脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
少しの変化

今回のあらすじ
アニスとは相変わらず


46.人情'

 

 

「狂った機械共め、消えろ!」

 

 

怒声と銃声。 いつもの光景。

相手取るはロード級と取り巻きの群勢。

他より大きく形状が違う奴を親玉にして、周囲を4脚の奴らが徒党を組んで寄せて来る。

数を頼みにした手堅い戦法は毎度の事だ。

そんないつもの相手に、いつも通りにやる。

生死を賭けるはいつだって人間側という、アンフェアなのも毎度である。 それでも思う所はあり、文句と弾丸を垂れ流すばかり。

 

 

「小競り合いを続けたって巻き返しの希望はない。 それなのに俺は生きている。 生きて戦っている。 なんでだろうな!?」

「決まってる! ムカつくからさ!」

「違いねぇ!」

 

 

怒声と銃撃が空腹に響き虚空に響く。

それでも希望はあるのだ。

かの者が規範を作り、世界を生かしたから。

 

ミニオンバスターからフルオートで放たれる徹甲榴弾の弾幕。 ラプチャーの装甲に次々食い込んで、差を置いて起爆。 内側で小規模な爆発が発生しては銃痕から閃光が吹き出した。 その度にラプチャーのボディはポップコーンが弾ける様に揺れ動く。

 

それでもラプチャーは攻撃を続行。

耐久性や機動力、数の差。 単純な暴力は人類を上回る。 ミニオンバスターも弾丸の関係等で射程や弾速に難がある。 手持ちのみで止めるには戦術が必要だった。

 

 

「ッ」

 

 

無線機を背負う隊長は、纏まっている奴がいるのを見つけると、人間の兵士の1人に投擲のサインを出す。

 

確認した兵士は瓦礫裏に一旦隠れると、小銃を置き、バックパックから大型手榴弾MG13を取り出した。 見た目以上に重いらしく、持った隊員が少し蹌踉ける。

それでも命令を実行すべくレバーを握り込んで安全ピンを外し、叫ぶ。

 

 

「グレネードッ!!」

 

 

瓦礫に隠れた状態で上に渾身の力で投擲されたソレは手榴弾というより砲弾投げ。 レバーが外れ、小さな放物線を描きラプチャーの群れド真ん中に落下。

どれかの装甲に近付く。

刹那、信管が作動。 触れもせず起爆した。

爆音と爆煙に混じり、四方八方に飛び散った破片を近距離で喰らったラプチャーは、しかし何事もない様に振る舞い続けた。

 

 

「さすがMG13。 重くてデカくて投げ難いわ、接触信管なのに接触手前で起爆するわ、その癖に爆発範囲がそれより狭い。 下手すりゃ爆風すら当たらんネタ玉だな!」

「なぜ使ったし!?」

 

 

後方で撃ちつつ思わずツッコミを入れた。

ネタを持ち込んだコイツも、そんな失敗兵器を作ったEDFも兵に土下座して謝って欲しい。 手榴弾なのに携行性含む諸所の性能は最悪だ。 辛うじてブービートラップに使えるかも知れないが、本当に実戦配備されたのか疑わしいレベル。

 

 

「なにやってるのよ!」

 

 

ここでアニスがグレラン発射してカバー。

遥かに高威力の榴弾、それが連続で撃ち込まれていき、ちゃんとラプチャーを包み込んで武器の役割を果たす。

見た野郎共はサムズアップ。 再び銃を握る。

 

 

「さすがだな!」

「真面目にやってよね!? 長く地上にいると遊ぶ余裕が出るのかしら。 あぁ頭のネジが吹き飛んでるのね、そうなのね!?」

 

 

それはそう。

アニスは怒って良い。

 

 

「使えるものを使うしかないんでね! 雑魚への嫌がらせが精々よ! 嬢ちゃん達は大物を頼む!」

 

 

悲しい懐事情を晒しつつ、提案はする。

こんなザマで、地上を生き残ったから凄い。

 

 

「だってよ指揮官様!」

「その通りにしよう」

 

 

彼が言えば、素直にニケは行動する。

 

 

「ラジャー。 ロード級を優先的に攻撃します」

「指揮官、任せて下さい!」

 

 

頼もしさは変わらないね。

あ、勿論251やピナちゃんも頼もしいよ?

でも質の差はどうしても、ね?

 

そんな良い装備でも文句は相変わらず。

アニスは回転部に装填された榴弾を ひと通り撃ちきり、ブツブツ言って再装填とゼンマイを巻き直していく。

 

 

「この時代に1発ずつ装填なんて〜ッ!」

「火力の無いワイらへの当て付けかいな」

「被害妄想止めてくんない?」

 

 

アニスにイラつかれながらも、ワイらは撃つ。

十分な装備がなかろうと、戦うしかない。

 

 

「喧嘩は止めて下さいね!?」

「分かっとるよ!」

 

 

ピナちゃんに怒られた。

それはそう。 真面目に戦わねば。 重機関銃を据えているのは、決して飾りではない。

メンバーの中では火力持ちだ。 働かねば。

馬鹿正直に押し寄せようものなら、ワイの重機関銃の弾幕で蜂の巣にしてやる。 前と違って豪快にフルオート可能だし。

ラプチャーの装甲は厚いが、ワイらのポンコツライフルでも何とかやれる。 銃身を交換しつつ攻撃の手を緩めなければ。

その内に装甲を抜いて内部を引き裂くなりコア動力を停止させ、1体ずつ処理。 状況によってはブースターで立体起動に移ってやる。

 

 

「量産型舐めとったらアカンで!」

 

 

伊達に200年戦ってねぇのだ。

前程資源不足に喘いでもない。

予備パーツもある。 弾もある。

 

銃身を焼いてオーバーヒートしても銃身を交換すれば良い。 その隙はピナちゃん達がカバーしてくれる。 それでも無駄撃ちは当然駄目だ。 バースト射撃で過熱を防いだり、冷却を挟んで交換頻度を減らす工夫は捨てられない。

 

という訳で、撃破や弾幕に拘らず、装甲が薄そうな辺りを狙ってストッピングをかけたり、脚を撃って転倒させて行動を阻害してやる。

そこをピナちゃん達が集中砲火。 蜂の巣に。

よし。 いつも通りの役割分担が出来て万歳。

 

 

「小綺麗な戦いね、もっと派手にいけば?」

 

 

なのにアニスにケチつけられた。

戦場に見栄えを求めるんじゃないよ。

 

 

「戦いに来たんか映画鑑賞に来たんか、どっちやねん! ハッキリせぇや!」

「そういうアンタは劇場の役者気取りじゃないの? そんなランドセルを背負って空を飛ぶ予定かしらね? ああ無茶しないでねお婆ちゃん、ご老体なんだから。 格好付けて壊れたら笑い話にされちゃうわよ? ああ、ごめん、もう頭の方は壊れていそうね。 会話するだけ無駄だったわゴメンなさいね?」

「小娘は相変わらずだなゴルワァ!」

 

 

アニスは口達者だね、本当に!

あと老兵舐めるなよ、ここまで生き延びた以上、精鋭中の精鋭に違いないのだから。

 

 

「だから喧嘩はやめようね!?」

「ふたりとも、今は戦闘中よ」

「命令だ。 やめなさい」

「指揮官の言う通りです!」

「嬢ちゃんら、口より手を動かしてくれ!」

 

 

だってアニスがーッ!

といった喚きたい衝動を再び我慢。

 

 

「やっとる。 ちな、ワイ嬢ちゃんちゃう!」

 

 

雑魚がいくつか爆ぜて、転んだラプチャーに躓いて団子になっている奴に銃撃。

纏めて倒してやった。 ほな働いとるで?

 

 

「悪いのぅアニス、仕事奪ってもうて⭐︎」

「あら、お婆ちゃん無理しないでね?」

「悪いが婆さんじゃない、爺さんじゃ!」

「えっなに。 二重人格?」

「いいから敵を見て、どうぞ」

「「あなた達、いい加減にしなさい!」」

 

 

ニケ真面目組にキレられた。

流石にしゅんとなった。

アレもこれもラプチャーって奴が悪いんや!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………)

 

 

『状況終了。 被害報告をお願いします』

 

 

全て終わり、周囲を見やる。

残るは鉄屑の山と空薬莢。 座り込む人間。

死体は、無い。 ある筈がない。

 

 

「……こちら251。 民間人の犠牲もゼロだ」

 

 

もちろん、それもそう。

人間は、最早誰も住んでいないのだから。

そんな事、皆知っている。 それでもそう言うのは、希望を諦められないからだ。

 

 

『お言葉ですが……いえ、了解しました』

 

 

シフティーも気持ちを汲んでくれた。

皆のお陰で今日も乗り越えられそうだ。

細々とした支援物資とニケのおかげで死人は皆無。 コンバットフレームがいたなら、更にタクティカルな展開を見せてくれたろう。

まぁ、この後合流するだろうさ。 戦闘がこれだけじゃないのを知っている。 息を整えよう。

 

 

「信念を貫け。 いつかの平和を信じろ」

「サー」「ラジャー」

 

 

ピナちゃん含む周囲は戦闘後で熱が冷め、隊長の言葉に複雑な表情を浮かべていた。

そんな彼等に構わず、04-F分隊の方も淡々と報告を済ませていく。

 

 

「損傷は軽微。 残弾数は良好」

「以下同文」

 

 

ラピとアニスは問題ない報告。

けれど、マリアンは少し被害を受けている。

両眼の虹彩が綺麗に輝いているも。

 

 

「右下のプロテクター小破。 作戦行動に支障なし。 残弾数は良好。 作戦は続行可能です」

『あっ……はい! 分かりました!』

「……怪我したのね」

 

 

アニスは心配した。

さっきは生意気だが、根は良い奴だよね。

 

 

「大丈夫です。 もうすぐ座標位置につきます。 急ぎましょう」

 

 

そう健気に歩き始めるマリアンを指揮官は呼び止め、患部に包帯を巻き始めた。

機械に人間の治療や処置は効かないというのに、この指揮官は優しいというか。 逆に心配にもなる。 死神に足を引っ張られる原因にならなければ良いが。

 

 

「……指揮官」

「はは、指揮官様、何してるの? ニケにはそんなの意味ないん……」

「いいえ。 あります」

「?」

「心が満たされる感じがしますから」

 

 

戦場における、束の間の優しさ。

マリアンの笑顔は、日より眩いものだ。

 

 

「指揮官。 ここにも包帯巻いて下さい。 ふふ、ありがとうございます。 もう全然痛くありません」

「……士官学校が改善しても、指揮官は指揮官のままみたいだね」

 

 

ピナちゃんの言葉に、ワイらも同意して頷く。

 

 

「うん。 これも運命ってヤツ?」

 

 

絶望は誰にとっても受け入れ難いものだ。

その笑顔、散ってくれるなよ。

 

 

「見続けたい。 そんな光景もある」

 

 

スリングを斜め掛けして立ち上がる。

後は見届けるしかない。




更新常に未定

(投稿日的に)
今年も残り僅か。 皆様、良いお年を。
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