性女様
今回のあらすじ
ドロシー
エデン設立経緯は、執筆時点では不明です
ある程度の妄想はしても詳細は避けつつ
ループものなのと、長々し過ぎなのでアッサリと進みます
地上拠点エデン。
埋設するEDFの駐屯基地(ベース)と異なり、殆どの施設が地上に露呈している。 にも関わらずラプチャーに攻撃されないのは、光学迷彩で全体を隠していたからだった。
有視界に及ばず、併せて赤外線や方向探知を狂わし、うっかりラプチャーが踏み入ったりアークから発見されないようにされていた。 お陰で過酷な地上を生き残る事に成功している。 他にも高度な技術力を有し独自の活動を行っており、汚泥に塗れる隊員とは雲泥の差であった。
そんなエデンだが。
特筆すべきはアークと馴れ合う事はせず、実力主義という点。 役立たん奴は最悪追放されるか、入れてもくれない。
そうするのは一説に、アークに酷い目に遭わされたから、或いは考えが合わなくなって、スパイ防止に、というのがある。 単なる傷の舐め合い、というのは完全に否定は出来ないが、利益不利益で運営はされている部分はある筈だ。
新星と呼ばれたヨハンの様にアーク出身の者もいるが、彼等は追放されたり、やっていけなくなった者である。 そういう事だろう。
ニケにも似た境遇の者がおり、実力はあるけど人間の奴隷が嫌になって脱走したとか、地上に捨てられたとかだ。 ノアがそうである。
そしてドロシーは、この内の1人となった。
実力はあるのに、捨てられたドロシー。
どういう経緯か不明だが、正史通りエデンに所属、インヘルトに入隊して活動する事になる。 違うのは、アークをそれ程怨んでおらず、穏やかなところ。
そしてゴッデスメンバーの集会にも顔を出しており、インヘルトとギクシャクせず、関係は良好。 正史とは異なる第2の道を歩んでいる。
この所為でアークと独断接触、光学迷彩技術の流出、地上奪還作戦がどうなるのかは分からない。
一方、従者として訪れた旧式の量産型。
エデンの規格に合わないと思われたツライとピナの扱いだが。
最初こそ客人扱いで招かれつつも、周囲から冷笑されていた。 アーク封鎖時点で第3世代開発が最終フェーズに入っていたのだ、今や明らかに旧式、それ以前に量産型のスペックなんて雑魚扱いだ。
けれど、2周目のツライとピナは気にしない。
それに2周目ともなると、自然圧縮、蓄積された200年分の戦闘データがある。 間も無く皆を分からせた。
居合わせた某元MMR研究員は、量産型のスペックを超える2人に興味を惹き、脳をディープスキャン。 実力の秘密を暴こうとするも、過程でストーム1といい、未来云々の話まで読み取った事で、余計面倒を見る羽目になってしまう。 ツライとピナからすれば、してやったり顔であった。
そして、いよいよ協力体制が出来てくる。 厄介ごとに一部は頭を抱えつつも。
さても賓客として改められ、ベース以外の活動基盤を手にするツライとピナだったが、楽園に居場所を確保して満足する訳にはいかない。
追放の危機を越えたら次も改変だ。 少なくとも既に変化を感じている。 後は見届けねば。 その為にタイムリープしてきたのだから。
「プロフェッサーやリングの謎は残るが」
最低でも転機となったリングの日まで生き残るべきだろう。 世界は何処まで変わるのか、変えるにはどうするか、それら情報は圧倒的に不足している。 またリープするなら、これらの情報は1つでも押さえるべきだ。
ツライは銃火の中、戦い続ける。
フェンサーのバックパックを噴かし、空中を飛び回りながら。
こうした個人で出来る直接の戦闘には限度があって、改変しても世界をひっくり返す力は貰えないだろう。 けれど連鎖的に変わるものはある。
オセロの白黒の反転が少ないか、大きいか。 それは戦術、やり方次第。 たった1つの駒が、挟まれたらあっさりやられる駒が、どこに位置するかで大局を変えるキッカケにもなる。 歩の無い将棋は負け将棋。 ツライとピナは重要ではなさそうに見えて、実は大切な存在だ。
「あー、腰しんど」
そんな彼は相変わらず文句たらたらで。
そんな日常の中でも人は死ぬ。
例外はない。 ストーム1もそうだった。
その事を認識し、唖然とし、やがて現実を思い出すと、ピナと共にエデンに報告しに行くのだった。
「そうですか、ストーム1が……」
かの者の死を伝えると、ドロシーは胸を痛めてくれた。 けれど深刻に悲しむ素振りはない。
皆、覚悟はしていた事だったから。 ワイもや。
嗚呼、頭を撫でてくれた記憶が、早速色褪せ始めてツライさん。 あの温もりはもう、ないんやなって。
当時はわんわん泣いた。 皆も泣いた。 けれど亡骸を前に忠犬が出来る事は分からんかった。
結局は政治的観点から外部には秘匿、彼には可哀想な事をした。 でもストーム1にビビっていたアーク上層部が知ったらオラつくかも知れないからね、仕方ないね。
「誰もが彼をスターだ英雄だ軍人だと崇め祀ってきたッスけど、遂に彼を理解出来るのはワイだけやった……ッ!」
「さらりと自分のモノ扱いだね」
お黙りピナちゃん!
量産型の分際でゴッデスだけじゃなく、ストーム1とすら濃厚な関係だったんやぞ。 一生分の自慢やん、こんなん!
「他の隊員共々人間の身であった以上、覚悟していましたが……もう会えないとなると辛いですね。 いえ、まだ生きているとさえ錯覚してしまいます。 不死身に思えた人ですから」
「ホントっすよ。 ある日起きてこないからと見に行ったらポックリと永眠ッスよ。 散々死線を乗り越えた者が、こうも穏やかに突然に。 世界の終焉に立ち会って壮絶な最中でしか死ねん男やったのに!」
「君は何を期待していたの?」
だってしょうがないじゃないか。
N6みたいな大量破壊兵器に灼かれて終わるか、最低でもヘレティックにヤられる男やと思ったから。 間近で彼の戦闘を見た者は分かるが、ありゃ人智を超えたナニかだ。 ラプチャーもニケもビビる怪物だ。 歳取っても俊敏な老兵では足らぬ希望の象徴だ。
それが……死んだ?
冗談に聞こえちゃうだろうさ。
「ピナ、ストーム1の亡骸は?」
思い出に涙ほろほろのワイに配慮して、ピナに質問していくドロシー。
すまぬ、すまぬ……人情染みてツライさん。
「腐敗が進む前にエデンに運びます。 本当は手厚く葬りたいのですが……体の事や整備云々、アークから隠す事を考えると、それが最適かと」
「分かりました……私としても彼には大変お世話になりました。 偲ぶ意味でも、出来るだけ丁重に扱うよう取り計らいます」
「ありがとうございます」
エデンがストーム1をどう扱うか不明だ。
けれどアークよりマシだと願う。 どちらに転んでも効率云々だ人類の為だと惨い事しそうだが、選択はしたつもりだ。 いっそリリスの隣に眠らせようとも考えたが、何処ぞのラプチャーかナニかに荒らされて首が消えたからな、埋葬も怖い。
遺言があれば そうしたであろうが、それも無かった。 であれば、遺されてしまったワイらが判断するしかなかった。
いやぁ乱世。 死して尚、利用し合いかな?
自然に還るとは訳が違う。
その意味では……ニケは何処に還るのか。
彼の元に逝けるのだろうか。 分からない。
「ツライ」
ドロシーの声に我に帰る。
「残念なのは分かりますが、いつまでも泣いていては始まりません。 これからどうするか、彼の意志を継ぐにせよ、皆を牽引するにせよ、やれる事は多く残っています」
「……そうッスね」
「ストーム1と共に生き延びた者は、もはや私たちニケだけ。 特に貴女は側にいた身。 彼の勇姿に密接に関わり、見届けた数少ないニケです。 ここで落ち込んでいては、彼に申し訳ありませんよ」
ああ、そうよな。 しっかりせねば。
ストーム1亡き後も世界は続くのだ。
リリスやレッドフード、指揮官を失い、他にも多くの仲間を失ってきた彼女だ。 言葉は重い。
でも言い訳させて。
ワイらも200年の中、人やニケの死を目の当たりにしてきたんやで。
けど言わない。 心に留めて返事する。
「すんません。 これからも頑張ります」
やる気のない若者みたいな返答になったが。
ワイは誰かの希望にはなれへんからな。
ワイの量産型女の子ボディは、オリジナルボディ連中のスペックに届かんし。
それでもパーツを取っ替え引っ替え、銃を弄って失った何かを別の何かで代替して誤魔化して、薄笑い浮かべて皆を見送って。
足掻いて希望だなんだ、うんざりだ。
心が保ちそうにない。
それでも尊敬するストーム1なら。
敵に背を向けない彼なら。
きっと、こう言う筈だ。
「奴らに1発喰らわせる……そうだろう?」
棺の前。
ストーム1の頬にそっと口付けし、云うのだった。
そろそろチュートリアル'に行きたい中
更新常に未定