ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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6 お泊りってなんか楽しいですよね

 挨拶だけして静かになってしまい、話しかけづらいオーラを出し始めた奈瀬さんを置いて、ボクはさっさと部屋を出ます。お昼ご飯を食べるためですね。

 一人でふらつくとさすがにおまわりさんに迷子と間違われそうですし、一緒に食べてくれる人を捕まえます。

 

「カニさーん。お昼一緒に食べに行きましょー」

「嬢ちゃん、よくこの状況で昼食べる気になるな」

 

 さっき荷物を運んでくれたカニさんなら付き合ってくれると思い声を掛けましたら、文句は言いつつも付き合ってくれるようです。

 最初の口述試験はお昼過ぎからなので、直前の今こそいろいろ頭に叩き込みなおす人が多いようで、ボクのようにお昼ご飯を食べようとする人は少ないようですが…… お腹すきますし。ウマ娘でしかも幼女なので、すぐお腹がすくんです。昔はあまり食べられませんでしたが、漢方での体質改善に成功してからは食欲もモリモリわいて大変なんです。成長期だからセーフ、と信じましょう。最近太ももが太すぎるんじゃないかと思っていますが見なかったことにします。

 

「で、嬢ちゃん、何が食べたいんだ?」

「がっつりしたものですかね」

「午後、試験だってわかってるんだよな?」

「? 当然ですよ」

 

 そのまま二人で向かったのは近くのイタリアン系のファミレスです。確かにここならメニューには困らないので良いチョイスでしょう。四人掛けのテーブルに向かい合って座ると、早速ボクは注文しました。

 

「このページのハンバーグ全部と、あとご飯ウマ娘盛り、ドリンクバーで」

「おい、ちょっと待て」

「どうしました?」

「食いすぎだろ。試験だってわかってるのか?」

「もちろん、だから腹八分目にしてるんじゃないですか」

 

 普段ならメニューの端から端までとか頼みますから、1ページで済ませるあたりかなりセーブしています。普段だと三姉妹で行動していますからメニュー三順、とかになることも少なくありません。

 

「あ、もちろんおごってもらおうとか考えてないので大丈夫ですよ。ほら、カードありますから。何ならカニさんの分もおごりますよ」

「いや、さすがにそこまで落ちぶれてないから…… 店員さん、おれはドリア単品で」

「……」

 

 明らかに安い物だけ頼んでいますから、もしかしたら金欠なのかもしれません。

 ただ、ここで無理におごるといってもきっと男のプライドとかを傷つけるだけでしょうし、これ以上気にしないことにします。

 ひとまずドリンクバイキングで適当な飲み物をとるためにボクは席を立ちました。

 

 

 

「本当によく食うよな。どこに消えてるんだよそれだけの量」

「ここに詰まってるんじゃないかなぁ」

 

 幸い服装はゆったりしたワンピースなのでぼっこりお腹が目立たないが、明らかにお腹が膨らんでいます。ウマ娘のよくわからん生態であり、おなかが大きくなるのだ。お腹撫でてみます? ときいたら怒られました。まあ今どきセクハラとか怖いですからね。

 

「そんな状態で試験大丈夫なのかよ」

「余裕ですよ!!」

 

 いや、実際余裕かどうかなんてわかりません。ラモーヌ姉さまに付き合ってもらって最大限圧迫面接状態で練習はしていましたが、よく考えたらラモーヌ姉さまも所詮小学生ですし、あの色気とオーラで小学生は無理なのはそうですが、練習になっていたかも怪しいです。

 まあ、ダメだったら来年があるよ、という余裕の状態です。周りとは切羽詰まりっぷりが違いました。そんな感じでうだうだしていると、メジロマーリンさん、と名前が呼ばれました。試験だ、ということでボクは呼ばれた部屋に入りました。

 

 目の前には三人の男女が座っていまして、その人たちからまずは知識的なことをガンガン聞かれます。例えばウマ娘の怪我の種類とその対処法とか、適正体重の見分け方とか、いきなり数学の問題とか、ウマ娘のことからレースのこと、一般教養まで何でも聞かれます。

 わからない問題もないわけではないですが、特に緊張せずに答えていきます。内容的な問題はまだしも、面接の人の威圧にも耐えられるのはラモーヌ姉さまとの特訓のおかげでしょう。ただ、URAとかのお偉いさんだろう面接官よりも威厳を出せる姉さまの将来が心配になりました。

 

 時間としては2時間程度で終わりましたが、なかなか疲れます。こんな試験が、明日の朝夕、明後日の朝夕とあと4回もあるのですからなかなかきついですね……

 ひとまず夕飯を食べて精をつけるため、適当に外に繰り出します。お昼の分は頭の回転で消費しきってしまいましたし。

 幸い警察の人に保護されずに、コンビニにたどり着いたボクは今晩と明日の朝のパンとカップ麺を仕入れて、カバンに担いで帰ります。カップ麺、こっちの世界だと食べたことないんですよね。お湯が宿泊所にあるのは確認していますから存分に楽しみましょう。

 宿泊所の休憩スペースみたいなところで、片っ端からカップ麺を食べます。前世で見覚えがあるものもあれば、見覚えのないものもあります。まあ前世でもそこまでカップ麺食べませんでしたから、知識にないだけで前世にあった可能性もありますが。

 よく考えたら今の世界と前世の食ってどの程度違いがあるんでしょうね。馬肉は確実にないでしょうが、馬刺しとかどうなんでしょうか。あったとしたら多分女体盛り的な何かな気がしますが、これ以上想像すると何かやばそうな予感がしますので考えないようにします。

 しかし、カップ麺にカップ麺にカップ麺とは、体に悪そうな食事ですね。一応買ってきた野菜ジュースは飲みましたが、焼け石に水な感じです。一通り食べ終わり、頑張ってごみ箱に全部捨ててボクは部屋に戻りました。

 部屋には奈瀬さんが戻っていましたが、挨拶だけして後は会話もありません。特に会話する必要もないですし、もう眠いのでボクはさっさと寝ることにします。子供なので早寝早起きなのですよ。

 部屋についているシャワーを適当に浴びて、寝ようとしたときに問題が起きました。まあ、そもそも体をうまく洗えなくてお湯をかぶっただけだとか、髪の毛びっしょりだとか、問題だらけなのですが、一番の問題は布団をうまく敷けないことです。用意された布団を広げることはできましたが、幼女の器用さだとシーツをかけるとか、枕カバーをかけるとか、そういうことがほとんどうまくできないことに気づきました。いやー、やっぱり幼女に自活は無理ですわ。

 少し困って、もうやりようがないと思ったので、適当に広げた布団の上にシーツを乗せて、枕の上にも枕カバーを適当に乗せて、布団をかぶって寝ることにしました。メイドさんの偉大さを感じますね。まあこんな寝方をしても死にはしないと腹をくくって寝ようとすると

 

「……大丈夫ですか?」

 

 奈瀬さんが声をかけてきました。さすがにびしょびしょのままシーツにくるまって寝る幼女を放置するほど彼女も非情ではなかったようです。いやまあ、放置しても普通だとは思うんですが。

 

「多分、大丈夫、かもしれない?」

「大丈夫じゃないですよね。ほら、ドライヤーかけましょう」

「わーい」

 

 こういう時、遠慮なく甘えるのがボクの長所だと思っています。

 奈瀬さんが準備したドライヤーとバスタオルで、わしゃわしゃと拭かれたボクの髪は、まあそれなりに乾きました。奈瀬さん、あまり器用じゃないんだ、と思いましたがやってもらった身分ですから文句は言いません。奈瀬さん自身、髪が短いからあまり苦労しないタイプなのでしょう。

 そのあと、シーツと枕カバーを整えてくれて、ボクは無事安眠することができました。

 

「ありがとうございます。お礼はしますね」

「大したことじゃないから気にしないで」

 

 前世的にも、マックイーンちゃんでも紹介しようかな、と思いながら、ボクはそのまま寝ました。ちなみに朝起きたら寝相が悪すぎてシーツはぐちゃぐちゃだったし、髪の毛は爆発していたし、さらに普段三姉妹で抱き着いて寝ているものですから抱き着くものを求めて奈瀬さんに抱き着いていたのは余談です。とてもいい匂いがしました。

 

 ひとりでできるもん! と意気込んできましたが結局カニさんや奈瀬さんに世話になりながら、ボクはどうにか3日間を突破しました。試験以上に日常生活のほうが大変でした。あれですね、トレセン学園にはいる前に寮生活の練習必須ですねこれは……

 最後の試験が終わった後、お二人には世話になったお礼としてお寿司をご馳走しました。もちろん回ってない奴です。奈瀬さんが大トロを無茶苦茶食べていたのが印象的でした。

 

 

 

 こんな感じの大騒ぎの試験でしたが、何とボクは、そのまま合格してしまいました。自分が一番びっくりですよ。

 カニさんや奈瀬さんと同期となり、ボクのトレーナー生活は、まあ、すぐには始まりません。だってねえ、まだ小学生にもなってないですし…… 受かることには受かって免許はもらったので、今はこれで良しとすることにしました。




評価お気に入り・感想お待ちしております。

次はどんな話にしようかな(3話1セットで書いているので次 反映されるとは限らない)

  • 三姉妹のちびっこレース
  • メジロ87年組との絡み
  • トレーナーと絡み
  • シンボリとの絡み
  • いいから学園編に飛ばせ
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