脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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歴史改変点
勝率12.4%→22.4%


11.残酷な刻

 

 

『シミュレーション上の勝率は22.4%でした。 お見事です、指揮官!』

 

「……生存者を確認します」

 

 

シフティーの褒め言葉もそこそこに、ラピはブラックスミスだった残骸に寄る。

他の隊員も取り囲む様に近寄った。

先陣のピナちゃん、後続のワイ。 機関銃を下げながらも、倣って現実を皆で見る。

……レーダー上では敵性表示のソレを。

 

 

「……これは」

 

 

鉄屑はニケの部品か。

それに寄りかかるは、大破したマリアン。

機械の体とはいえ、見ていて痛々しい。

片足、片腕を喪失。 血に似せた赤い液体が流れ出て、片目周囲は抉れ、内部レンズが大きく露呈、その瞳は未だ赤く光っている。

侵食は深刻だ。 治療法は……無いよな。

まさか都合良く指揮官に流れる血が特殊で、それが治療薬になるとかでもないだろうし。

 

 

「ツライね」

 

 

そういうしかない。

覚悟はしていたが、ごめん、やっぱ辛いわ。

ラピ達も内心辛いだろうに、報告を済ませてく。

 

 

「……先発隊は全滅。 部品が全て剥がれてしまいました」

 

「マリアンは?」

 

「生きては、いる」

 

「ここ……です。 こ……こ……」

 

 

か細く、譫言の様に同じ言葉を発するマリアン。

もうね、見てるのもツライさん。

 

 

「手遅れね。 侵食が脳にまで転移してる」

 

「……俺達も初めてじゃないが、辛いな」

 

 

アニスと隊長達は、現実を受け入れる他無い。

彼女は口達者だと思っていたが、こんな時に我儘を言わない辺り、この場のEDF隊員程じゃなくても、長く戦場にいるベテランなのだろう。

この冷静さを心が壊れた、慣れた、と表現するのは安直が過ぎるか。 血も涙も無いとされるニケにも心はある。 この場にいる人間にも。

ワイらはそう違わないのかもな。

 

 

『脳が破損したニケは、処分するのが規則です。 軍法により処分は指揮官が行わなければなりません』

 

 

追い討つようにシフティーの可愛い声が鼓膜を揺らす。 こんな時は嬉しくない。

ラピは指揮官に近づくと、1丁の拳銃を手渡す。

黒く、ハンマーは見当たらないタイプだ。

何にせよ、それは問題解決用だろう。

 

 

「自決用の拳銃です。 人間も使用出来ます。 至近距離から撃って下さい」

 

 

ラピの言葉は事務的で容赦無いが、どうするべきか考えれば、それが最善なのだろう。

今日が初陣らしい新米指揮官も、渡された拳銃を見つめ、動揺を隠せない。

 

 

「私が、やろうか?」

 

 

今度はアニスが近寄って言った。

せめての優しさだったが、ラピは止める。

 

 

「ダメよ。 ニケがニケを処分する事は出来ないもの」

 

「外部の、俺らがやろうか?」

 

 

ならばと隊長が言うも、それもラピは止める。

 

 

「お気持ち感謝します。 ですが決まりなので」

 

「分かった。 新米士官、辛いだろうが……」

 

「"これも士官の仕事なら、受け入れる"」

 

「ああ。 俺達が見届けよう」

 

 

指揮官は拳銃を握り締めて、マリアンの頭部に銃口を向ける。

両手で構えるも、手ブレが酷い。 覚悟してもいざ現実を前にすると、やはりツライさん。

 

 

「指揮官。 ぐずぐずしてる暇はありません。 このまま放置すれば、イレギュラーになる可能性が高くなります」

 

 

ラピが情け容赦無く急かす。

マリアンをこれ以上苦しませない為にも、そうするべきではあるけれども。

まだ戦場に不慣れな中、仲間を撃つなんて精神的にキツ過ぎる。

 

 

「"駄目だ……撃てない"」

 

 

そして指揮官は銃口を下げてしまう。

 

 

「指揮官! ……ッ」

 

 

ラピが叱咤するように言った刹那。

皆が目を見開いた。

マリアンの片手が指揮官の拳銃に触れ、撃つようにと頭部へと引き寄せたのだ。

 

 

「指揮、官……ここ……です」

 

 

同じ言葉の筈なのに、意味は大きく違った。

 

 

「指揮……官」

 

 

僅かな理性が、最後の力を振り絞ったのだ。

細い指がつつぅ、と銃身をなぞり、指揮官の指に、トリガーに絡んだ。

 

 

「包帯……嬉しかった……です……」

 

 

───ワイらはそう違わないのかもな。

 

伝える事を伝えたと、私は満足だと。

彼女は目を閉じる。

 

覚悟は決まった。

 

虚空に1発の銃声が鳴り響く。

 

この日の事は忘れまい。

皆で背負っていく。

 

今までも、そうしてきた。

これからも、そうしていくのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリアン、処分確認」

 

『沈黙確認』

 

 

ワイとピナちゃん、他251の隊員が閉目している中、ラピは淡々と報告、シフティーも了解する。

一方で指揮官は、彼女の頭部に丁寧に包帯を巻いてあげていた。

それは綺麗で、もう穏やかな寝顔にしか見えない。 もしかしたら起きてくれるんじゃないか、そう錯覚させる程に安らかに。

 

 

『現時刻を以て捜索作戦を終了します。 アークにお戻り下さい』

 

「251はベースに帰還する」

 

『了解。 支援、ありがとうございました』

 

「……くそっ」

 

 

生き延びた者は帰らねばならない。

アニスは失意の中吐き捨て、ラピと指揮官、同伴していた量産型と共に踵を返した。

 

251も帰路に着く。 それぞれ道は違った。

それでも、これは気休めでも。

或いは、やり場の無い感情の逆撫ででも。

 

 

「なぁ!」

 

 

ワイはラピ達の背中に声を掛ける。

 

 

「……生きてくれよ。 こんな時代だけどさ」

 

「ええ。 あなた達もね」

 

 

そう言いあって、今度こそ別れた。

生きて……生き抜いて。 それぞれ歩む。

それが何になるのか分からないが、それでも抱えた命を必死に抱いていく。

それを頼んで、頼まれる。 そうした ちっぽけな約束や目的でも持てるなら、価値ある人生ではないか。

 

 

「……刻が戻る訳でもなし、ならば前を向き続けるしかないんだよ。 ピナちゃん、どう思う?」

 

「そうだね。 でも私達も その立場になったら……立ち続けるのは辛いと思う」

 

「ピナちゃんは生きて。 介錯頼みたいから」

 

「私の時は、逆にお願いするね」

 

「そうならないよう、守るさ」

 

「私も介錯しなくて良いようにする」

 

 

互いに肩を並べてトボトボとベースへ戻る。

今日の夕日は、妙に切なかった。

 

そんなワイらの小さな背中に、隊長が声を掛けた。

ワイみたいな事を言うのか、と思ったら違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「刻が戻るなら……どうする?」

 

 

悪い冗談にしては、真顔過ぎない?

 

 




チュートリアル→チュートリアル'?
EDF6要素である歴史改変へ?

更新常に未定
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