転生後はリコリコの常連になりました   作:しがみの

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予想外の出会い

夜中の公園。真島一味の襲撃から逃げ出すことができた俺は、一人ベンチに座ってバッグに常備している応急処置キットで治療していたのだが、ちょうど治療が終わった時に運悪くファーストリコリスの制服の上に黄色いポンチョを着ている千束に話しかけられたのだ。

 

俺はボロボロになった黒のサマーパーカーで上を隠しているものの、下のスカートは何も隠さずそのままのため、リコリスである千束に見られ、普通にバレてしまうのは当たり前だった。

 

「千束・・・、さん・・・」

 

「おっ、私のことがひと目でわかるのか!」

 

千束はDA内でも有名のため、ほとんどのリコリスが名前を知っているため俺が名を呼んでも特段違和感は持たれないが、千束はほとんどのリコリスの名前を知らない。当たり前だ。一般人が有名人のことを知っていても逆はない。それと同じだ。

 

ただ、千束の姿を見た事無いリコリスは多いらしく、たきなのように初対面では誰だか分からず、呑んだくれのミズキだと勘違いしていたほどだ。だから人目で千束だとわかった俺に興味津々だ。やめてくれよ・・・

 

「え、ええ。写真を見せてもらいましたから」

 

「え?誰誰?」

 

「えーっと、誰でしたっけ・・・?」

 

適当に誤魔化すと、千束が次々に聞いてくる。まあ、基本的に本部にほぼ居ない千束の写真を撮る本部のリコリスなんてほとんど居ないから興味を持ったのだろう。

 

「うーん、まあいいや。で、そのケガどうしたの?任務で?それとも痴話喧嘩?」

 

千束はようやく本題に入ったのか、治療中の俺の横に座ってくる。

 

幸か不幸か、今は夜。顔がよく見えないということや、リコリコにいる時とは髪型が違うこと、いつも着用しているマスクがないこと、そしてとっさに声を変えたことで千束に俺が近藤結衣だということがバレてはいなかった。

 

「襲撃です。男たちに襲われました」

 

「もしかして、単独行動中だった?」

 

千束は、事前に診療所の山岸先生からたきな経由で単独行動中のリコリスが襲われたと言う話を聞いたからか、そのようなことを聞いてきた。

 

「いえ、任務終了後に別任務のあるリコリスと別れて1人になった時に襲われました」

 

俺に関しては特殊な事例だろう。俺が使い捨てされる予定だったサードリコリスを助けたことで目をつけられてこうして襲撃された。

 

「なるほど・・・。リコリコ・・・、私たちの支部、ここから近いから休みに来なよ」

 

「いえ・・・、申し訳ないです・・・」

 

千束はリコリスにとっては安全なリコリコへ案内しようとするが、明るいところに行けば絶対俺の正体がバレるし、それに今の千束は黄色いポンチョを着ている。原作ではこの後の千束は真島一味に襲撃される。さっきの真島のセリフからしても千束を探しているのは明確だった。

 

・・・多分これ行ったら絶対俺ごと襲撃されるパターンだよ。

 

行きたくねぇ・・・。俺は平和に寿命まで生きたいんだ・・・!リコリスな以上ほぼ無理だけどな!

 

「遠慮しないで!同じリコリス、それにファーストなら良いでしょ?楠木さんだって許してくれるよ!」

 

「・・・わかりました」

 

予想以上にグイグイくる千束を見て俺は断るに断れなくなった。理由はそれだけでなく、この後に千束が襲撃されることを知っていながら、俺は見て見ぬふりをして千束と別れるなんてできそうになかったし、千束に〝お前が襲撃されるから一緒に行きたくない〟なんて言えるわけが無い。

 

それに、襲撃も1人よりも2人の方が原作を壊さずとも生存の確率が大幅に上がるかもしれない。

 

もうこの際、俺の正体がバレてもいい。俺がリコリコに正体を隠しているのは、ただ俺がリコリコの常連達と対等な扱いをして欲しかったからだ。

 

別に俺がリコリスであろうがなかろうが俺がリコリコの常連であることは変わりない。それに、正体がバレたって多分いつも通りに接してくれるだろう。多分。

 

変に諦めがついた俺は、千束について行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江戸川沿いの人通りの無い夜道。黒のサマーパーカーを着た俺と黄色いポンチョを着た千束が歩く。

 

もちろん向かっているのは喫茶リコリコ。どうやってクルミを除くリコリコのメンバーに説明しようかをずっと考えているが、なかなかいい案は出てこない。そういうもんだ。

 

「貴女もファーストなんだね」

 

上下一体型のリコリスの制服。 そのため、スカートの部分にも上の制服の色が記されている。そのため、千束は一目で俺の階級に気づくのは当たり前だった。

 

「ええ。千束さん程ではありませんが」

 

俺のこの言葉に千束は〝お世辞は別にいいのに〟と言っていたが、別に世辞でもなんでもなく、ただの事実だ。俺は千束みたいに弾は避けられないし、やりたい放題やっているように見えるがDAを抜ける勇気もない。

 

「本部で見たことないけど、所属はどこ〜?」

 

まさか京都(たきなと同郷)じゃないよねー?と聞いてくる千束。まあ、確かに俺はほとんど本部に居ないし、ライセンス更新最終日など千束が来そうな時は本部にいることを避けるようにしていたため、千束にばったり出会うことはなかった。

 

え?俺のライセンス更新?初日に終わったよ。

 

「一応、本部ですよ。2年前に移動してきました」

 

出身は京都じゃないですが、と補足をする。

 

「じゃあフキとかと行動したりした事ある?」

 

フキ。俺と同じ本部のファーストリコリスである春川フキのことだ。たきながリコリコに飛ばされるまでは同室だったはずだ。フキの第一印象としては、〝いつもカリカリしているおっぱいのついたジョン・コナー〟が1番しっくりくるだろう。ちなみに弱点はミカ先生。フキはミカ先生が大好きでその時だけメスの顔になっている。

 

・・・ミカ先生はリコリコの常連、吉松シンジのことが好きで何度かソッチ系のホテルに出入りしたことがあるとか・・・。つまり、アーッ!♂︎ということだ。どっちにしろ叶わない恋だろう。お気の毒。

 

「何度かは」

 

「ずっとカリカリしてるでしょ?」

 

「いえ・・・、それほどでは・・・」

 

千束がニヤニヤしながら聞いてきたが、別にフキから俺への態度は別に普通だった。チームが別ということもあるし、俺がフキと同じ任務をこなすときには特に異常もなくすんなり終わることが多いからだろう。

 

・・・ま、たきなも千束もフキのチームも問題児ばかりだし仕方ないか。

 

俺の返答を聞いた千束はあまり興味がなさそうにしている。まあ、思ったような答えじゃなければ仕方ないか。

 

千束は、〝へ〜〟と言いながら斜め上を向き、何やら考えてからもう一度俺の方を向いた

 

「あ、貴女の名前、教えて貰ってもいい?」

 

あっ、詰んだ。

 

「えっと〜、蒲焼太郎です」

 

「嘘つけ!」

 

とっさに思い浮かんだ偽名使ったけどすぐにバレた。当然だ。駄菓子の名前だからな。

 

「本当は〜?」

 

千束がニヤ〜としながら聞いてくる。もう本当の名前を言うしかないか、それとも別の偽名を言うか────

 

どうしようか頭をフル回転させていると、千束のスマートフォンがバイブレーションを発した。

 

恐らくこれは、クルミの分析で次の襲撃目標が千束だと判明して、現時点で襲撃されてないかの安否確認の電話。そして───

 

 

真島からの襲撃の合図だ。

 

「もしもしもしもし〜?」

 

『おい、千束!敵の狙いはお前だ!』

 

「え?」

 

千束のスマホからミカの緊迫した声が聞こえてくる。この展開、何度アニメで見たのだろう。

 

と、いうことは・・・

 

俺は耳を澄ましてみた。

 

夜中の東京。近くを通る首都高を走る車達の音、そして近づいてくるエンジン音。

 

振り返るとそこには、日本の自動車産業技術の結晶、日産GT-Rが千束と俺に向かって突っ込んできた。

 

「ちょいちょいちょいちょい!」

 

黄色のGT-Rが俺たち2人に突っ込み、身体が宙に浮いた。

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