ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
7 運命に導かれし
カフェちゃんの実家は喫茶店です。
いい感じの内装と、ひっそりとたたずむ外見が隠れ家的な雰囲気を醸し出しており、現に隠れすぎているのかあまりお客さんは見ません。常連はボクにアヤベちゃん所の親子、後はボクが紹介した生徒会のメンバー数人ぐらいだと思います。
もっともコーヒーは美味しいとボク以外の常連にはと評判ですし、パフェはおいしいのは間違いないですし、何よりカフェちゃんが可愛いのでボクは結構通っています。
「いらっしゃいませ」
「……いらっしゃいませ」
「こんにちは、マスター、カフェちゃん」
今日もそんなお客さんのいない喫茶店に行くと、カフェちゃんが出迎えてくれました。
だけどもう一人、カフェちゃんのオトモダチが見当たりません。
「あれ、カフェちゃん、オトモダチは?」
「今日はお出かけです」
「お出かけ? オトモダチだけで?」
「はい」
カフェちゃんと一緒にいつもいる幽霊的な何かである彼女が何なのか、ボクにはわかりません。ただ、一部の人にしか見えず、見た目はカフェちゃんそっくりであり、カフェちゃんがオトモダチと呼んでいて、中身はカフェちゃんが人懐っこい猫ならオトモダチは懐かない猫みたいな子である、という程度のことは知っています。そして、今日までカフェちゃんとオトモダチが一緒にいないという状況を見たことがありませんでした。
「どこに行ったの?」
「知りませんが、大事なことがある、って言っていました」
「大事なこと?」
単独行動できることに驚きですが、そもそもほとんどの人に見えないわけですし何の役にも立たないのでは、と思いなおしました。お散歩に行ったようなものだろうと、帰ってくるまでゆっくり待っているつもりでした。
そんなオトモダチが
「ふえええええ……」
泣いている幼女を連れてくるまでは。
「どこの子なんでしょう?」
カフェが首を傾げ、オトモダチが連れてきた子の頭を撫でます。
鹿毛に赤い瞳のロリウマ娘ですが、その服装が少しおかしいです。
初夏にもかかわらずセーターの上に赤いジャンパーを羽織り、下は制服の下に履くような丈の短いスパッツという、季節感が全く分からない服装です。そもそもセーターもサイズがあっておらず、胸の上の方までずり落ちているし、下は股下まで届いていて丈の短いワンピースのようになっていますし、ジャンパーは袖が長すぎて明らかに手が出ていません。
明らかに本人のために用意されたわけではない服装。もしかして児童虐待とかがあって、オトモダチがそれを助けに行った? そんなことすら疑う状況です。
カフェパパマスターが店の周りを一通り回ってくれましたが、子供を探す親も見つからず、今は警察に連絡中です。
「ねえ、キミ、お名前は?」
「にゅにゅぅい」
なんだその鳴き声、可愛すぎか。
ただ、ボクが聞いてもカフェちゃんが聞いてもあまりいい反応はなく、幼女はテーブルの上にあった角砂糖を食べ始めました。
角砂糖そのまま食べるのか…… 結構マイペースな子のようです。
カフェちゃんが心配して話しかけたりしますが、いまいち反応は芳しくありません。というかコミュニケーションがいまいち成り立っていないというか……
疲れたようで、あくびをする幼女を抱っこして椅子に寝転がり、胸枕で寝る態勢になります。
「もう寝る?」
「アグネスタキオン」
「ん?」
「私の名前、アグネスタキオン。さっき聞かれたから」
この子がアグネスタキオンですか。
何というかなかなかコミュニケーションが難しい子ですね。
前世記憶を引っ張り出しても、結構癖があるキャラクターだった記憶があります。
ひとまずすやすやと眠り始めたタキオンちゃんを、ボクは抱っこし続けるのでした。
そのあと、マスターが呼んだお巡りさんも来たりして、店は何となく騒がしくなりました。少し寝たタキオンちゃんは元気にお巡りさんが乗ってきた自転車を触りまくって手を真っ黒にしています。
カフェちゃんがそれを止めようとしていますがあまり功を奏していません。もうほっといていいと思うのですが、意外と世話焼きのカフェちゃんはどうも構ってしまうようです。そうこうしているうちに夕方ごろに、タキオンちゃんにお迎えが来ました。
「お手数おかけしました」
「いえいえ」
マスターが対応している相手は、アグネスの方から来たメイドさんです。
さすがアグネスも名家ですね。メイドさんもばっちりいるようです。
名家のウマ娘は親に育てられないということも少なくなく、現にボクの三姉妹も両親と会うのは年に数回程度です。名家の大人は忙しいですからね。
もちろんその分メイドさんやら家庭教師やらがいっぱいつきますから、面倒を見る人は多いです。ですが、そんな世話を焼かれているだろうタキオンちゃんがどうしてこんな格好をしてこの辺をうろついていたかというと、どうやら服を着るのを嫌がって、父親の服を雑に着て逃げ出したため、のようです。
そもそも男物だったのかあれ……
「タキオンお嬢様はとても頭のいい賢い子なのですが、日常生活がどうも苦手なようでして……」
「あー、さっきもパフェとか見向きもせずに角砂糖むさぼってましたね」
「偏食もすごくて……」
メイドさんも世話係なのでしょうがかなり苦労しているようです。
マイペースにお巡りさんの自転車を分解しようとしてさすがにカフェちゃんに止められたタキオンちゃんは、今は謎に地面をごろごろしています。本当に読めないなこの子。
「まあ、偏食ぐらいなら少しどうにかする方法が思いつきますが」
「本当ですか!?」
「試しにやっていいなら。タキオンちゃん」
「? なに、お姉さん」
タキオンちゃんの偏食を直すためにボクは緑色の液体の入ったペットボトルを胸元から取り出します。
「これ、一日一杯飲めば、健康になれる完全栄養食なんだよ」
「え、すごい!!」
目を輝かせるタキオンちゃん。
後ろで見ていたカフェちゃんとオトモダチは少しずつ後退りしています。
そうだね、ヤバいものだからね。カフェちゃんたちはちゃんと本能が働いているようですが、残念ながらタキオンちゃんにはそういったものは搭載されていなかったようです。
「試しに飲んでみる?」
「のむー! カフェも飲もうよ」
「私は遠慮しておきます」
カフェちゃんはそういって奥に引っ込んでしまいました。完全撤退ですね。
マスターに借りたショットグラスに緑色の液体、ロイヤルビタージュースロワイヤルMAX昇天盛を注ぎます。匂いはしませんが、隠し切れない圧力を放っています。
「じゃあ一気に飲んでみな」
「わーい」
タキオンちゃんは一気にRBJ(ロイヤルビタージュース)を飲み干しました。
「味はどう?」
「……」
「タキオンちゃん?」
「……」バタッ
「タキオンちゃんが倒れた!?」
あまりのまずさにタキオンちゃんは耐えきれなかったようです。
ですが、栄養だけ追及するとこうなるということはこれで理解したでしょう。
将来のことですが、この経験があって、タキオンちゃんは二度と栄養だけ取れればいいといったことを言わなくなったとのことです。経験は大事ですね。
また一人、喫茶店に入り浸るロリが増えてしまい、そろそろ喫茶店より託児所とかにした方がいいのではないかとボクは何となく思いました。
オトモダチを静かな日曜日さんと考えると関係者が多くていいですね。
タキオンやアヤベさん以外にもスぺスズとかもSS産駒ですし。
評価・お気に入り・感想お待ちしております
【挿絵表示】
ロリタキオン
適当にウマ娘についてしゃべるディスコードサーバー
https://discord.gg/92whXVTDUF
そこそこ前から動いているディスコード鯖です。
気になった方はお気軽にどうぞ
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