ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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アルチヨというとやっぱりこれ


8 貴女とドロワで舞い踊る

 新入生が入ってまず最初に行われるイベントがリーニュ・ドロワットです。

 ウマ娘が華やかな服を着て踊り、その美しさを競うイベントですが、入学直後ということもあり新入生はあまりダンスには参加しません。服装の準備も時間がないですし、何よりもペアを探す時間がないですからね。

 

 とはいえ、姉がすでに在学している子や、近い親族に卒業生がいる子などは新入生でも参加することがあります。

 いま、会場の真ん中で桜の花びらが舞うように美しく踊るサクラチヨノオーさんと、その相手をして格好良くリードする我が妹メジロアルダンもそんな新入生なのに参加しているペアです。

 

 チヨノオーさんはアルダンのルームメイトで、何度か挨拶をしました。いい子なのですが、正直垢抜けない印象が強かったのですが…… 今はこの華やかで厳かなドロワの舞台に負けないぐらい輝いています。

 チヨノオーさんだけでそこまでするのは無理でしょうし、アルダンがいろいろしたのでしょう。すごいですね我が妹は。まあ、誰かの世話を焼くのが好きな子ですから、本気を出せばこれくらいできるのでしょう。

 下手すると新入生にして優勝できるかも、と思うぐらいに注目を集めています。

 まあ、とはいえアルダンのことはいいのです。トレセン学園でうまくやれるだろうとは思っていましたし、現にうまくやっているようです。

 

「ギリギリギリギリ」

「姉さま」

「あの泥棒ネコ……」

「チヨちゃんはどっちかっていうと犬っぽいけどね」

「そういうことじゃないですシービーさん」

 

 目下最大の悩みボクの隣で嫉妬に狂っている姉さまと、それを楽しそうにあおり続ける、一応僕のペアのはずのシービーさんなのです。

 

 ラモーヌ姉さま、どうやらアルダンが入学したらドロワで一緒に踊りたかったみたいなんですよね。アルダン用のドレスと自分用の男装も準備していました。

 それがふたを開けてみたらアルダンは「ルームメイトのチヨノオーさんと参加して優勝を目指します!!」と言い出しますし、姉さまがそれならアルダンの服だけでも用意しようとしたら、「チヨノオーさんが私の男装のデザイン考えてくれたんですよ♪」と楽しそうに報告するので、何もできませんでした。

 完全敗北した姉さまは、ただボクの隣で嫉妬し続けるだけです。今、3枚目のハンカチさんが殉職しました。意地になってガチ正装してるため、圧力が余計ひどいですし。

 

「もう我慢できないわ」

「姉さま、アルダンをチヨノオーさんから奪うとすごい怒られますよ」

「泥棒ネコに睨まれてもなんてことないわ」

「チヨノオーさんが怒るわけないじゃないですか。アルダンが怒るって言ってるんです」

「……」

「3か月は硬いですね」

「……一人で踊ってくるわ」

「付き合おうか?」

「結構よ」

 

 ハンカチさんが尽きたラモーヌ姉さまは一人ダンスフロアに降りていきます。やはり、アルダンを奪う実力行使を考えていたようですが、一応止めました。

 チヨノオーさんは見ている感じいっぱいいっぱいですから、ラモーヌ姉さまが替わるといえば喜んで替わってくれるでしょう。ただ、そうした場合アルダンが絶対ガチギレします。しばらく口も利かなくなるでしょう。姉さまにとってそれは致命傷なので、我慢したようです。

 ただ、そこでソロ参加している誰かの手を取らず、一人で踊り始めて注目を集めるのは何というか姉さまらしいです。ペア参加のイベントでソロで踊り始めるのは普通ならドン引きですが、メジロラモーヌなら、みたいな雰囲気が漂います。現に無茶苦茶綺麗ですし。

 

「で、マーリンはどうするの?」

「見てるだけですね」

 

 ボクも一応ドレスを着て、男装のシービーさんのペアとして今回顔を出していますが、踊りたいわけではなく生徒会として見に来ているのがメインで、自分で踊るつもりはあまりありません。シービーさんも似たようなもので、知り合い何人かに頼まれて踊っていましたが、全然積極的ではないです。

 

「今日は冷たいじゃない?」

「なにがです?」

「ラモーヌに対してだよ」

「そうですね」

 

 ボクはボクで、ラモーヌ姉さまにちょっと拗ねています。

 いやだって、アルダンがだめならボクを誘ってもいいと思いませんか?

 一番でないのはいいとしても次点ですらないのがボクとしてはこう、もやポイントでした。

 一昨年の新入生の時は、ラモーヌ姉さまはルドルフとペアを組んで優勝していましたし、ボクはシリウスさんと組んで振り回されまくるわ嫉妬されまくるわで大変でしたのでまだいいですが

 

「去年だって姉さまは誘ってくれなかったんですよ。ひどいですよね!」

「あー、なんかラモーヌとしては違ったんじゃない?」

「その方が余計ひどいです!」

 

 去年は姉さまは欠席で、ボクはルドルフと組まされて余計地獄でした。あいつ、一度ボクの足踏んだし。踏み返したかったですがルドルフはレースが控えた重要な時期ですからさすがのボクでもそれもできなかったし。

 

「アルダンみたいにちゃんと似合いの相手を連れてきて磨き上げるかしたら楽しいんじゃない?」

「来年はそうします……」

 

 相手に不足があるわけではないんですよ。

 一昨年は大人気のイケメンのシリウスさんですし、去年はなんだかんだで皇帝シンボリルドルフでしたし、今年はシービーさんですからむしろ恵まれてるどころかボク自身が不釣り合いなぐらいです。周りも絶対に羨んでいるでしょう。でもなんか楽しめてないんですよ。

 やはり惰性で決めているのがいけないのでしょうか。

 しかし似合いの相手、というと誰がいいかなぁ。アヤベちゃんとか磨き上げたら楽しそうだなぁ。絶対可愛いでしょう。

 

「いま思い浮かべた子を相手にすればいいんじゃない? 誰を思い浮かべたの?」

「アヤベちゃんですかね?」

「喫茶店のところによく来る常連の子?」

「そうですがなにか?」

 

 カフェちゃんの喫茶店に今では一人でも遊びに来るアヤベちゃん。あんな大ゲンカしたのに、いや、したからでしょうか、カフェちゃんとも仲良しになってよく喫茶店に来ています。

 シービーさんもそんな喫茶店の常連になっていますからよくアヤベちゃんを見かけているので、だれかわかっているのでしょう。

 

「……マーリンがロリコンでも私は見捨てないよ。だからちゃんと警察に行こうね」

「何も悪いことしてないですよ!?」

 

 シービーさんが真顔でそんなことを言うものですから思わず反論します。

 

「イエスロリータノータッチです」

「この前すごい触ってたじゃない。頬を揉みしだいてたよね」

「……黙秘権を行使します」

 

 有罪判決が出る前に黙って撤退するのが賢そうです。

 シービーさんに後輩が踊ってほしいとお誘いが来たので、ボクはそのままその場から退散しました。

 

 

 

「シチーさんこんにちは。踊ってないんだね」

「マーリンさんこんにちは。相手がいなくてですね」

 

 ブラついているとゴールドシチーさんといましたが彼女は普段通りの制服で、どうやら見に来ただけのようです。シチーさんなら注目を一身に集めそうですが、相方は確かに大変そうです。ただ、釣り合いとか考えたら永久に見つからなそうなのは疑いなさそうですが、そういうのを気にせずに一緒に出てくれる友達くらいは居そうなものですが……

 

「タマちゃんとか誘ってみたらよかったのに」

「一度声はかけたんですが、「あんな高級な服に袖を通すと考えるだけで蕁麻疹が出る」って断られちゃいました」

「あー、確かに言いそう」

 

 タマちゃんなら釣り合いとかつまらないこと考えないだろうと思いましたが、別の意味でダメでした。貧乏が染みついたタマちゃんはどうやらドレスとかが全くダメなようです。

 

「じゃあタマちゃんは欠席?」

「いえ、向こうでルームメイトに振り回されてます」

「へぇ」

 

 シチーさんの指さす方には、芦毛のウマ娘と一緒にいるタマちゃんがみえます。

 パーティに出ている軽食をがつがつ食べてはタマちゃんに怒られている彼女は…… 

 

「オグリキャップさんでしたっけ?」

「知ってたんですか?」

「タマちゃんのルームメイトとは知らなかったけどね。去年ぐらいにルドルフが地方で見かけて誘ったって言ってたから」

 

 前世でもビックネームですし、今世でもルドルフがわざわざ目を付けた、ということで記憶に残っていました。とはいえここから見ている限りは、なんというかタマちゃんが保護者にしか見えません。

 よくよく考えたらルドルフ、勧誘しておきながら自分は海外に行って放置とか問題なんじゃないでしょうか。あとでフォローをしておくのは考えましょ。

 

「あれじゃあなかなか誘えないだろうし、シチーさんも他の候補考えないといけないねぇ」

「マーリンさんは私と一緒は嫌ですか」

「う……」

 

 シチーさんには申し訳ないけど嫌だな、というオーラを出してしまいました。いま、お姉さま関連でメンタルダメージ受けてるのであまり余裕がなくごまかすこともできませんでした。

 シチーさんがしょんぼりします。

 

「ごめんね。ボクも今まで毎年目立つ相方ばっかりだったから、シチーさん相手はちょっと辛いなって」

「目立つ相方?」

「一昨年、1年目はシリウスシンボリさんだったんだよ」

「ああ、ダービーに勝ったあの方ですか」

「かっこいい系でしょ。もうもう嫉妬されて大変だったんだから」

 

 なんだかんだで面倒見はいいし、クール系のカッコいい外見だし、シリウスさんの人気はとても高かったんです。特にドロワの時なんてすごいですからね。その虫よけまで込みでパートナーをしたものですからすごく大変でした。

 

「確かに大変そうですね」

「で、去年がルドルフ。もう言うことはない」

「うわぁ……」

 

 絶対皇帝のシンボリルドルフを知らないウマ娘はいないでしょう。

 前年にシリウスさんの相手をしていたのを覚えていた人からの嫉妬はもっとすごかったです。

 

「で、今年はシービーさん。二人よりは気が楽だけど、やっぱり疲れちゃって」

「すごいお相手ばっかりですね」

「で、来年シチーさんとかになったらそろそろ刺されそう」

「私はそのお三方と比べたら全然ですよ」

 

 苦笑するシチーさんだが、自覚がないのだろうか。

 実績などで見ればそりゃ3人ともすごいが、外見だけ見たらその3人なんか目ではないぐらいすごいのが百年に一人の美少女であるゴールドシチーさんです。

 こうもコロコロ相手を変えて、しかもすごい相手ばかりしてたらそろそろ刺されると思います。ルドルフとシービーさんはまだ生徒会という言い訳がありましたが、シチーさんはそういうのもないので絶対ファンに恨まれます。

 ウマ娘だって包丁による物理的な攻撃には勝てないのですから。

 

「まあ、シチーさんのお相手は難しいけど、お相手探しは付き合えるよ。というかボクもそろそろ安心できる相手が欲しい」

「そうですねぇ。マーリンさんも人気あると思うんですが」

「全然だよぉ」

 

 アルダンのリフティングで宙を舞うチヨちゃんを眺めながら、何となく時間を潰すのでした。




ラモーヌ姉さまはこの日の鬱憤をレースにぶつけたため、トライアルレースとオークスに圧勝し、同じレースに出走していたダイナムヒロインさんがひどい目に合ったのでした。


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【挿絵表示】

ドレスアルダンさん
姉さまが用意してたのはこんなのでしょうが、話のアルダンさんはNeige Émeraudeの恰好です。

適当にウマ娘についてしゃべるディスコードサーバー
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そこそこ前から動いているディスコード鯖です。
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