つぐらいです。

 いま見せてもらったものは角も立たないので、まったく泡立てが足りていません。

 慣れたボクでも10分弱、ほかの子たちは15分ぐらいかけてやっと泡立ちました。

 

「もうつかれたー」

「むりー」

 

 全体的にめんどくさいが上回ってきています。まあ予想通りですが。

 次に黄身の方も泡立てます。こちらはそこまで頑張る必要がないですが、色が変わるぐらいですから5分ぐらい泡立てが必要です。

 ここまでくるともう文句も出ないぐらい静かになってきています。

 あとは黄身の方にほかの材料を入れて、ざっくり混ぜて、メレンゲを3回に分けて入れれば生地の完成です。

 

「やっとできた」

「もうむり……」

「いやまだ焼きが残ってますよ」

 

 フライパンにバターを敷いて、そこに小さく生地を乗せます。直径10cmぐらいですかね。小さくしないと重さでつぶれてしまうので、小さく作るのがポイントのようです。

 裏面が焼けたらひっくり返して、両面を焼けば完成です。焼きの部分はそこまで大変じゃないですね。

 

「マーリン、タスケテ……」

「……」

 

 生地の大半をフライパンに流し込んだデュレンさんが助けを求めてきました。

 もともと空気が大量に入っていますから、パンケーキが火が通ってフライパンいっぱいに膨らんでいます。これ、どうやってひっくり返しましょう。

 ひとまず弱火でかなり火を通して、フライパンをもう一つ用意して重ねてひっくり返しました。昔絵本で出てきたカステラを思い起こしますね。重さでふわふわ感が減ってそうですが、それなりにきれいにできました。

 

 調理が始まってから1時間後、すべて完成しました。

 ラモーヌ姉様だけは飄々と作っていましたが、ほかのみんなは精魂尽き果てたようです。これならメニュー追加はなさそうかな。冷凍パンケーキにチョコソースで文字を書くメニューぐらいは入れてもいいかもですが。

 

「ほら、マックイーン。私が焼いたんだぞ」

「姉さますごいですわ!!」

 

 デュレンさんがくそでかパンケーキを妹のマックイーンちゃんに見せています。

 二人で仲良く分け合う姿はうん、かわいいですね。

 私も自分が焼いたのをアルダンに分けようかな。

 そんなことを考えていると

 

「マーリン、あーん」

「ねえさま?」

「はい、あーん」

「あーん」

 

 ラモーヌ姉さまがボクにあーんを仕掛けてきました。

 一口食べると楽しそうに笑います。

 

「たまにはあなたに何か作ってあげるのも楽しいわね」

「それならよかったです」

 

 ラモーヌ姉さまがもう一口ボクにくれます。姉さまのパンケーキはすごく甘かったです。多分砂糖レシピの倍ぐらい入れてますね、これ……




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