申し訳程度の雌要素
今回のあらすじ
プロフェッサーとストーム隊
ストーム隊も書かねばと思いつつ……
ストーム隊はアークガーディアン作戦以来となる要人護衛任務を遂行していた。
その重要人物は言わずもがな、プロフェッサーである。 向かう先はベース251、そこに鎮座するリングが目的だった。
リングは先の大戦におけるプライマーの技術を利用したタイムマシンだ。
先の戦後、欲を掻いた人類は極秘裏に再現を試みたが、今次大戦の混乱で251の倉庫に押し込められてしまった。
ただし、ほぼ完成している。
決められた時空座標に飛べない点を改善すれば、より戦術的で効率的な改変が可能となるだろう。
プロフェッサーは、その改善の為に向かっているのだ。
「……約5年で、ここまで荒廃するか」
瓦礫の上を歩きながら、彼はボヤく。
かつての喧騒は、どこにもない。
「プライマーとの戦争も5年ループだった。
今次対戦も似た状況になるとは。 皮肉だな」
「そうかもな」
短く返答するは、ストーム1。
その声は明るく、視線も前を向く。
「だが俺達がいる。 希望はある。 信じろ」
その言葉を繋げるは、ストーム2。
レンジャーであり希望の象徴であり続けた。
「その通りだ。
時間戦術の記憶は俺達には無いが、2人が言葉に尽くし難い努力をしてきたのは理解しているつもりだ。
今回も苦労を掛けるが、全力で援護させて貰う。
ストーム1、プロフェッサー、頼むぞ」
大尉が力強く言えば、3人の部下達も続く。
「俺からも頼むぜ大将!」
「EDFは今回も乗り越えられる。 大丈夫だ」
「信じてますよ」
黒鎧フェンサーのストーム3も堂々言ってくる。
「任せろ。 守護神の渾名は伊達じゃない」
それを煽るは、赤い飛行ユニットの女性。
ウィングダイバーのストーム4。
「元死神も随分と丸くなったな?」
「人の事を言えるとは思えん」
言葉は少しキツイが、苦笑し合っている。
それだけ歳を重ねた。 自然の摂理だ。
『反目はやめろ。 任務を忘れるな』
本部も加えれば、かつての面子か。
まだまだ現役でいる。 そんな実感すらある。
ストーム1は郷愁にも似たものを覚えながら、本部とも連絡し合った。
「忘れちゃいないさ。
だが、グレイプくらい寄越してくれて良かったんじゃないか?
改修で不整地への対応も強化された筈だ」
『エンジン音や振動でラプチャーが寄って来るのを避ける為だ。
戦力がストーム隊のみなのも、敵の目を引かないようにする為だという事を忘れるな』
「敵か。 ラプチャーだけじゃないと」
『あくまで敵性勢力とだけ言っておく』
カマ描けるも、はぐらかす本部。
具体的に言ってしまうと中央政府関連や企業、アウターリムのならず者などが挙げられる。
そうした連中の中には、隙あらばEDFの技術や武器装備、研究を奪取するのを企てている者もいる。
その過程でタイムマシンの存在がバレたら、どう足を引っ張って来るか分かったものじゃない。
「了解、詮索はやめよう。 任務に戻る」
そうして前進あるのみ。
ラプチャーとは、今のところ出くわしていない。
エブラ粒子や、周囲に撒かれたデコイのお陰である。 有限で万能ではないが、不要な戦闘を避けるのには有用であった。
特にデコイはEDF製で昔から実績があり信用がある。 見た目は人間サイズまで空気で膨らむバルーンだが、そこから微弱な音が出る事で、より欺瞞効果を高めている。
プライマーにも有効だったが、ラプチャーにも効果が発揮され、今後とも改良が施されつつ使用され続ける事になりそうだ。
「プロフェッサーが開発した武器装備のお陰で楽が出来る。 有り難い話だぜ」
「気を引き締めろ。 来ないとも限らないぞ」
そうは言うも、来ないのに越した事はない。
その辺の雑魚が群がってきても、ストーム隊なら蹴散らせるだろうが、プロフェッサーという要人護衛を思えば、余計なリスクは抱えたくない。
が、部下の軽口は続く。
「そういやよ、プロフェッサーの家族は大丈夫なのかよ。 アークに残してきたんだろ?」
世界線によっては地雷発言のソレだが、プロフェッサーは嫌な顔せず答えた。
「問題ない。 妻は理解してくれた」
「なら良いんだけどよ」
短く終わる筈が、ストーム1にも飛び火した。
「大将は? 専属の子は平気なのか?」
「……何処で聞いた」
「いや、噂になってるからよ。
触れちゃマズかったか?」
問題を思い出し、憂鬱になるストーム1。
さすがの鈍感も、失言かと反省。
どうやら隠し通せないモノらしい。
或いは専属が隠す気がなかったか。 ありえる。
英雄との子なら、自慢気にもなるだろう。
そうでなくても望んだ子か。
祝福して貰いたい、単純に嬉しいのもある。
男側はヤベェよマジかよ状態だが。
身に覚えはある以上、責任を取るべきなのは分かっているも、他の女ともズプズプしていた罪悪感が拭えない。
少しは己の立場を弁えれば、こんな思いもせず済んだろうに。 完全に自業自得である。 同情は出来ない。
「……そうじゃない。
ただ敵は多い。 目をつけられないか心配だ。
俺の立場に絡んだばかりに、危険な目に遭わないかと不安にもなる。 杞憂に終わると良いが」
それっぽい事を言って誤魔化した。
こんな時に、実は望んでない展開でしただの、責任取りたくないだのと屑発言をする度胸は持ち合わせていない。
言ったら言ったで、幻滅されて半殺し以上全殺し未満の刑にされるだろう。
既婚者で愛妻家の相棒は助けてくれないだろうし、女性であるストーム4からは苛烈な攻撃を受ける恐れがある。
今は味方らしく、安心させる為に語りかけるも。
「アークの内側なら、何とでもなる。
それに情報部には優秀な少佐がついている。
大丈夫だ、落ち着いたら会いに行けば良い」
「そうだな……そうしなければ」
別に変な話じゃない。
きっと専属は安全だし、守りも多少あるだろう。
他の女との経験も、ニケだから妊娠はしない。
ナニも案ずる事はない。 その筈なのに。
(なんだ、このモヤモヤは……)
脳内がグルグルする不快感に眉を顰めつつ、今ある任務を遂行するストーム1なのだった。
更新未定