どこかおかしいダスティネス家の後妻は「ほら、私の教育は正しいでしょう?」なんて言っているようです。 作:SUN'S
どうもダスティネス家の後妻です。
元々私は冒険者していたのですが。
いったい、どういう訳なのか前妻様に「あなたになら夫と娘を任せられます」と頼まれてしまったで、そのままダスティネス・フォード・イグニスと私は結婚したのです。
まあ、それはどうでもいいんですけど。私の義理の娘のダスティネス・フォード・ララティーナの教育(冒険者になりたいそうなので)にちょっとだけ苦戦しているところです。
全くほんとに子育ては難しいですね。
「継母様、どうでしょうか!」
えぇ、とても良い太刀筋です。
ララティーナはそう言って私の教えた通りに下町で簡単に買える鋼鉄の剣を真っ直ぐ縦に振るう。この子の飲み込みの早さは素直に素晴らしいもので、並大抵のモンスターなら一撃で倒せるでしょう。
しかし、彼女は攻撃スキルに関して。
まったくと言っていいほど習得していないどころか防御スキルのみを追求しすぎたため、私の教えた剣術は使えてもモンスターに当てることは出来ない。
ハッキリと言えば彼女はまともに剣を使えないポンコツ騎士です。私の教育を受けているおかげで、ほんとに辛うじて戦えているようなものですが。
「継母様、今日も手合わせを!」
…………はあ、良いでしょう。
そう私は呟いて右手を天へと持ち上げ、左手を地へと下げ、ゆっくりと肩幅に足を開く。これは、かつて世界を滅ぼしかけた大魔王の秘奥義たる天地魔闘の構えです。
今のララティーナでは絶対に破ることは不可能と言えるものですが、どうしますか?と彼女に問えば不敵に笑う。
彼女は真っ正面から私に向かって突進する。しかし、だらしない顔で「愚問だにゃあ!」と叫んでいるのは失格です。
「大地斬!!」
はあ、カラミティエンドです。
「ぐふうぇ!!?………んア、アァァッ♥継母様の強烈な手刀が私の腹筋をぶちぬいてぇっ♥堪らんっ♥もっ、もういっかぁいっ!!♥」
そういうところは治しなさい。
私はそう言いながらララティーナの突進を片手で受け止める。あなたの潜在能力は私以上なんですよ?もっと真面目にしないとだめです。
「くっ、しかしですね!私は継母様の一撃を受けるたびに硬度を増しているんです。このまま続ければいずれ継母様の攻撃に耐えうる肉体を!」
そうなると結婚できませんよ?
「ひぐぅっ!?」
私の一言でパタリと倒れてしまったララティーナを持ち上げ、ゆっくりとお屋敷に戻る。明日はアクセルの街に帰ると言っていたはずなのに、この子はほんとに仕方ないですね。
〈ダクネス〉
ダスティネス家の一人娘。
自分の性癖とベストマッチすぎる後妻の事は大好きだけど。あんまり本気で殴ってくれないので少しだけ不満だったりする。ちなみに魔王軍幹部と普通に渡り合えるくらい強い。