ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
ということでラモーヌ姉さまの出場するレースですが、まずは桜花賞のトライアルレースである報知杯阪神クラシックウマ娘特別です。
ライバルになりそうな相手というと阪神ジュニアステークスで競ったダイナムエルフさんぐらいですかね。実績だけ見ると全体的にオープンクラスぐらい相手ばかりです。油断はできませんが勝つのは難しくないでしょう。
パーティの暴食で太った姉さまも、どうにか適正体重に戻りました。前哨戦であることも考えれば多少太目残りの方がいいでしょうし、調子はばっちりです。
ということでレースの準備はばっちりです。ですがレース以外で結構面倒な状況になっていました。
「ドベちゃん、おなかすかない?」
「……」
「お菓子食べない?」
「……」
メジロ家から幼女を一人預けられたのです。
メジロドーベル、メジロの名牝といわれた馬の名と魂を引き継いだ子でした。
事の発端は外に出られない子がいるというおばあ様からの相談でした。
明確にはわかっていませんがどうやらいじめられていたようで、すっかり人嫌い、特に男の子が苦手になっていたドーベルちゃんですが、そんなドーベルちゃんのことを少し見てくれないか、とおばあ様に言われたのでした。
「おばあ様、ボクを便利屋と何かと勘違いしていませんか?」
「そんなことはないけど、小さい子が好きなんだろうなとは思っていますよ」
「身内からロリコンだと思われてる!?」
「あら、ちがったのかしら」
「違いますよ姉さま!?」
「違わないでしょう、マーリン姉さま」
「ちがうよ!?」
そんな感じでおばあ様のみならず姉妹にもフルボッコにされながらも、少し面倒を見るようになったのがドーベルちゃんでした。
といっても別にボクはロリコンではないですし専門家でもないですからやれることなんてほとんどないのですが、とにかくボケーっと一緒にいたら多少は懐いてもらうことに成功しました。ボクと一緒に行動するようになりましたし、ボクと一緒なら外に出れるようにもなりましたが、全くしゃべってくれないんですよね。
ちなみにラモーヌ姉さまも多少懐いてもらいましたが、アルダンは構いすぎて引かれています。
「なんでですか!?」
「なんでってかまいすぎでしょ」
可愛いけど慣れていない猫を構いすぎたものの末路みたいになっていました。
まあさんざん服とか着替えたおしたり、散々色々食べさせようとしたり、散々遊ぼうとしたりすると、ドーベルちゃんも面倒になったのでしょう。ぷいっとそっぽを向くのが可愛いです。
さて、そんなドーベルちゃんを連れて、ボクは姉さまのレースを見に来ました。
ドーベルちゃんは大人しいですし、当日のトレーナーの仕事なんてそんなにないですし、何より姉さま自分で大体できるので、ボクの仕事がほとんどないんですよね。そんなこともあり、ドーベルちゃんを連れてトレーナー向けの、とても観覧に向いた席でのんびり姉さまの観戦です。
「マーリン、いつ産んだの?」
「生んでないですよ奈瀬さん!?」
「いくら不思議生物のマーリンでもさすがにそれはないだろ、奈瀬」
「可児さんもひどい!」
観戦に来ていた奈瀬トレーナーのボケを聞きながら、姉さまのレースを観戦します。
レース自体は、特にいうこともなく姉さまの圧勝でした。
1枠2番という有利な枠順を得たラモーヌ姉さまは素晴らしいタイミングのスタートから先行のポジションを確保すると、阪神レース場特有の小回りなコーナーをラチ際ぎりぎりにきれいに回ると、そのまま直線も押し切り勝利しました。
ゴール後観客に手を振る姉さまはひどくご満悦です。満足いくレースができたようです。
「すごい……」
「レースが?」
「……」
頷くドーベルちゃん。どうやらレースを見て感動してたようです。初めてドーベルちゃんの発言を聞いたかもしれません。
「今日はトライアルレース、前哨戦だけど、次の桜花賞はティアラ三冠の本番だからもっとすごいよ」
「!?」
「見たい?」
「……」
コクコクと頷くドーベルちゃん。どうやらレースはすごい興味を持ったようです。
メジロの家の子とは言ってもクラシックやティアラのレースに出れるのはごく一部ですが…… 何せ「メジロドーベル」ですから頑張れば手が届くでしょう。
「この後ライブもあるから、見に行こうね」
「……」
頷くドーベルちゃんはとても楽しそうでした。
「ドキドキってもっと phantasia♪ 手を伸ばし~♪ つかもう~♪」
彩 Phantasiaが流れるライブのセンターで歌い踊る姉さまはやはり世界一美しいと、姉贔屓もあるでしょうか思ってしまいます。完璧に踊りきる姉さまは本当に芸術的です。とはいえこれはまだ前哨戦。きっと本番はもっと美しいでしょう。観客も、美しすぎる姉さまに言葉をのみます。本当に美しいものを見たときには人は言葉を失うのでしょう。
「きゅんとぎゅっと鼓動がこんなに苦しい、ねえ」
ライブなのに一瞬の静寂が流れる瞬間があるのがすごいなと思います。
ドーベルちゃんも目を輝かせていますね。下向きなことばかり考えずに、憧れるものがあるのはとてもいいことです。
「ドベちゃんも、ラモーヌ姉さまみたいになりたい?」
「……」
恥ずかしそうに小さく頷くドーベルちゃん。
なれないだろうという諦観と、なりたいという希望がそこからは読み取れました。
「ドベちゃんが大きくなったら、ボクがトレーナーしてあげるよ。ラモーヌ姉さまのトレーナーだからね。ドベちゃんをラモーヌ姉さまよりすごいウマ娘にしてあげるよ」
「……」
「大丈夫、約束」
小指を絡ませると、ドーベルちゃんはうつむきながらも嬉しそうに尻尾を振りました。
「わたしは flowering phantasia~♪」
素晴らしいライブが終われば、本番が待ち受けています。
まずは桜花賞。それを目指して頑張ることを誓うのでした。
ゲームではGⅡ以下は全部メイクデビューですが、ティアラトライアルとかクラシックトライアルは本番と同じ曲を使っているのではないかなと思っています。事前練習的な意味で。
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ろりどべ
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そこそこ前から動いているディスコード鯖です。
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