脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前書き
量産型ニケのモデル?なエイブ。
後のグレイブかな?どういう経緯が……
シンデレラ以外のニケも、どうなったのか。
一部、ヘレティックになってそうで。何にせよ、救いが無さそうでツライさん。
一方、何かしら謎解明への手掛かりが得られたら良いなぁとも。原作設定は取り入れたいですからね……


102.反抗

 

 

「先進技術研究所から緊急連絡です」

「何? 繋げ」

 

 

引退間近、年老いた総司令部参謀の元へ、1本の電話が入る。

相手は先の英雄、ストーム1の相棒であり、多くの新兵器を次々と作り出しただけでなく、タイムリープで有益な情報を提供した事で人類の勝利に貢献したプロフェッサーだ。

そんな実績ある彼からの緊急連絡。 聞かない訳にはいかなかった。

 

 

『参謀。 重要な話があります。 人類の命運を左右する程の情報です』

「まさかプライマーの続きか? だが、火星文明はオペレーションΩで消えた筈だ」

『それとは別の侵略者です。 未来ではラプチャー、と呼ばれています。 人類を圧倒し、開戦から約5年後には、地上の人類は駆逐されます』

「それほどか。 また繰り返すのか」

 

 

一難去りまた一難。 度重なる災難。

地球は、EDFは、人類は呪われているのか。

あとどれだけの犠牲を払えば良いと言うか。

終戦で軍縮へ舵を切る最中だというのに、新たな戦争の気配に思わず頭を抱えてしまう。

 

 

「情報が真実ならば……いや、君の事だ。 間違いがないとみよう」

『ありがとうございます。 再び人類の叡智を結集する時です。 出来る限りの事を尽くします』

 

 

そうは言うが、プロフェッサーの事だ。

知らない所で、またも散々な苦労をしてきたとみる。 それも理解が及ばない、想像を絶するものだ。

その苦労に僅かにも応えるには、真摯に受け止め、対応するしかあるまいて。

 

 

「それで、敵の、ラプチャーとやらの正体はなんだ。 いつ攻めて来る?」

『正体は未だ掴めていません。 ですが間も無く攻めてくるものと思われます。 真っ先に狙われるのは宇宙港や軌道エレベーターといった宇宙に関連する施設です。 それをお伝えする為、先の大戦同様、未来より戻ってきました』

 

 

まだタイムリープ回数が浅いのか。

ラプチャーの正体を掴まない内に、開戦間際の時代に来たようだ。

逆に言えば、行き詰まり、そうするしか無い状況ともとれる。 思っている以上に事態は深刻か。

 

 

「出来たなら、もっと早くに知らせて欲しかったが……やんごとない理由だろう。 分かった。 今ある戦力で、防備を固めよう。 同時に戦力の増強をせねばな。 エリシオンといった大企業、他の政財界にも声を掛け、再び世界を動かすぞ」

『ありがとうございます。 それと、ラプチャーに有効な人型兵器の情報も送ります。 プライマーが酷使していたアンドロイドのように、生体部品を使用するという、倫理的に受け付け難い代物です。 ですが、そうせざるを得ない状況に追い込まれます。 であればこそ、早期に着手したいのです』

 

 

その簡易な説明だけで、倫理的に反しているのは容易に理解出来た。 それでも必要になる。 プロフェッサー程の人物がそう言うのだ。 本当に人類は追い込まれるのだと分かる。

 

 

『証拠が必要ならば、共にタイムリープしたストーム1や、ベース228の、ある兵士の脳をディープスキャンして下さい。 この情報と合致した記憶を読み取れる筈です』

「分かった。 様々に優遇し、手配を回そう」

 

 

暫し問答があった後、通信を終える。

後に残る静寂。 重々しい、嵐の前の静けさ。

 

 

「……絶望は何の役にも立たない」

 

 

言葉は、空虚に響くばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「応戦せよ! 歩兵はコンバットフレームを守れ!」

 

 

激しい銃火。 砲撃。 硝煙弾雨。

その合間を抜い、ワイらベース228の隊員は必死の抵抗をする。

 

 

「なんだコイツら!?」

「まさかプライマーなのか!?」

「馬鹿な! "無かった事"にされた筈だ!」

「β型、いやキングを機械にしたような見た目だ! なっ、実弾や光学兵器を搭載していやがる!?」

「なんという装甲と火力、銃が豆鉄砲だ!」

 

 

混乱に陥る中、それでも生き延びる為に銃撃を浴びせる新兵たち。

だが、訓練や警備用に格下げされとる旧式自動小銃PA-11ではラプチャーの装甲は破れない。 表面に火花が散るばかりだ。 それでもEDF製だからか、装甲が薄い部分に集中砲火すれば何とかなる強さはあるが、この混乱の中、そこまで出来る統制を強いるのは酷というもの。

一方、何人かの階級高めなベテラン隊員は量産型原子光線銃ブレイザーを持って脚部に照射、転倒させて後続ごと怯ませており、武器や練度の差が見て取れる。

 

 

「歩兵はコンバットフレームを援護せよ!」

「イオタ1、起動シーケンスに入る!」

 

 

そんなん分かっとる。

生身の歩兵銃で何とかなったら、5年やそこらで地上パクられとらんわ。 ワイ、1周目の時はその辺も知るよしなく、碌な訓練を受け取らん青臭い新兵のままに発狂棒立ち撃ちという自殺行為をし、めでたく被弾、重篤となって助かる見込みが無かったのか、リサイクル感覚で脳みそ抜かれて保管され、やがて量産型ニケのプロダクト12の頭にハメられ、メス堕ちルートを歩む羽目になった。 ツライね♡

 

 

「とりま戦車砲は効く筈なんよ!」

「おい、新兵! 何処に行く!?」

「お前、入隊したてで操縦を知らないだろ!」

 

 

構わず格納庫に駆け込むワイ。

鎮座する都市迷彩の戦車、バリアスTZ3に乗り込み、素早くエンジン始動。 パネルで130ミリ高圧多目的榴弾砲の搭載、残弾確認、 砲塔ヨシ。 使える。 整備士に感謝。 本来の戦車兵にスマンやでと操縦桿を倒す。 スリッドから見える僅かな正面視界のまま、勢い良く格納庫の扉をぶち破り、ラプチャーの群れと対峙する。

 

 

「なっ、お前……なんで操縦出来る!?」

 

 

構わず照準、トリガーを引く。

ドゴォン、と轟音が響く。 瞬時に着弾する弾速、揺れる陽炎。 爆炎に沈む銀色ボディの初期型ラプチャー。 が、その残骸を乗り越えて次々と群れが押し寄せる。 思わず悪態を吐く。

 

 

「くそっ、これでも斥候なんやろ? 本隊は今頃宇宙港や軌道EVを侵攻中か! そっちは大丈夫なんか? こんな短期間でプロフェッサーは上手くやったんか? いや、今は己の心配か! またニケになって復活出来る保証もない!」

 

 

基地外縁を走行しつつ撃つのをやめない。

まだエブラ粒子による電子機器障害が無いのでレーダー確認、車上の360度円筒カメラを駆使、索敵しつつ近い敵に砲身を向けてカチッ、カチッと操縦桿のスイッチが押される度に車体が反動で揺れ、爆炎がラプチャーを包み込む。 捌ける数では無いが、引き付けてコンバットフレーム起動までの時間は稼げる。

 

 

「コストの関係なんか、武装が主砲1本勝負とか攻めてんなホント。 タイタンの操縦席のように補助機銃も撃てるようにするとか、自走レールガンにあるような自衛用機関銃とか付けてくれんかな!?」

 

 

引き撃ちしながら文句たらたら。

そないあっても、ラプチャーに効果はないかも知れんが、無いよりマシ。 いやまぁ、今は無い物ねだりしてもしゃあないが!

そうこう戦ってる間も、オープンチャンネルで様々な声が聞こえてくる。 多くはワイの行為への困惑、驚愕やった。

 

 

「新兵が敵の機動兵器を引き付けてくれているぞ! 随分と戦い慣れてやがる!」

「なぜ、新人がこんな事を出来る?」

「援護しろ!」

「敵が何者か知らないが、基地を攻撃した事、後悔させてやる!」

「負けてられねぇ!」「アイツに続けッ!」

「EDFッ! EDFッ!」

「エイレン型コンバットフレーム、イオタ1起動した! 敵ロボットを食い止める!」

 

 

士気旺盛の中、遂にコンバットフレームが動き出したらしい。 カメラ越しに見渡せば、敷地で降着姿勢を取り続けていた青い人型機体達、第6世代型強化外骨格が次々と立ち上がっている。

次には両腕にマウントされた電磁レーザー砲が唸りを上げ、押し寄せるラプチャーの重厚な装甲を抉りとっていった。

随伴歩兵も、この隙に個人携行火砲、無反動砲のグラントロケットランチャーを撃ち込み、ラプチャーの巨体表面を爆ぜる。

 

 

「全てのロボットを排除せよ! 1体たりとも残してはならない!」

 

 

EDFが優勢と見たか、無線、基地スピーカー両方から基地司令官の威勢の良い声が響いた。

正史じゃ、ここまで生き延びてないからどうなったか知らんが、とりまこの世界線じゃ基地防衛に成功したか。

 

 

「恐ろしい兵器だった……プライマーのハイグレードタイプを思い出す」

「ああ、経験が生きたな。 だがブレイザーやコンバットフレームの集中砲火に暫く耐えるとは」

「EDFの最新鋭の装甲にすら穴が……」

「今、ベルサイユ基地の友人から連絡があった。 恐らく世界中がこんな有様だぞ」

「デマに惑わされるな。 冷静に対処しろ」

 

 

浮き足立つ者、興奮、冷静さを保つ者。

新兵もベテランも等しい環境下に置かれてく。

ワイはそんな空気を他所に、弾切れのバリアスを乗り捨て、赤ヘル着用の上官の元へ駆け寄り敬礼をしておく。 今後はどうなるのか。 少なくともニケになろうと生き延びて、ピナやプロフェッサー、願わくばストーム1とも合流したいところやが。

 

 

「新人、良くやった。 どこでそれほどの腕を身につけた?」

「はっ! 技研主任プロフェッサー、かの英雄ストーム1共々、タイムリープをしてきた為であります、サー!」

「どうやら、話を聞いた方が良さそうだな」

 

 

話が早くて助かるワイ。

普通の人なら、頭がおかしい奴だと思われて病院を勧められて終わっている。

そうならなかったのは、ワイの戦闘技能やネームバリューのお陰やな。

 

 

『こちらプロフェッサー。 聞いているな?』

 

 

突如、無線が響き、慌て応答。

 

 

「プロフェッサー! 記憶あるんか?」

『そっちもある様だな。 ひとまずタイムリープ成功だ。 だが安堵する暇はない。 今、軌道EV周辺は激戦区だ。 最高位の作戦コードにより、動ける者が応援に向かっているが、正直奪還は厳しいだろう。 それでも向かって欲しい。 何でも良い、奴らの手掛かりが必要なんだ』

 

 

向こうも忙しいのか、矢継ぎ早。

此方も迷う暇はないかと、ふたつ返事。

 

 

「了解。 こっちの先輩方と相談になるんやが、向かえるモンは向かう腹や」

『感謝する。 君専用の武器装備を届けさせる、健闘を祈る』

 

 

直ぐに無線が切れた。

ワイ、上官に向き直って願う。

 

 

「……という訳で、何とかなりますかね」

「色々と急展開だな。 だが、分かった。 何とか基地司令に掛け合って、旧式でも良いから装甲車両グレイプなりN9ヘリなりの足を使わせて貰おう」

「ありがとうございます。 期待してます」

 

 

さて、問題は続くが。

胸元や股間が落ち着かないのは、脳内ナノマシンによる制御が無いせいにしとく。

それでも昔のワイみたいに発狂したり泣き叫んで戦闘から逃げられる時は逃げる気持ちが希薄なのは、まぁ経験が生きとるんやろなって。

 

 

「新人、話がついた。 戦闘ヘリのヘロンYG20Eの使用許可を得た。 動かせるか?」

「はい。 たぶん、問題ないっす」

「よし、行って来い。 俺達も後から向かう。 死ぬんじゃないぞ」

 

 

激励に返礼し、ワイはヘリの場所へと向かう。

まだ始まったばかり。 いや始まってもない。

 

量産型ニケが生まれるのは約4、5年後の戦争末期やが、この世界線ではどうなるのか。

 

その時、ワイの脳は機体に換装するんか?

 

何にせよ、それぞれの場所で悪足掻きは続く。

 

人類よ、運命に抗え。




後書き
歴史、兵器などアレコレ妄想しつつ。
体調不良の中……皆さんもお気を付けて。
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