ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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9 メジロマーリンの勝負服

 G1と言ったら勝負服と言っても過言ではありません。

 勝負服が得られるからこそ、G1への参加を目指すウマ娘も少なくないレベルです。

 

 ボクの勝負服に関しては、去年のビューティドリームカップでゲットした花嫁衣装もあるのですが、どうせだからちゃんとしたのも作ることになりました。

 正直ボクは興味ないんですけどね…… 服とかよくわからないし……

 でも自分のだから自分でも考えないとだめってラモーヌ姉さまとかアルダンとかシリウスさんとかがうるさいので、渋々考えました。

 

「ということで速さを追求してみました」

「……」

「……」

「……」

「……マーリン、痴女の恰好はよくないと思うんだ」

「痴女っていうな!」

 

 ラモーヌ姉さまやアルダンは絶句し、シリウスさんは頭を押さえ、ルドルフの感想は痴女でした。

 

「できるだけ体の動きを阻害せず、軽くして速さを追い求めるとこうなるでしょ」

「おいラモーヌ、メジロの教育どうなってるんだ」

「あの子のぶっ飛んだところは教育ぐらいでどうなるわけないでしょ」

 

 シリウスさんとラモーヌ姉さまが失礼なことを言います。

 

 ボクの考えた勝負服は、まず胴体部分はハイレグにして脚の動きを阻害しないようにしつつ最低限大事なところを隠すレオタード状にしました。前世の記憶が、ミホノブルボンもレオタードだったから大丈夫と言っているのでたぶん大丈夫でしょう。

 靴と手袋は、昔アルダンが考えていた自分用の勝負服がアシンメトリーだったのを参考に、右側だけ長くしています。結構スタイリッシュだと思うのですが、みなにはすごく不評でした。

 

「ねえマーリン」

「なんですか姉さま?」

「この恰好でレースを走るのよ?」

「そうですね」

「多分マーリンのG1、すごく人が集まるわよ」

「そうですね」

「わかってる?」

「? 当然分かってますよ」

 

 これでも外見はそれなりに気を使っているので大衆に肌を見せても見苦しくはないと思います。

 

「こんな格好、私やアルダンがしていたらどう思う?」

「かわいいとおもいます!」

「……」

 

 姉さまやアルダンが肌を見せるのはちょっとエッチすぎる気もしますが、でも自慢の姉と妹ですから、恥ずかしくなんてないと思うのですが……

 ボクの反応にラモーヌ姉さまはため息をつきました。

 

「マーリン姉さまに無理にでもデザイン考えてもらったんですから、やっぱりやめたはダメだと思いますし、これで作ってみませんか?」

「アルダン、本気?」

「本当にまずいものが出来たらウェディングの方使えばいいですし……」

 

 何かみんなで相談していますが、デザインのブラッシュアップでもしてくれているのでしょうか。

 まあ、頑張って考えましたし、良い感じのものができるといいなと思います。

 

 

 

 デザイン提出後、1週間ほどで無事勝負服は出来上がりました。

 黒と白を基調に、緑のリボンがついているのがメジロっぽいですね。姉さまと似ている雰囲気の勝負服に仕上がったのではないでしょうか。

 

「いや、私の勝負服そこまで卑猥じゃないと思うんだけど……」

「ラモーヌの勝負服、胸の谷間見えるしスカート短いし、結構露出多いと思うが」

「……」

「無言で頬を引っ張るんじゃない!!」

 

 ルドルフとラモーヌ姉さまがじゃれていますが、気にせずさっそく試着しましょう。

 サイズもぴったりで、体にフィットしつつ、胸とか尻肉とかが無駄に揺れないように固定する性能もしっかり発揮しています。

 露出も多いので熱もこもりにくいですし、体にフィットしていますから空気抵抗も少なそうです。

 

「どう? かっこいいでしょ」

「ま、まあそうですね……」

「そうだな…… これ、URA的にOKなのか?」

「勝負服はURAの出資ですしOK出たんですよねこれ……」

 

 早速着ている姿をアルダンとシリウスさんに見せましたが、おおむね好評のようです。きっとこれならいい成績を残せるでしょう。

 

 

 

 

 阪神レース場芝1600mで行われる桜花賞、当日の天候は晴れで、芝状態は良好で行われます。

 パドックで初勝負服をお披露目した瞬間、観衆がどよめきました。

 このパンパンに張った太ももと尻、体幹がぶれないことがはっきりわかるぐらいしっかりした腰からお腹のライン、そして燃料タンクとバランサーを兼ねた胸と、完璧に仕上がっているのが観客にもわかったのでしょう。

 この勝負服、体にぴったりフィットするせいで仕上がりにごまかしがきかないのですよ。しかし、仕上がっていることをアピールすることもできるわけで、悪いことばかりではありません。

 ラモーヌ姉さまの立ち振る舞いを参考に、あくまで上品に、ボクの肉体美をアピールします。今回人気は四番人気ですが、ボクの仕上がりを見ればボクが圧倒的にいいのではないでしょうか。

 さて、他の参加者はと視線を動かすと……

 一番人気はチューリップ賞に勝って参加しているマックスビューティさん。名は体を表すを地で行く美人さんです。長く鋭い末脚が特徴で、4ハロン46秒台で走るのでかなり驚異的でしょう。仕上がりは良さそうです。

 二番人気は去年のラモーヌ姉さまと同じローテーション、クラシックウマ娘特別に勝って出場しているコーセイさんです。前目に行って押し切ることも、後ろに控えて差すこともできる変幻自在なレースが特徴のウマ娘です。こちらも仕上がりは上々、といったところでしょうか。

 三番人気はドウカンジョーさん。ジュニアクラスの年末に重賞に勝っているウマ娘です。ただ、前走クラシックウマ娘特別は5着でしたしパドックで見ても仕上がりはどうでしょうね……

 そうしてボクは四番人気。まあ2連勝できていますが所詮それだけですからね。

 前走から期間も開いていますし、姉さまの実績で下駄をはかせてもらっている部分もあるでしょう。

 

「お、みんなきてくれてる~♪」

 

 チームメンバーのみんなも応援に来てくれたので手を振ります。

 

「さすがにあれはダメでは?」

「ガイドライン的に大丈夫?」

 

 等と言っていますが多分大丈夫でしょう。

 いつも以上に注目が集まる中、普段通りにアップをして、ボクはパドックを終わらせました。

 

 

 

 レース自体は紙一重の差でマックスビューティさんに勝ちました。

 ルドルフ譲りの独占力でベストポジションを制しつつ牽制をしまくったのですが、マックスビューティさんの末脚はやばかったですね。最後完全に競り合いになりましたが、ハナ差で競り勝ちました。今までの勝負弱さが嘘のような勝ち方です。

 多分これは勝負服の差ですね。機能美溢れるボクの勝負服に比べ、かなりごてごてついていて華やかな勝負服のマックスビューティさんとの差です。0.1秒以下の速さを争う場面ではきっと空気抵抗とかそういうものが勝負を決定したに違いありません。

 ウマ娘にとって0.1秒差は1m以上の差がありますからね。

 

「絶対違うと思うけどなぁ……」

「いや、案外そう思い込んでいるという思いの力が今回の結果を生んだのかもしれないから……」

 

 チームメイトも理子ちゃんも首をかしげますが、きっとそうですよ。つまり軽装こそ正義ということです。

 

「ということで他のメンバーも勝負服を軽装に……」

「「「「絶対ヤダ」」」」

 

 残念ながらチームでの勝負服統一は全会一致で否決されました。なんでだよー。

 

 

 

 

 ちなみにボクの勝負服は少しずつ改良をされていきました。より軽くするために薄く布を少なく、より空気抵抗を減らすためにフィットするようになっていきました。

 周りにはそろそろ許してといわれましたが何を許すべきかまるで分かりません。

 この微妙な差により勝負に勝つことも多かったわけですから、少しでも譲れませんし。なんだかんだで気に入ったこの勝負服ばかり着て、花嫁衣裳勝負服はずっとタンスの中にしまわれていたのは、ビューティさんには少し悪い気がしました。




 挿絵投稿機能一時休止になっていますし、どんな勝負服かは各自想像してください。

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