脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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会話、絡みが難しい……
紅蓮はゴッデスの新入りで、しかもフェアリーテールモデルではなく、魔改造された量産型という情報がありましたが、ツライさんとピナちゃんボディもそうしたい気持ちになったり

前回のあらすじ
墓参りの為に交戦

今回のあらすじ
ストーム1の戦闘

地の文と台詞、それぞれ原作要素を絡ませていく難しさにツライさん。


26.墓参り

 

 

「100年前の風が吹く」

 

「格好付けてないで撃ってね?」

 

 

ピナちゃんのツッコミを受けつつ、ワイはいつも通り働くだけ。 要は重機関銃をフルオート。 銃身がイカれない程度に弾幕を張り、敵を寄せ付けない仕事を熟す。

ピナちゃんも"当時"よりキレのある動きで散弾を撒き、ラプチャーを蜂の巣に。

ドロシーはアサルトライフルの弾丸を寸分狂いなく叩き込み、リロードも神速で終わらせ、ラプンツェルも隙を見て光弾を放っている……どういう仕組みなのか、相変わらず分からんが今更である。

 

逆に分かった事がある。

ストーム1についてだ。

 

人間の身であるストーム1……エアレイダー単騎の能力は、ニケの戦闘力より明らかに低いのだ。 身体能力面でもレンジャーの方が上である。

ローリングで車を吹き飛ばす連中と比較してはいけないと思うが、そうした生身の変態兵士が日常的に居るEDFの英雄というからには、その何倍もゴリラなのかと身構えていただけに拍子抜け。

けれど他に無い独特な支援をしてくれる。 それこそがエアレイダーの本懐だと言いたげだ。

 

 

「向こうは、どこ吹く風ってとこだ」

 

 

そんな彼は格好付けてますよ皆さん。

これは許されるんですかね?

 

 

「でしょうね。 交渉する余地もない」

 

 

話せるラプチャーがいるかも分からんし。

100年経っても聞いた事がない。 いや知らないだけかも知れないが。

侵食された催眠闇堕ちなニケは支離滅裂な言葉を呻いてるから違うとして。 ヘレティックは流暢に喋るが、交渉する間もなく攻撃してくる印象。 話せれば、ラプチャーを詳しく知れそうなものなのに。

 

取り敢えず返事をしつつ戦闘を継続。

前列のラプチャーが火花と共に砕ける。

 

 

「墓守にしても、死者を偲ばない騒がしい奴だ。 ここいらで眠って貰おう」

 

 

彼が言うや、ドローンが上を飛んでいく。

それらは4つのプロペラで飛行し、抱えられるサイズだ。 中心に機銃を下げている。

彼等は一切の感情もなく機銃を撃ち下ろし、ラプチャーの装甲を歪ませ、怯ませ、よろけさせ、動きを止める。

 

 

「ッ!」

 

 

そこをドロシーやラプンツェル、ワイやピナがトドメを刺した。

 

そんな事をされてるにも関わらず、ラプチャーはドローンを侮っているのか、気にも留めず撃つばかり。

が、全て電磁トーチカによるシールドで防がれ、逆に此方の攻撃を一方的に受け、数を減らしていく。

 

 

「ストーム1を知れた気持ちです」

 

「そうですね。 とても助かります」

 

「褒められるのは嬉しいが、これが今の限界だ。 これからは君達の時代さ」

 

 

ドロシーとラプンツェルは褒め、ストーム1は返答する余裕を見せた。 隙あらばキザっぽいのは苦手だが、安心感が凄い。

 

 

「ピナちゃんピナちゃん!」

 

「どうしたの、戦闘中だよ?」

 

 

ドンパチの最中、ピナちゃんを呼び出す。

忙しくても返答してくれるの可愛い。

 

 

「どう思う?」

 

「記憶より多い気がするけど、勝てるよ」

 

「そうじゃなくて。 ストーム1についての感想。 何とか通用しているのは、EDFの兵器だから?」

 

「たぶん。 かつてエイリアン軍と戦ったから」

 

 

銃撃をラプチャーに浴びせながら思う。

あの妙な違和感は何なのか。

 

通常ラプチャーの強固な装甲を砕くには、ワイらニケの使うような大口径弾や強力なレーザーやビーム、重火器を叩き込むしかなく、人間の歩兵が使用する小口径弾では話にならないのが常識だ。

故に人間は敗走を続けながら、反動重量デカツヨ銃火器を携行使用出来る人型兵器ニケを生んだ。 倫理観レ⚪︎プして少女の脳みそを部品にしてまで。

ところが、どうだ。 ストーム1が使用しているのは、両手で抱えられるサイズのドローンであり、ぶら下げているのは下手すると歩兵以下の機銃に見える。

そんな弱小火器でラプチャーを甚振って見えるから、驚くしかない。 やはりピナちゃんが言った通りだろうな。

 

EDFの兵器は、かつてエイリアン軍相手に使用されていた。 圧倒的な科学力と軍事力相手にだ。 ならばラプチャーの装甲にもダメージを与えられなくもないのか、と。

 

 

「それでも異端に見えるけども」

 

 

撃ちながら、ストーム1の攻撃を思う。

最初の支援機器といい、それら兵器の仕組みからして、エアレイダー装備は飽くまでも、随伴歩兵の支援がメインなのだと感じさせる。

けれど、それは飽くまで兵器だけ見た時だ。 ストーム1の卓越した動きで操られたそれらは、支援火器にしては堂々主役を貼りすぎていたのだ。

 

部隊を後方から支援する重機関銃射手のワイが不甲斐なく見える程に。 レベルの違いを見せられてツライさん。

 

初めての人、武器との連携というのは難しいものだが、そうした次元とは違ったのだ。

 

纏まっている相手には、機銃を下げたドローン編隊が飛んでいき機銃掃射。 孤立している敵には個別にビーコンを打ち込んで1機単位で飛ばし、各個撃破。

ドローンを飛ばし切ったら手ぶら、という事はなく、長方形の銃……リムペットガンを構えてトリガーを引く。 飛び出すは赤く点滅する缶ジュースのようなもので、それらは地面やラプチャーの装甲表面にくっついた。

次にストーム1が別のトリガーを引けば、ボカンと爆発。 ラプチャーの装甲が爆ぜた。 吸着爆弾だと気付いたのは後になってからだった。

 

 

「……ワイらニケの武器の方が火力はあるのは間違いないけど……これが腕の差なの?」

 

 

後方支援面していたワイ、拗ねたくなる。

英雄ってのは理不尽だ。 同じ土俵にいない。

それは装備や運用の違いの話で、単純な殴り合いの事では無い。 歩兵の活躍と戦闘機の活躍の違いと言えば良いだろうか。 戦い方も戦場もそれぞれ違うのだ。

ニケとストーム1が殴り合えば、たぶんニケが勝つ。 量産型はやられるかも知れないが、オリジナルやゴッデスメンバーとタイマンしたら一方的な筈だ。

 

それでも、それに愉悦を覚える事はない。

彼は別の次元で活躍する人間だ。

殴り合いは弱くても、ニケとは別の魅力がある。

きっとそれが……英雄的部分なのだ。

 

 

「状況終了! 撃ち方止め!」

 

 

ストーム1が叫ぶ。

ダラダラ考えて弾を撃ってたら、終わってた。

ラプチャーだった鉄屑が辺り一面に転がり、火花と黒煙を上げている。

 

てか、いつの間に部隊を仕切ってるんだが。

まるで指揮官だ。 謎のカリスマ性も魅力の1つというか。 監視所に来た時も量産型のニケ達がキャッキャッしてたし……天然のたらしなのかも知れん。 でもワイは止めてください。 中身男なので。

 

 

「墓前の掃除は済んだ」

 

「支援、感謝します。 流石は英雄ですね」

 

「はい。 見事な手際でした」

 

「過去の栄光に縋る気は無い」

 

 

謙遜も過ぎれば嫌味である。

そんな彼は、モブなワイらも労ってくれる。

 

 

「ピナとツライも良くやった。 慣れてるな」

 

「いえ、そんな……ありがとうございます」

 

「伊達に生きてませんからね」

 

 

ワイらも謙遜しといた。

ストーム1より下なのは間違いないから。

悔しいがね。 人間の兵士が魅力的に思うなんて久し振りだよ。 最後に思った時はチ⚪︎コの有無についてだったかな……。

 

 

「さて墓参りだ。 行こう」

 

 

そうして再び歩き出す。

その先にある墓場へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「およそ20個ですね」

 

 

野原に等間隔で生える木の柱。

認識票が風で揺れ、草の擦れる音と共に小さな音を奏でている。

前に来た時と同じ数。 それが増えていない事に安堵する事も怒る事もない。 変わらない記憶、変えられない光景、過ぎた事がただ鎮座する。

 

ワイとピナちゃん、ドロシーとラプンツェル、そしてストーム1の1歩後ろから見守りながら、100年ぶりにこの場で黙祷するだけだ。

 

 

「……ピナちゃん、ワイらはやっぱ無力だよ」

 

「うん。 でも分かって来た筈でしょ」

 

「そうだね……そうだった」

 

 

前を向き直る。

歴史をなぞっているだけの証拠。

それがワイらの無力さの証明。

 

けれど苛つく事はない。

ワイら量産型は無力で救いようがないから。

とっくの昔に知り得ている。 防衛線でワイとピナちゃん以外が死んだ時から。 オリジナルには到底及ばない力量がそこにあったから。

でも何もせずにはいられないから足掻きはする。 刻を遡り歴史をなぞる。 それにいかほどの意味と価値があるのだろうか。

この先もそうかも知れないし、違うかも知れない。 そんな希望に縋ってワイらは生きるしかない。 ストーム1のように強くはないんだ。 ツライさんだね。

 

 

「少し祈りを捧げても宜しいでしょうか?」

 

「もちろんです」

 

 

ドロシーが促すとラプンツェルが跪いて、祈りを捧げる。 ワイらは軽く済ませたから見守るばかり。

 

 

「ラプンツェル」

 

 

ドロシーが尋ねる。

始まる問答法の様なやり取り。

 

 

「はい」

 

「彼等の声が聞こえますか?」

 

「聞こえません。 死者は話せませんから」

 

「誰に祈っているのですか?」

 

「誰にも祈っていません」

 

「何の為の祈りですか?」

 

「何も望んでいませんよ」

 

「祈りで何が得られるのですか?」

 

「何も得られません」

 

「では、何故そこで祈るのですか?」

 

「声が聞きたいのです」

 

「ラプンツェル……」

 

 

自身の不安定な精神を棚に上げ、ラプンツェルを案するドロシー。

けれどラプンツェルは、微笑み返した。

 

 

「ふふ、大丈夫ですよドロシー。 死者に引っ張られてはいませんし、生きている者の声をハッキリと聞いています。 ですが今は、本当に彼女達の声が聞きたいのです」

 

「何故ですか?」

 

「皆さんの故郷を見つけてあげたいので」

 

「故郷?」

 

「そこで残りの時間を過ごして欲しいのです」

 

 

ストーム1はワイと同じく、ただ静かに聞いているだけだ。 彼にとっては初めての話であろうし。

ワイらにとっては2度目かな。 全て覚えてる訳じゃないけど、この光景は記憶を掘り返されてる気分だ。

この後の感動的な展開も知ってる身としては……いや、素晴らしい映画をリピートしているとすれば良いものか。 ワイはニヒルに笑った。

 

 

「最も穏やかだったその場所で……今まで、とても辛かった筈ですから」

 

「ラプンツェルも望んでいるのですか? 故郷へ、家へ帰って永眠することを?」

 

「もちろんです。 しかし、今ではありません……私には、すべき事が出来たのです」

 

「すべき事とは……」

 

「決めました。 私は───」

 

 

刹那、不思議な事が起きた。

墓場から金色の光が溢れると、粒子はラプンツェルのロザリオへ吸収されたのだ。

 

 

「……まさに御伽話の世界だな」

 

「……綺麗、いつ見ても」

 

 

ストーム1とピナちゃんは、思わず呟いた。

綺麗な光景なのは間違いない。 感動的なものだ。

死者を偲び、答えてくれたかのようで。

 

 

「そう思える人であり続けたいね」

 

「……ツライ」

 

 

背負う銃が、揺れた。

例え歴史をなぞっていようと、唾棄して跨ぐものではない。 少なくともワイらはまだ、疲れてない。

 

 

「ラプンツェル、今の……」

 

 

ドロシーが再び尋ね、ラプンツェルは何かを察して答えてくれる。

 

 

「これは……ああ、なるほど……皆さんの記憶が……ここにあるのですね」

 

「何が……起きたのですか?」

 

「記憶が、流れ込んで来ました。 先に旅立った皆さんの記憶が」

 

「その、黄金色の粒子の事ですか?」

 

「はい」

 

「それは一体……」

 

「魂……もしくは他の何かでしょう」

 

「…………」

 

 

それかNIMPHだ。

詩的な表現に欠けるがな。 けれどソレも謎に包まれた存在である。 どちらちせよロマンはある話だ。

……ワイが死んでも、こうなるのかな。 看取ってくれる人はいるのかな。

嗚呼、何だろ。 涙が出てきた。 ニケも涙出るんだよな。 ゴーグルに水が溜まってツライさんだね……。

 

そんなワイらにも聞こえるように。

ラプンツェルは明るく声を響かせた。

 

 

「エブラ粒子発生装置を壊して帰りましょう。 皆さん待っていますよ。 これで臨時監視所とアークとの通信が繋がるのですよね?」

 

「はい。 恐らく」

 

「早く戻りましょう」

 

 

そういうと、ドロシーは踵を返さずに木の柱にかかっている認識票を集め始める。

それが良い事なのか分からないけど、やろうとしている理由は咎めるものじゃない筈だ。

 

 

「ドロシー」

 

「皆さんの体を運ぶ事は出来ないけれど、認識票だけでも持っていって、私たちが作ったお墓に、一緒にお迎えしましょう」

 

「……ありがとうございます」

 

「こちらこそ」

 

「あっ、でしたら私たちも手伝います!」

 

 

ピナちゃんがワイも巻き込み、共に認識票を集めて回る。 ストーム1も同意してか、共に手を取ってくれた。

 

 

「そうだな。 死してなお、暫し共に」

 

 

やがて風で揺れるは草の音だけ。

認識票のチャリン、という音は遠く響いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ザッ……ザッザッ……ザ───ッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通信が回復すると、生き残ったEDF隊員達の奮闘が鼓膜を震わす。

それは正史では恐らく、原子の炎で焼かれた者たちの必死の声。 けれど絶望では無い、人類の為に懸命に生きて戦い続ける兵士の声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『通信が回復しました!』

 

『こちら司令部! 各隊状況知らせ!』

 

『こちら23! ラプチャーと遭遇! 現在戦闘中! アークまで辿り着けそうにない!』

 

『こちら26! 負傷者多数、ベースに退却する!』

 

『こちらスーパー8! 飛行型に足止めされている! 目的地点への到達は難しい!』

 

『くそっ! コンバットフレームが動けないとは!』

 

『こちらゴーン1』

 

『ゴーン1! 何機動ける!?』

 

『2機だけだ……突入する!』

 

『たった2機か……健闘を祈る!』

 

 

 

 

 

「今世紀は賑やかだねぇ、ピナちゃん?」

 

 

女神様が驚く傍ら、ワイは銃を揺らして笑う。

ピナちゃんもワイの顔を見て微笑んだ。

 

 

「久し振りに嬉しそうだね?」

 

「そりゃそうさ。 滾るってもんだろ?」

 

 

そんなワイらを、ストーム1が力強くグリグリと頭を撫で回す。

 

 

「良くやった。 褒めてやる」

 

「やったのはストーム1です」

 

「いや。 今ここに君達がいるからだ」

 

 

へっ。 へへっ。

 

なんだよ。

思っていたより楽しくなってきたな!




足踏み感の中……

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