脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前書き
最終防衛線に押し寄せるラプチャー
ストーム1とはよ合流させたいけど……
説明多いのも良くないと思いつつ、でも上手く書けず足踏みgdgdの中……

臨時監視所 防衛線 正史メモ/イメージ
変更の可能性あり
over zone 禁じられた楽園
コードN発令→ストーム1死亡
量産型30体→2体(ピナとツライ生存)
アーク音信不通
疲労と絶望の中、ゴッデス瓦解しかける
ピナのお陰で皆は立ち直る
ピナとツライ、ドロシーを守る
アーク完全封鎖完了
ゴッデスが切り捨てられる
ゴッデス解散 ただし定期的に集合
部隊名をパイオニアへ
ドロシー、アークの人々を憎む
後にエデンのインヘルト部隊に所属
ピナとツライ、EDF251に所属

改変
コードN中止→ストーム1生存
量産型及びEDF隊員の生存者多数
周囲の士気の高さからゴッデス瓦解せず
アーク完全封鎖(正史)
生存者は残置諜者等として活動
ゴッデス解散(正史)
地上残留のEDF、機能する拠点へ
ドロシー、エデンが出来るまでピナと共に


18.嵐の前に。

火蓋を切る。

激しい戦火に塗れ撃ちまくる。

 

ラプチャーの大群に、ワイらは撃った。

互いの砲火が交差し、互いに吹き飛び合う。

 

最前列だから余計に怖い。

塹壕に体半分は埋めてるとはいえ、被弾率は後方より高いのは違いない。

 

だからとゴネても仕方ない。

生き残る為に いつも通り撃ちまくる。

 

バックパックから伸びる弾帯が銃身へ飲み込まれ、マズルフラッシュと共に大量の空薬莢を吐き出し金色の滝を形成、塹壕内は瞬く間に金の池と化した。

弾道は長年の勘と目視。 曳光弾なんてガイドは弾帯に含まれてない。

 

女の子にされた挙句、碌な訓練もされず戦場に放り込まれた当初は適当に撃つのもツライさんだったのに酷いと思わんかね?

 

今や昔だがね。

今のワイなら何とでもなる筈だ。

相手は固まってる。 目を閉じても当たる。

 

 

「昔のワイと違うぞゴルワァ!」

 

 

咆哮を上げ、弾幕を張り続ける。

補助に他のニケと隊員がライフルでフルオート。

弾幕を増やし、ラプチャーを足止めさせる。

そうして弾の壁に阻まれ鈍った奴を、前方にいるピナちゃんやゴッデスが蜂の巣にしていった。

 

 

『息が合いますね。 まるでずっと───』

 

 

ドロシーの褒め言葉が鼓膜を震わす。

まるでずっと……その通りですよ。

 

生き延びた後、共に動いてたからね。

ピナちゃんとは勿論、ゴッデスの皆の癖も何となく覚えてる。

どう援護するのが都合良いか、とかね。

でも記憶を共有出来ない悲しみ。

 

続けてラプンツェル達の声も響く。

 

 

『素晴らしい戦果です!』

 

『同意する』

 

『お嬢ちゃん達、随分と慣れているな』

 

 

皆して個人通信で褒めてきた。

量産型にしてはやるな、という具合に。

それでも女神に褒められるとか誉れである。

 

 

……ズルしてるけどね。

タイムリープってぶっ飛んだ形で。

それでもゴッデスには到底敵わない。

 

それに量産型は所詮、量産型。

経験のカバーだけでは限界はある。

 

例えると……ジ⚪︎にア⚪︎ロ乗っけても一般兵より活躍出来るかも知れないが、機体性能が追いつかなくなるから、専用機連中に勝てなさそう的な。

 

機体性能の差が戦力の徹底的差ではないと格好つけたくなるが、同じ戦闘機でもプロペラ機と電子機器モリモリなジェット機以上的に差が凄く……大きいです。

 

じゃあ機体乗り換えろよと思うだろうが、ニケはスペアとは別のボディ乗り換えが出来るか不明だし、そもそも適正が無い脳みそだから量産型なのを思い出して欲しい。

 

ニュータイプに覚醒すれば分からんけども。

でもオールドタイプのままで終わりそう。

夢は見ない事にする。 ツライさんなので。

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

で、そんなワイのツライさん思考なんて知らず、ピナちゃんは散弾ぶっ放しながら勇ましく礼を述べた。

 

ワイも現実に戻るも、呑気に返事する暇無かった。

弾幕を張るのが仕事の身、目の前の津波から目を離さず撃たねばならず、適当な返事になってまう。

 

 

「あざっす」

 

『この調子で援護頼む』

 

「ういっす」

 

『助け合いは大切ですからね』

 

「至極栄光」

 

『お嬢ちゃん、将来は大物な気がするのぅ』

 

 

いや許せよ。

戦闘中やぞ。 仕方ないって。

不敬罪とかヤメテ。 斟酌頼みますマジで。

 

 

「君……未来のノリは捨てないと」

 

 

ピナちゃん、ツッコミ入れる場合ちゃう!

ほらほら戦って! 正史より数少ないけど!

 

無線越しに感じる視線に耐えながら、ヘイトの方向も変える事にした。

そう、期待のニュータイプ的存在に!

 

 

「あ、あー……ストーム1はまだですか?」

 

 

散々期待させといて、遅刻しとる英雄様。

重役出勤、ヒーローは遅れてやって来ると?

 

 

『まだです。 直ぐには来れないでしょう』

 

 

さっきの今だもんね、期待はしてない。

ただヘイトを向けたかっただけ。

最低なワイ、愛してるよ。 御自愛ヨシ!

 

 

「了解しました。 頼らず凌ぎましょう」

 

『はい。 予定通りに』

 

 

ワイらからすれば予定通りじゃ困るけど。

機銃掃射しながら、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に広がる黒煙と横たわる鉄屑の山。

その中で虫の様な脚を痙攣させ、真紅のレンズを光らせようものなら、誰かれ構わず銃弾と榴弾を叩き込んで黙らせた。

 

最早一方的な残党狩りに切り替わったのだ。

波を防波堤で食い止めて、後は潮干狩りよ。

 

連中も今更にビビったろう。

ワイもビビったからね、間違いない。

 

だって、こうなるなんて思わなかったもん。

たかが残党と侮るまである。

人類は死に体で、碌な抵抗もままならんと。

蹂躙されるが人の定め。 そう運命付けてさ。

 

けども、ラプチャーが蹂躙される光景を見ようとは夢にも思わなかった。

逆転し、狩られる側と相成ったのだ。

ゴッデスのような精鋭が奮戦したとはいえ、ストーム1が陰でジェノサイドしてたとして、ここまで差を出されては堪らない。

 

ワイは後方支援組だったから、その様子を後方防衛陣面して高みの見物であった。

故に俯瞰して見て、前方の数多のケツ意を眺められる余裕と分析する思考をする。

 

オマケでオーバーヒートは少なめ。

ボルト交換の頻度が減るのは良い事だ。

それでも塹壕内は空薬莢で金ピカの池となり、足は埋まったが。 プロテクターが無かったら火傷してる。

 

それはそうと、やはりと。

同じ感想がグルグルし、それを口に出すばかり。

 

 

「次も生き残れますように」

 

 

冷静になろうと努めるも、声が震えてしまう。

100年前も言ってたが、その時は地獄絵図に穴という穴から汁を垂れ流して絶望していた時だ。

 

今は違う。

変化した歴史への恐怖と期待からで、決してビビったからじゃない、いやビビってたわゴメン。

 

狂喜の波濤も何度も味わって来たし、100年前の記憶を正確に覚えちゃいない、寧ろ忘れたいまであるけれど。

 

今回は記憶ほど地獄じゃないと断言しよう。

 

やはり記憶より少なかった。

ラプチャーの数が、である。

 

俯瞰してみた感想だが。

コンバットフレームによるリボルバーカノンとミサイル、ワイら機関銃手の重火器弾幕で押し流せる程に相手は弱体化していた。

撃ち漏らしを戦車が榴弾や徹甲弾、隊員とニケら歩兵による狙撃やロケランの補助で、突撃される前に殲滅。

 

最前線で戦うゴッデスの活躍も勿論で、ワイら量産型とは比較にならない程の卓越した戦闘技能で、並大抵の敵を倒してしまった。

 

なんだったら記憶よりキレがあった。

士気って大切だよね。 これまた今更感に実感。

 

ラプチャーに侵食を誘発する個体もいた筈だが、それを感じさせる余裕も無かった。

 

正史だと早々に量産型ニケが多くやられたし、EDF隊員も死傷者多数、頼みのコンバットフレームや戦車も大破炎上からの全滅であった。

折角生き延びても、ニケは侵食で脳がやられ、暴走する前に同じ仲間が泣く泣く頭部に拳銃弾を叩き込んで処分していた。

 

弾薬も医療品も食糧も最初から不足して、換えの包帯がなく赤黒く変色した服や包帯をつけたままにしたり、飲水をチビチビ布に垂らして、それで誤魔化したり、腐敗臭のする部屋に押し込まれる事もあった。

 

でも今はまだ無い。 余裕がまだある。

耐え抜けるかも知れない。 そんな希望がある。

 

アレもコレもやはり……。

偶然では無い。 そう考えるべきだ。

 

 

「これは期待」

 

 

ストーム1の影響だ、全て。

理解しているからこそ、この結果が、ストーム1というただ1人の存在の有無が、如何に重要で貴重で、同時に恐ろしいか分からされてしまう。

 

英雄。 死神か救世主か。

彼は実在し、何者なのか。

 

コードNで会えなかった彼。

どんな人物なのか。 早く会いたくもある。

 

 

『撃ち方止め! 実包収め! 各自装備確認!』

 

 

赤ヘル……若き少尉殿が、不慣れに声を飛ばし、堂々巡りの世界から現実へ帰還。

疎に銃声が失せ、皆が塹壕や土嚢裏に隠れると簡易的な銃点検、残弾、装備を確認。

 

ニケが人間の命令に素直になって、通常モードに転換していく中、重機関銃手のワイも警戒の為に据え続けつつもボルト交換、そのまま周囲を見た。

 

黒煙を上げるブラッカーE1戦車、片腕が捥げ火花を散らすコンバットフレーム ニクスB型数機。

どちらも旧式だから装甲や武装が弱いのは仕方ないが、それでも良く善戦したと思う。

全機後継機のバリアスやエイレン型なら更なる戦果を上げたに違いない。 更に言えばBMX10。 又はB651。 この辺、欲望はキリがないが。

 

負傷した量産型ニケや隊員もいるにはいるが、死者はいないっぽい奇跡起きてるんだけど。

戦力は確実に低下しているが、前程じゃない。

士気は高く、絶望顔は無い。

 

僥倖やん……被害圧倒的軽微……ッ!

正史なら壊滅的被害……ビークル全滅ッ!

 

堂々巡りな感想を全ワイで興奮語りしてしもうたが、それだけ衝撃だったというコトを改めて述べておこう。

 

 

「勝ったも同然! アークガーディアン完!」

 

「まだでしょ」

 

 

ピナちゃん、耳元でツッコミ入れてきた。

急に寄らんといて、お爺ちゃんビックリよ?

 

 

「完全封鎖まで2ヶ月以上あるんだよ」

 

「そうやけど、前より被害は少なく士気は高い。 ワイら含めた量産型も生き残れるんとちゃいますん?」

 

 

もち、慢心ダメ、ゼッタイ。

でも既に好転してるんやで。 浮かれたい。

 

正史で吹き飛ばされた食糧庫も無事だし。

リスク回避の為、防衛陣地構築時点にて、ワイらの意見が通り分散してるし。

備蓄に余裕がある。 缶詰を奪い合い死体を貪るとか、ニケにも脳みそあるんだよなぁと頭を開けようとするゾンビパニックな光景を見ずに済むなら越した事ない。

 

一応振り返るが、この場にいる量産型ニケは理論上、飲み食いせずとも活動出来る。

けれども人間の脳がバグって思考転換の恐れがあるので出来れば食事を摂る事が推奨される。

対してプロトタイプ……この場合はゴッデスのニケ達は、食事をしないと活動に支障が出るらしい。

人間のEDF隊員は言わずもがな。 ローリングで廃車やガードレールを吹き飛ばしたり高い所から落ちて無傷だったり、時に1km超の長距離狙撃を走りながらや飛び跳ねながら行う彼等を人間として見るべきか怪しい時もあるが。

 

更なる上位存在、ストーム1も来る。

なんくるないさ。

 

けれどもピナちゃんは不安を吐露する。

 

 

「勿論、記憶より良い結果は好ましいと思う。 でもね、歴史に修正力があるなら、油断大敵だよ」

 

「SF談義は聞きとう無い」

 

 

速攻拒否反応を示すワイなのでした。

いやね、単純に勉強したくない。

 

 

「違うよ。 この後の事、覚えてる?」

 

「あまり」

 

「分かる範囲で教えて」

 

「量産型がワイら残して全滅して、食糧庫も吹き飛んで、弾薬も色々不足して、ゴッデスの皆も疲労で不仲になって心ポッキになるけど、ピナちゃんがドロシー様に魔の囁きで立ち直らせて皆を元気にさせて、なのに現実は非情でした展開位しか」

 

「余計な一言あるけど、大体覚えてるね君」

 

「それほどでも」

 

 

悲惨だったからね。 はっしょったけど。

詳しく思い出したく無いし。 分かる人に分かれば良いのである。

分からん人は分からなくて良い。 この歴史改変前の記憶を持たぬがままに過ごすが良い。

知る権利ならぬ知らない権利。 知らぬが仏。

 

ああ、でもコレは確認しておこう。

ワイはピナちゃんに尋ねた。

 

 

「既に歴史は変わってる。 それでもピナちゃんはドロシー様の特別になりたい?」

 

 

ワイとしては、どちらでも良い。

そこに劣情も嫉妬もありはしない。

 

 

「そうじゃないけど」

 

 

ピナちゃんは一瞬考えて、口を開く。

瞳が揺らぐも、理性的に答える。

 

 

「個人の情より、皆を優先。 そうでしょ?」

 

 

それはそう。

でも言い方や視線に寂しさ浮かぶ辺り、欲を捨てられずにいる。 分かってるけど未練がある。 でなきゃ同意を求めやしない。

 

寵愛されたい。 その欲を恥じるのは分かる。

でも、まぁと。 ワイは答える。

 

 

「別に。 気にしない」

 

 

そしてワイは嘘を吐く。

 

 

「ワイの気持ちは関係ない。 ピナちゃんが好きなように動けば良い。 寧ろ動くべき。 記憶上、それでゴッデスの皆は救われたのだから」

 

 

個人より皆を優先。 そうだとも。

ワイの気持ちは関係ない。

ピナちゃんの気持ちの方が大切さ。

 

 

「ありがとう。 君はいつも優しいね」

 

 

気持ちを見通されてか、言われてしまった。

照れ臭く、誤魔化しにピナちゃんの手を引いた。

 

 

「じゃ早速、伝説の女神様らに会いにいこう」

 

「えっ、今から!?」

 

「善は急げ」

 

「迷惑は掛けたくない。 それに昔と違って無理に話す機会もないし」

 

「その時はその時。 謝って帰れば良い」

 

 

そんな訳で。

改めてゴッデスと話す事にした。

 

こんな事を呑気にしてる場合じゃないが。

皆が生きている内だからこそ出来る余裕がある。

 

許せよ。

機械的に未来を稼働して、いつか朽ちるまでと漠然としていた筈なのに、今更に感情に溺れるなんて、機械失格だとしても。

 

機械の体の身だって、人生を1からじゃなくたって、やり直したい事、積み重ね直したい事もあるのだ。

 

でなきゃ、この場にワイらはいなかったろうさ。




英雄はまだ来ない
第1波は余力を持って防衛成功
希望が増えた
ゴッデスの評価が上がった
EDFの評価が上がった
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