転生後はリコリコの常連になりました   作:しがみの

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旧電波塔の下で

私、錦木千束は私服姿北押上駅B3番出口でたきなを待っていた。

 

というのも、昨日の昼にユイちゃんが〝たきなちゃんのパンツがトランクスだ〟と普通に考えたらとち狂ったのではないかと思うようなことを言い始めたところから始まった。

 

最初はみずほちゃんも何言ってんだこいつ見たいな目で見ていたが、必死そうに説明するユイちゃんの姿を見て私もみずほちゃんも〝もしかしたら・・・?〟と思うようになり始めた。

 

その日の夜、私はVRの対戦シューティングゲームをやっていた。〝FUKI(フキ)〟というムカつく名前の対戦相手と戦って負け、悔しがっていた時だった。

 

たきなが外出から戻ってきた。

 

ちょうど良かった。私はたきなにVR装置とコントローラーを渡してかたきをとってくれと頼んだ。というのも、この〝フキ〟という名前は、DAにいる私と同期で犬猿の仲であるファーストリコリス、春川フキと同じ名前だからだ。

 

たきななら勝てる!そう思いながらプレイする様子を見てみることにした。

 

たきなは最初は困惑しながらも徐々に慣れていき、敵を圧倒し始めた。

 

よし、よし!勝てる!

 

そう思った瞬間、たきなが飛び上がった。スカートがひらり。中がバッチリと目に焼き付けられる。いや、焼き付けられてしまった。

 

制服よりも濃い紺色のトランクスに。

 

 

 

 

 

 

とりあえずだ、ユイちゃんの言ったことは間違いなかった。後で謝っておこう。

 

いやいや、それよりもだ。先に行うことがあるだろう。

 

そう、〝たきなのパンツ購入ミッション〟だ。これは非常に由々しき問題。これを直ちに完遂しなければたきなの下着はずっとトランクスだろう。年頃の女の子にこれは避けなければ・・・。

 

とにかくだ、たきなに今の下着の異常性を教えるためにユイちゃんとみずほちゃんの2人も誘うことにしよう。多分2人ともパンツは普通のだろう。絶対トランクスでは無い・・・と、信じたい。

 

 

 

 

ということから、私たちは今日押上の旧電波塔下のショッピングモールで買い物をすることになった。

 

そう、することになったのだが・・・

 

〝ごめん、用事が出来て行けなくなった〟

 

そう、ユイちゃんとみずほちゃんが急な用事のせいで来れなくなってしまったのだ。何故だ・・・。

 

うんうんと予定を考え直していると、「お待たせしました」と言いながらたきなが寄ってきた。

 

たきなの私服はどこかのロゴTシャツにジャージのスボン。センスどうこう以前の問題だった。普通にダサい。

 

しかも、たきなが背負っているカバン。あれはリコリスが背負うサッチェルバッグ。十中八九銃は入ってるだろう。

 

「銃抜くんじゃねーぞ?」

 

とりあえず、警告はした。私服姿で銃を抜くと問答無用で逮捕されるからだ。

 

・・・一般人の2人がいたら注意できなかったため、なんとも言えない複雑な気持ちになってしまったのだった。

 

 

このまま沈んだ気持ちのままではショッピングを楽しめない。私は気を入れ替えてたきなと2人きりのショッピングに繰り出すことにした。

 

 

まずは私服の購入。クソダサ私服のたきなを変えるため、たきなを着せ替え人形にしてたきな的にビビっと来た私服を購入したり、メインのパンツの購入を行った。その後は旧電波塔近くでパンケーキを食べに行ったり、水族館で魚の鑑賞・・・。などと、結構楽しみな休日にすることが出来たと思う。

 

しかも、水族館での魚の鑑賞の時に私がチンアナゴのポーズをしたのだが、後ほどたきなが恥ずかしそうにさかなのポーズをやったのがめちゃくちゃ面白かったし、たきなの横で私もチンアナゴのポーズを披露した。めちゃくちゃ楽しかった。ネタにできそう。

 

おそらくたきなにとっては初めて自由に外出する休日。もう夕方になってしまっているけれど、まだまだ時間はある。もっともっとショッピングを続けよう。

 

 

 

 

 

 

 

気づけばショッピングモールの近辺にはリコリスが何人も居た。全て白色のサードリコリス。

 

そのサードリコリスの中に1人だけ赤色のファーストリコリスの姿があった。

 

「・・・!」

 

ファーストが来る事態は、かなりヤバめな事案が発生するのだろう。

 

誰が来てるのか気になり、ファーストリコリスの顔を見ようとしたが、セミロングの黒髪に隠れた横顔では誰が誰かはわからない。だが、あの髪型は少なくともフキでは無い。

 

ただ、1つだけわかったこと。

 

それはリコリスにしては珍しく、夏場の暑い日でもマスクをしていたことだった。リコリスがマスクをするのはほぼ確実に冬場の風邪予防か普通に風邪をひいている時だけだ。

 

前者はともかく後者はほぼリコリス寮の中に缶詰にされる。病人なんて現場に出すなとの判断だろう。

 

私は物珍しそうにそのファーストをしばらく観察した。何故か彼女の姿に既視感を覚えたが、そんなはずないと割り切った。

 

「千束?どうしました?」

 

そんな様子の私を見たのか、たきなが不思議そうに問いかけてくる。

 

「いや、マスクしたファーストが居たなぁって・・・」

 

「もしかして、マスクのファーストですか?」

 

「マスクのファースト?」

 

たきなはどうやら心当たりがありそうな感じだった。

 

「はい。東京支部では有名な噂です」

 

そう言いながらたきなは続ける。

 

マスクのファースト。東京支部所属のはずなのにリコリス寮に所属していない。DA内を歩いているか作戦の時のどちらかでしか見ることのできない謎の少女───

 

「───という噂です。そのファーストが居るということは間違いなく何かの作戦が実行されているのでは!?」

 

たきながリコリスの群れに向かおうとしたのだが、咄嗟に腕を掴んで引き止める。

 

「待って待って!今制服じゃないから何も出来ないよ!」

 

「でも!」

 

「捕まりたいの!?」

 

「────はい」

 

たきなは何かあったのかと気にしていたが、今は私もたきなもリコリスの制服を着ていない。首を突っ込んだら間違いなく面倒になることがわかっていた私はたきなをどうにかしてなだめ、再びショッピングを楽しむことにしたのだった。

 

 

その後、帰宅する時には大量のリコリスが居たはずの駅前は群衆と報道陣で埋め尽くされていた。

 

 

 

───地下鉄駅が警察の規制線により封鎖されていた。パッと見で爆発事故かその類があったように推測できる。

 

辺りには救急車、消防車、パトカーといった緊急車両が勢揃いしており物々しい雰囲気を出していた。

 

確実に中で何かがあった。戦闘は確実だろう。一体何人のリコリスが亡くなったのだろうか。あのファーストの子はどうなったのか。色々考えてしまう。

 

一人でも多く助かっていて欲しい。そう願わずには居られなかった。

 

 

 

 

 

そこから2週間ほど、ユイちゃんはリコリコに来なかった。

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