ゴッデスに軽く挨拶
生存者が増えて物資不足
今回のあらすじ
ストーム1が到着
進めなきゃ……メインストーリーと反復横跳びをする筈が、ナニやってんだワイは(自虐
〜ここまでの歴史改変〜
ツライとピナが過去へ飛び、歴史を変えられまいかと、取り敢えずドロシーと早期に出会うところから始まった。
ツライとピナはEDF伝説の兵士ストーム1に期待を寄せ、ドロシーに頼み連絡をして貰った。
それは防衛線にストーム1を来させて戦力を増強するのが目的だったが、事態は思わぬ形で好転していくのである。
ストーム1を防衛線に引き込むのに成功しただけでなく、連鎖して司令部へ連絡がいき、結果、ストーム1の為に地表を原子の炎で焼き尽くすコードNが中止になった。
これによりストーム1と多数の人々が生き延び、同時に人類の戦力が正史より残る事となる。
懸念されたラプチャーのアーク侵攻だが、ストーム1ら生存者が足止めをする事により、小規模な戦闘に留まりを見せる。
お陰で余裕をもって迎撃ができる状況になる防衛線……ゴッデスやツライとピナ達。
けれど、生存者が増えた事で物資の消費が正史より激しくなる新たな問題が発生。
解決する為、早急に物資回収部隊を編成。 防衛線を離れて周囲を探索、難民キャンプ等で使えそうな物資を漁る事となる……。
「……酷い臭いだ」
口元を抑え、眉間に皺を寄せる隊員ら。
目の前には破れたテント群と中の死体。
ワイも嫌だなぁと同感なれど、仕事はやらねばならぬからツライさん。
「仕事の時間って訳です。 ワイがテントに入って中の物を掻き出しますね」
「お、おい……」
「良いんです。 ワイはニケですから」
「皆でやる。 1人にやらせる訳にはいかない」
「分かりました」
EDF隊員の皆が手分けしてテントを開けていく。
優しいね。 本当は嫌だろうに。
特に1「人」扱い。 温かい言葉だね。
改めて感じられる。 寒い時程な。
「ならニケのワイは、酷そうな場所を優先」
破れたテントを開けていく。
案の定、日が差し液状化が進んだ死体。 重なり合って混ざり合い、不快な臭いと景色に皺が寄る。
薬品の臭いに塗れるのも嫌で、嗅覚センサーをオフにして中にある物を外に放った。
そうして隊員の負担を軽くしてやる。
嗅覚センサーをオフにしてやり過ごせる分、マシだからね。 人を捨てているが。
視覚までは遮断出来ないから精神的、倫理的にツライさんなのは変わらないけど。
陣地にドロシーと留守番するピナちゃんを思う。
人間時代、死体に関わる仕事だったのか、耐性があると言っていた。 シカを捌くのも上手い。
そういう子こそ、こうした任務に就くべきだろうが、そういう人やニケは稀だ。 本人の意思も尊重したい。
そうでなくても精神衛生上、ダメージ喰らうのは避けられない。 思考転換の危険は犯さない方が良いに決まってる。
どこぞの魔法少女らしく穢れて化物こと闇堕ちヘレティックに成りましたは洒落にならん。 難しい話だがね。
そう思える内は、まだ人間だ。
そう信じて、そう生きろ。
そんな此処、難民キャンプ。
アークに移住する権限が無い人が諦めきれず、アークに入れるかもと夢見て、入口の近くに集まって出来た場所だ。
こういう場所が彼方此方にある。
が、既に人なし。
頭お花畑の解釈をすれば、ここに居た人はアークに避難出来たのだろうと思うだろう。
うん、そんな訳ねぇじゃん。
あるのは破れたテント、人だった何かの液体。
無惨な状況から察して貰いたい。
いやはっきりしておく。 ここの人は死んだ。 希望を抱いたまま、或いは諦めて自決した。 又は争いの中で死んでいった。
何にせよ希望はなかった。 権限も余裕も無いニケや軍人から手を差し伸べられる事も無かった。 それも下手にして残酷な希望を与えるよりマシだったとしたい。
偲びて漁り次々続ける。 罰当たり? 結構。
背後には1千万人の生存者がいる。 その為にやっている。 その事を免罪符にするつもりはないし、赦しが欲しい訳じゃない。
ただ当の生存者達は非難しないで欲しい。
約80億人近くの犠牲の上に生き、その責任と業を全て現場のワイらに押し付けて粗暴粗雑に扱い、自らは罪がないとする。
挙句、感謝も忘れて現実を知らずがまま好き勝手に無能だ非人道的と罵り始め、文句だけ増長させ百年のうのうとし、善良な民間人様は欲望を貪り生きるのだ。
埋葬は最悪後でも出来る。 土に還るだけなら人の手は時に要らない。 偲ぶ想いを馳せ、涙を流し、鎮魂歌を響かせるなら地下でも出来る。
だが生きる事を優先しなければならぬ時、それら美徳は役に立たない。 祈りの言葉や折紙の食えぬ同情より、役立つ物品を寄越してくれた方が遥かに有意義だ。
……1人語りになって申し訳ない。
ヒトカスへの鬱憤が溜まっていてね。 こう嫌な事してると思考がダークになる。
帰ったらピナちゃんで癒されなきゃ♡
「おい、アレを見ろ!?」
隊員が叫び、慌てテントから飛び出した。
指差す方向、臨時監視所を見れば、空に上がる信号弾が見えた。
あかん、フラグ回収しそう。
「信号弾! 敵襲だ!?」
「急いで戻る! 全員搭乗!」
赤ヘル少尉が叫び、皆はEDF製の8輪軍用車、武装装甲車両グレイプに搭乗していく。
ワイはハッチから上半身を出して、手持ちの重機関銃を据えて備えた。
「相変わらず損な役回りでツライさん」
進んでやってる癖に、ついボヤく。
このビークル、見た目通り兵員輸送だが、名前にある通り武装しており、車体上面に砲塔が備わっている。
こうした任務に適している……筈でしたが!
砲塔の残弾……無し……ッ!
度重なる襲撃の中、切らしたとの事……ッ!
なので重機関銃手のワイが身を乗り出しているという訳なんですね。
砲身旋回に干渉するのもあり銃座なんてモンなくて、防弾シールドも射手用の椅子もない。 人が乗り出す事を考慮してないのだ。 当然被弾する恐れがあり危険。
タンクデサントの真似事はツライさん。 教本にも推奨されてないと思うの。
やがて爆音と銃声が届き始めた。
いよいよか。 アークへの襲撃なんて何度もあって一々覚えてないものの。
記憶に残るは、完全封鎖直後、最後の襲撃。
でも今はアーク封鎖まで時間がある。
戦力も歴史よりある。 だから心配してない。
大丈夫、乗り越えられる。 歴史と違いゴッデスだけでなく、EDF隊員や他の量産型ニケが多く生き延びている、持ち堪えられなきゃ嘘だ。
「エブラ粒子の影響で通信状況が悪く、監視所と連絡が取れない。 だがレーダーは辛うじて使える。 よってレーダーを参考に敵の側面に回り込み、本隊の援護を行う。 ツライ、上から敵を探し、見つけ次第撃ってくれ」
「ラジャーっす」
それにワイらもいる。
ラプチャーの横腹に風穴開けてやんよ。
さて目視しつつ、ゴーグルの視界の隅に投影されるレーダーもチラ見して……。
「ん?」
防衛線とは別方向に友軍表示多数。
が、エブラ粒子の影響か直ぐ掻き消えた。
これ、まさかと思うが……一応報告だ。
「レーダーに異常あり」
「詳細に報告せよ」
「防衛線とは別に友軍反応が多数表示され、直ぐに消えてしまいました。 位置は監視所を跨いだ向こう側です」
「……ストーム1?」
少尉は沈黙し、やがて。
「気にするな。 予定通りだ!」
「ラジャー!」
まぁ嘘か真か考えてる場合じゃない。
それに世の中、都合良くは出来ていない。
ワイらはやれる事をやるだけさ。
などと格好付けていたワイを馬鹿にするように、空を高速で何かが横切った。
飛行型ラプチャーかと身構えたが、次の瞬間には地表で爆音、ラプチャーの吹き出し花火が上がる。
「空爆万歳だ」
もう笑うしか無かった。
ピナはツライの計らいでドロシー共々臨時監視所に残留し、ゴッデスとの接点をより強くする事に成功した。
私的な事情も含まれるが、何よりは今後を提案する上でも都合の良い立ち位置が欲しかったのだ。
ストーム1と連絡出来たのもゴッデスのお陰だし、それだけで歴史が変わった。
たかが量産型に何が出来る、と悲観もあったが、これなら希望が湧くというもの。
「とはいえ、どこから話せば……」
問題は山積みだ。
歴史にない生存者の為、不足する物資。
この解決の為にツライさんを含めた部隊が編成され、防衛線を離れた。
これには少し不安だった。
ツライがいなければ死んでいた場面があったから、今回、居ない事で死んでしまうのではという懸念があるのだ。
ゲームでいう例のトラウマシーンである。 ピナが侵食され、ドロシーに拳銃で介錯されるところ。 まるで主人公指揮官みたいだぁ(白目
当作ではツライさんがカバーに入り助かっているので、当人がいないとヤバいんじゃね、という話である。
ドロシーに頼ろうにも、本人はその時「もう何も怖くない」みたいな慢心で駄目かも知れんし。
けれど、それは何とかなるかも知れない。 正史の様にドロシー以外のゴッデスが物資を探しに離れた訳でもない。
更に言えば量産型とEDF隊員が多く生き延びているのだ。 補填は充分である。
後はアークからの要請。 主に3つある。
アーク封鎖の妨げになっている3つの問題を解決してくれ、と依頼されるのだ。
エブラ粒子発生装置の破壊。
通信機器を麻痺させるこれは、ラプチャーを妨害する為に作られたが、強過ぎてアークにも影響が出てしまい迷惑なので壊せという。
これを破壊すれば電子機器類が正常化、通信状況は改善され、アークと円滑な通信が取れるようになり、地上部隊にもメリットはある。
ただラプチャーにも同じ条件を与えてしまうのも留意していないとならない。
指定座標にいるラプチャー部隊の掃討。
地上に近い場所で防壁工事をするのだが、その時騒音が響いてしまい、高確率でラプチャーが来るとの事。
なので安全の為に倒してくれという。
アークと地上を繋ぐ物資運搬EVの破壊。
封鎖に伴い破壊する。
ラプチャーに使われるのを防ぐ為の処置だ。
その直前、約1ヶ月分の物資をアークから地上に送ってくれる。
これらを行うか否かはゴッデス代行リーダーであるドロシーにあるとした。
今まで人類の為に尽くしてくれたゴッデスだから、どう決断しようが気に病むなと言う。
けれど、遂行してアーク封鎖完了の暁には、ゴッデス達地上部隊を寛大に迎え入れ、凱旋とし、失ったもの以上の報酬を与えると約束してくれる。
やらない選択肢はないようなものだった。
そして待遇は所詮、口約束に過ぎなかった。
全ては騙す為の欺瞞だった。
「……オスワルド」
ピナは呟く。
それは通信越しの、封鎖責任者の男の名。
未だ覚えてる。
約束を履行されなかった、裏切られた絶望も。
個人の判断ではなく、皆の総意でゴッデスを捨て駒にしたと語った最後の通信。
ドロシー様以外の者は、何となく察してはいたから渋々運命を受け入れたが……怨みが無いと言うのは無理がある。
後々、アークでゴッデスの事を積極的に広めていた人がいたらしいが、もしかして彼だったのだろうか。
或いは少佐……。
それは今は関係ないにせよ……。
とにかく、問題をピナは知っている。
だから先回りは可能だ。
そうする事でアーク封鎖は早まり、防衛線で銃を握り続ける負担も減る。
けれど動くとなると、今動いている物資回収部隊以上の隊員が離れ、防衛線の戦力は低下するのは避けられない。
何より……。
「信じてくれないよね……」
1番はコレか問題だ。
これら情報を何故、何の権限もない量産型が知っているんだとなれば、いらぬ疑いを持たれて信用を失ってしまう。
正史の記憶があるから、その落差で風邪引くどころか胃がもげて脳をセルフ破壊する恐れもある。 或いは思考転換待ったなし。
「どうされましたか?」
尋ねられ、顔を上げた先、ドロシーの顔。
純粋で単純な表情は、未来を知る身としてはツライさんになる。
「あ、いえ。 食糧の心配をしていました」
適当に誤魔化すピナ。
これじゃ人の事言えないな、と苦笑。
それをドロシーは愛想笑いに捉えつつ、心配はないと安心させようとしてくる。
将来的に安心させたいのは、ピナの方だが。
単純が故、裏切られたり大切な人が死んだりした際、メンタルが壊れまいかヒヤヒヤもんなのだ。
「大丈夫ですよ。 ツライさんは とても強い方ですし、機転が効きます。 何かしらの成果を上げてくれますよ」
「ははは……ツライは確かに頼りになりますからね。 偶に変な事を言ったり、愚痴を言ったり、セクハラする困り者ですけれど」
ピナは振り返る。
この当時のツライさんは、ただのビビリで泣き虫で、今の様にチャラで勇敢では無かった。
近くのニケや隊員に庇護を求めて泣きついて、縋りついて、蹲って、けれど皆死んで、生き延びたピナと共になり、友となった。
今と違うから思考転換が起きたのかも知れない。
けれど、男なのにどうして〜とか、息子を返せとか意味不明な事は ずっと言っていた。 ピナは飽きるほど聞いてきたソレだ。
ただ息子どうたらのトコは事実なら同情もある。 彼女は人間時代、我が子を失ったのではと。 そうしたドラマがあるように思えたのだ。
こんな世の中だ。 珍しい話ではないとはいえ、デリケートな話題だし戦時下だから、ピナは深く尋ねた事は無い。
けれど、もしツライさんの話に真実が混ざっているのなら、どうか息子さんの冥福を祈りたい。 それが慰めになりますように。
「それは……確かに困りますね。 ですが、ずっと下を向いてるより良い事ですよ」
ドロシーの言葉に我に帰り、返答する。
今度は本当の笑顔を添えて。
「そうですね。 私の自慢の、友達です」
「ふふ、ツライさんが羨ましいです」
などと言うから、ピナは欲を少し出した。
側にいたい。 その欲求を。
「……ドロシー様。 私とも友達になってくれませんか?」
「私と?」
「はい。 この先も仲良くしたいので」
これは本心だった。
ゴッデスメンバー相手に畏れ多い発言ではあるが、ピナはドロシーや皆の絶望と苦しみを間近で見てきたが故に。
この世界線は正史よりマシになっているとはいえ、この先は分からない。
なら、あの時同様、側で支え続けたいと願った。
そうする事で、アークへの復讐心を抑えたいし、最悪は忘れて、新しい目的を得て、人生を歩んで欲しいから。
「喜んで。 宜しくお願いしますね、ピナ」
「! はい、ドロシー様!」
そしてドロシーは快く承諾してくれたのだった。
未来の相談は、息をする様に嘘を吐く(偏見)ツライさんに相談するのが良いかも知れない。
今、慌てる事はない。 そう判断した刹那。
『敵襲!』
「ッ!」
スノーホワイトの声が鼓膜を震わす。
監視塔から無線で全隊に流れた。 エブラ粒子による遠距離通信の不通を考慮して、信号弾も打ち上がる。
「ピナ! 援護お願いします!」
「はい! お任せ下さい!」
弾かれる様にそれぞれの場所へ駆け出した。
たぶん、資源回収班にも伝わった。
上手く立ち回る筈だ。 皆がプロである。
特にツライさんは。 100年分のバトルデータは伊達や酔狂で積んでいない。 それはピナもだ。
『正面からだ。 数が多い』
言葉に弾かれ、それぞれ動く。
土嚢や円匙が放られ、塹壕や物陰に飛び込み、銃を握り配置についていく。
ピナも流れる様に自身の掘った塹壕に駆け、スライディングするように体を落とす。
兵士達が迷いなく走り交差する光景は、スクランブルの様である。 というかそういう事態なのだが。
ピナは塹壕で弾薬箱を開き、体に付けたポーチ以外からもショットシェルを掴めるようにする他、もう1丁、リロード省略、サイドアーム代わりにとEDF製の最終形ショットガン、スローターEZを立て掛けた。
スローターショットガンは人間……レンジャー用ポンプアクションだが、かつてEDFがエイリアン軍と殴り合ったのに使われた銃の1つである。
EZは最終形に当たる。 少量生産で精鋭向け、出回った数は少ないが、この域になれば、ラプチャーの装甲にも有効であるので、持ち込まれていた。
それをピナの戦いぶりを見ていた隊員が評価し、自分より使い熟せると譲ってくれたのだった。
「アークと皆を守る。 歴史も変える。 今の私には それが出来るんだ」
ピナは自身を鼓舞する。
後は結果を、この手で歴史を作るだけ。
「エンカウンター!」
証明して見せよう。
押し寄せるラプチャーを全て倒す勢いで。
そう行き勇んで塹壕から頭を出した刹那。
『座標確認、アタック!』
突如、勇ましくも聞き慣れない無線。
聞き終わるが早いか、防衛線の上をエイの様な大型機4機が低空飛行、ラプチャーの群の上で扇状に広がった。
「なっ!?」
それが何か否か問う暇なく、大量に爆弾を投下。
ラプチャーの頭に地面にと自由落下、着弾するや次々爆炎が上がり、ラプチャーの群がひと息に吹き飛んでしまった。
『フォボスの力を見たか!』
悠々と去って行く重爆撃機。
EDF空軍、フォボスZプラン4だった。
ピナやゴッデス含む、防衛線の皆は開いた口が塞がらない。
空軍、まだ機能していたのかとか。
だとして誰の指示で来たんだとか。
けれど、同じ結論に行き着いた。
「ストーム1……!」
やはりアイツで間違いない。
『待たせたな』
その声を聞けただけでも、耐え忍ぶ価値はあったと、後の世で語られる事となった。
ツライさんの存在意義……
更新常に未定