ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
ということで、ラモーヌ姉さまとルドルフ、あと聞きつけてやってきたアルダンと一緒にレースをする日が訪れました。
場所はメジロのトレーニングコースで距離は芝2000mです。一番慣れたレースですね。メジロの2000mコースは特に特徴もなく、コースを一周する形になりますので特に有利不利はありません。
ルドルフもラモーヌ姉さまもしっかり本番用に仕上げてきていますが、ボクの仕上がりはそんなレベルではありません。
1か月間、限界ギリギリまで鍛えたボクの肉体には鬼が宿ります。目から青い炎出せるようになりましたよ。1日16時間ぐらいトレーニングしていましたからね。おかげで胸と尻が減りました。いや、邪魔だったのでちょうどいいのですが。
坂路やプールをメインとした極限まで体を追い込むトレーニングは本当に信じられないぐらきつかったです。誰だよこんなメニュー考えたの。いやボクじゃん。天罰覿面とはこのことだな。ハハハハハ。はぁ……
ただ、これでもルドルフにもラモーヌ姉さまにも勝てるイメージができません。特にルドルフ相手が厳しいです。全然勝てるイメージできませんもん。
「マーリン、そんな難しく考えるな。お前が一番速い。私が保証する」
「シリウスさん」
「それとも私が信じられないか?」
「ひゃうっ!?」
そういいながらボクの耳元でささやくシリウスさん。
こういうの弱いと知ってやってるんだから質が悪いです。
「でもどうしても苦手意識があって……」
「二人ともニンジンぐらいに思っておけ。作戦も事前に考えた通りでやれば勝てる」
「……シリウスさんを信じます」
ここでシリウスさんを信じない方が不義理です。妄信して頑張りましょう。
「マーリン、楽しみにしてたよ」
「ルドルフ、ボクが勝ちますよ」
「いうねぇ。そんな当然のように勝利宣言するのはキミぐらいだよ」
そういいながらルドルフは笑います。こう、ライオンが獲物を見つけたみたいな笑顔辞めてほしいんですが。とはいえ今回は本気のレースですから、弱気を見せるのはやめておきます。いつもの感じにしかならなくて油断を誘うこともできないでしょうしね。
「マーリン」
「姉さまにも勝ちますよ」
「ウフフ」
ラモーヌ姉さまも言葉が少ないですがとても楽しそうです。笑顔が妖艶すぎてエッチです。
でもそんなので気を抜いていると一瞬で抜かれますから少しも気を抜けません。
「マーリン姉さま、私も頑張りますからね!!」
「はいはい」
「頭撫でないでください!!!」
アルダンはいつものアルダンでした。可愛いねぇ。頭撫でたくなっちゃうんだよ。
まあアルダンのパワーは本当にヤバいですから油断できる相手では全くないんですが。
今回は簡易ですがゲートも用意されています。
ということでさっさとゲートインを行い、シリウスさんの操作でスタートしました。
大内スタートだったボクは、スタート直後早速良さそうなポジションに入ります。
ですが……
「譲らないよ」
「譲らないわ」
「ぐぅっ!!」
ベストポジションに入ってこようとするルドルフとラモーヌ姉さまにすさまじいプレッシャーを受けます。前に入り込もうとするルドルフと、後ろからペースを上げさせようとするラモーヌ姉さまの圧力に、必死に抵抗しながらポジションをキープします。
ここで譲ったら勝ち目はほぼありません。横から前に入ろうとしたり、接触ぎりぎりまで寄せてくるルドルフの圧力に負けず、後ろから凄まじい圧力をかけてくるラモーヌ姉さまにも負けず走り続けます。同時に少しずつペースを上げていきます。全体的なペースはハイペースになっていきますが、二人はさらに圧力を上げてきます。ペースアップに気づいているのかいないのかはわかりません。
アルダンは後ろで戸惑っているようです。まあここまで前がギリギリまで競い合っているととどうしていいかわからないですよね。
第三コーナーに入ろうとしたところまでどうにかポジションを維持し続けました。ここからが勝負どころ、という所で、最初に仕掛けたのがアルダンでした。
「ああああああ!!!!」
先に仕掛けないと追いつけないと判断したのでしょう。かなり早い仕掛けです。
そしてアルダンが迫り始めた瞬間、一瞬、風が流れ、風景が草原に染め上げられる錯覚を覚えます。
青いガラスの鳥が飛び立ち
すさまじい勢いで加速したアルダンが横に並んできました。
これ、
「我の前に道はなし、ならば……」
追いすがろうと加速するボクにですが、アルダンの心象風景を塗りつぶすように稲妻が走ります。
まるで荘厳な城の中のような雰囲気がアルダンの
アルダンにつられてルドルフまで
鋭いながらもガラスのような儚さを持ったアルダンの
「この脚も速さもすべて貴女のモノ。だからこそ今、勝つ!!!」
そこにさらに黒く粘着的な愛情が割り込みます。
二人のギアが変わったのを察したラモーヌ姉さまが
第一次領域大戦ですね。ちなみにボクは
何にしろ爆発的に加速する3人に必死に追いすがります。それぞれから漏れ出る心象風景の圧力がすごすぎてまっすぐ走るのすら難しくなりそうな幻覚を覚えます。現に
横一線に並んで必死に走りますが、3人にスピード負けをし始めます。じり、じり、と少しずつ引き離されていきます。差し返そうとしても限界を超えた3人のスピードにはボクでは足りません。このままでは追いつけないでしょう。
ですが、ここまで含めて計算通りです。
ガクッ、と速度を最初に落としたのはルドルフでした。
効果はてきめん、ボクと一番競っていたルドルフが最初にスタミナ切れを起こしました。
一瞬遅れてアルダンもスタミナ切れを起こしてずるずると失速していきます。
後ろに控えていたラモーヌ姉さまはスタミナに多少余裕があったせいかゴールぎりぎりまで粘りましたが、最後に差し返すと余力が尽きたようでそのまま差し返しにはきませんでした。
どうにかボクはぎりぎりで1着でゴールをしたのでした。
「はぁ、はぁ、まさか競り合いで負けるとはね」
「今のルドルフなら勝てますよ…… ふぅ」
これが全盛期のルドルフだったら負けていたでしょう。3000mも走れるスタミナがありますから、2000mでハイペースでばてさせるのはかなり厳しかったはずです。ですがドリームトロフィーシリーズに移って生徒会の業務も本格化した今では、全盛期ほどスタミナがないだろうと予想していたのはあたりでした。また、ラモーヌ姉さまと競わせれば余計スタミナの消費も早くなります。
「マーリン。強くなったわね」
そういってラモーヌ姉さまが頭を撫でてくれます。
「マーリン姉さま、次は負けませんからね!!」
アルダンの方は負けて悔しかったらしく涙目で指を指してきました。
少しはボクの勝負弱さも解消したかな。そんなことをボクは思ったのでした。
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