脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
ストーム無双

今回のあらすじ
アークとのリアタイ通信

堂々巡りだなぁ……
これ進んどるんかいね?(殴


30.微変の兆し

 

 

「援護感謝する」

 

 

爆炎を背景に歩き出す彼を見て戦慄する。

 

包囲網に風穴開けるどころか、殲滅しやがった。

 

絶望を齎す狂喜は、突然の暴風に消されたのだ。

 

これがストーム1。

伝説の兵士って……コト?

 

 

「ま、マジか……」

 

 

あれだけいたラプチャーが全滅?

たった1人の歩兵相手に全滅だって?

 

脊髄スタビライザが無事なのを褒めてくれ。

なんだったら漏れてるまである。

 

 

「コードNが中止になって良かったね?」

 

 

対してピナちゃんはニコニコしおる。

人外見せられて、それで済ませられるのか。

 

ほら、ゴッデスの反応を見習って。

 

 

「EDFに、まだこれ程の力が……」

 

「英雄の噂は正しかったのですね……」

 

 

放心しかけるドロシーとラプンツェル。

彼女らが認めるなら、間違いないって。

 

 

「さぁ、帰ろう」

 

 

そんなワイらに道を示すストーム1。

 

力強く優しい口調。

頼もしくも恐ろしい。

 

敵わない。 抗っては、ならない。

本能が悲鳴と歓喜を混ぜ叫ぶ。

 

味方であった事を心底嬉しく思う。

 

 

「……ええ」

 

「はい」

 

「ラジャーっす」

 

「分かりました」

 

 

本能的に頷き、背を追うばかり。

この機体、魂は従順し、奉仕し、欲する。

 

彼について行けば、未来は変わる。 希望を持てる。 そんな気がしてならない。

 

想う程に体が熱くなってくる。

これはきっと、希望の熱気。

 

 

「……ピナちゃん、未来は変わると思う?」

 

「大局は変わらない。 でもアークは分からない」

 

「……そう」

 

 

未来は相変わらず、か。

 

でも。

どんな小さな事でも、足掻きが実りますよう。

 

そうじゃなきゃ。

努力は報われていなきゃ。

 

でなきゃ許さない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その背を追う様に帰還すれば拍手喝采、口笛響く凱旋道が成っている。

隊員もニケも懇篤の勝鬨を上げるのだ。

 

全てはストーム1の為に。 軍神に捧げる。

ワイは付属のオマケさん。

 

 

「英雄のお帰りだ!」

 

「伝説は健在だな!」

 

「この戦い、勝ったぞ!」

 

「これで奴らの計画は台無しだな!」

 

「奴らに分からせてやったぜ!」

 

「EDF! EDF!」

 

 

凄い熱気やん。

先の大戦でもこうだった系?

 

 

「なんか、一緒にいるのツライさん」

 

「ストーム1が来たのは私達の影響でしょ」

 

 

いやピナちゃん、そういう事じゃなくて。

分不相応過ぎるというか、量産型が共にいちゃいけない場違い感がスゴイさんなの。

 

 

「君達がいてこそだ」

 

 

ストーム1が謙遜。

或いはワイらの立場を上げてくれるも。

 

 

「謙遜も過ぎれば嫌味ですよ」

 

 

ツッコむドロシー。

ワイらを代表して言ってくれる勇気を称賛したい、あんな強さを見せられた後じゃビビって会話し難いので。

 

 

「本当の事だ」

 

 

それでもストーム1はワッショイしてくる。

 

 

「要請、誘導している無防備な間をカバーしてくれたからこそ勝利した。 俺1人だったらこうはいかなかった、ありがとう」

 

「そういう事にしておきます」

 

 

ドロシーは何処か高慢な態度。

元々そういう性格だったけど、ストーム1に対しても貫くとは筋金入りよな。

 

ワイらは100年付き合ってるから知っているつもりだけど……怖いモノないのかね?

或いは彼の無茶苦茶に付き合わされたから?

 

 

「感謝しますストーム1」

 

 

一方、ラプンツェルは素直に礼を述べた。

えっちを抜けば心優しい聖女様なんよ。

 

 

「ドロシーも本当は感謝してます。 素直になれないだけで、心では喜んでますよ」

 

「それは……はい。 ありがとうございます」

 

 

デレた。

高慢でも礼を欠くのは自身に反したらしい。

出来たなら、いつも素直だと良いんだがな。

 

今もリーダーなんだから堂々した方が良い。

ワイにはその辺の知恵は疎いから、とやかく言える立ち場にないが……士官学校ではどう教わるんやろな?

 

とりま思うは、ドロシーって見た目通り高貴で面倒な生まれな気がする。 人間時代の話は時にデリケートだから、ホイホイ踏み込まないけれど。

 

ドロシーの場合、未来の不安もあるか。

ワイらが余計な真似したから尚更に。

 

 

「ドロシーは1人でやるタイプか?」

 

 

ストーム1は突然に尋ねるから、遅れて返答するドロシー。 正史だとピナちゃんが聞いた質問だったかな、歴史は収束するってヤツ?

 

 

「そうかも、知れません」

 

 

戸惑いがちのドロシー。

対してストーム1は真っ直ぐ投げ掛けていく。

 

 

「それは何故だ?」

 

「その方が確実で楽だから?」

 

「あまり人を信じられないか?」

 

「そんな事は、ないです」

 

「なら」

 

 

ストーム1は区切って言う。

 

 

「頼ってみろ。 俺もそうした」

 

 

ストーム1はそう言って、凱旋の先へ往く。

止まぬ歓声の雨に塗れ、哀愁は掻き消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

臨時監視所、アークとの通信を行う収集ロボットがいる場所に、スノホワと紅蓮が待っていた。

スノホワは相変わらず淡々としていて、紅蓮は驚愕と歓喜混じりだ。

 

 

「早速アークに連絡しよう」

 

「支援も欲しいが、お主が居れば百人力だな」

 

「もっと凄いのも見せられるぞ」

 

「もっと!? どんなモノでしょうか!? あの凄く大きなミサイル以上のモノで責められたら……ッ!」

 

「ラプンツェル様、落ち着きましょうね」

 

 

聖職者ならぬ生殖者を窘めるピナちゃん。

周囲が幾らスルーしても思考が掻き乱されて話がややこしくなるので、GJである。

 

 

「本題を片付けよう」

 

 

ストーム1が言うや、妙な緊張感が漂う。

未来を知る身としては複雑だ。

 

繋がったら、文句の1つや2つ言ってやりたい気持ちはあるが、アーク上層部には声なんて届かない。

届いたところで揉み消されるがオチだ、別のアプローチの方が良い。

 

或いはEDF司令部の方が聞いてくれそうだ。

 

 

「始めてくれ」

 

 

全体にストーム1が言えば、音声に反応した収集ロボットがノイズを吐き出していく。

歴史を何処までなぞれば良いのか、何が答えなのかは分からないけれど。

 

ドロシーと一瞬、目が合った。

複雑そうな表情のままだ。 仕方ない。

 

ワイの言った通りの展開なんて、誰も望まない。

けれど抵抗も今更に、変わりやしない。

 

それでもね、刻まれる事に向き合うばかり。

問題は、今後どうなるかだ。

 

結果を知れぬ内は、未だチュートリアルの域を抜けぬ暗中の世だ、此処は。

 

 

「ツライさんだねぇ」

 

「ボヤいても、どうにもならないよ」

 

「知れた事」

 

 

鬱憤溜めるより良いんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『───ジッ、ジジ……アークとのリアルタイム通信を実行しマス』

 

 

皆が見守る中、蝸牛みたいなマシンから無機質な機械音声が響くと、抜かし始めるはいつかの男、オスワルド。

 

 

『聞こえますか? 此方はアーク。 ゴッデス部隊、聞こえますか?』

 

 

懐かしいね声だね君。

此処で聞いたが100年目だと1発くれてやりたいが、機械越しに荒ぶっても仕方ないので落ち着く事にする。

 

ピナちゃんも平静を保っている事だし。

全て彼だけの判断じゃないだろうし。

 

 

「!!」

 

「……繋がったか」

 

「此方はゴッデス部隊。 聞こえます」

 

 

ラプンツェルが驚き、紅蓮も何処か喜ぶ。

そこをドロシーが冷静を装い応答する。

 

ワイらは見守るばかり。

どうせ記憶通りよ、慌てて変わりやせん。

 

 

『あっ……! 良かった。 エブラ粒子の濃度が急激に低下したので、もしやと思い通信を試みたのですが、成功したようですね。 お見事です』

 

「私はゴッデス部隊のリーダー代行、ドロシーです。 其方は?」

 

『私は中央政府で今回のアーク封鎖プロジェクトの総責任を務めています。 事情により名乗る事が出来ないのです。 ご理解下さい』

 

 

堅い事にいうなよオスワルドくぅん、とワイは口を滑りたくなるも我慢する。

此処でモブが出しゃばって良い事はない。

 

そこは権限者のドロシーとストーム1に任す。

モブのワイ、高みの見物。

 

 

「単刀直入にお尋ね致します。 アーク封鎖後、私達はどうなりますか?」

 

『以前音声メッセージでお伝えした通り、最高の待遇を準備中です。 それは確かにお約束致します』

 

「……そうですか。 良かったです」

 

 

ワイらをチラ見するドロシー。

疑いと迷いであった。

 

いいのよ別に。 責めやしないよ?

人ってのは信じたいモノを信じて他は見て見ぬ振りする生物だからね!

その理屈だとニケは人である、やったね!

 

 

「あの……指揮官はどうなりましたか?」

 

 

ラプンツェルが尋ねた。

ここまで歴史通りの展開を見せてるね。

 

 

『指揮官と仰いますと、ゴッデス部隊の指揮官の事ですか?』

 

「は、はい。 無事ですか? お話出来るでしょうか?」

 

『……申し訳ありませんが、今は何も分かりません。 私も色々調べてみましたが、手掛かりがなく……』

 

「そんな……」

 

『申し訳ありません』

 

「いいえ、ありがとうございます」

 

 

ゴッデスの指揮官って、どんな人だろ。

口振りからしてアークにいるらしいが。

 

ナニか。 ゴッデスを地上にポイして、自身は楽園ヌクモリティであろうか。

だとしたら100年後の指揮官連中と対して変わらん奴だ、そんな奴を心配する必要は無い(偏見)。

 

 

「……アークは、どうですか?」

 

『正直に申しますと滅茶苦茶です。 あれだけの人数を1度に居住地を移したのですから、整理すべき事や決めるべき事が山程あります。 まさにカオスと言えるでしょう。 しかし、みんなが希望に満ちているという事は確かです。 ラプチャーの恐怖から逃れられた生活に、みんなが希望を抱いています』

 

「そうですか、良かったです。 ではラプチャー殲滅と巨大エレベーターの破壊さえ終われば、私たちもアークへ行って希望を抱けるのでしょうか?」

 

『勿論です』

 

 

嘘です! 騙されてはいけません!

そう心で失笑し唾棄する。 欺瞞の楽園めが。

 

 

「分かりました。 1日1回、情報共有の為にご連絡致します……近い内に、お会いしましょう」

 

『はい。 近い内に』

 

『アークとのリアルタイム通信が終了しまシタ』

 

「……1歩ずつ進んではいるようだな」

 

 

機械音声か流れ、終了が知れ渡る。

まやかしの希望を得て、一息入れる紅蓮。

 

知らぬが仏。

心の隅では、既に捨て駒の可能性を入れているにせよ、任務の目処が立った事は良い事に捉えていただろう。

 

昼夜問わず常に神経を尖らせて、敵が来たら死に物狂いで戦わねばならない日々も、ようやっと終わりの兆しが見えてきた。

 

希望は、必要だ。

 

 

「……はい」

 

「では今日は休んで、明日直ぐに出発だ。 今度は私が行こう」

 

 

解散するゴッデス。

ストーム1は無線機を取り出して、司令部に連絡をしてくれている様子。

 

その辺はプロに任せよう。

結局、様々においてワイらモブはモブなのさ。

 

 

「とりま戻ろ」

 

「うん」

 

「ピナ、ツライ」

 

 

ドロシーに呼び止められた。

その表情は不安を押し殺した微笑み。

 

 

「アークは約束をしてくれましたよ」

 

「ウボワァ」

 

 

はい見てらんない。

吐き気と目眩を催しツライさん。

 

 

「ちょっとツライ……」

 

「いやだって、未だ信じてないやん」

 

 

小突くピナちゃんに反論するワイ。

訪れぬ憧れを幻視し続けてるんだもん。

 

文句あるなら後頼むよピナちゃん。

その辺、ワイより得意でしょうに。

 

 

「……ドロシー様、お墓参りに行きませんか」

 

「えっ?」

 

「あっ、今度のはリリス様のです」

 

 

ピナちゃん、何を考えてるのか分からんけど、そこなら話し易いのかな?

 

リリス……リリーバイス少佐の墓。

大きな木の下、木漏れ日の中、石棺に安置されていて、ワイも神に祈る気持ちで訪れた記憶が残る。

 

人類初のニケであり、全てのニケの始祖。

ゴッデスのリーダーとして人類の為に尽くし、死んだらしい。

 

 

「駄目ですか?」

 

「いえ、駄目という訳では……」

 

「では行きましょう。 ツライも良いよね?」

 

「ワイもかい」

 

 

巻き込まれたが仕方ない。

押し付けた身、それくらいは付き合わねば。

 

ドロシーの手を引くピナちゃんを追う様にして、ワイは再び歩き出す。

通信中のストーム1を背後に置いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私もよく来るんです」

 

「同じく付き添いで」

 

 

粗雑な石棺の前でピナちゃんに合わせる。

大きな木の下、木漏れ日に照らされていると、此処が戦場だとは思えない錯覚に陥る。

 

ズタボロの臨時監視所とは雲泥の差だ。

静寂と新緑もポイント高いの。

 

多くの生存者がいる今、ワイら以外にも来る人がいるみたいで、棺の上や周囲には小さな花が献花されている。

中には何処で見つけたのか、純白の百合の花も見受けられた。

 

話した事が無くても、皆の憧れ。

原初のニケ。 人類の希望。

 

ニケと隊員にとって象徴的存在。

記憶に残り続ける伝説。 完璧で究極の存在。

 

その意味ではストーム1と似ているかもね。

純粋な戦闘力じゃ計れない、それぞれの魅力を醸し出しているけれど。

 

でもこの後、墓は何者かに荒らされるんよね。

で、リリスの首がパクられるのよ。

 

ニケは脳が無事なら復活出来る。

修理や整備の問題はあれども……。

 

もし……そうした狙いがあるのなら、リリスはあの後、何処かで復活したのか?

もしそうなら、人類と合流しようと動く筈だが、そんな話は聞いた事がない。

 

ラプチャークイーン絡みだと勝手に妄想中。

もしかしてリリスはヘレティックになったか、新たなクイーンにされてもうたかとね。

 

或いは病んでる大ファンの仕業かな?

ここを見張って掠奪を阻止する手もあるが、未来でどう影響するか分からんので黙っとく。

 

酷いと思うだろうが、既にお亡くなりの人だ。

死体損害罪的なのを被せたいならば、ラプチャーに言ってくれ、返り討ちにされるだろうけどな。

 

 

「リリス少佐は愛されてるっすね?」

 

 

ワイが言うや、ドロシーは琴線に触れたのか、聞いてもいない事を吐露していった。

 

 

「難しいですね、リーダーというのは」

 

 

ストーム1も参戦してか、仲間の奔放さに振り回されてか。 あいや色々か。

未来の話もされて、その通りになってきたし。

 

 

「正直言うと、リリスの事を大変そうだなんて思った事もありませんでした」

 

 

石棺をそっと撫でながら語るドロシー。

独り言になってきたが、黙って聞く。

 

 

「与えられた状況で最も適切な判断を下し、仲間達と仲良く過ごせば良いだけだったんですから……それがこんなに難しいとは思いませんでした。 どうすれば良いのでしょうか?」

 

「その答えは私が知っています」

 

 

此処でピナちゃんが明るく放った。

周回展開に感情を沸かせられる内が花よ。

 

 

「答えを知っているとは、どういう事ですか?」

 

「ドロシー様は他人に手伝って欲しいとは、絶対に言いませんよね」

 

「…………」

 

 

立場が下なのに、懐に攻めていくピナちゃん。

急に痛い所を突かれて黙り込むドロシー。

 

 

「プライドの問題ですか? それとも1人でやらないと気が済まないタイプ?」

 

「私が……ですか?」

 

「はい」

 

「……知りませんでした」

 

「ドロシー様は他人を信じていないんですね」

 

「はい」

 

 

ハッキリ言う。 気に入らんな!

心が弱ってるからこそ本音を聞けるのはある。

 

 

「何故ですか?」

 

「……さぁ。 他人がやるより私がやった方が早くて確実だから? だから……誰かに泣き言を言うのが嫌なのです」

 

「わあ、プライドが高いですね」

 

 

ピナちゃんも思わず「わあ」とか言った!

人の事言えねぇじゃねぇか、謝らんかい!

 

ドロシーがプライド高いってのは百も承知だけどね、百年も付き合ってたんだし。

付きっきりじゃなかったけど。

 

 

「そうですね」

 

「頼んでみて下さい。 仲間に」

 

「……私は、頼み方を知りません」

 

「じゃあ私が教えてあげます」

 

 

いつの間にか導き手の1人となったピナちゃんは、迷えるニケに道を示す。

おつよい。 量産型の立場から意見を持てど、此処まで言える娘が他にいるだろうか。

 

などと百年前は感動してました。

けれど少し慣れてしまっただけで、まだ感動出来るね。 そういう映画を見てる気分だ。

 

そう思ってしまう時点でワイはツライさん。

 

 

「たったひと言で良いんです。 手伝って下さいって」

 

「それが役に立つんですか?」

 

「1番正直で、確実で、自分の意図を100%完璧に伝えられる、数少ない魔法の言葉ですよ」

 

 

格好良いよピナちゃん♡

追い詰められ、途方に暮れ、無力感に苛まれた女神を導く翼は美しいね!

 

多少歴史的順序違えど、ここまでお膳立てしたんだから、羽化してくれよ女神様!

 

 

「……防衛線を維持するのに、多くの問題を抱えています」

 

「知っていますよ」

 

 

そうとも、ワイらは詳しいんだ。

特に飲食料問題は深い、生存者が多いと、その分物資の消費は激しい。

 

 

「食べ物が必要です。 電気も復旧させないといけないし、飲み水も必要です。 壊れた施設の補修もしなければならないし、弾丸も足りません」

 

「そうですね」

 

「リリスは亡くなり、レッドフードもいません」

 

「残念です」

 

「……それでも、こんな状況でも希望を持たせてくれるのですね」

 

「私だけじゃないですよ?」

 

「ええ。 ツライや皆が懸命に頑張っているから。 ストーム1だけじゃない、戦線の穴だらけの箇所を、皆の生きたいという気持ちが補完しています」

 

「及第点です。 後は自分自身の面持ちですよ」

 

「私の?」

 

「リーダーが、そんな暗い顔をしていては、皆はまた不安になっちゃいますから」

 

「……ピナの言う通りです。 人類の希望、その象徴であるゴッデスのリーダーが崩れている訳にはいきませんね。 胸を痛めて貰い、すみません。 そして、ありがとうございます」

 

「こちらこそ」

 

 

こうして歴史は修正されたか。

悪化するよりマシだが、何も変わらないのも問題だぞ、その意味では問題が増える一方だ。

 

そう内心嘆いていると。

 

 

「ツライ、ピナ」

 

 

ストーム1が無線機片手にやって来た。

イレギュラーがいても、結果が出なきゃ……。

 

 

「司令部に情報を伝えた。 このまま未来に帰れるなら、浦島太郎気分を味わえるかもな?」

 

 

……あー、いや。

果報は寝て待てという言葉があったな。

 

功を焦るな、まだ刻ではない。




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