『こち……DF……第2……繰り返…』
「ッ!」
無線がノイズを放ち始め、直ぐに対応。 耳元に左手を添えれば、意思に従うように自動でチャンネルが合わさる。 マリアンは応答を急ぐ。
「こちらシルバーガン分隊! 聞こえますか?」
『やっと繋がった! 状況知らせ!』
ノイズ混じりながら、不安を和らげる快活な声が聞こえ始めると、皆の表情が柔らかくなる。
互いに安堵の声を漏らし、状況を確認し合った。
『ベース251だ。 其方はBA-01か?』
「はい。 輸送機が"対空砲火"で墜落。 奇跡的に搭乗員は全員無事、任務を続行中です」
マリアンの言葉に違和感を覚えた隊員らは、ハンドサインで何やら合図する。
無線越しの251も何か考え事してなのか、暫し沈黙のあとに応答した。
『…………分かった。 回線はこのままで。 現在支援部隊が急行中、無理するなよ』
「ラジャー。 感謝します」
通信を終えると、何も知らない指揮官は隊員らを見やる。 察して誤魔化すは人間だ。
「相手は俺らと同じ人間、EDFだよ」
苦笑いを交えつつ、話している。
同じというが屈託のある関係らしい。
「ただ、ちょっと───」
「大切な仲間です」
勿体ぶる人間に代わり、ニケのマリアンは堂々補足していった。
それは暗い空気が立ち込める前の予防線でもある。 この手の話題は遅かれ早かれ知る話だ。
「ラプチャー侵攻、アーク ガーディアン作戦時、伝説のゴッデス部隊と共に殿軍となり地上に残りアークを、人類を守った者達の末裔です。 半世紀以上経った今も地上奪還の為に活動している、逞しい人たちです。 レジスタンスですね」
「中央政府は受け入れ拒否しているがね」
隊員が暗く事実を付け加えると、マリアンは慌てて修正を図った。
彼女の意図は理解しているが、それを踏み躙る程度には地下と地上の亀裂は深い。 そうでなくても、今はこの話題に限って本題から逸らす目的もある。
「そ、それは……地上の拠点を維持する人員を維持する意図が……」
「それならアークから増援を送れば済む話だ。 量産型ニケでも維持管理の助けになる。 でも"公的には"1人も送らない。 物資も送らない。 支援されても逆は一切しない。 指揮官、何故か分かるか?」
「"??"」
「上の連中は怖いんだ。 復讐されるのが」
何を復讐するというのか。
首を傾げる指揮官だったが、話を遮るようにマリアンが報告を入れてきた。
他の隊員も弾かれて仕事モードに転換する。
「───ここです。 ランデブーポイントに到着しました。 ですが誰も……輸送機が墜落したのを見て、計画を変更した?」
「いや待て。 レーダーだと近くに味方表示と敵表示が入り混じっている。 警戒しつつそっちに……」
刹那。 近くからフルオートの銃声。
ニケ用の、大口径アサルトライフルだ。
「銃声!」
「要請のあった04-F分隊だな」
「251を待つ暇はない。 指揮官、戦闘の連続で辛いだろうが、これが地上だ。 引き続き部隊指揮を続けて欲しい。 生き延びる為に」
分かった、と頷く指揮官。
04-F救援の為、マリアンたちを率いて合流を急ぐのだった。
どうもツライさんです。
ニケと人間の混成部隊となり、BA-01の生存者を捜索、レーダーを元に急行中。
そんな中、お喋りなEDF隊員らがアレコレ回想したり独り言を呟いていく。
外の兵士達は荒廃世界の中、毎日必死に生きている。 腹を空かせてね。 恨み言や弱音くらい大目にみよう。
「……ニケが開発され、地下でも開発は続いて、それで? こうやってラプチャー相手に半世紀以上戦い続けて、未だに1坪も地上を奪還できない。 転機はいつ来るんだ?」
ソレな。
いやニケも頑張ってるんだよ?
今もこうして駆け足してるじゃん?
「知ってるか? アークの士官学校は碌なコトを教えない。 お陰で指揮官初任務の死亡率は70%以上なんだとさ。 やる気あるのか?」
その辺の質は俺には どうにもできん。
地下暮らしエンジョイし過ぎて地上奪還の興味が薄れたのかも。
「分かっている筈だ。 戦いを止める訳にはいかない。 地上の領有権は主張しておかないとな」
そうして半世紀以上経ちましたとさ。
よく諦めずに続けられたものだよ。 偉いですね人間、花丸あげよう。
ついでにアークはヒトカス卒業して♡
無理なら みんなでニケに、なろう!(狂気)
ニケ手術は失敗する可能性もあるし、なれても記憶消されて、消耗品な底辺の量産型(皆同じ顔)にされるオチだろうけどな!
「人類が負けた今、出来るコトは1体でもラプチャーを鉄屑にするコトだ。 それも雑多な武器でのゲリラ戦が精々。 泣けるぜ」
その根性は称賛したい。
人間の身で良くやるよ。 マジで。
「ラプチャーも何が目的なんだ。 人類の殲滅? プライマーみたいな事情が?」
「犯人は意外と近くにいるかもよ」
ラプチャー侵攻前に来た、火星人プライマーのコトは詳しくないけれども。
それを撃退出来たEDFがラプチャーに負けたのだ。 相当にレベル差があったのか。
「奴らの部品、ニケと互換性がある。 それに技研の古いデータによれば、互いの欠点を支え合う仕組みの様にも見えるとか……」
「そういう噂だな!」
それ以上はいけない。 消されそう。
皆は文句垂れ流し、苦笑する。
ニケとしても思うところはある。
それをアークで好き勝手発言したせいで、ワイは解体されかけたけど。
そうでなくても、ピナちゃんと俺の半世紀以上前の爺婆脳や量産型ボディは旧式化が否めない。
良くてアウターリムに売り飛ばされて、派閥抗争で壁にされて死ぬ運命かな。 或いは変態に壁尻オ◯ホにされて捨てられる。 地獄かな?
戦友にして英雄のゴッデス部隊、特にドロシーはその辺知ったら、ブチギレからの野郎ブッ殺したらぁで復讐街道まっしぐらだ。
楽園vs楽園とか見たくないでござる。 後◯園の東◯ドームじゃないんだぞ。
ピナちゃんはドロシーに愛されてるからね。
私の翼だって寵愛してる。 羨ましい。
アーク ガーディアン作戦でピナちゃんいなかったら、皆の精神が崩壊して防衛線は瓦解していたね。
そんな訳で人間のラブドールENDを受け入れられないから、いつしかアークの内側には向かわないようになった。
整備や補給はアーク内部からの横流し(黙認)や、外のEDFの支援で何とかやっている。
……いやー、ニケにも人権欲しい。
「というか、このエリアってニケが行方不明になっている場所じゃないか?」
通信機を背負う隊長が怖い事を言う。
地上で行方不明になったニケ回収率は0.4%である。 これアレかな、ミイラ取りがミイラになる?
対してピナちゃん、冷静に反応。
強い。 流石ドロシーとアークを守った英雄。
「私たちの巡回ルートから大きく離れていたので分からなかったのですが、ここがそうなんですね」
「そうだ。 レーダーに頼りきらず、常に周囲に気を配るんだ。 ラプチャーは地面にも潜るし空を飛ぶ奴もいる。 行方不明になったニケが多いという事は、普通じゃない奴がいる可能性があるという事だ。 気を引き締めろ」
「ラジャー!」
言われなくても分かっているつもり。
こちとら人類が地上にいた頃から戦ってるんだ。
量産型ボディとはいえ、ピナちゃん共々、蓄積されたバトルデータはカタログスペックを凌駕している自信がある。
気分はボ◯ルに乗るア◯ロだぞ、舐めるな。
あ、やっぱ駄目みたいですね(弱腰)。
「慣れたものです。 ピナちゃん、どう思う?」
「油断しちゃ駄目ですよ」
「相変わらず真面目可愛い。 ピナ大好き♡」
「はいはい」
適当に相槌を打たれつつ前進していると、銃声と爆音が聞こえ始める。
ニケ用の大口径アサルトライフルによるフルオートと、榴弾のようだ。
連続して聞こえる時があるので、連装の擲弾銃を使用しているらしい。
「近いぞ! 戦闘用意!」
混ざって機関銃の弾が撒かれている様子。
それはニケだと思う。 バランスの良い音。
後は小口径ライフルのフルオート音がアクセント。
人間だ。 護身用で援護しているみたい。
「友軍を援護! 横槍で十字砲火だ!」
「戦闘モードに移行します。 エンカウンター!」
ピナちゃんと共に、皆と共に戦場へ躍り出た。
「年季の違いを見せてやるッ!」
ピナちゃんはポンプアクション式の散弾を。
俺は弾帯が伸びる機関銃で弾幕を張り始める。
「お嬢ちゃん方に遅れをとるな!」
人間はというと、強化外骨格のパワードスケルトンを纏う者は多砲身のハンドガトリングを撃ちまくり。
ひび割れヘルメットのレンジャーはライフルを撃ちまくりヘイトを集め、その影に回り込むように飛行ユニットで空を飛ぶウィングダイバーがレイピアの光学刃で相手をズタズタに。
通信ユニットを背負う隊長は、機銃を下げるドローン編隊を飛ばして、ラプチャーの群れを機銃掃射していく。
ラプチャーにとっては完全に不意打ちだった。
横からの攻撃に碌に対処出来ず、次々に穴だらけ。
飛び散る空薬莢。 怒声。 全てを掻き消す爆発。
戦場はより騒音を撒き散らす。
「人類を滅ぼしたいか? 俺達だけは諦めろ!」
「何もしないよりマシな人生だ!」
「覚悟は出来ている。 生き残るなんてね!」
「EDF!」
逞しい人たちだよね、本当に。
歴史改変点
ピナちゃん生存
ドロシー闇落ち回避?
gdgd感。
更新未定