転生後はリコリコの常連になりました   作:しがみの

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救出へ

特急車内であったポニテからの電話。それは、ポニテのチームメイト4人のうちの2人が単独任務中に虐殺とも言えるように殺された。私も同じ任務に指名された。

 

あの二人が敵わない相手なら私は何も出来ずに殺されてしまうし、残ったチームメイトも殺されてしまう、といった内容だった。

 

草津の一件で完全に頭から抜けていた。真島一派による地下鉄テロ未遂の後にリコリスが4人殺され、その後に千束も奇襲されたという事件があった。

 

今はこの事件が発生している真っ最中なのだ。

 

俺は、リコリスをただ消耗するだけの作戦を止めるべく、DA本部の廊下を早歩きで歩いていた。

 

向かっている場所はもちろん司令室。作戦に止めるか変更するのには司令に直談判しかないと思ったからだ。

 

「失礼します。ファーストリコリスの近藤結衣です」

 

「何だ、みずほの望んだ温泉旅行が不満だったのか?」

 

開口一番、司令はそんな呑気なことを言ってきた。今俺が聞きたいのはそんな言葉ではない。

 

「いえ、サードリコリスの森川菜々の話です」

 

この俺の言葉に司令の眉がピクっと動いた。やっぱり何か知っているな?

 

「彼女のチームメイトが2人も殺されている任務に単独で向かわせるなんて正気じゃありません!ヒト、モノ、カネ。いったいどれほど1人のリコリスに費やしてると思ってるですか!?どうか再考を!」

 

コレは金をドブに捨てる行為に等しかった。リコリスも金も無限ではないし、リコリス育成も時間がかかる。

 

そして、ずっとテロが無いからって将来テロが起こらないとは限らない。にも関わらずリコリスを使い捨てにしてしまうと、何かあった時に対応することが難しくなってしまう。

 

論理的に訴えたのは、おそらくこの組織はリコリスを使い捨てにする節があるため感情論は全く通じず、リコリスを失うことによるリスクなどを訴えた方が通じやすいのでは?と考えたからだ。

 

「コレはもう決定事項だ」

 

「また無駄死にさせるつもりなんですか?」

 

キッ、と睨むと楠木司令はため息をついた。

 

「これは上層部の決定だ」

 

そう言う司令の姿は、どこか悲しそうだった。まさか、司令はリコリスを守りたい?

 

「応援は出せないんですか!?」

 

「ならばお前が行けばいいじゃないか。ファーストがいれば彼女も心強いだろう」

 

半ば押し付けられたような形だったが、司令から承認は貰えた。司令ってツンデレなんだね♡

 

よーし、おじさんリコリス助けに行っちゃうぞー!

 

「行っていいんですね、言質取りましたよ。後から無しはダメですからね」

 

俺は、司令に一礼すると司令室を出て一度自宅に戻ろうとしたが、司令に呼び止められた。

 

「結衣、市街地でサブマシンガンは使うなよ?」

 

クソっ、バレてたか・・・。やっぱり戦いは火力だよ姉貴!と言いたかったところだが、司令から使うなと言われたなら仕方ない。今回はサブマシンガン持っていくのは諦めるか。

 

 

 

 

 

 

 

司令室を出た俺は、考えながらDA本部の廊下を歩いていた。

 

どうやって2人のサードリコリスを救うか、だ。

 

まずリコリスの格好で真島一派と戦闘

千束でも苦労する相手だ。俺が相手なんてできるわけない

→戦闘で死亡

 

警察に対処してもらう

真島一派は後々押上警察署を襲撃するはずだ。その襲撃は平和ボケした警察では対処できなかったため、今回の現場に呼んだら絶対できない

→太刀打ちできずに死亡

 

俺が一般通過民間人のフリをする

そもそも真島は民間人で一杯の地下鉄に機銃掃射しようとしてた。リコリスを助けようとしても銃撃されるのがオチだろう。

→2人とも死亡

 

あれ?これ俺詰んでね?

 

そもそも千束が電波塔で真島を殺していればこんなことには────

 

 

 

 

やめよう。この話はやめよう。

 

そうしたら元凶は千束に人工心臓を渡した吉松になるし、吉松を消せば良くね?ってなってしまう。しかし、今更吉松を消しても真島は止まらないわよ!状態だし、吉松の心臓は千束の新しい心臓になるから今吉松を消しても逆効果どころか原作崩壊して千束にとっては詰みになる。

 

もうこれ俺が〝突撃ー!バンザーイ!〟ってするしかねーなコレ。ああ、短い人生だったなぁ・・・。

 

作戦決行日は今日の夜遅く。それまでに何とかしよう。いや、何とかしなければならない・・・。

 

俺は頭を抱えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おひさー」

 

ある暑い日の喫茶リコリコ。いつも通り荷物でパンパンなリュックサックを背負い、そして紙袋をいくつか手に持った結衣さんが現れた。

 

「おお〜、久しぶり〜!」

 

「千束ちゃんお待ちかね、草津のお土産で〜す!」

 

「「「フゥ────!!!!」」」

 

結衣さんは高々に紙袋を掲げると、千束を含む数人(主にミズキとクルミなのだが───)が盛り上がり始めた。千束は結衣さんから草津温泉のイラストが描かれた紙袋を受け取る。

 

「ほほ〜う。近藤屋、お主もワルよのォ〜」

 

「いえいえお代官様程ではありませぬ〜」

 

カウンター横のテレビで見た昔の時代劇でありそうな代官屋敷での芝居が急に始まった。しかし、千束ほどうるさくは無いがノリいいなこの人。

 

「ユイちゃん!お代官様と言えば!?」

 

「帯回し!」

 

「たきな!やろう!」

 

「や!り!ま!せ!ん!」

 

結衣さんがお決まりのアレを答えたせいで何故か帯回しをすることになってしまっている。そもそもリコリコの制服は帯ではなくリボンだから帯回しはできないのでは・・・?

 

「それよりも、どうしたんですか?頬」

 

唐突に聞いたのは、帯回しから2人の気をそらすのと単純に私が気になったからの2つであった。結衣さんの頬にはいくつか絆創膏が貼られており、確実に何かがあったことがわかる。

 

「あ、これ?転んだ拍子に金網で切っちゃってねー・・・」

 

あはは、と力なく答える結衣さん。

 

〝嘘だ〟

 

私は直感でそう思った。どう見てもそのようなことでつくような傷じゃない。

 

「災難だったねー。そういや今日はボドゲ大会来る?」

 

「あー、ごめん。これから用事あるんだ」

 

千束は今日行われる常連たちとのボードゲーム大会に参加しないかと切り出したが、結衣さんは少し申し訳なさそうに断った。

 

「また今度?」

 

「うん。じゃあまた」

 

結衣さんは会計を済ますと、いつものようにパンパンになったリュックサックを背負うと出ていった。

 

もしかして今日来たのはお土産を渡すのが目的だったのだろうか・・・?多分そうだと思いたい。

 

 

 

結衣さんがドアを閉めてしばらくたった後、私は千束に小声で話し始めた。

 

「千束、結衣さんのあのキズ・・・」

 

「銃創っぽいよね・・・」

 

「やっぱり今回もそうですよね・・・」

 

千束との相互確認。やっぱり銃創だ。

 

結衣さんは高校生を名乗っているが、高校生にしては大きすぎるリュックサック。それに銃創らしきキズも今回以外に何回かつくったこともある。そんな高校生が日本にいるのだろうか・・・?

 

「結衣さんはどこかの秘密組織のエージェントか傭兵なのでは?クルミに調べてもらいましょう」

 

「うーん・・・。確かにそうだねー」

 

千束は、現状危害が無いなら別に良いのでは・・・?と言っていたが、念には念を、だ。もし仮に彼女が敵だったら厄介だ。

 

そんなことを思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日深夜、港区台場

 

多くの人で賑わう昼間とは違い、ショッピングモールが全て閉まっており、終電も無くなった深夜帯は人の姿がほとんど無い。

 

「森川、どこだ・・・」

 

DAから支給された移動用のステーションワゴン、白色のカローラツーリングの中で俺は辺りを見回す。

 

司令に許可は貰ったものの、上層部にリコリスを助けようとすることを秘匿する目的で俺は任務に参加していない体になっている。そのため、情報はほぼ貰えなかった。

 

仕方ない、臨機応変に何とかするしかない。俺は、頬を軽く叩いた。

 

 

 

 

───気合を入れたのは良いものの、かれこれ30分は現れない。待ちくたびれそうになった俺はハンドルに両腕を乗せ、前のめりになった。

 

スマホはいじれないし、ペアであるみずほは温泉の件で司令といろいろあったことにより別のファーストの部隊に貸し出されて多分過酷な任務に着いている。

 

カーステレオにUSBで接続されているスマホから流れている音楽がちょうど一巡した。

 

 

 

 

 

ヒマだ・・・。

 

 

 

 

このような時なのだが、魔が差してついついスマホに手が伸びてしまう。

 

画面をつけようとした時、目の前の歩道を歩く

男を尾行しているポニテのサードリコリスが目に入った。

 

「森川・・・」

 

そう、地下鉄テロで俺と一緒の班であった森川奈々だ。特急車内での電話の時とは違い、真剣な顔つきになっているが、心無しか元気がないように見える。

 

俺はシートベルトを外し、車から降りようとした。ルームミラーとドアミラーで後方の安全を確認したところ、エンジンはついているがライトを消している黄色のスポーツカーが止まっていた。

 

間違いない、真島の車だ。

 

「始まるか───」

 

俺は、戦いに向けて気を引き締めた。

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