マリアンと共に
今回のあらすじ
ラピとアニス
タイムリープやEDF6要素を出す為、タイトルに点を打ったり、文が前と同じだったりします。
「もう、いつまで ここで待てば良いの?」
「合流するまで」
銃弾が交差する戦場で、ベレー帽を被った2人のニケが会話する。
黄色を基調とした服にグレネードランチャー装備の子アニスは、明るくも苛立ちを隠さず質問し、黒に赤い流線の服、アサルトライフル持ちの子、ラピは淡々と返答。
視線は交わさず、代わりに来襲してくるラプチャーに弾丸を喰らわしていく。
決まって瓦礫の裏に隠れ、互いにカバーし合いながら銃弾を、時に榴弾を敵陣に撃ち込み続ける。 たった2人でありながらも、陣地を確保しているあたり、かなり慣れているのだろう。 良くも悪くも。
「死ぬまでじゃないよね?」
「合流するまでよ」
ラピは頑なに現状維持をしようとするから、苛立ちを覚えたアニスは声を荒げて言った。
「降下ポイントずらしたみたいだけど、降りて早々やられたんじゃないの!?」
「まだ死亡報告は入ってきていない」
「その報告があるまで ずっと待つの?」
「ランデブーポイントはここ。 ここを離れると、作戦がダメになるかもしれない」
「既にダメだと思うわ!」
作戦遂行に拘るラピ、憤るアニス。
その状況を打開するように、新たな銃撃。
「!!」
機関銃のフルオート音。 横切る弾幕。
それらは陣地の横から聞こえ始め、ラプチャーの横腹に穴を開けていった。
見やれば、指揮官の軍服を着用する人間と機関銃を持つニケが。 彼女はフルオートを群れに喰らわし、敵の装甲をへこませ、やがて抜けて撃破していく。
頼りになるベテランニケの雰囲気はあるが、共にいる若い指揮官は場に慣れていない様子である。 それでも懸命に指示を出しているサマは、曲がりなりにも士官なのだろう。
「来たみたいね」
「まさか、輸送機の? 生き延びたの?」
「───合流します!」
残るラプチャーに牽制しつつも、ニケは陣地に転がり込んできた。 合わせて指揮官も。
アニスとラピは喜んで応対。 戦闘中なので互いに敬礼を省略、状況把握に努める。
「マリアンです! 指揮官共にランデブーポイントに無事合流しました!」
マリアンを見て、若い指揮官を見て、視線を戻すと一転、急に怪しみ始めるアニス。
軽い性格に見えて、近付く奴や知らない人を疑う彼女は、過去に何かあったらしい。 この土壇場において、言うべきでもない事をつい口走る位には。
「……怪しい。 本当に指揮官なの?」
「確かに指揮官だ」
「ちょっと失礼します。 指揮官認識コード、アクセス……分隊04-Fの指揮権、変更完了」
ラピは問答無用に何かの操作を行う。
何事か呟き、アニスは咎める。
「ラピ! こんな正体の分からない人間と、そんな軽率に……!」
「緊急事態よ。 ラプチャーが現れた」
「それは……そうだけど!」
「現時点を以て、貴方は私達の指揮官となります。 前指揮官は命令を下せる状況では無い為、別途の命令権引継ぎプロセスはありません。 一刻を争う状況です。 詳しい説明は戦闘が終わってからにします」
皆で頭を低くしながらも、必要な事を淡々と告げていくラピ。 指揮官も わかった、と手短に頷く。
ラピは物分かりの良い指揮官に感謝しつつ、共に来たニケに視線を移した。
「マリアンといったわね。 所属と兵科は?」
「シルバーガン分隊所属です。 兵科は機関銃射手です」
揺らされる大きな胸と機関銃。
弾幕を張るには良いもので、今のメンバーの武装的にも相性が良い。
アニスは矢継ぎ早に行われる確認動作に溜息を吐きながらも状況を優先、言葉を挟む。
「兵科もちょうど良いわ。 頼むわね」
あとは指揮官が命令を下せば良い。
後はルーチンワークが始まるばかりだ。
「さぁ指揮官様、どうするの?」
「命令をお待ちしております」
で、あればと。
指揮官もまた、役割を果たすべく命令を下す。
「前方のラプチャーと交戦、殲滅する」
「ラジャー」
「よし、やってみよう!」
銃をそれぞれ構え直し、再度撃ち始めた。
新米指揮官は不器用にも指示を出す。 先程実戦を経験したとはいえ、まだまだニケの経験、能力に頼り切りだ。
それでも指揮官が明確にいる事実は、孤立無支援だったニケに勇気を与え、士気が上がる。
「EDF!」
更に銃撃が、弾幕が増した。
それはマリアンが参戦したからではなく、更なる乱入者がきた為だ。
『251も合流だ! 援護してやる!』
ボロボロの装備の人間達と、ニケの混成部隊だ。
同じように横から現れ、ラプチャーを不意打ち。
次々に鉄屑を量産していく仕事振りを見せる。
「おっ地上人じゃん!」
「レジスタンスの皆さんです!」
「……火力集中!」
嬉しい誤算。
戦力が増し、最早複数の分隊による共同作戦。
これで雑魚相手に負ける道理は無かった。
「楽勝だったわね!」
どうもツライさんです。
鉄屑の山と化したラプチャーを背景に、黄色服のアニスは言っております。
100年振りに再会したが、向こうは記憶なんてある筈もなく。 それはラピも他も同様で、初対面の様相を醸し出す。
「ラピとアニスです。 急な要請にも応じて頂き、ありがとうございます。 それと、251の皆さんの救援、助かりました」
幸薄スマイルで対応するワイ。
記憶処理とは別のツライさんになりそう。
251側も同じ状況だし。 ピナちゃん除いて。
それらを知らぬ251隊長は、あの日と同じ口調で挨拶をしていった。
「良いんだ。 やれる事をやったまでさ。 で、こっちはピナちゃんと、その相棒」
これにウダウダ言っても仕方ない。
ワイらは普通に応えるばかり。
「プロダクト23、ピナと申します。 ご無事で何よりです」
「同じくプロダクト12。 皆からはツライさんって呼ばれている」
「量産型に個体名。 愛されてますね」
「まぁ特別珍しくないわね。 特にEDFはニケを女の子扱いして"ドックタグ"を付けたがるから」
「アニス」
「……ごめん」
「大丈夫です。 慣れてます」
「同じく」
ほんと、慣れてるからね。
そろそろ違う会話も聞かせてくれ。
それだけ記憶通りなんよ。
覚えてるワイも大概やけど。
ワイら251は、あの時同様に新人指揮官とマリアン、ムードメーカーな黄色のアニスと、真面目な赤色のラピの分隊も助けました。
アニスの失言も構やしない。 気にしませんよ。 ツッコミ入れても面倒になるのが分かっているからね。 アニスに口喧嘩で勝とうだなんて無謀だと思うの。
で、そんな奴らをこれ以上助けて良い事あるか分からないが……マリアンの行方が気になるので、もう少し付き合ってやる。 雰囲気的にも撤退ダメそうだからね。
「ところで、どうして急に指揮官を地上へ? まさか……」
「勘違いしないで」
おや、記憶違いの雰囲気やぞ。
「前の指揮官様は怪我をして撤退。 量産型の子が護衛していったわ」
「……そうですか」
「運悪く瓦礫の破片が片足に当たってね。 軽傷だけど移動に支障があるからって逃したの」
「守れなかったんですね。 おふたりは」
マリアンの蔑みというか、憐れみというか、ネガティブな視線はまんまだが、かなりマシな展開になっているぞ。
1周目の指揮官の初任務死亡率70%以上だ。
けれど2周目の今、だいぶ生還率は上がった様子。 どうも士官学校やニケへの教育が改善したようで。
問題としては、地上に送れる指揮官が少なくなったという事か。 前も人手不足だったが、更に数が減ったかに思える。 補う為にワイらレジスタンスが補填する、という形をとっているな。
地上部隊の負担は増えたが。 まぁ数送ってポンポン死なれるより気分は良い。
「違うわ。 私達は指揮官様を守る。 何があっても。 この命に代えてもね。 だからこそ下がるべき時は下がって貰う。 その方が戦う者にとっても良い話よ」
「…………」
「まぁ、そういう訳ね」
命大事に、と言えば聞こえは良いが。
アニスの言い方的に、指揮官が共にいるのは迷惑ってところかな。 考え過ぎかも知れんが、そう聞こえてしまうのは否定出来ない。
「失礼ですが、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか」
雑談もそこそこに、ラピが指揮官に尋ねる。
ワイらは口を挟まず周囲を警戒、話が終わるのを待つ。
「"イヌヤマ"」
「アニス」
「うん、検索してみるね。 どれどれ……うん?」
「どうしたの?」
やっぱ変わった名前よな。
けれど覚えがある。 ループ云々じゃなく。
……何故か目頭にクるものがあるな。
「……この指揮官様、准尉だって」
「……は?」
「まだ士官学校を卒業してないのよ」
うん。 それは「は?」だよね。
そんな実戦の無い奴、荷物だと思うよね。
でも前は少尉だった気がする。 それが降格、いや暫定的な階級にされている。
士官学校卒業前……修了していない者が戦場にいるとは。 教育が改善したと思ったがコレは修正力とでもいうのか。 戦時任官云々の問題じゃないだろコレ。
「……取り敢えず、近くの市街地まで移動しましょう。 ここは危険です」
「本当に士官学校を出ていない?」
「気持ちは分かるが、この場は頼む」
いやほら見てみ、指揮官も気不味くて視線逸らしとるよ。 だから責めないでやって。 責めるなら上層部を責めて。
けれど容赦無く愚痴り始めるラピ。 まぁうん、命懸けの兵士からすれば文句言いたいけども。
「……作戦中に負傷、撤退した指揮官の代わりに来たという、新人の指揮官。 何を考えているのやら」
「はい?」
で、マリアンが反応。 威圧感マシマシで。
指揮官を守らなきゃ、という使命が溢れているニケだからねマリアン。 否定されてツライさんなのだ。 いやオイカリさんだ。
やめてくれよ。 またツライさんパターン。 さっきの変化に「おっ?」となっとったワイの感動を無駄にしないで。
「いや、何でもない。 とにかく、あなたは今から本分隊の指揮官となります。 現在進めている作戦の引継ぎが必要ですが、宜しいでしょうか」
「問題ない」
「作戦について簡単に説明します。 46時間前、この区域を捜索していたニケ1分隊が特殊個体ブラックスミスの襲撃を受けました。通信履歴から地上部隊の支援を受けて近くのベースに撤退したのが判明しましたが、分隊の損傷激しく戦闘不能。 今後同様の被害を阻止する為、駆除が必要との判断から私達が投入されました。 その作戦行動中、指揮官が負傷、戦線を離脱するという事故がありました」
「問題は。 敵を倒すにしては戦力に不安しかないってコト。 指揮官様、後続が来るか何か聞いてない?」
「聞いてない」
「そうだよね。 だと思った、うん」
微妙に正史よりだが、問題ない。
君達は勝つ。 それを知っている。
後続も来る。 ワイら地上部隊、レジスタンスのお仲間が。 コンバットフレームを装備してるまである。
しかしアークも人手不足は深刻だ。
あいや、もう言うまい。
ワイら下々ニケの声は届かんのや。
届いても改善策は提示する脳は無いが。
「後続なら来る」
251隊長、ここで口を開いた。
流れに任せよう。 でしゃばる場面でも無い。
「うんうん、そうだよね、うん……うん?」
「コンバットフレームだ。 火力としては申し分ないだろう」
「コンバットフレーム? 地上で運用しているポンコツのレアキャラ?」
「それもあるが、アークからグラビス型が届いた。 運用テストも兼ねて来て貰う」
「まぁ形はどうあれ、ニケ以上の火力が支援してくれるなら嬉しいわ」
アニスが了承すると、黙っていたマリアンがラピに喰って掛かる。 まだオイカリさんらしい。
「それからあなた、ラピでしたっけ?」
「……?」
「自分の指揮官を守れなかった癖に、新米だの何だの、難癖付けないで下さい。 この方も私達と同じく、人類の為に戦われるのです。 ですので、また今度このような事を口にした時は、私も黙ってはいません」
「おお、なにこれ。 もうギクシャクしてる?」
してる。 ワイとしては知ってるから良い。
でねアニス。 相変わらず嬉しそうな声ね?
やっぱS属性なの君?
「……そうね。 私の失言だった。 謝る」
「謝るのなら私にではなく、指揮官へ お願いします」
「申し訳ありません」
「私の事は気にするな。 大丈夫だ」
「ええ、怒らないの? はは、今回の指揮官様は変わってるね」
よし、喧嘩終わり。 完。
アニスもアニスなりに喧嘩を中和するつもりの茶化しだったかもだがね。 ムードメーカーは部隊にとって嬉しい存在だ。 間違いない。
「では移動しましょう」
「251の皆はどうするの?」
「ついていく。 この辺でニケが被害に遭った原因を潰す。 このまま逃げ帰ってたまるか」
「わぉ勇ましい男達。 あとは体綺麗にしたらモテるかもよ?」
そしてアニスは一言余計だった。
けど野郎共は喜んだ。 単純な奴は羨ましい。
「ピナちゃん、世界は変わってるよね?」
「うん。 結果を見届けよう」
ワイはピナちゃんと拳を合わせた。
今更死ぬつもりはなく、生き抜くつもりである。
更新常に未定