許さん。許さんぞ犯人! おのれ狂人め!
貴様の所為でシンデレラは汚名塗れや!
ある意味で歴史の特異点かも。
アンチェインド発見経緯、他のヘレティックがいた可能性、クイーンの正体、リリスの最後、第2世代の行方等、謎は残りつつ。
第2世代含むフェアリーテールモデルの資料は意図的に破棄されていたようですね。ゴッデスの名前は象徴として残しつつ、敗北した記録まで残すと、士気がガタ落ちどころか希望そのものが無くなるというのもあり。
*ストーム4も出したい……
アナキオール鎮圧作戦が始まった。
エブラ粒子漂う雲海を、空軍のKM6戦闘爆撃機が囮となりて突き抜ける。 挑発気味に横切られたアナキオールは、ソニックブームで舐められた礼をする為に追撃開始。
ミラーコンテナから放たれた光学誘導弾が執拗なまでに編隊を崩し、丁寧に撃墜。 何人かはペイルアウト。 また何人かは機体と運命を共にし、火の流れ星となりて地上へ還る。
圧倒的な差……不利……恐怖。 それらを存分に味わい、無力感に蝕まれながらも、散った仲間の為、これからの為、パイロットは恐怖に抗い作戦を続行する。
エブラ粒子による電子障害を利用、欺瞞装備のフレア代わりにエブラ粒子を後尾に撒き散らし、有視界戦闘に賭けて雲の合間を縫い、相手に当てさせないよう逃げ延びる。
その甲斐あり、辛うじて数機の機体が陸軍の待ち伏せポイントまで到達。
同時に海軍の支援可能領域に到達。 潜水母艦から放たれたライオニックミサイル群や巡航ミサイルが戦闘機とすれ違う。
刹那、アナキオールの周囲で爆散。 一瞬怯む彼女。 本部はすかさず声を上げた。
「戦闘開始!」
堰を切る。
煙が晴れるより前。 彼女を取り巻いた各々のトリガーが引かれ、無数の弾丸や光線が彼女の体を射止めんと唸りを上げて群がった。
「ありったけ! ありったけやあああ!!」
「エンカウンターッ!!」
ツライとピナらのエイレンからは粒子ビームや電磁レーザーが。 対空車両からはミサイルや機関砲弾の弾幕が。 大型兵器のEMCからは高出力の極太レーザーが放たれる。
申し訳程度に戦車砲も混じり、火力を底上げ。
「ピナ、撃ち続けろ! 格上相手や! 集団の内に一気に攻め立てにゃ!」
「伊達に何百年と生き延びてないよ!」
空で交差する弾丸。 全てはただ1体相手の為に。
「流石にこんだけの火力ならば……何!?」
全ては一瞬。 アナキオールも不意打ちを続けて受け、攻撃を避ける間も無く被弾。
それでも特殊装甲は抜けない。 盾兼武装のガラスの靴が攻撃を防ぎ、ボディに到達出来た弾丸も食い込むには至らない。
「嘘やろ!? 山が蒸発するレベル喰らって、何故無事なん!?」
「特殊装甲がここまでなんて。 EDFも改修して火力が上がっているというのに」
攻撃を続けながら、ツライとピナら驚愕。
メインカメラ越しの彼女は、四方八方から攻撃を受け続けている。 表面に無数の爆煙と火花を散らしている。 ところが傷ひとつ無い。 苦悶の表情もない。 無表情の紅い目は痛痒に思っていない。 時々怯んで見せる程度。
「フェアリーテールモデルとはいえ、この装甲はチートやチート! エイブのクソアマめが、なんちゅう機体を開発してくれてんねん!?」
「褒め言葉も、今は嬉しくないな」
「褒めてねぇから!」
ツライが心から叫んだ。
周囲もそうだそうだと絶望の表情。
けれど、それを鼓舞するは本部の通信。
「諦めるな! 第2世代攻撃を開始せよ! 続いてゴッデス! メインはこれからだ! 突入してパーティを終わらせろ!」
知ってか知らずか。
この対策に同様のフェアリーテールモデルを連れて来ているのを忘れてはならない。 ゴッデスと第2世代が待ってましたと躍り出た。
「ヘンゼルは初陣がシンデレラ相手なのは悲しいけど、グレーテルはゴッデスと共闘で嬉しいって言ってるわ」
「あぅ……!」
「ああ、アナキオール。 こんなにも強く美しく……その力に挑ませて貰います!」
レッドシューズは初陣故か恍惚としながらも、名にある通り、靴の力で高く飛んでは蹴りを入れる。 だが瞬時にガラスの靴が盾となり、難なく受け止めてしまう。
「流石……ッ! これくらいは余裕ですか!」
その間にヘンゼルとグレーテルは、専用武装の魔女のかまどを用いてエネルギー弾を調合。
「「喰らえ」」
レッドシューズが離れた隙に発射。 人影を消し去る勢いの極太光線がアナキオールを飲み込んだ。
どさくさに紛れて、リトルマーメイドが液体金属を周囲に展開。 人影が揺れるのを見るや、隙を突いて付着させた。 刹那。
「『停止』」
触媒とし、言霊による機体制御を試みる。
一瞬硬直するアナキオール。 が、直ぐに制御を取り戻すも。
「任せろ!」
レッドフードが高速で接近、レーザー弾幕を避けると、至近距離で専用の対物ライフルを撃ちまくる。
距離、威力……硬直からの立ち直りから避け切れず、盾の1枚が大破。 ミラーコンテナの1つが潰れ、火力が大幅に下がった。
その隙をドロシーのライフルが、スノーホワイトのセントリーガンの弾丸が雨霰と彼女の体に突き刺さる。 機体は踊る様に激しく揺れ、赤く染まっていく。
「急いでトドメだ! アンチェインド用意!」
レールガンが狙撃態勢。
本部も現場のニケ達も勝利を確信し始める。
アナキオールは満身創痍。 けれど無力化された訳ではない。 トドメが必要だ。 その時。
「ガラスの靴が動きを変えた……殲滅モードが来るぞ! 伏せろ!!?」
エイブが叫ぶと同時、油断した戦線を無数のレーザーが大地に突き刺さり始める。
最期の言葉も許さず、油断した顔、呆けた顔のまま絶命していくニケと隊員。
EMC、戦車隊、機関砲、コンバットフレームは装甲も意味なく穴だらけにされ、刹那に爆散。 影にいた歩兵ごと吹き飛んだ。
「ガハッ!?」
ツライも被弾。 コックピットハッチを貫通してきた一縷のレーザーは脇腹をも貫通し、機体後方へ抜けた。
びしゃっ、と吐血。 コックピットは真っ赤に染まる。 コンソールとメインモニターが汚れ、ダメコンが警報を鳴らす。
それでも機体制御は優秀で、転倒する事なく戦場に立ち尽くした。 ツライは痛覚センサーをギリギリまで切り、操縦桿で片手を動かすと、コックピットを庇いながら降着姿勢で蹲る。
これ以上の攻撃が来ない事を願いながら、生きているレーダー、サブモニター、通信機で周囲を確認する。
「ち、ちくしょう……油断したわ。 これほどとは……ビークル群は殆ど全滅。 ニケも大半が大破。 童話級とストーム2は流石、まだ戦っとる……ピナは? ピナ! 応答せんかい! 回線はまだ生きとるやろ! まだ終わってへんぞ! 任務中に寝とらんやろな!?」
ノイズの後、応答あり。
声が聞けて、一先ずの安心感を共有しとく。
「まだ生きてる、けど……ツライかも」
「そりゃワイのセリフや。 勝手にとんな」
「……私の機体は、メインカメラもレーダーも死んじゃった。 周りが見えない。 そっちは?」
「まだ見えとる。 状況は最悪の手前や」
ツライは腹部を抑えながら、戦局を見る。
生きる者も阿鼻叫喚。 それでも動ける者が動き、新型救急スプレーで傷を塞ぎ、応急処置。
「せ、せや……ワイの座席下にもパイロット用の救急スプレーが。 うぐっ……」
小さなスプレー缶を拾い、腹部に噴射。
痛みが走るも、傷口は硬化。 流血が止まる。
生身、ニケ両方が使える新型万歳や。
「はぁはぁ……やっぱ、量産型じゃ無理よ。 生きて英雄の側にいるだけで奇跡や」
モニターには、早くも本部が手配した装甲履帯の救急車、キャリバンがサイレンを鳴らしながらニケも隊員も関係なく収容して回っていた。 その中に目立つ青服眼鏡……プロフェッサーもいた。 動いてるから生き延びたか。
その向こうでゴッデスと第2世代、ストーム2はまだ戦ってるが、レールガンは使い物にならない。 アンチェインドを撃てないなら、破壊して止めるしかない。
それは意外にも心配してない。 ワイらが希望、ゴッデスと第2世代は伊達じゃない。 そう、ワイみたいな量産型なんかよりな。
「じゃあどうするの?」
「大人しく観客となる。 あいや……出来る事はしよう」
操縦桿を動かし、重い足取りでピナの機体を通信を逆探サーチ、発見して近寄った。
メインカメラ頭部は綺麗に吹き飛び、背部ブースターは黒煙を上げている。
「武装をパージして軽くなれ。 どうせ役立たん。 護身に1本だけ腕部電磁レーザー砲だけ残して、後は捨て置け。 皆で撤退しよう」
「……分かった」
互いにコンソールを叩けば、接合部から火花が散り、地面にドスンと落下する粒子砲とミラージュポッド。
くそっ。 こんな大層な名と武装も、役立たん相手がいようとは。 傲慢やったわ。
ワイはピナの機体を抱き起こし、肩を組み、引き摺るようにして戦線を離脱。
その間も背面カメラ、レーダー上で人外に飛び回る妖精達の尻尾を見る。
ワイ、ツライさん。
唇を強く噛み、血を無駄に流す。
主戦場で活躍出来る英雄。 機体も新型になったからきっと並び立てる。 生意気にも勘違いしてたのかも知れん。
無様に敗走してると、涙まで出てきた。
そんなもんに憧れたワイ、本当馬鹿やなって。
「ちくしょう……! くそぉ……!!」
涙を拭い、それでも憧れは眩い。
バケモノめ。 バケモノ共め!
ついていけるか! 勝手にやってろ!
ああ……ああ。 虚しい。 惨め過ぎるわ……。
そんなワイら敗走組の頭上を、新たな紅き翼が飛んでいく。
「パーティ会場はここか?」
ウィングダイバーの精鋭、スプリガン。
ストーム4であった。
「歓迎するストーム4! 手を貸してくれ!」
「そうしよう。 手荒なダンスをしてるようだが、付き合おうじゃないか」
ストーム4。
ウィングダイバーの精鋭部隊が到着するや、手に持つMONSTERレーザー砲が光線を放つ。
すると、残りの盾が大破。 その様子を見計らい、レーザー砲を投棄して急接近。 手には別の武装、至近距離で光線を撒き散らすレイピアだ。
「踊りの魔法も解けた。 素のまま踊り合おうじゃないか!」
飛行ユニットで接近してくる相手に、アナキオールは残りのパワーを使用。 盾に残された力で簡易的なレーザー網を展開するも。
「マザーシップの舞台を思い出す」
華麗に回避、弾幕の中を潜り抜けていく。
その様子は空中のダンスのよう。
「綺麗……」
観客と化したニケや隊員は、戦場なのも忘れて見惚れる程には素敵に見えた。
「避けてみろ!」
やがて射程に入ると、無数の光線がアナキオールの機体に浴びせられる。
射程が犠牲になった代わりに、威力が高い武装だ。 ここまで童話級やストーム2によるブレイザーの攻撃で消耗していたアナキオール。 ガラスの靴も失った今、許されるのはボロボロにされる事だけだった。
「ストーム4。 伝説の遊撃隊ストームの1班。 この土壇場で助けられるとは。 英雄は健在だな……ふふ、あとは"死神"と"嵐の目"も見たくなってしまうよ」
「エイブ。 しっかり……」
その様子を見ていた、量産型ニケの1人でもあるエイブは、レッドシューズに支えられながらも妙な感傷に浸り、目を細めていた。
出来たなら、私の作ったニケだけで制圧したかった。 尻拭いの意味でも、私の機体の証明の為にも。
けれどゴッデスやストームを見ていると、そうした拘りがちっぽけに感じてしまった。 恥も偏見も無い。 ただ同じ敵に全力で立ち向かうだけだと。 単純で馬鹿でも分かる。 なのに、そんな簡単な事をもいつしか忘れてしまっていたようだ。
「権力闘争をしているのが、馬鹿みたいだ」
墜落し、動かなくなるアナキオール。
高らかに響く「EDF!」の声。
ゴッデスのレッドフードがノリで叫び、周囲も負けて、第2世代の娘達も倣うように声を上げる。
エイブも苦笑し、小さく声を出したのだった。
……ただ1人、レッドシューズを除いて。
後書き
更新常に未定
落ち着いたら100年後のゲーム本編で、カウンターズ達とまた絡みたいですね。
でもモチベといい、文才の無さ加減でツライさんになる中……