脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

82 / 115
前回のあらすじ
ゲーム本編軌道に乗る前に……

今回のあらすじ
ストーム1とオペ子

モヤモヤする要素を多少改善してから本編に行きたいなどという我儘……


80.夫婦との会話

暗く、日が差さず、腐敗臭のする記憶。

先の大戦、幾度とないループの中で見てきた荒廃した地下世界。

 

あの頃は碌な武器も弾薬もなく、食べ物もなく、敵に殺されるか飢えて死ぬかの賭け勝負の日々であった。

 

耐えられない。

心が持ちそうにない。

 

繰り返される運命、止められない殺戮に相棒は弱音を吐き、それでも体は生きろと命じた。 更には奴らへ1発くれてやれ、それまで死ぬなとさえ訴えた。

 

そして遂には、勝った。

やつらに1発喰らわせた。

 

タイムマシンで散々好き勝手に人類を蹂躙してきた神の尻尾を遂に掴むと、土俵に引き摺り込み、軍勢を殺し、1つの文明を滅ぼした。

 

人類は救われ、明るい未来を歩む。

 

それで全てが終わった。

苦痛が、努力が報われた……はずだった。

後は人としての人生があるはずだった。

 

終戦直後、無線越しに告ってきた情報部の専属女性無線士とゴムなしラブハメにゃんにゃんし、孕ませたのは世間体的にアウツだったが、責任をとって家庭を築いて幸せなキスして終了という道を辿れば良かった。

 

なのに。

戦争が終わり、戦争がやってきた。

 

平和な時間は一瞬だった。

英雄の看板を再び背負う羽目になった。

 

今となっては、マーシアンとの大戦ですら味わった事のない絶望が訪れている。

具体的には前ループの時にニューハーフと知らずチョメチョメしてしまったツライさんに責められている。

 

 

「ほぅ。 ここがあの女のハウスかい?」

 

 

ゴーグルの下、目に光はないツライさん。

それを察しつつ、ストーム1は未経験の戦場に動揺しつつも足掻いてみせる。

それは情けなく。 水面に落ちた虫が足掻くように。 もがくほどに沈む沼。

 

 

「なっ、ツライ!?

待て!? 話せば分かる……ッ!」

 

「あなた、お客さんですか?」

 

「オペ子、出てきちゃ駄目だ!?」

 

 

ストーム1の背後から出てくるは、本妻の専属無線士。 下腹部が膨れており、妊婦であるとひと目で分かる様相だ。

 

 

「ああ、どうも初めまして。 ご存知でしょう? 貴女の旦那にオ◯ホにされてコキ捨てられた、男性脳で稼働中のミシリス製量産型プロダクト12のツライさんでございます」

 

「……あなた。 どういうことですか」

 

「ち、違う! 不幸な事故なんだ!!」

 

 

事実を泣き叫ぶストーム1だが、男がそんな風に振る舞っても沼に嵌って沈むだけ。

数々の修羅場を潜り抜けた彼だが、戦場以外での経験は深くない。 物理的な戦闘技能はあっても、直接的な精神攻撃に対する耐性はなかった。 深淵にツッコんだ時、深淵もまたツッコミ返すのだ。

 

何度もループして戦い抜いた英雄の姿か?

これが……。

 

 

「確かに事故やな。 けどな、ワイとしてはハメられた精神的苦痛が抜けんのじゃいワレェッ!」

 

「だが今更だ、掘り返して何になる!?

誘ってきたのはそっちだ!

そもそも当時の記憶が無いんじゃ話にならないだろう!?」

 

 

ナニも知らなきゃクズ発言のストーム1。

が、構わずツライは攻めの姿勢を崩さない。

 

 

「そっちのメスが孕んだからイチャつき始めたと聞いてムカついてな。 あの件をナイナイにされたら嫌だと面と向かって言わにゃ気が済まんって思うて。 今後、屈託なく戦争続ける為にも、戒めの為にも殴られておくれやす」

 

 

腕をパキポキして詰め寄るツライさん。

NIMPHがバグっているからこそ、できる荒事である。

 

一方、冷たい目で交互に見やるオペ子。

突如として旦那が、掘った掘られたの関係をカミングアウトしたようなモンの環境に置かれて、いったいどんな心境なのだろうか。

 

 

「関係ないだろう!? もう俺の家族なんだ、目の前で晒さないでくれ!」

 

「ナニ言ってん、選べよ。 アンタも今更に戦場から逃げられんよ。 このままケツに拳突っ込まれて奥歯ガタガタ言わされるか、タイムリープしてゴムをちゃんと着けて種撒きを無かった事にするか、色んな意味で腐ったワイと この世界の立て直しに協力するか」

 

「圧倒的後者……ッ!!」

 

「よろしい、ならば休戦です」

 

 

よく分からない選択肢を取らせて満足したツライは、ひとまずの怒りを抑えた。

ストーム1としてもオペ子としても、ツライがナニをしたいのか読めなかったが、本人が勝手に自己満足してるならそれで良いとした。

というか、これ以上、変に関わりたくない。 長い戦いで精神異常をきたしたのかも知れない。 余計な刺激は避けたかった。 こんな狂人に奪われる幸せがあってはならない。

 

 

「……で、真面目に仕事の話やが、ピナ!」

 

「急に冷静になるなよ……」

 

 

ツッコミもさておき、呼ばれたピナは後ろから姿勢を低くしてやってくる。

どうやら聞こえる位置で待機していたらしい。

 

 

「えと……どうもお久しぶりです。 それと初めまして、ピナと申します。 長年ツライの友達やってます、一応……」

 

「……真面目そうな子がついているのが、せめての救いでしょうか」

 

「そうだな」

 

 

オペ子と旦那がボヤくも、その程度のツライは気にしない。

 

 

「ええと……私たちは、また元の時代に戻ります。 そこで04F分隊に同伴する予定です」

 

「04F……確かラピというニケがいる分隊か。

マリアンが戦場に駆り出されるキッカケになったという」

 

 

仕事の話は切り替えていくあたりは、彼も手慣れた任務だった。

 

 

「はい。 マリアンの侵食の謎を追う意味でも必要な事だと。 主任と相談して、そのようになりました」

 

「分かった。 100年後、俺の脳だけでもいるのか分からないが、協力できるならしようと思う」

 

「しよう、やない。 するんや」

 

「……分かっている。 1つずつ、な」

 

 

ツライが変につっかかるので、適当に相手をしつつ話を促す。

ピナは呆れつつ、言葉を続けた。

 

 

「可能ならエデンとも協力していきます。

ただ、内通者の線が不明ですので、あまり表だって助けは請えないですね」

 

「援軍を期待出来ないのはEDFらしいな。

100年後も呪いは有効らしい」

 

「冗談やない。 仕事はやるしかないんよ」

 

 

こんなやり取りをする間にも、オペ子も協力の姿勢を見せる。 先程まで酷い言われようをしたのに、仕事の話だからか寛容だ。

 

 

「情報部でも探ってみます。 100年経っても何の手掛かりが無い場合、EDFの権限が及ばない範囲かも知れません」

 

「その辺は任す。 その時は、中央政府なり上層部なりを疑うだけや」

 

 

話を纏めると、銃を背負い直してリングに向かう。

 

些細な会話。

けれど、遠くの蝶の羽ばたきが巡り巡って嵐となるという。

 

それが良い意味なのか、悪い意味となるのか。

 

未来は誰にも分からない。

果たして未来は……。




無理矢理感ある中……
やっとゲーム本編に行けそうな雰囲気に。
中途半端、どっちつかずで情緒不安定なツライさん。

更新未定
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。