ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
ウマ娘は異世界の者の名と魂を引き継ぐといわれています。
あくまで伝承レベルの話であり、それがどういう意味を持つか、はあまり研究されているわけではありません。ですが、いくつかの不思議な現象が起きたりします。
その一つに、特につながりのない、まったく関係のない相手に運命を感じる、というものがあります。親族ならばまだわかりますが、そういうつながりのない相手でも感じるわけです。
ボク自身何となくそういった運命的なものを感じる相手はいます。
シービーさんなんかは典型的ですし、ルドルフなんかもどう頑張っても切れない幼馴染以上の縁を感じます。あとはマックイーンさんのお母さんとか……
それがどういう理由で発生しているかはわかりません。多分前世に何かあったのでしょう。
だからきっとその出会いは必然でした。
聖蹄祭はファンとの交流を目的に開催されるイベントですから、一般の人もたくさん参加しています。
メイド服から私服に着替えたボクは、可児さんのところから強奪したウマ娘盛りの焼きそばを片手に、何となくそんなお祭りをうろついていました。一応生徒会として見回り業務をしている、というところでしょうか。今回のイベントは実行委員会にほぼ丸投げなので、見回りもそちらでやってくれていますが。
「迷子になっちゃった……」
「お姉ちゃん大丈夫?」
そうしてうろついていると、迷子を発見しました。
そっくりな2人のウマ娘です。年齢はどれくらいでしょうね。まだ小さく、3歳か4歳ぐらいに見えます。本当にそっくりですし、お姉ちゃんといっていましたが双子でしょうか。ひとまず声をかけましょう。
「大丈夫?」
「え、は、はい!」
姉らしき方の子がボクに反応し、妹らしき子が姉らしき子の後ろに隠れました。耳が大きくて隠れ切れてないところがとてもかわいらしいです。
「迷子になっちゃったなら、親御さん呼び出してもらうけど。お名前教えてもらっても?」
「……アドマイヤベガ……」
姉らしき方の子がそう答えました。あー、これがアヤベさんかぁ。まだ小っちゃくてとてもかわいいです。ただ、双子の妹なんていたかなぁ、と首をかしげます。さすがに前世の記憶も時間がたちすぎていてかなり薄れてきてるんですよねぇ……
ひとまずスマホで本部に迷子を見つけた旨連絡を入れます。すぐにアナウンスが流れました。
「お母さん呼んでもらったから、待ってる場所まで移動しよう?」
「……」
手を伸ばすと、二人ともボクの手を掴みます。指をちょこんと握る感じがとてもかわいいです。両手に花状態でボクは移動を始めました。
「この時間だと、もうずいぶんいろいろ回ってきたでしょう?」
「うん……」
「うん、お姉ちゃんと一緒に回れてとっても楽しかった!」
「何が一番楽しかった?」
「プラネタリウム……」
「なんでも楽しかったけど、りんご飴とか食べてみたかったな!」
「そっか。あ、あそこにりんご飴屋さんあるし食べてみる?」
「……食べる」
「わー、とっても楽しみ!!」
少し話し始めると、お姉ちゃんであるアヤベさんは結構寡黙で、妹ちゃんの方がいっぱいしゃべる感じですね。よく考えたら妹ちゃんの名前聞き忘れてしまいましたが…… ひとまずうまくごまかしましょう。
妹ちゃんのご要望で、りんご飴屋さんに立ち寄ります。
「どれがいい?」
「私はにんじんの……」
「私はリンゴのがいいな!」
「じゃあ人参と林檎の飴一つずつ!」
「はいよ」
見知った顔のトレーナーがやっているその店で注文すると、すぐに頼んだものが出てきます。お金を払うと、にんじんの飴はアヤベさんに、リンゴの飴はボクに渡されました。ボクに渡されたりんご飴を妹ちゃんに渡します。二人とも小さいお口でぺろぺろ食べているのがもう、かわいくてしょうがないです。これくらい年が離れた妹とかも欲しいな、とか考えてしまいます。
「おいしい?」
「……ふつう」
「とってもおいしい!!」
言っていることと違い一生懸命ニンジン飴を舐めているアヤベさんと、満面の笑みでりんご飴を舐めている妹ちゃん。これだけでもうご飯が食べられそうです。
そうしてゆっくり歩いていると、無事本部に到着しました。
「お疲れ様です。副会長。迷子を連れてきてくれてありがとうございます」
「お疲れ様です、いいんちょー。で、親御さんは?」
「まだ来てないですね」
本部の位置がわからないのか、遠くにいたのか、どちらかはわかりませんが、まだ親御さんはきていないようです。一生懸命ニンジン飴を舐めているアヤベさんはボクの尻尾を握った状態ですからそのまま用意されていたパイプ椅子に座らせて、ボクも椅子に座って妹ちゃんを抱き上げます。
そうしてボーっとしていると、すぐに二人のお母さんが慌てて駆け付けました。アヤベさんはすぐにお母さんに抱き着き、妹ちゃんもアヤベさんの尻尾を握っています。無事見つかってよかったです。
「ありがとうございました。いいものまでごちそういただいたみたいで」
「いえいえ、大丈夫ですよ。次ははぐれないようにしてくださいね」
「気を付けます」
そう言ってお母さんと手をつなぐアヤベさん。妹ちゃんはアヤベさんの尻尾を握ったままです。そのまま三人とも本部から帰っていきました。
「見つかってよかったですね」
「本当にね。それにしても双子かぁ。かわいかったねぇ」
「双子?」
「二人ともそっくりだったじゃない。お姉ちゃんといっていたけど多分双子じゃない?」
「?」
何となく雑談をしていますが、対応してくれた実行委員長といまいち話が合いません。
「副会長が連れてきた迷子は一人だけでしたよ?」
「えー、ニンジン飴を舐めている子とりんご飴を舐めている子と二人いたじゃない」
「? りんご飴を舐めていたのは副会長ですよね? 今も手に持っているじゃないですか」
「え?」
実行委員長に指摘されて自分がりんご飴を持っていることに気づきます。
何かタヌキかキツネに騙されたような気持になってきます。
「迷子の子とそっくりな子、いなかった?」
「いませんでしたよ。大丈夫です? 熱中症とかになってません?」
「ちょっと忙しくて疲れているかも……」
「体調管理はしっかりしてくださいね」
どうやらあの妹ちゃんが見えていたのはボクだけだったようです。いや、アヤベさんももしかしたら見えていたかもしれないがよくわかりません。
手に持ったリンゴ飴を舐めると、とても甘い味がしました。
私服メジロマーリン
【挿絵表示】
因みに元となったメジロマーリンは牝馬でありシンボリルドルフとの産駒が2頭、ミスターシービーとの産駒が1頭、アドマイヤベガとの産駒が1頭います。アドマイヤベガとは10以上年の差がありますが。
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気になった方はお気軽にどうぞ
第三章はどんな話にしようか
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ラモーヌ姉さまのティアラ三冠
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メジロマーリンの学園生活
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マーリンのメイクデビューとレース
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アヤベさんの担当になる(時間がかなり経過
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アルダンちゃんの面倒を見る