「ピナちゃん、やっぱココってさ……」
ひと通り撃ち終わって落ち着くと、ワイとピナちゃんは改めて周囲を見やる。
新鋭装備の人間の兵士……EDF隊員と共に行動する量産型が沢山いて、皆どこか疲れ果て、それでも励まし合い、支え合っている光景が広がった。
悲しいかな、約100年前の光景やん。
そして この光景も1世紀経つと主人と奴隷の関係に落魄れる。 ヒトカスめが。
てかマリアン救えれば良いね程度に考えていたのに、こんなに時間戻るコトないじゃん。
あのリング、不良品なんじゃない?
「約1世紀前、アークガーディアン作戦だね」
記憶領域に自信があるのか、戦闘中感じたのか、ピナちゃんは疑いなく真顔で言う。
ワケも分からない装置で1世紀くらい前の過去にガチワープしちゃったのに、妙に冷静になれるのは逆に怖いんだけど。
「ワイら、マジでその時代にスリップ?」
「うん。 タイムリープ……体や装備はこの時代のモノになってる感じがするから、意識や記憶が、その時代の自分に飛ぶんだろうね。 何にせよ与太話じゃなかったというコト」
「与太話だった方が飲み込めたんだけど」
「頬をつね合う?」
「痛覚センサーを全力で切る」
「現実逃避しても仕方ないよ」
いや逃げたくなるでしょ、敵前逃亡したくなるよ、AWOLに進んでなるよ。
「……まぁ夢ならそのうち覚めるだけ。 どういう理屈で百年位前の時代に戻るんだよ、ワイが男からニケにされて碌な訓練無しに戦場に放り込まれた頃だぞココ。 記憶領域がバグって幻想に囚われたのか知らんがな」
マジで夢であって下さいお願いします。
人が大勢目の前や隣で弾ける日々は嫌なの。
「耐えられなかったら最悪、拳銃を口に咥えてトリガーを引けば解決。 運が良ければ温かなベッドの上で目覚めるよ」
ピナちゃん、辛辣コメありがとう。
「運が悪かったら?」
「そこでお終い」
「自決しかけたら止めて?」
「止めて頬を抓る」
「ご褒美じゃん」
「そういえるなら平気だね」
調子に乗った所為で話を切り上げられてもうた。
ピナちゃんも中々容赦ない時あるよね。
ラプチャーにゼロ距離ショットガン的な。
「真面目に今後を話すけど」
ピナちゃんはシェルを込めつつ言う。
ワイも釣られるように、銃身カバーを上げて、熱を帯びたボルトを取り替える。
いつの間にか予備部品を所持している辺りも、やはりこの時代の自分なのだろう。
「何処かにドロシー様達、ゴッデス部隊がいる筈だから合流する。 コードNが検討されてるって聞こえたから、防衛線は数える程度しか残ってない、その何れかにいる筈だよ」
「なら探さないで待機しない? 全ての道はアークへ通ずる的に。 記憶通りなら監視所に来て流れでワイらも合流、志願兵も30人くらい来て最終防衛線となるでしょ」
「それだと歴史をなぞるだけで終わっちゃう。 N6が発射する前に未来で起こる事を伝えて、被害を少なくしたいな」
真面目か!
未来から来たって言う気かよ、頭変なイレギュラー扱いされてパァンされない?
それを抜きにしてもと、ピナちゃんに言う。
「といっても、この時代の戦場は混沌としていて詳しい戦局なんてうろ覚えだし、悲惨な記憶ばかりで、逆に何処をどうすれば良いのか分からないんだけど」
何の権限もない底辺量産型ニケのワイら、戦闘力も経験でカバー出来ても無双出来る力なんてない。
部隊を動かしているのはEDF本部で、コードNを発令するは更に上の総司令部だ。
ツテなんてある筈がない。 精々、近くの仲間を1、2人生き残らせるのがやっとだろう。
「私たちだけじゃどうにもならない」
「分かってるじゃん」
「だからこそ、ゴッデス部隊に早めに会うんだ」
「だからナンデ?」
「本部と連絡する権限はあるから」
連絡したところで、どうにもならないだろ。
上も現場の声で どうにかしてくれるなら、N6なんて大量破壊兵器を世界中にブッパして、味方ごと地表を焼いたりしなかった。
そんな顔を見てか否か、ピナちゃんは続ける。
「それと、運が良ければ遊撃部隊に会える」
遊撃部隊?
人間のかニケなのか知らないけど、どちらにせよ現場の消耗品な兵士に変わりない。
「申し訳ないけどピナちゃん、兵士だけでどうにか出来るレベルじゃない。 どうにか出来ていたら地表は焼かれないし、100年後も人類は地上にいたよ」
「それがストーム隊でも?」
「ストーム……なんだって?」
嵐? 荒らし? テンペスト?
何処かで聞いたような、ないような。
「EDF伝説の遊撃部隊ストーム。 人類を救った人間の部隊だよ。 戦後解散したけど、再招集されて再結成、この戦争に参戦してる筈」
はぁ、アホくさ。
夢の中で夢見るんじゃないよ。
「……ピナちゃん、疲れてるんだよ。 いきなり過去に飛んだのもあって混乱してるんだ。 そこの瓦礫裏でメンテナンスしよう、さぁ服脱いで無垢な体を見せるんだピナちゃん♡」
「それがシたいだけでしょ!?」
赤らめた顔になり、銃床で腹パンしてきた。
そこまで夢を見させてくれなかった。
やはり悪夢だ、ココは。
「とにかく! 私は真面目だよ!」
「分かった、そこまで言うなら付き合うよ。 じゃあ、近くの兵士やニケにゴッデスの事を聞いて、現場に向かおう」
夢なら夢で仕方ない、付き合うばかり。
出来る事をやろう。
元よりそのつもりだった筈だし。
gdる中……
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