ラモーヌさんとアルダンさんの姉妹の間に挟まれたメジロに転生してしまったお話   作:雅媛

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第三部 夏が過ぎ
11 夏合宿


 夏合宿。それは非常に重要な期間です。

 ここで急成長するウマ娘も多いですし、一応ティアラ三冠を狙うボクとしても、最後の一冠を逃さないように全力で成長する必要があります。

 ライバルは強力ですし、最後に一矢報いようと賭けてくるでしょう。

 そういったライバルたちに勝つための方法はただ一つ、そう、トレーニングです。一心不乱にトレーニングですよ。大量のロイヤルビタージュースをがぶ飲みして、ハードな特訓をすれば頑張ってるだろうライバルたちにも早々追いつかれることはないでしょう。

 ということで起きたら寝るまで特訓の日々がスタートです。他のチームメイトに一緒にやらないかと誘いましたが、「被虐趣味はないので……」とか「自分にもう少し人道的になりたい」とか言われて断られました。毎日ロイヤルビタージュースを飲んで、毎日なんで1日が24時間しかないのかと悩むぐらいの密度のトレーニングをするだけなのに…… どうして……

 

 ちなみに ボク以外のチームメンバーは皆未勝利から脱出しましたので、次は2勝目を目指してみんな頑張っています。落ちこぼれを集めたチームだったのによくみんな一勝しましたね…… 理子ちゃんの腕前が凄まじいです。

 未勝利戦自体はクラシッククラスの秋までしかありませんし、夏合宿前にどうにかなってよかったです。

 

 ということで、トレーニングです。

 走って泳いで筋トレして、大体のメニューを1日でこなし、それを毎日繰り返す変わり映えのしないある種の拷問のようなトレーニングです。

 誰か一緒にやってくれないかなと思いましたが、ダイナムヒロインさんは3日でギブアップしてましたし、タマちゃんは

 

「これ、学園に虐待事例とかで報告されんのか?」

 

 とか言っていました。まあそうなったら頑張ってメジロが握りつぶすので大丈夫です多分。

 シチーさんがしばらく頑張って一緒にやってくれていましたが、モデルの仕事があるというので途中で抜けてしまったので、今は完全に一人です。

 海辺で夕日を眺めながら筋トレをしていると、まだ残っているウマ娘が偶然目に留まりました。さすがにこんな時間までトレーニングしている子と言うのは珍しいので、いれば目立ちます。

 ただ、その子のトレーニングはお世辞にも上手いと言い難いものでした。トレーニングにも効率がありますから、上手くないと疲れるだけで効果が薄くなってしまいます。ボクのトレーニングは実験的なものもありますが基本ボクと理子ちゃんが考え抜いたメニューで最高効率だけを目指していますからきついけれど効果は抜群です。しかし今回偶然見つけてしまった彼女のトレーニングはただただやたらめったら自分を痛めつけるだけで、下手すると疲れるだけで効果がないのではないかなと思ってしまいます。

 何かトラブルの可能性もありますから、念のために声をかけることにしました。

 

「あのー、大丈夫ですか?」

「ひゃい!?」

「生徒会副会長のメジロマーリンといいます。ずいぶん遅くまでトレーニングしているようなので、声をかけさせていただきました。お名前をうかがっても?」

「あ、ライトハローです……」

 

 かなりさび付いていた前世知識さんが、その名前にピンときました。

 たしか、絶えていたグランドライブを復活させるために尽力するイベントプロデューサーの名前がそんなだったような気がすると。

 とはいえ目の前の彼女はただの学生で、同学年ぐらいに見えます。

 

「貴女のトレーナーさんは?」

「えへへ、ただの自主練なので…… それに見込みのないウマ娘だから見限られていまして……」

 

 その発言に何となく透けてくる事情が見えてきます。

 

「未勝利の状態で、残されているのは後数か月。この時期まで勝てないウマ娘は余程の事情がない限り才能がないと言われますから悪質なトレーナーだと見限ることもあるというのは聞いていますが……」

「トレーナーさんのこと、あまり悪く言わないで上げてください。悪いのは勝てない私ですから」

 

 いや、どう考えても悪いのは担当トレーナーでしょう。

 最低限担当した以上は指導するべきですし、無茶苦茶な自主練の様子を見るとそのトレーナーが碌に指導していないのは丸わかりです。

 勝てないウマ娘が一定数トレセン学園にいるのは自明ですし、ライトハローさんの素質がどの程度かは知りませんが、それとはまた別の問題でしょう。

 

 ひとまずトレーナーへの対応はルドルフに任せましょう。こういうの得意ですし、事情を伝えておけば適切に対応されるでしょう。もしかしたら本当にライトハローさんの独断の暴走かもしれませんし。チャチャっと携帯端末でメールを送っておきました。

 

「自主練は自由ですが、無茶苦茶やるのはお勧めしませんよ。ひとまず今日は私と一緒にクールダウンして上がりましょう」

「え、でも……」

「いいからいいから、まずはストレッチから行きましょう」

「ちょ、ちょっとまってください」

 

 開脚させて向かい合い、ハローさんの足首を足の裏で固定して両手首を持ちます。

 そのまま引っ張って開脚前屈です。

 

「ちょ、むりっ、むぅりぃいいい」

「無理っていうのはね、嘘つきの言葉なんですよ」

「パワハラだぁ!!!」

 

 失礼な。ちょっと硬すぎるハローさんの体を適切な状態にしてあげてるだけですよ。

 それにしてもハローさん、ストレッチもちゃんとやっていなかったようでくそ固いですね。

 

「ごきっていった!! いまからだがごきっていったぁ!!」

「じゃあもう少し行けますね」

「きちくぅ!!!」

 

 その目測バスト90の柔らかそうなおっぱいとかムチムチの尻とか柔らかそうな体しておいて硬いのがいけません。

 一瞬にして満身創痍になったハローさんの今度は脚を閉じさせて後ろに回り込み、長座前屈です。後ろからガンガン押していきます。

 

「曲がらない! ウマ娘の体そんなに曲がらない!!」

「曲がりますよ、がんばれ♡ がんばれ♡」

「耳元で変なことささやかないでください!! うぎっ!!」

 

 ストレッチをしながら、体のゆがみを少しずつ整えていきます。

 当然関節が動いたり骨がたわんだりするのですさまじく痛いです。

 昔よくメイドさんにやってもらったのを思い出します。こういう所から体質改善しないとよくならないレベルでしたからね。とはいえ体がそれなりに出来上がっているハローさんでは痛みに差があるでしょう。まあコラテラルダメージです。

 

「もうむりー!! だれかたすけてー!!」

「大丈夫ですよ。誰もいませんから」

「うわーん!!」

 

 君が!泣いても!ストレッチを辞めない! の精神で最後までやりました。

 ハローさんは終わったときにヘロヘロになっていました。恐らく2、3日はろくに動けないはずです。

 

 

 

 ハローさんが動けない間にルドルフが動いてくれて、担当トレーナーのクロが確定したため速やかにご退場いただきました。いや、まあ犯罪じゃないので警察には突き出せませんが適性ないよねということでいろいろね。社会的にいなくなってもらうのはシンボリの力を使えばそう難しくはないわけです。

 そしてお仕事が回ってきます。担当していたウマ娘の新しい担当探しです。知り合いのトレーナーに頭を下げまくって、大体みんな引き取ってもらいましたが、うちでも一人引き取ることになりました。

 

「ということで新加入のライトハローさんです」

「……ねえマーリン」

「はい」

「もう人数的に無理って言いましたよね」

「はい」

 

 そして理子ちゃん激おこぷんぷん丸です。

 でもだって、未勝利戦なくなるこの時期に、未勝利の子を引き取るのは良識あるトレーナーは嫌がるわけですよ。ボクの知り合いのトレーナー基本皆さん良識ありますからね。とすると、メジロの力を使ってメジロのトレーナーに押し付けるか引き取るしかないわけです。

 さすがにこれに権力使うのは気が引けると、もう自分のところで引き取るしか選択肢がないわけですよ。

 

「ということです」

「わかりました、お説教です」

「あ、あの今からトレーニングもありまして」

「トレーニングしながらお説教を聞きなさい」

「……はい……」

 

 こうして理子ちゃんのお説教を聞きながら一日トレーニングをする羽目になりました。

 腰に巻いたロープの先にタイヤを取り付けて、その上に理子ちゃんを乗せて走り続けるわけです。

 万が一タイヤが傾くと理子ちゃんが落ちて危ないということで、タイヤの上に板と座椅子が固定され、さらに日が当たらないようにと大きめのパラソルまでついた理子ちゃん専用席は、まるでお神輿のような様相で、ボクの後ろ委で一日中説教を続けていました。

 まあ説教だけではなく、走りながらライトハローさんの今後についての相談もします。

 

「で、ライトハローさんのスケジュールですが」

「さすがにこの時期だと厳しいですが、8月末から9月の小倉開催の未勝利に連続で出る予定です」

「なかなか厳しいスケジュールですね」

「もう後がないですからね。他の子らと同じ時期に入ってくれればまだ手はありましたが。とはいえできる範囲のことをやるしかありません」

 

 さすがの理子ちゃんも勝たせるとは断言できないギリギリのスケジュールですが、しょうがないです。

 ちなみにハローさんは現在、チームメイトに集られてストレッチをさせられています。無理がたまっているようですごい音と悲鳴が良く上がっていますが、周りはいつもの事と思って特に興味すら抱いていません。

 

「ひとまず、マーリンの方は自分でトレーニングしてください。時間があまりありませんから貴女の時間を削ります」

「しょうがないですね……」

 

 自身のトレーニングにおけるフォームの崩れがないかなどの確認はラモーヌ姉さまなどに頼めばいいだけなので、理子ちゃんが必ずしも必要なわけではありません。基本的なトレーニング計画はすでにできていますし、必要に応じた変更ぐらいは自分でもできますし。

 ですが構ってもらえないのは個人的には寂しいものなのです。それも自分のせいではあるわけですが。




評価お気に入り・感想お待ちしております

ライトハローのモデルがムーンライトローズという説がありますが、そうすると世代的にはスズカたちと同じ世代だったりします。まあよくわからないので考えないことにしました。

適当にウマ娘についてしゃべるディスコードサーバー
https://discord.gg/92whXVTDUF
そこそこ前から動いているディスコード鯖です。
気になった方はお気軽にどうぞ

ハローさんは未勝利戦を

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