メス臭が漂う中
今回のあらすじ
ストームとゴッデス
申し訳程度にニケとEDF要素出しつつ
進まないので飛びますよ……
とはいえ、繰り返し感は否めない中ですが
アーク封鎖完了まで残り数日。
正史では3つの要素から遅延していたが、3周目ともなると悩みは無い。
防壁工事の障害となるラプチャーはストームが倒し、エレベーターは最終便を受け取った後に工兵がCA5特殊工作用爆弾で破壊。
エブラ粒子発生装置も早々に壊されているのは、前に述べた通りである。
これらを早期に解決し、アークは予定通りの期間で工事を進める事が出来た。
ただ、良い事ばかりでもない。
N6の劫火で、地上を灼いちゃいない。
お陰で大々的な
各地に分散していた戦力も一堂に会した事で、自然と敵も集中してしまった。
正史なら、後半辺りから襲撃に間が空くようになり、その間にゴッデスが物資を求めて防衛線を離れられたが、今回は余裕がないハーディストである。
物資はプロフェッサーの交渉で幾らかは多いが、生存者が多い分、直ぐに尽きてしまった。
弾薬あれど治療薬は尽き、飯はなく、気遣う余裕は失われ、覚悟が揺らぐ。
生身の隊員は特に苦痛を強いられた。
ニケのように痛覚を切る事も出来ず、空腹や睡眠不足、病気とした、健康状態の影響も強く受けていく。
銃を持つ手に力が入らず、脳が働かず、命あっても戦力は無くなっていく。
塹壕で死体と見分けがつかない程にグッタリしている者が目立ち、飢えで死ぬか、敵に撃たれて死ぬかを賭ける始末。
状況悪化に伴い、遊撃班はストームのみに。
ツライらが使用していたコンバットフレームや壁役の戦車、他のビークル群は軒並み大破、火力も下がっている。
弾切れも続出。
ニケはEDFの銃で戦い、何とか継戦。
近接特化部隊の一部は刀剣が折れた。
代わりにフェンサーの電刃刀やフォースブレードといった大剣を使用して戦い続ける。
人の数だけ絶望があるなら、生存者が多い当世界線は、正史より負に満ちている。
希望があると言えるのは、前ループの悲惨な光景を覚えているツライさん達くらいだ。
それでもなお、これ以上の離反者は出ない。
ストームとゴッデス、アークを信じるから。
行く宛もない。 その気力も無い。
そんな信用と気力も、後に裏切られる。
それもツライさんらは知っている。
けれど今回は。
今回こそは、もしかしたら。
プロフェッサーがいて、交渉が進んで。
上手くいけば内に入れてくれるかも知れない。
そんな淡い期待をしてしまう。
そうして、ツライさんになる事数回。
懲りず希望に縋るのは、ストーム1がいるから。
絶望に屈せず、戦い続ける彼がいる限り、期待してしまうのもツライさんだった……。
どうもツライさんです。
現在、劣悪な環境で惨憺たる戦争中ですよん。
銃から金の飛沫を撒き散らし、轟音立てる。
敵の砲撃が近場に着弾する恐怖に抗ってな。
ラプチャーは相変わらず血も涙もないわ。
生身の隊員は飢えと病気で動けんてのに。
ハンデありすぎの出来レースやで、ホンマ。
けんど絶望するには、まだ早い。
先は長く、防衛成功の次はベース暮らしや。
まだストームとゴッデスがおるのもデカい。
加えて生き延びた百数人の量産型ニケもな。
最初は約200だったが、まだ半数もおる。
撃たれて爆散、精神異常で思考転換。
そんでもワイらだけ生存の正史よりマシ。
介錯する数も増えたのはツライさんやが。
が、嘆く暇なし。 前を向き今は撃つ。
撃ちまくって生き延びねばならぬ。
何より封鎖まで、もうすぐや。 耐える時や。
『ザッ……ザッ…ザーッ!
アーク封鎖シーケンス実行チュウ……
人類文明存続ノ為、地上ニ残ッタ兵士ニ感謝ヲ。
ゴッデスニ感謝ヲ。 EDFニ感謝ヲ。
封鎖シーケンス、最終フェーズ───』
アークから無機質な機械音声が鼓膜を震わす。
全然有り難みを感じん礼で頭にキますよ!
『こちら本部!
アーク封鎖作業が最終段階に入った!
現在も急ピッチで進行中だ。
動ける者は戦闘継続! アークを死守しろ!』
本部も何処から指示出してんねん!
ちったぁ、応援せぇや!
「皆さん、もう少しです!
ここを耐えれば、私達は報われます!」
そうそう、ドロシーみたいに鼓舞してくれ。
まだ この方が気休めやで。
「そういう事だ! 守り抜くぞ!」
レンジャーのストーム2も同意する。
ブレイザーの光が目に染みる様ですわ!
他のストーム隊も、トリガーと共に吼える。
「MONSTERレーザー砲。
大物に有効だが、全エネルギーを奪われる。
今の我々は飛べない鳥だ」
赤羽根の姉さん、ストーム4がいう。
ニケに負けぬ露出度と装備、恥ずくないの?
手には二股に銃身が割れた光学長身銃やし。
えっちや……が、勿論玩具やない。
そこから光線が発射される度に遠方の大型ラプチャーが瞬時に爆発四散しとる。
いずれも凄い威力や。
過去編でコレなのに、なんで未来になってもラプチャーに遅れを取るんか。
というのも分かりやすい理由やろな。
発射間隔が長く連射は無理、生産性や運用に問題があるのは想像に難しくない。
未来で改善はしたとして、ラプチャーも同様に改良されていくもんやから、どっこいどっこいになるんや。
その間に雑魚が寄ってくるが、元死神、現守護神のグリムリーパーことストーム3が抑え込む。
「獲物を狩るには丁度良いクールタイムだ。
手の掛かるお嬢さん方を援護する!」
黒い鎧を身に纏うフェンサー隊が吶喊。
髑髏の部隊章が入った盾と、機械式の槍であるブラストホールスピアを振り翳し、複雑な軌道で敵に的を絞らせない。
ラプチャーはバラけて動く相手に狙いを定められず、弾幕をすり抜けられていく。
やがて懐に飛び込まれて槍を刺された。
刹那、次々に内側から破裂するラプチャー群。
あべしっ、ひでぶってか。 おっかない槍や。
近接特化部隊の紅蓮ら程に細やかな美しさは無く、目で追える速度で力強い。
それ故に分かる。
アレも洗練された動きやと。
ワイには無理。 フェンサーのランドセルを背負い始めたのが前回ループからとはいえ、あの域には到達出来んわ。
センスと努力の違いに、ワイ脱帽。
是非も無いと諦観したくなりますよ。
プロフェッサーからの無線も響き始め、より踏ん張り所だと認識させてくる。
『こちらプロフェッサー。 聞こえてるな?
シンデレラが再起動、間も無く到着する!
衛星誘導装置とリンクさせた!
座標を送れ、擬似的な爆撃をしてくれる!』
「ストーム1了解。
支援は終わっちゃいなかったな。
さすがプロフェッサー、良いサプライズだ!」
えっ、マジで?
と思う暇なく、旦那は銃型の誘導装置を敵群に向けて照射し始めた。
本人は見当たらんし、レーダーに映らないが。
高高度か、遠方か。
エブラ粒子が濃い場所にいるか分からん。
けれど支援は届くなら願ったり。
「シンデレラ、今回も頼むぞ!」
刹那。
照射先一帯に青色の雨が降り頻る。
地表が次々爆ぜ、瞬く間に爆煙の海に。
レーダー上、敵群は漏れなく溺れ死んだ模様。
唐突な強さに笑っちゃうんスよね。
「ガラスの靴か。 前より強くなってね?
なんにせよ、もう魔法が解けまへんように」
ハッピーエンドを祈っときつつ銃身交換。
他のニケや隊員も隙を見てリロードする。
そんな中でも爆音と無線は響き続けた。
混線するので、あまり長話アカンねんけど。
『現地に誘導を任す事で、高度なサイオニックリンクによる負担を軽減。
その分、発射弾数を増やし、弱点であった継戦能力を微増させる事に成功した。
この一戦には耐えられる筈だ、頼むぞ!』
「任せろ」
ちょっとナニ言ってるか分からんとです。
でもプロフェッサーなりにワイらを支援しとんねんなってのは理解した。
レンジャーの原子光線銃もそうなんやろう。
アレも仕組みは知らんが、なんか凄いし。
冷却やエネルギー源となるモノの取っ替え引っ替えに苦労しとるし、ラプチャーを抑え込むにはパワーと数が足りとらんが。
そのカバーを他の隊員、特にストーム3が支えている気がする。
が、この場にワイら一般兵もおる。 頼ってくれ。
「ワイら量産型も頑張らなぁ!」
泥臭くてもよぉ!
改めて、特火点の銃眼越し。
二脚を立て照準器で敵を捉え、フルオート。
滝の様に排莢し、足元を金ピカに。
何発ものお返しが来るも、スリットにジャストフィットで飛び込む弾は無い。
そう祈り、けんど慢心撃ちを止めず、敵に弾丸のシャワーを浴びせまくったる。
装甲を抜けずとも、足元を撃てばバランスを崩し、一瞬行動を抑えられる。
その隙に他のニケらが集中砲火。
距離がある分、1発の威力が減衰しているも、皆で撃ちまくって始末する。
「絶望は無いけど希望もない、かな」
そんな中、淡々と戦っていたピナが呟いた。
すっかり戦場に慣れて会話と思考が余裕。
或いはダメな時はダメっていう諦観と達観。
「前より戦力はあるけど、相手も同じ。
ストーム共々プロフェッサーも生き延びたけど、結局は知っている歴史を歩んでるね」
「軌道EV攻略出来へんかったしな。
折角姫さん味方になっとるのに。
上層部はナニ考えての結論やったんやろ。
まっ、ヘレティック来ないだけマシや!」
「そういう事は言わないの」
話しながら、互いに手を動かす。
ワイはスリッドの陰に身を屈んで、赤熱した銃身をポイ捨て、再度交換。
ピナはというと、ほぼ大砲やろソレっていうドーントレス重機関砲をスリッド越しにドカンドカンと撃っては、大口径徹甲弾でラプチャーを粉砕しとった。
離れのトーチカのスリッドも火を噴いとる。
あっちはピッドブル連射砲やったかな。
威力、使い勝手はピナが上か。
どちらもHU04ブルートっちゅう大型武装ヘリの左右側面に装備するモンやが、空を飛ぼうものなら棺桶の現状、武装を外し、機体をバラし、トーチカに据えて地上で使用しとるんやが……。
「お得意の散弾銃は、どないした!?」
なにうえピナちゃん、携行火器やないの?
今更にツッコミ入れっと、返答を頂く。
「距離があるから使わないよ」
なるほど、散弾ではなぁ!
っちゅーことやな!
単に火力や防御面もあるか。
ポンプアクションも動作が大変やろし。
「ここで前に出ると味方の邪魔だよ。
逆に ここから散弾飛ばしても、威力減衰は勿論、ストーム3や紅蓮様たちを巻き込んで良い事はないかな」
「せやな!」
さすがピナちゃんや、賢い子!
あいや常識? 喧しいわ!
「だからなのか、紅蓮様やストーム3とした近接特化部隊は、最初の一撃だけ喰らわせて離脱したね」
「その後、離れを狙ってくれてっけどな」
側面に回るラプチャーの相手、助かる。
侵食を誘発してくるタイラント級とか。
それらを始末してくれるのはリスクがある分、大変ありがたい行為や。
最初みたいにピナ庇って一か八か、他に余裕が無い、なんて事態は避けられとる。
やっぱ味方いるってのは、嬉しいわぁ。
……ホンマ、正史でよく生き延びたな。
ストームといい、マジ恵まれてんなワイら。
「……上層部は次に託したんだと思う」
「次? なんの話?」
ピナは戦闘と共に続けた。
こんな時の内容ちゃうけど、聞いちゃる。
「タイムリープだよ。
この世界線は次の、勝利への礎にされる。
私達はこの場だけじゃない、後を託された。
先の大戦でプロフェッサーが時間戦術の中で兵器や戦略の向上を図ったように、今回もそうするつもりなんだ」
「すまんが戦闘中や。 簡潔に言うて?」
「タイムリープで運命に抗う」
「なるほど、いつも通りやっちゅーねん!」
納得しつつ、ラプチャーを撃つ。
シンデレラの爆撃で大分減って楽出来た。
ゴッデスの射撃も活きて、ほぼ残党狩りや。
「最初はマリアンを救うだけだったのに。
人類の運命を背負わされるなんて、ね」
「なんや今更に。
ワイらは勝利の女神、ニケ。 それが仕事や。
まぁ、戦う以外の幸せを望むのは分かる」
「そうだね。 主任と共に未来を考えよう。
脳味噌夫婦旅行計画も一緒にね!」
「ゴフッ……! 衛生兵を呼んどくれ……!」
抉れる……ッ! 古傷が……ッ!
何年、何十、何百年揶揄う気やデスピナ!?
てか脳味噌夫婦旅行って謎ワードやめろ!
「雌堕ちに付ける薬は無いよ。
ああ、種はあるのかな?
でも今は我慢して戦ってね、悪いけど」
「そうして欲しいならフレファイ止めて?」
漫才する間も戦場の光が随分減った。
もう掃討戦に移行しつつある。
殆ど弾薬は残っちょらんが、始末は出来る。
シンデレラと旦那の誘導の お陰やな。
勿論、そのツレとゴッデスら精鋭陣も。
誰1人とて欠落しては乗り越えられなかった。
「クリア! 掃討完了!
俺達の、人類の勝ちだーーッ!!」
勝利の咆哮が児玉すりゃ、堰を切る兵士たち。
「私たち、アークを守り抜いた!
生き延びた……生き延びたんだぁ!」
「コレで私たちも英雄になれたんだ!」
「うおおおおッ!!」
「EDF! EDF!」
そんな銃声が咆哮に変わる戦場の果て。
アークから"いつもの"無線"が、地軸を揺らす様な轟音と共にやって来る。
ストーム1とワイらは黙りこくった。
現実は、どうなるんや?
『現時刻をもって、アークの封鎖が完了しました。 ゴッデス部隊と皆様に改めて感謝申し上げます』
かつては憎き封鎖担当者オスワルドの声も、何度か聞いとると殺意も怒りも失せ、淡々とNPCが喋っとるな程度に傍観できた。
ドロシーら記憶無しはツライさんやろけど。
いや、まだ分からん。 どうでるか?
「お疲れ様でした。 では私達も移動しましょう。 何処に行けば良いですか?」
『ここからは私が説明する』
突如と無線に割り込んだる老いた男の声。
無線を聞いとる者らは困惑と驚きの表情。
えっナニ。 時々聞こえる本部とは違う。
『私はEDF総司令官だ。
先ず礼を言わせてくれ。 皆に感謝する。
この度の戦い、誠に ご苦労であった。
人類は生き延び、何れ地上を奪還するだろう』
まさかの総司令官、トップザトップや!?
これは……間違いない。 改変ですよ……ッ!
『君達残存戦力は、最寄のベースに潜伏。
指示があるまで拠点を維持して欲しい』
「……アークへは、その後に?」
ドロシーが険しい声で尋ねれば、返答される。
どこぞの封鎖担当と違い、対応がヨシ。
『封鎖によりアークへの道も閉ざされた。
だが状況が安定次第、新たな道を作る。
それまで諸君は地上拠点を守って欲しい』
「……今直ぐではないのですね」
『済まない。
EDFは君達を見捨てない。 必ず迎えに行く。
これも口約束に過ぎない。 だが信じて欲しい』
「私たちに、まだ戦えと言うのですか!」
ドロシーが怒りと疲労を露わにすると、周囲のニケや隊員も震え始める。
恐怖でなく、怒りと哀しみで溢れとる。
そうなるわな。 楽園に即入居やないもん。
ワイら百年組は慣れて諦観出来っけども。
『……定期連絡は怠らない。
準備が整えば、直ぐに伝える。 以上だ』
そう言って、ブツンと切れた。
謝り倒す事もなく、結局は一方的に。
もう少しあっても良さげなモンやが仕方なし。
今は感情的やから、一旦間を開けたか。
「し、司令部め……! 裏切ったのか!?」
「でも、迎えに行くって……」
「そんなの、いつかも分からないじゃん!」
「見捨てられたの……?」
「中途半端な希望を餌にしやがって!」
鬱憤を吐き出す面々。
ドロシーらゴッデスも打ち震え、ぶつけどころに迷う苦痛に悶えている。
「何処まで裏切れば気が済むのですか!」
「ですが、これ以上留まるのは危険です。
その意味でもベースに向かうべきかと」
「賛成だ。 移動しよう」
「……やれやれ。 姉さんも来るかい?」
「そうね……生きる為にも」
裏切り者のレッテル貼りには不十分。
故に脳内でグルグル回る不快感が拭えない。
ツライ……コレはツライさん。
「……いつか迎えが来る筈だ」
ストーム1がワイとピナに寄ってきた。
一応って何やねん。
「だが向かうはアークではなく
アークの、2階部に当たる空間だな」
「あー、知っとるトコやろな。
地上からの資源輸送コスト削減を目的に建設されるトコや。
最も、ラプチャーが何処からともなく襲撃して来るモンだから放棄される僻地やで」
思い出しながら頷くワイ。
良い所やないが、地上よりマシ。
ピナも付け加えて言う。
「正史だとね。
この世界線では分からないけれど。
どちらにしても地上よりマシだよ。
……アークに入れないのは、やはり?」
「政治的な都合だ。
俺達には迷惑極まりないが、これでも随分と譲歩されたと感謝するしかない」
中央政府か、うーんこの。
守ってやったのに上のhtks思考は止まらん。
人の敵は人、よぉ分かるんやね。
「プロフェッサーも手を回してくれる。
悪い様にならない。 今は、生き延びろ」
「あぁ……また100年のボンビー生活?
いつ死ぬか、思考転換するか分からんわ。
エデンのメスガキにも煽られるし」
遊びで戦っとるちゃうで。
勘弁して欲しいわ、ホンマ。
あと何百年繰り返せば解放されるん?
「さて、この世界線での雌落ちはいつかな?」
「デスピナは黙っとれ……ッ!」
「そうだな。 黒歴史だ、抉ってくれるな」
若干1名、いっそ楽しんどる気がするが。
けどな、仲間を玩具にすんのやめような?
更新未定