脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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研究所でエンカウンター

今回のあらすじ
皆と合流


プロフェッサー、やっと登場
童話型は3体いたようですが、ハッキリしているのはシンデレラなので其方メイン
戦闘シーンの描写は長引いたりグダりそうなので、自制しつつ展開優先……


59.集結地点

 

 

「ラプチャー接近! 退避急げ!」

 

「囲まれてる! 逃げるのは無理だ!」

 

 

エリシオン第3ニケ研究所。

警報と爆音、銃声が鳴り響く中、電気が落ち、非常電源が施設を赤く照らす。

この事態に所内は蜂の巣を突いた大騒ぎ。

突然の事に大混乱だ。

 

 

「本部! 本部! 救援を!」

 

「長距離通信諦めろ! メモリに隠せ!」

 

「所長! 童話型の処分を!

このままだと機密を奪われます!」

 

「駄目だ! アレには莫大な予算を掛けた!

出資元の3大企業に説明がつかん!」

 

「命の方が大事でしょう!?」

 

 

ある者は救援を求め。

ある者はデータを移し。

またある者は機密処分を具申。 上と揉める。

 

 

「……ラプチャーの行動は不可解だ」

 

 

そんな中、冷静に呟く男が1人。

その男こそ、ツライ達が会いたかった者。

プロフェッサーである。

 

青い服に眼鏡と知的な格好。

緊急事態に関わらず思案顔。

この手に慣れてるのか妙に冷静。

代わりに独り言を呟いていたが、喧騒に飲まれて聞く耳は誰も持たない。

 

 

「奴等は明らかに狙って来た。

目的は童話型で間違いない。

だが、どうやって知り得た?

ラボやニケの所在はAクラス機密情報だ。

宇宙から探知出来ても内部まで知り得ない。

プライマーの様に時間戦術を?

それとも内通者が?

ラプチャーの正体自体───。

憶測に過ぎないが───。

今は状況の打開が優先だな」

 

 

散々疑問を撒いて、やっと現実へ。

次に延々部下と揉めている所長に詰め寄った。

 

 

「所長、シンデレラの起動を提案したい」

 

「客員の君が偉そうに指揮を執るな!」

 

 

即座に否定だけは立派にされてしまう。

だがプロフェッサーは怯まない。

昔と違い、時間矛盾に怯えない。

 

 

「このラボは今、敵に囲まれている。

脱出もままならない。 他にどうしろと?」

 

「ゴッデスが来る! それまで待って……!」

 

「敵を殲滅する程の弾薬と速度があればな。

だが数は圧倒的。 退路を確保するのが限界。

最悪、シンデレラを置いていく事になる。

この解決策としても提案する」

 

「わ、分かっていた、そんな事!」

 

 

言っている事が矛盾する相手。

プロフェッサーは強い口調で話を続けた。

 

 

「なら動いてくれ。

もう1度言う。 シンデレラを起こすんだ。

地位や名誉、将来より命を心配しろ」

 

「……降格したら貴様の所為だからな!」

 

「構わない。 やってくれ」

 

 

保身に走る所長が、皆に指示を出す。

混乱の中だが、本能的に死にたくない、生きたいという想いは皆一緒だ。

 

 

「フェアリーテールモデル第2世代。

シンデレラ、緊急起動シーケンス!」

 

「手伝おう」

 

「当たり前だ! 客気取りは止めろ!」

 

 

プロフェッサーは無視し、端末操作。

外では爆音、内部では鍵盤の音が児玉する。

 

 

「"ガラスの靴"チェック完了。

システム オールパス。 最終ロック解除。

実戦性能も証明済み。 信じて送り出すのみ」

 

 

喧騒が円柱の水槽へ収束する。

一瞥すれば、白く美しい眠り姫が浮いていた。

泡立ちが増えていくも、瞼は未だ重い。

 

 

(間に合うか? いや間に合わす!)

 

 

内心焦りながらも作業を続ける。

大丈夫。 きっと大丈夫だ。

外の部隊が何とか時間を稼いでくれている。

その時間を有効に使えば間に合う筈だ。

そう己を安堵、鼓舞させていると。

 

 

『こちら本部』

 

 

突然の無線。

聞き馴染んだ上層部の声。

そして続くは希望の報告。

 

 

『ゴッデス部隊が戦闘に参加した。

ストーム1及び空軍も間も無く到着する。

他部隊は巻き込まれないよう注意せよ』

 

 

刹那。 外からの爆音が増す。

ツライさんが時間を稼いだ結果だった。

 

 

(ゴッデスは元々来る予定だったから分かる。

だが相棒は? この事態を予期していたのか?

まさか また、タイムリープを?)

 

 

疑問混じりの希望は、大きく成長していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シンデレラが起動シーケンスに入った。

戦闘可能な者は戦線を維持、ラボを守れ!』

 

 

えっマジっすか?

踏ん張ればシンデレラの侵食防げる系?

 

でもね本部君、言うは易しって知ってる?

物量差エグいって。

11人で守り抜けないって。

サッカーじゃないんだよ?

 

剣を振り回す10人、キーパーのワイは銃撃。

来るはボールじゃなく弾丸とミサイル。

地平線と空覆い、押し寄せる機械の津波。

全方位カバー無理。 仮に1方面でも無理。

あかん。 これじゃワイもラボも死ぬぅ。

生き延びても侵食洗脳されて闇堕ちだよ。

 

早くピナとストーム1来て?

ワイをベンチに寝させて?

 

と、心中悪態の中、レーダーに友軍反応。

 

 

「助けが来たのか!?」

 

 

高度差から空。

思わず上を見れば、大きな飛行艇。

そこから降下していく人影が5、いや6!

一部は閃光を放ち、時間差を置いて爆音。

ラプチャーの群れが吹き飛び始めた。

敵を挟んだ向こう側なので顔は見れないが、とにかく強いのは間違いない。

 

 

『こちらゴッデス。 援護します!』

 

 

刹那、無線に響く女の声。

たぶん面識の無いニケだ。

ならレッドフードか、リリーバイス少佐か。

 

 

「ゴッデス? 頼もしい部隊が来たようね」

 

「話くらいは聞いた事がある。

人類初のニケ部隊。 勝利の女神……」

 

 

薔花と紅蓮が言う。

有名やからね。 100年後も名が残る程に。

 

 

『俺も来たぞ。 ツライ、待たせたな』

 

 

今度はワイを呼ぶ男の声。

刹那、始まる空爆。 派手に吹き飛ぶ群れ。

ゾクッとした。 良い意味でも悪い意味でも。

 

 

「あっ……記憶持ちって事は成功ッスね」

 

『……夜の過ちもな』

 

「ナニ言ってんじゃねえぞ!?」

 

 

あかんわ、嫌な記憶がマズルフラッシュ!

なんで戦闘中に士気下げる言動するかな!?

 

 

「あら、英雄の聖剣に突かれたの?

私たちも夜剣の扱いは慣れている方だと思っていたけど、こんな身近に上がいたなんて」

 

「部隊単位でナニしてんの!?

(シモ)の上級者にすんのもやめて!?」

 

 

こっちもこっちでヤバかったんだけど?

風紀乱れ過ぎなんだけど!

脳味噌ピンクなの? 発情期なの?

こんな部隊に紅蓮いたの!?

最前線でも基地でもナニ振り回してんだ!?

アレか。 ワイという異端者(イレギュラー)の影響か!

そうだと言ってくれ、頼む……ッ!

 

 

「姉さん、本当にやめてくれ。 見てられん」

 

「妹に清き1票」

 

 

マトモなのは妹だけか。

いや、実は紅蓮もヤッてるオチか。

と、煩悩(エロストーム)の中、再度無線が入る。

ラボからの報告と渋い声。

どちらも知らん声だ。

 

 

『シンデレラ、最終フェーズ!』

 

『こちらストーム3。 お嬢さん方を援護する』

 

 

言い終わるが早いか、別方面で爆音が響く。

全てはラプチャーの爆発だ。

銃声は聞こえないが、武装はなんだ?

 

 

「守護神も来たか」

 

 

反応する紅蓮。

周囲は何も言わないが、雰囲気は皆同じ。

 

 

「紅蓮様、知ってるん?」

 

「槍を唯一の武装とする二刀装甲兵(フェンサー)部隊だ」

 

「槍!?」

 

 

噂は聞いてるが、ガセじゃなかったのね。

本当に槍でヤッてるとは。

 

 

機械式の槍(ブラストホールスピア)だ。

それでいて多くの戦果を上げた。

私たち剣士が作られた理由の1つでもある」

 

「もう1つは……今来た"原型(プロトタイプ)"ね」

 

 

薔花が指差す方向を見る。

まだ遠くて見難いが、黒軍服の美女が。

細い手を空中で振る度、敵群が裂けた。

特殊な武器を持っている様子は無いのに。

出鱈目過ぎる強さにビビり倒すばかり。

 

 

「ちょっ、敵を撫でるように!?」

 

「ゴッデス部隊リーダー、リリーバイス。

人類初のニケにして最強の存在。

初めて見るけど噂以上の力ね」

 

「どうなってんだよ……素手とかヤベェ」

 

 

棺桶で ご尊顔を見た事はあるが。

動いてるのは初めて見た。

こんなに強かったなんて……神話にもなる。

 

 

「アレには……勝てんな」

 

 

戦慄してると、好戦的な紅蓮も声を潜めた。

初見だけど最強と言われても納得の異端さ。

ストーム1も凌ぐだろうさ。

いや、夫ならば戦術で抑えそうでもある。

どちらにせよ化物だ。 味方で良かった。

 

でも……とワイ。

リリーバイスは何故……。

原因は分からん。 あんなに強いのに。

 

 

「なんで……」

 

 

死んじまったんだ。

そして頭は何処にいった?

 

 

「ツライ! 援護を続けて!」

 

 

薔花の言葉にハッとし、銃を構え直した。

せや。 見惚れてないで戦わねば。

 

 

「ここまで頑張って死んだら笑えるな!」

 

 

そん時は旦那とピナに任せるわ。

今はトリガーを引く。 撃ちまくる。

銃身は十分休ませた、働いて貰う!

多少集弾率が下がれど撃てれば構わない。

敵が多過ぎて、目を瞑っても当たる。

仲間には当てんようにせんとアカンけど。

 

 

『第2波接近!』

 

 

レーダーに更なる投影。 敵の増援。

また津波だ。 物量が狂ってる。

休む間もない。

なんだってんだ。 何処で量産してんだ。

そんなにラボを、何がなんでも皆殺しか。

 

 

『ラプチャーめ、なんという数だ……ッ!

奴ら、ニケ開発に気付いたのか?

いや元から目を付けられていたか!

それだけ童話型を消したいというのか!?

───戦闘継続!

ラボ防衛最優先! シンデレラを死守しろォッ!』

 

 

本部も苦虫を潰した顔してそう。

せやけど現場は必死。

生きるか死ぬか。 殲滅するかされるかだ。

 

 

「剣は幾らでも振れるが、限度がある!」

 

「切り抜けば歴史に残るかもね!

中尉がいたら英雄にならなくて良いから生き残れと言うだろうけど!」

 

『今の世に残るのは虚しさだけだからな』

 

『どこも地獄だ。 楽しめ』

 

 

紅蓮と薔花らは互いを鼓舞してるも限界だ。

一方、ストーム隊はジジ臭くモノを言う。

 

敵向こうのゴッデスは一方的に攻撃している様子だが、残弾が怪しい。 個人が持つ弾薬だけで全てに対応出来る筈がない。 リリスがいるにしても数を相手に時間は要する。

ストーム1は空爆や機銃掃射の要請を続けているが、それも1方面に留まる。

それも限界だ。 物資も制空権も既に失われつつある世界で無理矢理飛んでいる。 支援も限定的になってきた。

 

そんな時だ。 またも無線が響くのは。

今日は鼓膜が震えっぱなしやな。

 

 

『シンデレラ起動した!

カウント省略! 支援に向かう!』

 

 

刹那、ラボの天井を突き抜ける白い人影。

戦場を見渡せる高度まで飛び上がり静止。

瞬間、無数の光線が四方八方に広がっていく。

 

 

「なんだあの機動力と武装は!?

ウィングダイバーも ここまでは……!」

 

 

それらはラプチャーに、大地にと瞬時に突き刺さり、爆発に次ぐ爆発を呼ぶ。 レーダーに映る敵は……蒸発した。

 

 

『航空爆撃やテンペストに匹敵する攻撃だ』

 

『寝坊の詫びのつもりか? 笑えるな』

 

「コレがシンデレラ、か。 間違いなく強い」

 

「一生分の光景を見た気になっちゃうわ」

 

「童話型……皆バケモノ染みてツライさん」

 

 

失礼ながら皆して率直な感想を呟いてまう。

ワイら量産型が到達出来ない域に違いない。

それは100年単位で研鑽しようとも。

ドロシーも せやったけども。

改めて見るとな……。

素直に羨ましい。 そして恐ろしい。

残酷な御伽話がここにある。

コレはドリームチームか、ナイトメアか。

あいや両方か。 牙を剥かれない事を願う。

そう。 正史な展開を云っているんやで。

とりま言えるのは。

 

 

「ピナにも見せてやりたかったわ」

 

 

現実離れの光景に寝ぼけた事を述べるワイ。

本人は何処にいるんだか。

はよ来い。 複雑化すると情報共有面倒やん。




更新常に未定

所長は悪そうな雰囲気にしました。
EDF関係者じゃない者は悪役風に(殴
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