脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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熱が冷める前に何処までいくかな(逃


17.最終防衛線

 

 

『もうすぐ救援に往く。 持ち堪えて見せろ』

 

 

ヒーローの声は、前に連絡を取った男の声。

噂に違わぬ英雄譚は、今も生きていたのだ。

 

彼が生み出した火球は、遠くも近くで膨らんで、原子の灯火に頼らず多くのラプチャーを蒸発させた。

極秘建造されたバレンランド基地から発射された、大型ミサイル テンペストの攻撃だった。

 

それがストーム1が要請し、基地側が受託して行われた支援攻撃なのは頭で理解していても、それを可能にするだけの座標伝達技術と彼の行動は、人並外れた力だった。

 

それも一瞬の出来事。

最後の避難民はゴッデス共々茫然としてしまうも、間をおいて我に帰り、不安や歓喜で表情を歪ませる。 あとは笑い合う他無かった。

 

 

「……これはこれは、随分と頼もしいな?」

 

「はい。 英雄は健在でした」

 

 

紅蓮が漸く言葉を発し、ドロシーが答えた。

スノーホワイトとラプンツェルも遅れて反応。

 

 

「最初は援軍に人間なんて、と思ったが」

 

「頼もしい殿方です。 早く会いたいです」

 

 

非常識な戦果を上げる男が味方にいた事実に驚き、恐怖すら感じつつ、けれど希望を持たせてくれた事に感謝する女神たち。

 

それぞれの想いを吐露し、一部は淫らな妄想を早速始めつつも、女神の名を冠する部隊として決意を新たにする。

 

 

「私たちも誇りを旨に、アークを守り抜きます」

 

「無論、彼を迎える場所でもあるからな」

 

「合流出来れば負担も減るだろう」

 

「祈ってばかりもいられませんね」

 

 

いつの間にか、アークと人類の為という使命と任務だけでなく、彼の為にという新たな目的が無意識に湧き上がる。

 

それは任務とは別、自我による自己判断。

楽園の模造品に尽くすより確かな理想。

まだ会った事もない伝説の存在は、心深くにまで浸透していく。

不思議にスッと入り込み、心地良い程に。

 

 

「ストーム1。 必ず楽園にお越し下さい」

 

 

ドロシーは人知れず呟く。

あの短いやり取りと、あの声が、どうしても忘れられぬ甘美となって鼓膜に脳裏にと纏わりつくのだ。

 

最後の避難ガイドを終えると、アークの入口は堅牢な隔壁で閉じられる。

次に開く時、地面に引かれた白線を越える時。

それはきっと、彼と共に踏み越える時。

この想いを抱いて本格的に防衛線……入口の警備任務に就いていく。

 

正史とは大差無い様に思えるが、確実に何かが変わりつつあった。

EDFの最大戦力を迎えるだけでなく、士気を上げ心身を蝕む絶望を跳ね除けているのだから。

 

 

「決意のキッカケをくれたピナと お友達、両名にも感謝しなければなりませんね」

 

 

けれどまだ、時間旅行者の存在は知らない。

 

時間は進む。

鬼門はこれからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもツライさんです。

伝説の英雄から一方通信が入りました。

大型ミサイル テンペストの爆炎ショーも相まって、アーク防衛線の士気は爆上がりです。

 

 

「う、うおおお!」

 

「ストーム1! 大戦の英雄だ!?」

 

「伝説は本当だったんだ!」

 

「人類は まだ負けてないぞ!」

 

「EDF! EDF!」

 

 

ゴッデスが来た以上の盛り上がりである。

ピナちゃんも何処か嬉しそうだ。

ワイにも存在を認めろと仰る同調圧力かコレ。

 

 

「凄い結果だね」

 

 

ピナちゃんが笑みを浮かべた。

何というか、顔も知らない野郎に盗られそうでモヤモヤしたワイは酷く醜い奴。

 

 

「本人は座標伝達をしただけでしょ」

 

 

悔しくて、つい意地悪を言う。

エブラ粒子濃度が低く、通信が出来たにしても、まだ無事な発射施設がある事にも驚きだ。

もし無かったら……それでもストーム1とかいうヒーロー様なら、他の方法でやるだけだろう。

理不尽な存在だ。 きっとラプチャーよりも。

でも、そんな奴が味方にいたのに人類は地上を追われ、100年後も土地を奪還出来ずにいる。

 

何故だろう。

コードNの影響が、そんなに響いたのだろうか。

となれば、人類は自ら希望を潰したとなる。

……皮肉だな。 この後の結果次第だが。

 

 

「それでも凄い事だよ。 ラプチャーの数も減ったから、助かるニケや隊員も多くなる筈」

 

「皆ヒーローショーに沸いて崇めてるけどさ、現実を見て欲しいね」

 

「もう直ぐヒーローも見れるよ?」

 

 

はいはい希望は必要だよ、そうですとも。

ワイだって未だ夢くらい見るさ。

 

 

「なら守り抜かないとな。 昔みたいに」

 

 

土嚢に重機関銃の銃身をドカッと乗せる。

その重みにワイの嫉妬を混ぜての狼藉。

 

 

「拗ねないで?」

 

 

背中をギュッとされるワイ。

子供騙しに嬉しくなるワイ、敗北者じゃけぇ。

 

 

「拗ねとらんて」

 

「頬を膨らませて可愛いよ?」

 

「むー、ワイが言うようなコトを」

 

「自覚はあるんだ」

 

 

いい様にされるワイ。

ピナちゃんには敵わないや。

 

 

「……最低アークを守らないと話にならん」

 

「私たちの時より、希望はある。 きっと」

 

 

そういうピナちゃん。

希望的観測に過ぎないけど、そう願う。

この最終防衛線は、マジ悲惨だった。

血肉の海、屍の山、赤く染まる世界。

阿鼻叫喚。 もう見たくない。 2度と。

 

 

「なら……何とか記憶を掘り起こして、タワーディフェンスといこうか。 1度は乗り越えたんだ、2度目も不可能じゃない」

 

「ストーム1も来る、私たちのバトルデータも合わせれば何とでもなるよ」

 

「そう言える程にはプロ、いや老兵だよね」

 

「それだけ……生き延びてきたんだ」

 

「なのにココで死んだら笑えるな」

 

 

互いに自虐して笑みを浮かべ合う。

刹那、けたたましい警報が鳴り響いた。

ラプチャー襲撃の知らせだった。

 

 

「ラプチャーだ! ラプチャーが来たぞぉ!」

 

『総員戦闘配備!』

 

 

始まった。

周囲が慌しく動き回る。

土嚢運びや塹壕掘りを止め、円匙を投げ銃を取る。

 

 

『各隊、フォーメーションを整えろ!』

 

『コンバットフレーム、AFV、フェンサー前進! 歩兵の盾となれ!』

 

 

赤ヘル隊長が叫び、無線越しに鼓膜を震わす。

続けて隊員やニケ同志が互いに鼓舞し合う。

 

 

「機関銃手、弾幕を頼むぞ!」

 

「アークを守れ! 英雄と会う為に!」

 

「ゴッデスもいる! 心配するな!」

 

「俺たちは何者だーッ!」

 

「EDFッ!」

 

「人類の意地を見せてやれ!」

 

「うおおおおお!」

 

 

遊びは終わりだ。

仕事の時間がやって来た。

 

 

「じゃ、また後でな。 先に死ぬなよ」

 

「うん。 そっちこそ死なないでね」

 

 

ピナちゃんと拳を合わせ、互いに別の場所へ。

ワイは個人用塹壕……浅い蛸壺に入り、土嚢に重機関銃を据え直す。

バイポットは無いが、起立姿勢でアイアンサイトを覗める丁度良い塩梅の塹壕にてセーフティ解除、ハンドルを引いて初弾を銃身に送り込み、フルオートが出来る体勢へ。

正面を見やれば、赤い津波がやってきた。

それはラプチャーの赤い目だ。 数が多過ぎて個ではなく群にしか見えないのだ。

 

 

「おいでなすった。 これが断続的に続く訳よ」

 

 

狂喜乱舞、怒涛熾烈。

酸鼻を極めた最後の抗戦。

機械の波濤に攫われ、その多くが斃れ逝く。

先を憂いながらも、尚もおらび倒すばかり。

 

 

「エンカウンター!」

 

 

そうして創って壊れた戦場だ。

EDFとニケが放つ音速が、交差する無数の閃光が、陣地を抉り、鉄屑を削り、大地を穿ち、空を焦がして爆炎の雲に沈め合う。

 

 

「ナニが悲しいってな、こんなの始まりにしか過ぎないってコトなのサ!」

 

 

弾幕を全力で張りながら叫ぶ。

最早サイトをみず、弾道のみ把握してトリガー引いとけば、目を閉じても当たる状態。

 

それでも幾らかは楽に始末出来た。

数が少なく感じたのだ。

 

過去の記憶は定かではないが、ワイの経験とは別に、やはりストーム1という英雄様のお陰なのだろうと妙な納得感が生まれる。

 

 

「ピナちゃんを誑かしたら1発くれてやる」

 

 

などと言うも、既に認めている自分もいて、何故だか妙に悔しかったのであった。




我々には女神と英雄がついている!
ストーム1、人知れずラプチャー駆除中
コードNが実行された雰囲気は無い
防衛線の負担が減った
生存者が増えた
希望が増えた
ゴッデスは誇りに満ちている
未来は好転するかも知れない
時間旅行者の存在をまだ知らない

更新常に未定
ストーム1を合流させねば……
ゴッデスとの交流も……
あかん。 文才の無さ含め自己嫌悪……
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