ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話 作:雅媛
トレセン学園には春と秋にファン大感謝祭があります。
春が世間一般で言う体育祭で、秋が文化祭になります。
そして春のファン大感謝祭の競技は比較的カオスなものが多いです。
「でりゃああああ!!」
「へぶっ!?」
アルダンの容赦ない投球がラモーヌ姉さまの顔面にクリティカルヒットします。
今年のドッジボール系の競技はバトルロワイアルドッジボールでした。毎年行われるドッジボールという名を借りたボールのぶつけ合いですが、チーム制のバトルロワイアルだけあってかなり入り乱れています。
アルダンとペアを組んでいたチヨノオーさんを狙ったラモーヌ姉さまに、アルダンが容赦なく真正面から球をぶつけていました。キャプテン翼の某ゴールキーパーのように華麗に吹き飛ぶラモーヌ姉さまに会場が沸き上がります。
あんなにひ弱だったアルダンも、すっかり元気になり、ファン大感謝祭の競技をコンプリートすると張り切るぐらいになっているのを見ると、姉として涙が抑えきれません。ついでにラモーヌ姉さまのシスコンも少しは治ってほしいです。
まあ元気に走ったり跳んだりチヨノオーさんを引きずったりラモーヌ姉さまを吹き飛ばしたりして重戦車っぷりをアピールしているアルダンは置いておきましょう。
ボクのほうは、桜花賞も目前なのもありますから基本競技には出ない予定です。とはいえそうすると暇なので、今日はアヤベちゃんと一緒に回っています。一般観戦も可能ですし、一般参加の競技もありますから、幼女ズも当然きていたりするわけです。
基本はみんなカフェのマスターが出している出店で楽しそうにお手伝いしているのですがアヤベちゃんのところの妹ちゃんはボクかカフェちゃんぐらいしか見れないので、今回こうやってボクがエスコートしているわけです。
アルダンがヤエノムテキさんの合気的な技に負けて吹き飛び、会場がさらに盛り上がるのをアヤベ姉妹と一緒にのんびり観戦します。
姉妹は感謝祭のパンフレットを見ながらああでもないこうでもないと話しています。
次に行きたい出店を探しているのでしょうか。もしくは見てみたい競技とかあるのでしょうか。
そんなことを考えていたら、アヤベちゃんがパンフレットを開きながらボクに話しかけます。
「マーリンさん、これに出てみたいの」
アヤベちゃんが示したのは、二人三脚です。
ボクと出たいということでしょうか。まあこれくらいなら構わないでしょう。
「いいよ。じゃあさっそく行こうか」
カワイイ幼女からのおねだりを断る理由もないですから、そちらの会場に向かうことにします。
二人三脚は一般参加可能な競技です。特に階級などないため、現役ウマ娘ペアが強いわけで、アヤベちゃんと組むと勝負としては厳しいですが、まあ勝ち負けにそこまで真剣にならなくても大丈夫でしょう。
無事申し込んで戻ってくると、アヤベちゃんの雰囲気がちょっと変わっていました。というか……
「あれ、中身妹ちゃんに入れ替わってる?」
「ふふーん、お姉ちゃんと編み出した新技ですよ」
「なかなか面白そうなことやってるじゃない」
どうやらアヤベ姉妹は中身を入れ替わる謎の技を編み出したようです。いつものアヤベちゃんは半透明になってふわふわ浮いています。妹ちゃんの方が多弁で明るい感じなのですぐわかりますねこれ。
「マーリンお姉ちゃんと一緒にこういうのやってみたかったの」
「そかそか、お姉ちゃん頑張っちゃうぞー」
さすがに他の人が見えない状態の妹ちゃんと二人三脚は怒られますからね。
こうして妹ちゃんと二人三脚したり、パン食い競争に出たりといくつかの一般参加可能な競技に出てみました。
アヤベちゃんはふわふわと浮きながら見ていました。どうやらふわふわ浮いているのを気に入ったようで、しばらくその状態のままでした。
妹ちゃんの方は、二人三脚で爆走するゴールドシチーさんとトレーナーさんのペアや、パン食い競争の趣旨を勘違いしてパンを奪い取り続けるオグリキャップさんを見て楽しそうにしていました。
「楽しかったね!!」
「そうだねぇ」
入れ替わるのはそう長くはできないようで、今は元に戻っています。双子だからできるとはいえ、やはり元はアヤベちゃんの体ですからずっとは無理なのでしょう。
今は休憩ということで両手に幼女の状態で芝生に寝転がっています。
「そういえばマーリンお姉ちゃん、制服のままで参加してよかったの?」
「体操着に着替えないといけないルールは実はないんですよね。まあちゃんとした競技に出る人はみんな体操着になりますが」
「そうじゃなくて、スカートの中思いっきり見えてたと思うよ」
「中はスパッツなので恥ずかしくないです」
「どこどこ」
「妹ちゃん!?」
スカートにもぐりこんできた妹ちゃんが、ボクのお尻の当たりに抱き着きます。制服の下は黒いスパッツなので見られて恥ずかしいものではないですが、とはいえ股座に顔を埋められるとさすがに恥ずかしいです。
「じゃあ私はこっちに」
「アヤベちゃん!?」
そうしてアヤベちゃんはボクの腰にまたがり、胸に顔を埋めてきました。
ふかふか―とか言いますが、さすがに少し恥ずかしいのですが……
「そういうことされると、マーリンお姉さんお嫁に行けなくなっちゃうんだけどなぁ……」
「じゃあ私たちがお嫁にもらってあげるから大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないよ?」
「これが既成事実……」
「どこでそんな単語覚えてきたの!?」
調子に乗って尻をわしづかみしてきた妹ちゃんを立ち上がることで引きはがし、胸にくっついてふかふかしているアヤベちゃんの首根っこをつかんでこちらも引きはがします。
「マーリンさんのお胸、100点」
「レビューしないで!?」
ふわふわラインナップに他人の胸部を入れないでほしいんだけどなぁ……
「マーリンお姉ちゃんの太もももよかったよ。100点」
「だから人の体をレビューしないで!?」
この姉妹はよくわからないところでそっくりなんだから……
「全く、他人の体そんなにべたべた触っちゃダメなんだからね」
「大丈夫だよ、他の人にはしないから」
「マーリンさんはお嫁さんだから問題ない」
「お嫁さんじゃないし問題だよ!?」
既成事実積み重ねてこないでほしいんだけど。まあ気に入られてるのはうれしいけどさ。
これ以上変なことしないように二人の頭を抱きかかえると徐々におとなしくなっていきます。
「さて、そろそろ戻ろうか」
「えー」
「みんな待ってるよ」
お子様たちは楽しくお手伝いしている感じでしたが、お子様ですから今頃は確実に体力が尽きて休んでいるか寝ているでしょう。
アヤベちゃんの手もポカポカしてきて眠そうですし、そろそろ戻ってお昼寝でもした方が良さそうです。
よいしょと抱き上げると、アヤベちゃんも妹ちゃんもすぐにうつらうつらし始めます。マスターの出店に戻る頃には完全に寝ていました。
芝生で寝ている子供たちの横にアヤベちゃんを置くと、もそもそと動いてお互いくっつきます。謎の生き物を見ている気分になります。
「マスター、お仕事は大丈夫ですか?」
「人もずいぶん減ったからもう大した仕事はないよ」
「そうですか。では紅茶一つ」
「相変わらず紅茶党なんだね」
遠くから爆音が聞こえる中、温かい紅茶をすすります。
今の時間だと大障害走でしょうが、なぜ爆音が聞こえるのか、理解したくないですね。大方誰かがショートカットを試みて壁を破壊したとかそういう話でしょう。
修理費が大変なことになる未来が容易に浮かびます。まあその辺は後日考えましょう。
ひとまずは、幼女に囲まれて紅茶を楽しむ時間をしばらく過ごすのでした。
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