ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
4 トレーナー試験ってそう簡単に受かるものじゃないんですよ
こんにちは、メジロマーリンです。
これでもボクは一応転生者なわけで、前世の知識が残っていたりするわけですが、その特典というと、やはり頭がいいということがあると思うんですよ。当然ですが、前世大人までの知識が頭に入っていますから、子供レベルのお勉強、なんてばっちりなわけです。その分変な癖とかまで引き継いでしまっていて、マナーとかで苦労はしていますが……
「ということでマーリン、あなた、トレーナーになりなさい」
「何がということでどうしてトレーナーになるって話が来たのか、さっぱりわからないです、ラモーヌ姉さま」
ただ、それでもさすがにこのラモーヌ姉さまの無茶振りはひどすぎると思います。
「あなたならトレーナー資格ぐらい取れるでしょう?」
ラモーヌ姉さまは当然のように言いますが、トレーナー試験はそれなりに難しい試験です。そりゃ日本最難関といわれる医師免許や弁護士資格に比べればマシですが、それでも日本最難関大学の入試試験よりは難しいといわれるぐらいには難易度が高く、何度も落ちている人もいる試験です。
チート分考えても、そんな簡単に受かるものではないです。
「姉さま、トレーナー資格は難易度が高い試験なんですよ?」
「それで、私のトレーナーをやって頂戴」
ラモーヌ姉さまはコミュ障で天才肌なので、過程をすっ飛ばして結論だけ告げる悪癖があります。ボクやアルダン、あとは幼馴染のルドルフさんなんかはこの姉さまのコミュニケーションに慣れているのですが、そうじゃない人だとコミュニケーションをとるのにも一苦労です。現にメジロのメイドさんの多くには、姉さまは理解しがたいとして怖がられていたりします。まだ小学校に入る前なのに。姉さまは別に怒ったりしないのですが、うまくコミュニケーションがとれていないときに、冷たく聞こえる声色で「そう」とだけしか言わなかったりするのですごくすごい怒っているように聞こえるんですよね。
というか、ボクやアルダンでも姉さまの話にはついていけませんから、この人に真についていけるのはルドルフさんぐらいだったりします。ラモーヌ姉さまとルドルフさん二人きりの会話とか、本当に理解できないし。傍から見てると関係ない単語がポンポン飛び交うので、会話として認識できないんですよね。
「つまり、姉さまがトレセン学園に入学するまでにトレーナー資格を取って、姉さまのトレーナーになれと?」
「そうよ。安心だもの」
「メジロの関係トレーナーに頼めばいいのでは?」
メジロ家ぐらいになると、お抱え、とまではいわないまでも、頼めば引き受けてくれるトレーナーというものが何人もいます。当然優秀な人ばかりです。
そんな中で、そういった人たちではなく、なぜボクを選ぶのか、まったく意味が解りません。
「トレーナーとウマ娘は絆が大事なの」
「そういわれていますね」
「私にとって一番絆を感じるのは二人のかわいい妹なの」
「……」
急に姉さまのデレがぶち込まれて、ボクは動揺します。多分顔が真っ赤になっていると思います。普段そっけない風にしか見えない言動ばかりですから、時々ぶち込まれるこういうデレにはいまだに慣れません。アルダンだったらしょっちゅう姉さま大好きって言ってくれるからまだ耐性があるのですが……
「ね、おねがい」
「努力はします」
基本シスコンなボクは、姉さまの願いには逆らえません。こうしてボクはトレーナー試験を目指すことになりました。
ということで、姉さまの無茶振りに努力するべく、ひとまず過去問を手に入れました。これの入手自体は簡単でした。メジロ家には入学前のウマ娘をトレーニングしてくれるトレーナーを何人か抱えていますが、基本みな中央のトレーナー資格持ちです。いつもボクたち三姉妹のトレーニングを見てくれているトレーナーのおばあちゃんにトレーナー資格を受けてみることを話すと、最新10年分の過去問が手に入りました。
試験など、所詮点数を取れば合格するものですから、試験の形式などに慣れておくのがまずは重要です。
試験は一次試験が記述式の試験で1時間20問が3回、300点満点で180点取れば合格。二次試験が口述試験で二泊三日行われ、500点満点の試験で300点以上で合格ということです。考えて答えないといけない問題、というよりも知っているか知らないかが試される問題ばかりのようですから、案外どうにかなるかもしれません。
ひとまず過去問丸暗記からスタートです。6割取れればいいんですから、おそらくこれで大体解決すると思います。
そんなパワープレイの勉強方法を実践していると、
「マーリン姉さま、なにしてるんですか?」
「トレーナー資格の勉強だよ」
アルダンが声をかけてきました。
ボクの読んでいたテキストを見て、首をかしげます。さすがに幼女には難しすぎる難易度です。文字すら理解できてないレベルだと思います。だけどよく考えたらボクも幼女でした。周りから、トレーナーさんからどう思われているのでしょう。ままごとでもしていると思われているのかもしれません。
「マーリン姉さま、トレーナーさんになるんですか?」
「なれたらいいね」
「じゃあ、じゃあ、マーリン姉さまがトレーナーになったら、アルダンにお似合いのトレーナーさんを見つけてください!!」
アルダンの将来の夢はお嫁さんで、その相手はトレーナーさんと考えているようです。最近読んだ絵本にそんな話が書いてあったのに影響を受けたようですが…… 明らかにウマ娘幼女の発育に悪影響があるんだが? とボクは思います。なんにしろ、アルダンの頭の中ではお婿さん=トレーナーさん=渋い男性 という方程式が成立してしまっています。
まあまだ幼子の言うことですから、そのうち考えも変わるかもしれませんが。
「良い殿方が居れば紹介しますね」
「わーい、姉さま大好き」
「ちゃんと、お勉強もしないとだめですよ」
「わかってます!!」
ふんす、と鼻息荒く返事をするアルダンはとてもかわいいです。早速勉強する、といわんばかりにボクの読んでいたトレーナー試験の過去問を読み始めます。
当然中身が何もわからなかったようで、すぐに眠くなり、寝てしまいました。寄りかかるアルダンの重さと温さを肩に感じながら、ボクは試験勉強を続けるのでした。
次はどんな話にしようかな(3話1セットで書いているので次 反映されるとは限らない)
-
三姉妹のちびっこレース
-
メジロ87年組との絡み
-
トレーナーと絡み
-
シンボリとの絡み
-
いいから学園編に飛ばせ