ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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結局桜花賞以外ナレで終わった姉さまのティアラ三冠


第四章 第一部 メジロマーリンのメイクデビュー
1 メジロマーリンのトレーナー


 ティアラ三冠を制覇した姉さまは有馬記念を最後にドリームトロフィーシリーズに移籍しました。

 

「姉さま、もう1年ぐらいは余裕で行けると思いますよ」

「だってマーリンのデビューがあるじゃない」

「?」

「やっぱり忘れていたわね、この子……」

「え、ボク、メイクデビューするんですか?」

 

 史上初のティアラ三冠トレーナーになりましたし、メイクデビューの話は流れたと思っていたのですが……

 それが顔に出ていたのでしょう、ラモーヌ姉さまの手のひらに頬を挟まれました。

 

「ぶみゅぅ」

「マーリン、あなたはラモーヌの妹なの。期待されているの。わかる?」

「正直どうでもいいです……」

 

 他人の期待とか全く持ってどうでもいいんですけど。というかラモーヌ姉さまだってどうでもいいですよねそういうの。

 

「本音を話してくださいよ」

「……私がマーリンが走ってるのを見たい」

「……そういわれると断りがたいですね……」

 

 ボクがラモーヌ姉さまの走りを見たいように、ラモーヌ姉さまはボクの走りを見たいというならば無碍にはできません。ただ、懸念点がいくつもあります。

 

「正直姉さまみたいにレースを愛せると思わないんですけど。ボク、レースで走るのはそんなに好きじゃないですし」

「それはわかってるし、私のポリシーには反するけど、妹が走ってるのは見たいの」

 

 姉さまがおねだりモードに入ります。

 姉さまの価値判断の基準は愛です。その具体的な意味はボクも長年の付き合いで大体わかっています。

 トレーナー業なんかはなんだかんだで好きですから姉さまのお眼鏡に適うでしょうし、生徒会業務はしぶしぶやっていますが必要なものとして姉さまは理解してくれるでしょうが、ボクがレースを愛しているかといわれれば、姉さま基準では明らかにノーです。

 言うことはないと思いましたが、万が一でもボクがレースを愛してほしいみたいな要望だったら確実に断っていました。でもシスコン的な、妹が走るのを見てキャーキャー言いたい、といわれるとそれなら…… となってしまいます。ボクだって姉さまやアルダンがレースで走ってるの見たいですし。

 

「じゃあ後の問題はトレーナーですね」

「トレーナー? マーリンが自分で面倒見ればいいじゃない」

「ルール上それもできますけどね、絶対最終的にサボりますよ」

「……」

 

 ラモーヌ姉さまも少し考えてため息をつきました。

 積極的にやらないわけではありません。ボクだってやると決めたら頑張ります。ですが自分のことを後回しにする傾向があるのは自分でもわかります。

 他に大したことがなければ別段懸念しないのですが、現状、史上初ティアラ三冠トレーナーですし生徒会副会長です。ラモーヌ姉さま関連のイベントと生徒会関連のイベントで絶対に忙しくて自分の練習をおろそかにします。

 スケジュール管理とかをしてくれる相手が必要なのです。

 

「ということで、少しトレーナー巡りをしてきます」

「受けてくれる人がいればいいわね」

 

 ということで、ジュニアどころかクラシックシーズンに入ってからトレーナーを探すという暴挙が今始まりました。

 

 

 

「奈瀬さんと可児さんは…… 無理だよねぇ」

「まあ僕はやっても構わないけど」

「奈瀬さんとなんて絶対喧嘩になるじゃん」

 

 ひとまず同期の仲良しトレーナーで集まりましたが、この二人に頼むのは無理だと早々に諦めました。

 奈瀬さんは天然で自由です。そういうところがいいというウマ娘もいますが、ボクも自由人ですから絶対に合いません。待ち合わせしたら二人とも待ち合わせ場所に来ない状況が発生します。奈瀬さんには世話を焼いてくれるような子が一番ですよ。

 

「俺はやらんぞ」

「まあそうですよねぇ」

 

 可児さんの方は、相性は悪くないと思います。なんだかんだで面倒見良いですし。トレーナー試験のときとかも延々と面倒見てくれていました。すごくすごい良い人です。腹筋もすごいですし。ただ、ボクが暴走した時に強く出れないんですよね、可児さん。

 もうちょっとおとなしくて面倒を見たくなるような妹系があってると思います。今度アルダンを紹介しましょうか。

 

「で、いい人いないかな」

「東条トレーナーは?」

「もう断られたよ」

 

 なんせドリームトロフィーに移ったとはいえ生徒会業務に復帰したルドルフと、日本で現役続行をしているシリウスさん、あとボクがあまりやれない間面倒を見てもらう約束をしたラモーヌ姉さまがいますから、もうカオスってます。

 あの3人、幼馴染なのもあって混ぜると暴走するんですよね。シンボリの二人は姉さまに甘いし、姉さまは姉さまで二人の暴走をそそのかすのでエンドレスに大変です。

 この状態で僕の管理までしてくれとおハナさんに頼むのはさすがに無理でしょうし、現に絶対受けないからねと先に言われてしまいました。

 

「メジロの伝手から誰か捕まえてくるかなぁ」

「やめとけよ。お前に頼まれたら向こうも断れねえだろ」

 

 メジロ関係者を考えましたが可児さんに止められてしまいました。

 まあ確かにメジロ初のクラシックGⅠ勝利と史上初ティアラ3冠をとったメジロラモーヌの妹な上に姉さまのトレーナーなものですから、メジロの至宝の片割れとか言われ始めてますもんねぇ。メジロ関係者はかわいそうかもしれません……

 

「はぁ、メジロの伝手で見つけるぐらいなら俺が適当にやってやるが、ちゃんと良さそうな相手見つけて来いよ」

「はーい」

「というかマーリンはどういうトレーナーがいいの?」

「ステレオタイプ的な世話焼きお姉ちゃんかな?」

「お姉さん居るのに?」

「ラモーヌ姉さまはシスコンですが世話焼き系のやさしさではないので」

 

 というかあの人は手間のかかる方の姉です。あれはあれでボクは好きですが、それはそれとしてちょっと面倒を見てくれるお姉ちゃんにあこがれがあります。

 

「優しそうな人というとあの人がいいんじゃない?」

「だれですか?」

「この前入った樫本さん。この前の選抜レースでも怪我した子の介抱とかしてたし、いい人だと思うよ。あまりアピールが得意じゃないからほとんど契約出来てないけど」

「ふむ、ちょっと見てくるね」

「挨拶するときは礼儀正しくな。後何か手土産ぐらい持っていけ。お前の実績じゃ普通のトレーナーだと委縮するから慎重に進めろよ」

「わかったよ、可児ママ」

「お前みたいな娘嫌だよ……」

 

 失礼な、こんなに可愛くて優秀なのに。

 

 ひとまずは、樫本さんのところへとご挨拶に向かうのであった。

 




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