脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
ホワアア

今回のあらすじ
えっちぃ聖女様


39.祈祷者

アークによる地上奪還作戦。

正史にてガーディアン作戦から約50年後に行われたそれは、多くの資源を浪費した挙句に失敗に終わった。

結果、ニケへの不信感が生まれ差別を増長させ、責任を擦られた新星指揮官がアークを離反する散々なキッカケを作る。

 

ところが、この世界線では緊急回避されるという改変が起きたのだ。

 

作戦中止。 その一言で済む改変を。

 

経緯はEDF総司令部及び戦略情報部が議会で意見、貴重な資源の浪費とニケの凋落を案じる以外にも、土地を奪還する具体案が纏まらぬ内に、策を講じず突貫しても犬死にだと反対。 そんな脳筋方法で解決するなら人類は地下にまで遁走していないとまで述べる。

ストーム1及び地上戦力、インフラを支える3大企業とのパイプを抱えるEDFに畏怖する中央政府は対抗案や反論カードを切れずに敗退。 作戦はお流れとなった。

 

ツライとピナの未来情報をストーム1越しに聞いた分だと、第9世代までニケ開発が進んでいながら未だ地上奪還出来ずにいるという。 憂いは増すばかりだ。 だからと行動あるのみだと、正史通りの失敗を踏襲したくはない。

その事情を知らない現場サイドや民衆からは不満の声も出たが。 尻込みクソ司令部のイカレポンチだと悪口が飛び交う。

けれど作戦における死亡者は出ず、地上奪還作戦に使われる予定の資源は地上部隊に振られる事に。

 

その物資はエレベーターや輸送機で上げられて、輜重部隊がバックパックに詰めて少しずつ各地のベースに担ぎ込まれた。

そこをラプチャーに襲われないよう護衛部隊が随伴。 アークとレジスタンスの共同作戦となり、地下と地上がより繋がる事にもなる。

 

物資には食糧や武器弾薬、生活用品。

更には装備品……ビークルがある事も。

その場合、大抵は旧式だが、それでも火力がが歩兵とは違うので有難い。

 

こうした支援/配給は潤沢とはいかないし、不定期で安定しないものの、アークが、EDFは仲間を見捨てないという事実は兵士達を勇気付けていく。

 

けれど良い事ばかりじゃない。

歴史は辻褄を合わせる。

 

修正力が働き、上の何らかのミスが新星に擦られ追放、エデンに流れるなど、結局は何処かしら変わらない面も散見してしまう。

 

完璧でスマートな改変は出来ない。

けれど求め過ぎてはならない。

欲張り過ぎては、ならない。

何処かで妥協する必要がある。

 

プライマーのような結末を辿りたくなくば。

真に恐れるナニカを見たくなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見覚えある人だ」

 

 

視界の先、ラプンツェルと邂逅した。

再会の場はベース228という田舎駐屯基地。

山に囲まれ、建造物が他に見当たらないくらい街から離れた立地だが、代わりに木の柱が整然と広がる。

その柱全体に向けて、聖女様は座って祈りを捧げる。 やがて黄金の粒子が舞い上がり、彼女の杖へと吸い込まれて落ち着くと、ゆっくり立ち上がった。 そこで互いに目が合い、慈悲深い笑みとワイの自虐的な笑みが交差する。

 

 

「ツライ、久し振りですね」

「どうも……此処には祈りを捧げに?」

「はい。 この地に眠る方々の為に」

「いつも通りで。 敬意を示します」

 

 

ワイも並んで黙祷。

魂を正しく慰める方法は知らないし、この行為に意味があるかも分からない。 けれど死者達に意味を与えられるのは生者だけだ。 きっとな。

 

ここ228は辺鄙な場所にある。

ラプンツェルは誰かから聞いて訪れたのかな。

 

正史だとコードN発令時、ここからN6が発射された。 今も発射能力があるか分からんが……その騒動でラプチャーが押し寄せて、基地は蹂躙され、壊滅した。

けれどこの世界線ではコードNは中止。 基地は形を保っている。 周囲も然程荒れていない。 お陰で手作り墓地があるという訳か。

 

中止といえば、地上奪還作戦もだ。

1周目の時、参戦したから記憶にある。 結果は散々だったし。 あの惨劇が繰り返されなかったのを知れた意味でも、ワイらが生きている価値はあるとしたい。

 

……不謹慎だな、祈り中に。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

そんなワイの心中を知らず、ラプンツェルは礼を言う。 少々心苦しく話題を逸らす。

 

 

「いえ……228は初めてっすか?」

「はい。 祈りを捧げて、感じられましたから」

 

 

ああ、ラプンツェルは記憶を約1年毎に消しているんだったか。

ゴッデスの記憶は消さないけど、他は思考転換を防ぐ為にやっているんだよな。

やらないと人格変貌、慈悲深さが排泄されてしまう可能性もあるか。 それは嫌だな。 エロいままでも。

 

 

「旅の途中に出会った隊員から聞いて来たのです。 ツライもですか?」

「ワイは輜重部隊の護衛で。 この基地にも少なくない仲間が活動しているらしく」

「そうでしたか。 各地で仲間の繋がりを感じられて心強い限りです」

 

 

うん。 それにはワイも賛同する。

支援も有難いが、あの時の多くの生存者が世代を重ねつつ、今もなお活動しているとは。

悪く言えば脱走しても行く宛が無い訳で。 アークは支援しても入れてくれへんし。 他のベースに行っても戦闘に駆り出されるのは変わりない。 なんなら脱走者に冷たいまである。

逃げ惑って地上で1人サバイバルすりゃええやん、なんて考えは死ゾ。

スノホワみたいな達人でもないと。 ラプチャーがいる以上、戦闘力や運も求められる。 或いはラプンツェルみたいにジャマー能力。 量産型や人間が1人で生きるのはツライさん世界だ。 いい加減に慣れたが。

 

 

「ピナと、ストーム1は元気ですか?」

 

 

仲間の話をしたからか、尋ねられた。

ワイは答えとく。

 

 

「ピンピンしてますよ。 変わらずです」

 

 

歳の事は無視する。

嘘になるのかな、これ。

 

 

「そうですか。 なによりです」

 

 

察してか、そうでないのか。

ラプンツェルは素直に受け取ってくれる。

けれど切り返される前に、保険の先制口撃。

 

 

「……ドロシー様とは会いましたか?」

「はい、元気そうでした。 これもツライとピナ、ストーム1たちのお陰です」

「大した事はしてませんよ。 特に今なんて、ただ荷物を運んで護衛してる所です」

「自分自身では思わなくても、皆には大きな助けとなっていますよ。 自信を持って下さい」

「……あざっす」

 

 

聖女様はワイなんかを励ましてくれる。

そうしてくれるのを分かっているから、己を卑下してヨシヨシしてもらう。

そんな事をするワイは矮小野郎である。

 

 

「ラプンツェル様、この後の予定は?」

「ここに眠る者達の故郷を回ります」

 

 

いつも通りか。

危険で、何かを得る打算もなしに変わらず。

 

 

「分かりました、では別れる前に餞別です」

 

 

そう言って、ワイは1冊の冊子を渡す。

表紙には悩ましいポーズで交わる男女。

 

 

「こ、これは!」

 

 

案の定、聖女様はエロ親父にフェイスチェンジ。

ワイ、サムズアップ。

せや。 その顔が見たかったんや。

 

 

「元は基地の奴なんですが。 ウィングダイバーやニケら女性陣の怒りを買った者がいまして。 その流れで捨てられたものです。 持ち帰ってもまた捨てられそうですし、代わりに貰ってくれませんか、勿体無いし」

 

 

ワイはもう見終わったし。

握る操縦桿が無いのは切なかったが。

だからと他の男に渡せず。 そないことしたら、イケそうな気がすると思われたり変態だと思われそうだったから。 特にストーム1に嫌われたくないし。

でも手放せず、モタついていたところにこの展開。 ラプンツェルは聖女様だけど 内心とても えっちである。 隠しきれてないが、口が軽いとも思えないので後を託す。

 

 

「で、ですが、そんな卑猥な本……!」

 

 

本人も変態と思われたくないから、それとなく抵抗しているが、まるで無意味。

とっくに手遅れだ。 どうせ旅先で見つけたエロ本でムンムンしてる癖に。

ならば後は適当な理由があれば拾うだろう。

 

 

「未練たらたらでイった者達の為です。 それに隊員の多くは人間の男性。 ラプンツェル様の治療は効きませんでしょう。 この本で野郎の体を学んで、いざという時に処置出来るヒントになればと思います」

「そ、そういう事でしたら……分かりました!」

 

 

そう言い、フヒヒと受け取る性女様。

堕ちたな(確信)。

 

記憶が1年しか持たずとも、根は相変わらず。

それを後何年見られるか分からないけど。

変わらぬ光景に癒されるのは罪じゃないさ。




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