転生後はリコリコの常連になりました   作:しがみの

21 / 23
なんか今回めちゃくちゃ長くなりました。


ホームシック

千束襲撃の2日後。襲撃に関する報告書を楠木司令に提出したところ、司令直々に呼び出しがかかり、俺は本部の司令室に訪れていた。

 

「なぜ呼ばれたか、わかってるな?」

 

「は。身勝手な行動により襲撃の標的にされたことや酒井みずほの件でしょうか?」

 

これ以外にも思い当たる節は多い。みずほが毎回やらかしているせいでどれを言っても司令の気に触ってしまうのは防ぎようがないので、腹を括って1番コレだと思う話題を毎回言うのだが、今回だけ司令の反応が違った。

 

「それもそうだが、一連の襲撃犯の首謀者について教えて欲しい」

 

いつもいつもみずほの件について聞いてくるのだが、今回はこの前の襲撃についてだけだった。俺は今回の襲撃だけではなく、2回もサードリコリスを襲撃犯から救ってきた。計3回も襲撃犯と戦っているのなら情報を持ってきて欲しい。ということなのだろう。

 

「はい。首謀者は真島という男です。アロハシャツに黒のロングコート、緑色の髪の毛をしています」

 

真島の名前、千束の襲撃際に手下が叫んでいたことを利用して、名前を伝える。クルミも聞いていたし、この名をリコリコ全員と俺に伝えているから問題は無い。

 

「なるほど・・・。千束たちは顔を見たのか?」

 

敵を探すのにも顔を覚えているのは大切だ。ここから人物画を作成すれば、犯人を早く見つけることができるだろう。

 

・・・その人物画が正確ならな。

 

「はい。特に千束は真正面で攻撃を受けてますので、確認できているかと。この件に関しての報告書は今週中に提出致します」

 

「わかった。今は下がっていいぞ」

 

司令は椅子に深く腰かけ、俺は体制を整える。

 

「は。失礼します」

 

俺は司令に一礼し、司令室を出た。この一件で千束とたきなが後ほど呼び出されそうだが、今はあまり気にしないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令との話が終わり、俺は本部内の食堂に移動した。昼休憩よりも1時間半ほど早いためか、食堂は任務の合間で休憩しているリコリス達や混雑を避けようとして早めに来た一般職員がちらほらと居るだけで空席が多くあった。

 

ショーウィンドウで今日のメニューを確認し、今日はB定食の〝唐揚げ定食〟に決めた。ここの食堂のシェフは元宮内庁の総料理長なだけあって料理は格別に美味しい。ただ、欠点もある。スイーツが作れないため、菓子は全てかりんとうになるということだ。

 

俺のように外で暮らすリコリスにとっては関係の無い事だが、本部のリコリスにとっては死活問題である。事実、本部の周りは国有地の森が広がっているだけで何も無く、菓子を買いに行く時間すらない。せめて買えても任務の帰りだけ。だからここでは甘味の闇ルートがあったりするのだが、・・・それはまた別の話にしよう。

 

「はぁー・・・」

 

俺が定食を受け取り、席を選んでいると、1人のセカンドリコリスがため息をついていた。ボーイッシュな髪型で靴はリコリス用ではなくスニーカー。そう彼女は────

 

乙女サクラだ。

 

たきながリコリコに飛ばされたことによる補充要員として北海道支部から補充されたセカンドリコリス。

 

ため息をつくような子ではないと思ったが、一体どうしたのだろうか・・・。

 

「ここ、いいかな?君は・・・、確かフキのところに来た───」

 

「はい・・・、乙女サクラッス。貴女は?」

 

サクラに許可を貰い、テーブルを挟んで反対側に座る。

 

「私は近藤結衣。ところでなんでため息ついてたの?」

 

「いや、アタシ北海道育ちでこの前本部に移動になったばかりなんですけど、コッチに来たら北海道が少し恋しくなってしまって・・・」

 

はは・・・、と力なく笑うサクラ。サクラが長く住み慣れた北海道の地を離れて半年ほど。ホームシックになっているのだろうか。

 

「せめてご飯とかだけでも北海道のモノが食べたい・・・」

 

そう言いながらサクラはテーブルに突っ伏した。

 

北海道支部ではどのような食事だったのだろうか。ジンギスカンとか食べていたのか・・・?

 

北海道の食事はよくわからない。別に好きでもない店に連れて行って変に気を使わせたくない。

 

それよりも、道民といえば〝アレ〟によく行くイメージがある。よく外を歩きそうなサクラなら行くかもしれない。そう思いながら、サクラに話しかけた、

 

「ねえ、サクラ」

 

「はい・・・?」

 

「ホットシェフって、食べたことある?」

 

俺の問いかけに、テーブルに突っ伏していたサクラは目をキラキラさせながら顔を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サクラとの話からおよそ2時間後。昼休憩に入り、リコリスや一般職員たちが食堂に集まり混雑している。

 

そんな中、女体化ジョン・コナーことファーストリコリスの春川フキが1人、A定食の〝オムライスセット〟を食べており、その向かい側にはミルクティーのペットボトル片手に俺が座っている。

 

混雑する食堂であったが、とても厳しいことで有名なフキとマスクのファーストである俺の2人が座っている周囲だけ、人が少ないような気がするのは気のせいだろうか。

 

・・・今そんなことはどうでもいい。とりあえずオムライスを食べ終わり、味噌汁を飲み始めたフキにある提案をしてみる。

 

「あ?今度の非番の日にサクラを貸してほしい?」

 

「そそ」

 

フキは最初に怪訝な顔こそしたが、すぐに意図を汲んだのかすぐに首を縦に振る。

 

「いや、構わないが司令の許可は・・・?」

 

「もちろん、二つ返事で許可もらったよ」

 

「お前マジか」

 

フキは、少し呆れながら驚いた。わかっていてもここまで行動するリコリスはほぼ居ないし、そもそもサクラに話しかけたのは2時間前。そこから司令に会って話をつけて来たというフットワークの軽さもあるのだろう。

 

「・・・ま、チームメイトの士気向上には仕方ないか。よろしく頼む。お前はあんな噂こそされてるがセカンドサードからの評価は高いからな」

 

元々フキもこのところサクラの調子が落ちていたのは知っていたのか、俺にそう言いながら軽く頭を下げた。

 

「承知しました、ファースト様」

 

「お前もファーストだろ。少しずつ千束に似始めたなお前」

 

「え?私元々こんなんだよ?」

 

「マジか・・・」

 

俺の話し方が千束に近いとフキが嫌そうな顔をしたが、俺の素はこんな感じだということを言ったところ、少し悩み始めた。が、数分後、諦めたのかセットのデザートであるかりんとうを一心不乱に食べ続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サクラとの会話から2日が経った。

 

朝9時と、通勤ラッシュも少しずつ落ち着き始めている新宿駅新南口。広場にあるペンギンの像の前で俺はスマホを操作しながらサクラを待っていた。

 

「おはようございます・・・」

 

「おはようさん!」

 

サクラが少しぐったりしながら現れた。どうやら本部から普通電車で来たらしく、ちょうどラッシュでかなり激混みの中央線に乗らされたのだ。特急で来ればよかったのに。

 

「今日はどこに?」

 

「んー、ちょっと別の県に」

 

「あ、だから制服なんスね」

 

「そ」

 

少し行き先を濁して言う俺と、妙にウキウキしているサクラ。基本的に県外に私服で移動する時の許可は管轄内の地域を私服で行動する以上に許可が降りにくいし、よしんば許可が降りても申請から承認まで膨大な時間がかかるため、許可を早く欲しい時には制服で申請を出した方が通りやすいし時間もかからない。

 

で、それよりもだ。サクラは少しぐったりしながらも少し機嫌が良さそうだ。

 

もしかして、君北海道に行くと思ってない?地方越すと許可は通りづらくなるから今回はやめた。残念だったね。

 

とりあえず、スマートフォン内蔵のICで改札を通り、埼京線・湘南新宿ラインのホームに向かう。

 

今日の向かう先は大宮だ。

 

目の前には行き先が〝川越行き〟と表示された首都圏でよく見る電車シリーズの緑色バージョンが目の前のホームに滑り込んでくる。

 

「あれ?これ空港と真逆の電車じゃないッスか!北海道行くんじゃないんスか!?」

 

羽田空港と成田空港の両空港から離れる方面の電車だということに一目で気づいたのか、サクラがブーブー言ってくる。

 

「いや、私たち本部のリコリスなんだし、任務か異動以外で他地域にはほぼ行けないからね?」

 

今の俺たちは〝関東本部東京支部〟所属のリコリス。他の本部に向かうのは異動以外ほぼ無いだろう。その事を伝えると、サクラは不満ながらも納得する。

 

「そういやそうッスね。で、どこへ?」

 

「ちょっとちょっと埼玉まで、ね」

 

「え?埼玉ですか・・・?」

 

サクラの頭上にはてなマークが浮かんだように見えるほど、サクラは露骨に疑問に思っていた。そもそも埼玉に北海道関連の店があるのかどうかという根本的な疑問すら抱いているのかもしれないが、真相は本人のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

埼玉方面へ走る電車の中、俺とサクラは運良く座席に座ることができた。何駅間かたわいのない話をしていたのだが、ちょうど赤羽駅辺りを発車した時にふとサクラが言い出した。

 

「そういや、結衣さんってマスクのファーストなんですよね?」

 

「ああ。そうだけど?」

 

それは、本部内での俺の通り名についてだった。どうした急に。

 

「なんか色々噂があるんですけど、本当なんですか?」

 

「そんなん嘘に決まってるじゃん」

 

本部内での俺の正体についての噂、口裂け女、サイボーグ、強化人間、ターミネーター、女装リリベル、井ノ上たきなと蛇ノ目エリカの隠し子など変なものばっかり流れているがこんなの真っ赤な嘘だ。最後の方なんて俺の方が年上で1歳差なのに隠し子とかどう考えても嘘な噂が本部内では流れている。

 

いや、おかしいだろ。

 

「誰がそんな噂流したんスかね」

 

「大方みずほだろ。ああいうの好きそうだし」

 

この噂は、面白がっているのか大抵酒井みずほが流している。本部に居づらくなるからやめてくれないかと思うのだが、みずほは聞き耳を持たないどころか変な噂をまた追加させる。(なお、たきなとエリカの隠し子についての噂は流してないと必死に弁明していたが)

 

・・・なんで流すの?

 

「子どもか」

 

「まだ子どもだろ、私たち」

 

「それもそうッスね」

 

俺たちはまだ高校生と同じ年齢。まだまだ子どもなのだ。俺たちは顔を見合わせるとクスッと笑った。

 

「で、件のみずほさんはどうなってるんですか?」

 

「みずほは小笠原諸島に飛ばされた。昨日楠木司令に楯突いてな」

 

サクラはみずほがまたやらかしてどこかにいるのでは?と考え、そう聞いてきたのだが、当たりだ。みずほはまた司令に楯突いて今頃南鳥島で護衛(笑)の任務に着いているだろう。

 

「・・・やっぱりですか。反省しないんですかね、あの人」

 

「多分生まれ変わっても無理だろ」

 

「ッスね」

 

俺とサクラは顔を見合わすと、再びクスッと笑いあったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大宮駅でJR線を降り、ゴムタイヤで走る電車〝ニューシャトル〟に乗り換えたところ、辺りはビル街からどう見ても住宅街にしか見えない場所に景色が変わっていった。

 

降り立ったら今羽駅というどう見ても田舎の高架駅の周りには住宅街しかない。

 

そんな光景に少し不安になったのか、サクラがふと口にした。

 

「何にもない普通の住宅地ですね・・・。本当にここに北海道のコンビニがあるんですか?」

 

「ほら見ろ」

 

俺は、未だに疑問に思っているサクラに目の前のコンビニを指さした。

 

「あ、アレは・・・!」

 

サクラの視界に入ったのは、北海道最大のコンビニチェーン特有のオレンジ色の鳥のマークが描かれた看板、茶色のホットシェフの看板。

 

サクラにとっては北海道にしか無いはずと思い込んでいたチェーン店がそこにあった。

 

「本物ですよね!目の錯覚じゃないですよね!」

 

「ああ。品揃えは関東仕様になってるから少し違うと思うがちゃんと北海道のコンビニだぞ」

 

「うひょ───!!!」

 

サクラは舞い上がり、コンビニの店内に向かってダッシュして行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物が終わり、コンビニのイートインスペースには俺とサクラの姿があった。

 

俺も、サクラも朝食は少しで済ませたため、弁当を食べる余裕はある。

 

俺の買った物は海鮮サラダとザンギ弁当、お茶と控えめであったが、サクラはカツ丼、フライドチキンにPBのガラナと、焼きそば弁当といった、全部食べたら胃が悲鳴をあげること間違いなしな数だった。

 

なのにも関わらず、サクラはカツ丼の封を空け、焼きそば弁当にはお湯を入れ始めている。

 

「いや〜、これッスこれッス!」

 

「お前マジか」

 

そんな様子なのにも関わらず、普通にカツ丼を食べ始め、焼きそば弁当にお湯を入れて3分経った時には食べるのを一時やめ、焼きそばを作り始めるサクラの姿を見て俺はドン引く。というか食べ切れるのかどうか不安だ。

 

「これ、これッス!」

 

そんな不安を他所に、サクラはカツ丼を食べるのを再開し、カツ丼のプラスチックの容器が空になるとサクラはあらかじめ作っておいた焼きそば弁当を食べ始めた。

 

コイツの胃袋ブラックホールかよ。

 

「懐かしい味っス!寮で隠れて夜食で食べてたことを思い出す・・・」

 

焼きそば弁当を食べながらガラナを飲むサクラは、突然ポロポロと涙を流し始めた。

 

「あれ・・・?おかしいな・・・。なぜか涙が止まらない・・・」

 

サクラは何度か涙を拭くが、涙は止まらないどころか量が増えているように感じられる。

 

「・・・ほら」

 

俺はサクラに身体を向けると、両手を広げた。それを見たサクラは、無言で俺に身体を預けてきた。

 

見知った顔のいる北海道から単身、見ず知らずの土地に引っ越すことを余儀なくされたサクラ。1人では色々不安なことも多かったはずだ。

 

アニメ内でのサクラはいつも強気でチームメンバーやたきなに色々言っているのだが、それはこのような弱い自分を隠すためだったのかもしれない。

 

俺の胸に顔を埋め、すすり泣くサクラは、歳相応に見えた。

 

彼女はまだ15歳、まだまだ子どもなのだ。

 

俺は、しばらくサクラの頭をゆっくりと撫でたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、ありがとうございました。恥ずかしい姿をお見せして・・・」

 

サクラは、俺の体から離れると手で涙を拭くが、まだ下を向いているためどんな顔をしているかはわからない。

 

「大丈夫大丈夫。フキじゃ、こんなことできないでしょ?」

 

サクラはフキとの同室。結構フランクに接することができているみたいだというのは、アニメでも今でも同じであった。フランクで接することができても自身のことはあまり言いたくないみたいだ。

 

「・・・はい」

 

サクラはそう言いながら顔を上げる。目を赤く腫れさせているが、少しスッキリしたような顔だ。どうやら吹っ切れたらしい。

 

「ほら、冷めないうちに食べちゃいな」

 

サクラは、俺が差し出したポケットティッシュで鼻をかむと焼きそば弁当の残りを食べ始めたのだった。

 

 

 

 

 

それから15分後。コンビニ飯を食べ終わった俺たちはコンビニを出て駅に向かって歩いていた。時間はまだ12時にすらなっていない。

 

「まだ時間あるし、次どこか行く?」

 

「リコリコに行きたいです。甘味を食べに」

 

サクラはそういうと〝へへ・・・〟と言いながら頬をかいた。俺はほぼ満腹になっているのに、どこにそんなに入る余裕があるのか気になってしまう。

 

あれか?甘いものは別腹ってことか?

 

そう考えていると、サクラが〝それと・・・〟と、繋げてきた。

 

「たきなさんに謝りたくて・・・」

 

そう言うサクラは、少しシュンとしていた。弱みを見せた相手だからできるのか、今のサクラは少し大人しめである。

 

「いいよいいよ!今日はお姉さんがなんでも奢ってあげるから!」

 

「ありがとうございます」

 

俺が胸を張って言うと、サクラは柔らかい笑顔で答えた。

 

・・・サクラがこのような顔をするなんて意外だ。なんというか、パッと見では儚げは少女のような顔なんてするような印象ではない。

 

「何なら、私の事〝お姉ちゃん〟って呼んでも良いんだよ?」

 

「それはまだちょっと・・・」

 

調子に乗った俺の提案にははは。と、少し照れながら答えるサクラ。

 

少し〝ん?〟と思ったが、すぐにサクラが声を被せてきた。

 

「それより早く行きましょうよー!」

 

「ん?ああ」

 

急にいつもの調子のようになったサクラ。俺の頭の中にはクエスチョンマークが多数浮かんでいるが、いつのも調子に戻ったのならヨシとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ、珍しい組み合わせ」

 

リコリコに入るやいなや、千束がそう言いながら出迎えた。店内はガラガラどころか、客は1人も居ない状態だった。

 

「結衣さんはいつもので大丈夫ですか?」

 

「うん、大丈夫」

 

たきなは、俺にはいつもの笑顔で対応しているが、サクラに関しては作り笑顔で対応している。

 

「で、何しに来たんですか?」

 

「甘味を食べに」

 

「そうですか」

 

席に案内してくれるたきなの口調に若干棘を感じる。まさか2人ともサクラが苦手なのか、嫌いなのか・・・。あの百合ゴーランド回の時に言われたことまだ根に持ってる?まあ、持ってるだろうな。

 

記憶は朧げだが、確か〝お前の席ねーから!〟みたいなことを言われていたような気がする。こんなこと言われたら根に持つわな・・・。

 

「その・・・、今時間大丈夫ですか・・・?」

 

「・・・?はい。大丈夫ですが・・・」

 

たきなは疑問符を浮かばせながらその場に立ち止まる。

 

サクラは下を向き、両手に握りこぶしをつくり、何回か呼吸をする。

 

なかなか言い出せる勇気が無いみたいだ。

 

しばらく下を向いていたが、覚悟を決めたのかガバッと顔を上げた。

 

「ごめんなさい!」

 

謝り、すぐに頭を下げるサクラ。

 

「その、無意識なアタシの言動で不快に思わせてしまって・・・。ダメですよね。許されるとは思ってませんが、謝らないと始まらないので・・・」

 

誠心誠意謝ればたきなは本気で誤っていることをわかってくれると考えていた。が、正直、クラはたきなに許してもらえるかどうかは分からなかったため、不安で身体が震えている。

 

「別に・・・、私は気にしてません。だから顔を上げてください」

 

たきなが柔らかい笑顔で言うとサクラは〝本当ですか!?〟といったような顔でたきなを見る。

 

「でも、その性格は不快な人を多く作ると思うので気をつけてください。私は気にしてませんけど。ええ、気にしてませんけど」

 

ニッコリと笑いながらそういうたきな。

 

いや、根に持ってるから!これ絶対根に持ってるから!サクラ気づいて!

 

「・・・はい!よろしくお願いします!たきなさん!」

 

ただサクラは気づいていないのか、満面の笑みでたきなの顔を見る。

 

「よろしくお願いします。ただ、任務で一緒になることは少ないですけどね」

 

「それもそうッスね!」

 

そこから、たきなとサクラのたわいのない会話が始まった。

 

・・・いや、これサクラ絶対気づいてないわ。

 

俺は苦笑いで千束の方を見ると、千束も苦笑いをしていた。

 

「・・・上手く行きそうじゃない?」

 

千束はどこをどう汲み取ったのか、冷やかしなのかは知らないが、そんなことを言ってきた。

 

「・・・そうか?」

 

俺は、疑問形で答えを返すことしかできなかったが、確かにサクラは反省してるし、たきなも随分と柔らかくなった。これなら上手く行きそうかもしれない。

 

そう感じた俺は、2人の話に聞き耳を立てながら甘味が来るのを待つことにしたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。