脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

17 / 115
迷走、gdgdの中。
何とかニケやEDF要素を混ぜつつ。


16.火球

ストーム1。

先の大戦において人類を救った英雄。

タイムリープを繰り返し、人外級の戦果を上げ続けた人類を代表する兵士。

どんな過酷な戦場に投げ出されようと敵を殲滅して生還するバケモノだ。

 

その戦闘技能は、タイムリープの過程で研鑽され、人間か疑わしい域に達する。

人間を圧倒するニケよりも強いんじゃないか、そう唱えたら賛同する隊員は多いだろう、それくらい有名人である。

 

兵科は空爆誘導兵、エアレイダー。

歩兵部隊に随行し、空軍や砲兵隊、衛星、基地、潜水母艦、輸送機に座標を伝達、戦闘支援するのが本来の目的。

 

その為、何かオンリーワンな特殊兵装を振り回す訳ではないのだが、それでも彼の座標伝達速度や的確な指示、軍用ビークルの扱いは卓越しており、軍事力、科学力で勝る敵をも圧倒するのだ。

 

今回のラプチャー侵攻においても同一で、彼は空軍や砲兵の力を借りながらも多くの敵を屠り、鉄屑の山脈を築いた。

ラプチャーの輸送船にあたるマザーホエールの航行進路と座標を予測して、衛星砲で撃墜したり、タイラント級の群を砲撃や空爆で吹き飛ばしていったのである。

 

それでも戦争は終わらない。

どんなに彼が強くても、重要な戦局を好転させても、人類全体で見れば敗北の一途を辿り、戦線は後退、瞬く間に荒廃世界へと相なった。

それは皮肉にも、彼がタイムリープで幾度と見てきた光景だから救われない。

 

ガン◯ム1機で戦争が終わるものか、というように、必要なのは無敵の個人だけでなく、ジ◯の様な量産型、武器、そうした戦力である。

 

先の大戦でも同じ事が言えた。 敵味方同様に。

だからこそストーム1と相棒であるプロフェッサーは敵共々タイムリープをして、新兵器の開発と量産、未来を知る事での裏の取り合いという時間戦術をぶつけ合った。

試行錯誤し、総人口1割にまで減った荒廃世界を幾度と繰り返し、それでも諦めず到達した時間旅行の終着点の此処、最終世界線では、総人口7割で踏みとどまった。

 

酷く苦しく、辛い道のりだった。

それでもストーム1は未来を勝ち取った。

 

永き闘いは終わった。

 

これからは未来永劫、明るい刻を歩む。

 

その筈だったのに。

人類を嘲笑うようにラプチャーが侵攻。

 

プライマー以上の戦力にEDFは瓦解。

人類は再び絶滅に追い込まれる。

 

再び荒廃世界。 努力は水泡に帰す。

 

見渡す限りの瓦礫。 屍。 鉄屑。

 

歴史は繰り返す。 もはや笑えない。

 

 

「呪いだ」

 

 

そう呟いたのは、ストーム1だけじゃない。

が、嘆いている暇あるなら戦い続けねば。

ずっとそうしてきたのだから。

 

だから部隊が壊滅して、死体に囲まれて、貪る不快な機械音が支配する街にいても逃げず戦い続けた。

 

 

『こちらQ6空軍基地。 全機整備中』

 

『部隊は解散した。 他を当たってくれ』

 

『このチャンネルは現在使用不可能です』

 

「"また"か。 ドローンで戦うしかないな」

 

 

そして今。

いよいよ空軍や砲兵隊が解散、支援が受けられないとなると、今度は武装ドローンを飛ばして操作、自力で戦った。

通信を阻害するエブラ粒子というミノ◯スキー粒子のパチモンみたいのが散布されたのもあり、無線そのものが駄目になりつつあったのも痛い。

 

 

「マリスの解釈より生易しくて助かるが」

 

 

懐かしさすら覚えるストーム1。

マリス……EDF戦略情報部のAI。

戦闘シミュレーターを管理運営するのを役割としていたが、度が過ぎた行為をして機能を停止させられた。

彼女を狂わせた原因は自身にもある気がして、ストーム1は若干の申し訳なさも感じてはいる。

悪意全開で挑んでくる彼女をコテンパンにし過ぎたのかも知れない。 いやでもなぁ、仮想空間とはいえ死にたくなかったし、本気でやらなきゃ訓練にならないし、何より負けたくなかったしなぁ……。

 

それはそうと、今は今。

ドカンドカンと弾け続けるラプチャー。

バラバラになり、機能を停止していく機械共。

連中は仲間が弾ける度に、赤いカメラアイを点滅させ、次には狂った様にビームや実弾を乱射してきた。

他の弱い人間やニケとは次元が違う化物を目の前に、まるで感情が生まれたかの様に振る舞うのだ。

 

その光景にストーム1はローリング回避。

瓦礫や廃墟の間を縫うように移動しては、相手を撹乱、隙を見て個別に破壊する。

そこに恐怖も哀れみも浮かばない。 けれど義務感でもない。

郷愁にも似たナニかが浮かぶ。

それにふと、懐かしさを覚えた。

 

 

「大戦のドローンやアンドロイドを思い出す。 それと歩兵部隊もな。 こうして撹乱して、隙を見て背後に回り込んで始末したものだ」

 

 

かの忌まわしい存在をも振り返る。

プライマーも多くの殺戮機械を投入してきたから、ラプチャーもその手かも知れない。

 

 

「開発元は不明。 その手を考えるのは相棒の役割だが……俺みたいな素人が詮索すると機械な お嬢さん方に失礼だな」

 

 

レーダー上のラプチャーをドローン編隊の空爆で粉微塵にしながらボヤき続けるストーム1。

 

技術進歩で人間そっくりの機械の体を持つニケ、元技術者視点としても興味深いものがある。

相棒の技研主任、プロフェッサーも同様だった。

 

人間の女性の脳が使用されている事実は、いつかのアンドロイドを思い出して嫌なモノが込み上げてくるし、倫理観を疑いたくなるものの、今の人類に気にする余裕はない。

その結果の産物に助けられているのも事実なので、今更に強く言えない。

 

それと量産型についても。

同じ顔、同じ体、同じ装備を持つ彼女らは、ニケ適正が低い脳で動いている。

大戦でクローン兵士も相手にしたものだから、それもそれで思うところはあった。

同様の理由で責められもしないが。

 

 

「クリア。 生存者は……いない、か」

 

 

周囲の隊員の屍やニケだった機械の体を漁り、使える装備を抜いて次に備える。

基地や補給線なんて、とっくに崩壊しているので、こうして使える物は何でも使うしかない。 剥ぎ取ってでも。

 

 

「すまない皆……お嬢さんも、守ってやれずすまない。 装備、弾薬……貰っていくぞ」

 

 

その気になれば、死体も利用する。

先の大戦でもやった事だが、遮蔽物にしたり爆弾を取り付けたり……だ。

非人道的だと罵る者もいるだろうが、狂気を前に倫理観は役に立たないようだ。

 

 

「リングがあれば、やり直せるが……いや、アレの所為でプライマーは滅んだ。 人類まで同じ轍を踏む訳にはいかない」

 

 

プロフェッサーも行方不明だしな、と。

ストームチームも、もはや自分のみ……。

 

 

「むっ」

 

 

刹那、突如して通信コール。

耳に手を当て応答すれば、女の声が響いた。

戦略情報部の専属オペレーターではない。

ここはエブラ粒子濃度が薄いか、相手の無線機が高性能か、いや両方か。

何にせよ随分と久しい感覚に襲われるが、ストーム1は毅然と対応する。

 

 

『ストーム1。 聞こえますか?』

 

「誰だ?」

 

『ゴッデスのドロシーと申します』

 

「ゴッデス……初のニケ部隊か」

 

『はい、その認識で間違いありません』

 

 

聞いた事ある部隊名だ。

ニケが開発、投入されるにあたり、最初に作られ戦果を上げた勝利の女神。

今頃、兵士で知らない人の方が少ないだろう。

そんな有名人からの連絡だったが、はしゃぐ状況ではなく、冷静に対応するばかり。

 

 

「勝利の女神と話せて光栄だが、通話が難しいご時世にわざわざ。 老兵に頼み事か?」

 

『その前に。 今の状況は把握してますか?』

 

「いや、エブラ粒子のお陰で情報が入らなくて仕事にならん。 分かるのは、人類は滅亡寸前な事くらいだ」

 

 

いらん会話も混ぜつつ話すは、彼なりのジョークなのか否か。

それに構わず、ドロシーは続ける。

 

 

『それだけでも話は早いかと。 今、生き延びた人々はアークへ避難しています。 間も無く登録された全ての人は収容され、公的には地上に人は居ないものとされます』

 

「じゃ、俺は人でなしだな。 自覚はしてる」

 

『寧ろ誇りを。 卑下せず御自愛下さい』

 

「努めよう」

 

『……それで頼みがあります。 アーク完全封鎖まで時間が掛かります。 もし今、アークが襲撃されたなら、今度こそ人類は滅ぶでしょう。 ですので』

 

「アークを守れと」

 

『可能ですか?』

 

「女神の お願いだ、喜んで受けよう」

 

『ありがとうございます』

 

 

妙な音が聞こえ始める。

レーダーを見ると空や地上を覆うように、敵性反応を捉え始めている。

エブラ粒子の影響で投影されない事もあるのに、こうした時は恨めしくも思う。

 

ストーム1にとっては毎度の事だが。

慌てず騒がず、会話を続ける。

 

 

「……上はN6を使用する筈だ。 そうなれば"人でなし"が増える。 それは困る。 汚点を増やすのが良い事とは思えんよ」

 

『具申されるのですか?』

 

「駄目元でな。 生存者を集めつつアークへ向かうから、コードNは待ってくれと頼む。 何もしないよりマシさ」

 

 

妙な音が大きくなり始めた。

ストーム1は周囲を見やる。

真っ赤な津波が押し寄せていた。

あまり長電話は出来そうにない。

 

 

「客が来た。 そろそろ切るぞ」

 

『ご武運を。 "楽園"で貴方を待っています』

 

「ああ、今から会うのが楽しみだ」

 

 

ストーム1は通信を切った。

戦闘準備をしながら、今度は本部に繋ぐ。

 

 

「さてと……こちらストーム1 ───」

 

 

爆音と銃撃に塗れ、彼は戦う。

その瞳から希望が消えない限り、彼は往く。

 

量産型の行動は間接的に連鎖し、地道に世界に影響を与えていく。

 

果たして未来は。

良くなるのか、悪くなるのか。

それは誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもツライさんです。

ゴッデスと共にアークの臨時監視所に移動、防衛線を再構築しています。 まる。

 

 

「セピア色の記憶が赤色に蘇ってツライさん」

 

「……出来る事をやろう」

 

「それしかないか」

 

 

ワイとピナちゃんは歴史をなぞる。

油や埃で汚れたパーツの無い体も、新品同様の重機関銃も、こういう時は複雑だ。

 

皆、血や泥に塗れ、ボロボロ装備を汚す中、それでも気力を振り絞り動いてる。

ビークルも同じで、新旧問わずかき集められ、履帯の外れた戦車も転輪を無理矢理動かして移動してるし、装甲はへこみまくり、銃痕だらけ、一部は融解している。

コンバットフレームも同様。 グラビス型、ニクス型、エイレン型、他、カスタム機も入り混じる。

歩く要塞、陸戦の切札BMX10プロメテウスの姿は無い。 たぶん主要な戦場に全機投入され、鉄屑になってしまったんだろう。

巨大戦闘車両、重戦車タイタンも同様か。

良い的だからな。 装甲が厚いとはいえ、ラプチャーの大群相手に長くは持ちますまい。

それでも有れば大きな助けだったが、無いもの強請りしても仕方ない。

 

どれも新品なんてモノはなく、整備もまともに受けられずボロボロだ。

それでもまだ戦えるのだと金属を擦って金切声を上げるサマは、歯を食いしばっているみたいでツライさん。

 

 

「仮に新品だろうと、コンバットフレームは旧式化が否めないけども」

 

 

穴掘りしながらボヤく。

二足歩行ロボットは格好良いけど、コンバットフレームはカクカクして歩兵の様な小回りが効かない。

対してニケは人間サイズで人間以上に動けるし、大口径兵器を携行、使用出来る。

正直言って、ニケの登場で戦闘ビークルの優位性、地位は下がったと言われても仕方ないだろう。

するとピナちゃんは土嚢を運びながら言う。

 

 

「でもニケは10、20代の女性の脳に限定されるし、人のサイズだから巨大な武装を何個も持てない。 装甲も直接は厚く出来ないよ」

 

「胸部装甲は大盛りに出来るから♡」

 

「隙あらばセクハラやめようね?」

 

 

土嚢を片手で振り上げ、枕投げフォームをするピナちゃんの笑顔が怖い。

量産型とはいえ、ニケのパワーは人を凌駕してるからね、人口皮膚なガッテシアムがベコるのでヤメテ下さい死んでしまいます。

 

 

「冗談だって……まぁなんだ、拡張性や人を選ばない点を見れば、役割分担次第で まだまだ現役ってコト?」

 

「うん。 未来でも完全には潰えてなかったからね。 100年経ってもアーク内の警察、A.C.P.Uが治安維持の為に装備してたし」

 

「軽装甲、軽武装のニクスA型かな」

 

「そう、マシンガンとロケットランチャー装備の」

 

 

警察が装備するには過剰に思えるが、そこは閉鎖空間のアークである。 対テロ用だ。 ニクス自体、元を辿れば市街戦を想定して開発されたっぽいし。

装甲目標にもダメージを与えられる火力は、生身の人やニケ、車両に有効。 あと侵入していたラプチャーを相手する時とか。

人が搭乗して操作出来るのも大きい。 アークでは警察だとか公務員は、表向きニケはなれないから。 となると人だけで対処してとなった時、こうした兵器に頼るのだ。

 

 

「まぁニケが生まれてお役御免、とならなかったのは良いのか悪いのか」

 

「251も使っていたし」

 

「脚なしを含めて良いのかなぁ」

 

 

トラックの荷台に載せて運用してたがアレ。

まだこの時代ではやってないが、そのうちにやり始めるのをワイらは知ってる。

ただ同様の理由で人が扱えない高火力の兵器を扱える点が、やはり大きい。

 

何事も考え次第か。

この機に及んで贅沢も言えないし。

そのうちにニケがコンバットフレームに乗る事もあるかも知れない、その時は世話になるかもね。

 

さてもやがて。

作業にテコ入れするように、30人以上の志願兵ニケが名乗り出て、共に働き始めた。

正史だとこの団体にワイとピナちゃんが混ざってたんだよな、確か。

そんでアッサリ全滅、生存者はワイとピナちゃんだけという悲惨な結果に。

今回も……繰り返してしまうのだろうか。

 

何にせよ此処でジタバタしても仕方なく。

ワイやピナちゃんもニケだってんで、サボらずに歴史をなぞって働き始めた。

人にはキツい多くの土嚢運びや塹壕掘りを手伝い、重い弾薬箱を固定機銃の前に運搬し、ゴッデスや士官も関係なく円匙を振るい、一丸となって陣地を構築していったのだ。

こんなのラプチャーの高火力を前には微々たる防壁だが、それでも何もしないより断然マシだ。

 

そんな中でも、未だ避難の為に訪れる"公的な人間"が来る時は護衛、案内の為にゴッデスは駆り出されていく。

ワイらモブと会話している暇もない。

未だドロシーとしか話してなくて悲しいのぅ。

その辺もまぁ、ゴネても仕方ないがね。

なのでモブはモブらしく、モブと話す。

 

 

「ゴッデスが来てくれたが、どこまで持つか」

 

 

やつれた隊員が、不安気に言った。

それが最後の言葉にならないと良いね?

だから もう少し、声を聞かせて?(暗黒微笑)

 

 

「このあと、ストーム1も来るそうです」

 

「えっ、先の大戦の英雄が!?」

 

 

何故か少し元気になった。

それだけストーム1を知る者からすれば、象徴的な存在なのか。

 

 

「そうか、N6発射施設の防衛じゃなくアークの防衛に。 ここ最近で1番嬉しい話だ」

 

 

そんなに?

でも上げて落とす様で悪いけど、期待するなと注意しておこうかな。

来なかったら騙す真似みたいになるし。

 

 

「ただ各地の生存者をまとめ上げながらだから、直ぐには来ないんじゃない?」

 

「それでも来ると聞いたんだろ?」

 

「はい。 でも道中は危険だし」

 

「彼なら来る。 そういう人だ」

 

 

目を輝かせて語る隊員。

周囲の隊員も同意の声と共に頷いて引いた。

それを見た幼いニケらも、雰囲気に呑まれ明るくなっていくから謎。

 

 

「えぇ……ナニコレ、新手の信仰?」

 

 

隊員によってはゴッデス以上の神話なの?

心身ボロボロの筈なのに、なんなの?

その自信は何処から来るんだよ。

ちょっと怖いよ君たち。 疲れ過ぎたん?

冷静になれよ。 生身の人間がラプチャーの追撃を掻い潜り、アークへ来れるとは考え難いじゃん、常識的に考えて。

仮に来ても、人間の兵士1人でそう変わらん。

トレインされたら、負担が増えるだけだ。

 

 

「ピナちゃん、どう思う?」

 

「来るよ。 そう信じよう」

 

 

あかん、ピナちゃんまで毒されてる。

思えば元からだ、迂闊であった。

 

 

「あのさピナちゃん。 こんな事を今更に言うのは酷だけど、そんなにストーム1って人は凄いの?」

 

「ゴッデス並みか、それ以上だよ」

 

「人間、1人の歩兵でしょ?」

 

「そう聞いてる」

 

「あっそう……皆、相当疲れてるね。 いや憑かれてるというべき?」

 

「そうかもね。 でも信じたい」

 

「信じる者は救われるって? 有難いね、周囲に転がる人だったモノが見えないらしい」

 

「そう意地悪言わないで欲しいな」

 

「……すまない。 ワイも疲れてるらしい」

 

 

絶望が受け入れられず、歪んだ希望に縋る。

この時代に限らず、幾らでも見るモノだ。

とはいえ、気持ちの良いものじゃない。

もしかしたらワイ、アークの防衛線に要らぬモノを招いてしまったんじゃ?

 

 

「とりま、女神ならぬ死神じゃありませんよう」

 

 

そう祈った刹那。

 

 

「お、おい空を見ろ!?」

 

「ん?」

 

 

隊員が叫び反射的に空を見る。

遠くの空に閃光が見え、それは少し離れた、廃墟の街に落ちていく。

眩い小さな太陽にもみえ、けれど急速に大地へ沈む様。 その次は膨張が待つだろう。

 

 

「N6ッ!?」

 

 

全身がゾワリ。

過去、この時代に見た記憶がフラッシュバック。

それは原子の力、圧倒的熱量の暴風の目だ。

 

 

「全員隠れろ!?」

 

 

思わず叫んだ。

次にはピナちゃんの手を握り塹壕に飛び込んだ。

 

突然過ぎる、てかアークに近過ぎる!

ここまで近くに着弾とか、記憶にないぞ!?

ワイらの、量産型2人による些細な行動だけでココまで悪化するか普通!?

 

 

「う、うわあああ!?」

 

 

当然過ぎる絶望を理解し、パニックの隊員達。

 

 

「塹壕で体を丸めろ!」

 

「正気か!?」

 

「防衛線なんていらない、全部燃やすってか!」

 

「司令部め、裏切ったな!?」

 

「こんな事、許されるものかーッ!」

 

「馬鹿な、馬鹿なーッ!」

 

 

歪んだ希望も簡単に吹き飛び、隊員もニケも絶望感に項垂れ、膝をつく。

茫然とその閃光を見届けるしかない者もいる。

それが何なのかを思えば、本能的にもうアカンわと諦観もしたくなる。

 

でもワイは足掻く。 生きたいってば!

ち⚪︎この喪失、女の子にされるという絶望的恥辱に耐え忍び、過去に飛んで、最悪の結果だけ生んでサヨナラとか黒歴史のみで終わりたく無い。

 

 

「まさか、こんな事になるなんて、ね」

 

 

ピナちゃんが塹壕から乗り出した。

目線は閃光の方角。 どこか達観した表情。

周囲が慌ただしい分、余計に目立つ。

 

 

「何してるのさ!? 下手すると失明どころか破片の一片も残らないよ!?」

 

「なら変わらないよ。 一緒に見ようか」

 

「なにを馬鹿な……ああ、いや」

 

 

察して、隣に並ぶ。

ワイらの結果なら、見届けないと。

 

 

「せやな」

 

 

共に目線を這わせ、瞳の先で閃光が落ちる。

刹那、大きな火球が生まれ、人がいない街全体を吹き飛ばした。

 

防衛陣地まで爆風が来て、人のいない銃座をガタガタ揺らして───。

 

それだけだった。

 

 

「へ?」

 

 

思わずマヌケな声が。

それはワイか、ピナちゃんか、周囲の隊員か。

 

遠くの空を見る。

既に火球は消え、巨大な爆煙が早くも四散しているところであった。

 

 

「……N6じゃ、なかった?」

 

 

誰に言うでもなく呟くと、ピナちゃんが応える。

 

 

「……そうみたい」

 

「なんだよ……驚かせやがって」

 

 

周囲の隊員も落ち着きを取り戻し、我に帰ると、それぞれ謝りながら持ち場へ戻っていく。

 

 

「じゃあ、今のは一体……」

 

 

その疑問に答えるようにオープン回線が。

 

 

『こちらストーム1、今のは俺の仕業だ。 今のはN6ではなくテンペストだ、1発じゃ世界を焼き尽くすには足らない。 精々ラプチャーが大勢詰める街を吹き飛ばす程度だから安心して欲しい』

 

 

その声は勇ましい、男の声だった。

 

 

『もうすぐ救援に往く。 持ち堪えて見せろ』

 

 

───或いはヒーローの声だった。




歴史改変点
ストーム1、アーク目指しつつラプチャー駆除
アーク防衛線への負担軽減
希望が増えた
まだストーム1は時間旅行者を知らない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。