脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
どっちつかずの精神(情緒不安定

今回のあらすじ
ゲーム本編軸へ

100年後に戻ります
さくさく進みたいところ……


介入開始(ゲームの時間)
81.侵食の謎


 

───我々が駄目でも!

 

次の者が必ず成し遂げる!

 

今日! 我々は勝利の礎となる!!

 

EDF6 operation:Ω 陽動作戦 隊員より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアンの侵食。

いつどこで受けたのか分からない。 だからと放置しては、同様以上の被害が出る可能性がある。

 

そう危惧した情報部は100年の長い猶予の間に調査を進め、1つの仮説を立てた。

といっても、憶測の域を抜けないが……情報部は結論に辿り着いた思っている。

 

その話は代替りしながら受け継がれ、猶予期間満期(タイムアップ)にいたシフティーが伝える事となる。

 

 

「───報告は以上です」

 

 

シフティーは簡潔に纏めた。

伝達先は、情報を共有している副司令官のアンダーソンだ。

凛と整った顔立ちと背丈の高さは、軍服をより際立たせているが、こと今に至っては、予言の的中に苦笑するばかりだ。

 

 

「ブラックスミスに勝っただと?

実地訓練と称して送った士官候補生がか。

それもたった1日で?

地上部隊(ベース)の支援を受けたとはいえ、新人が討伐任務をこうも早く達成してくるとは……やはり情報は真実というのか」

 

「はい。 その通りです!

1体が侵食を受け、破壊されることも予想されていました。 防ぐ事が出来なかったのは残念ですが……」

 

「ほぅ。 現代になっても神話や童話が仕事に絡んでくるとは。 冗談が上手くなったな、シフティー君」

 

 

感傷と憫笑混じりの声色が部屋に響いた。

仕方ない。 寧ろ正常な反応だ。 地上の文明が崩壊したとはいえ、人類は科学を基にして生きている。

信奉が消えた訳ではないが、その他大勢の人間は予言だの伝説だの神話だのを実在するナニカと思って生きてはいない。

 

それこそ、先の大戦の存在すら疑う者もいる。

異能生存体(ストーム1)という、個人で街ごと敵を吹き飛ばしたり、搭乗式強化外骨格(コンバットフレーム)で暴れまくって人類救ったという英雄(人外)なんて以ての外だ。

 

けれど、祖父母(神話)の代から任務を受け継ぐシフティーは、義務を果たすのみ。

 

 

「交戦データを転送しましょうか?」

 

「いや、いい。 その必要はない。

ただ、その指揮官に1度会ってみたい。

15時以降に予定が空くと思う。 呼んでくれるか?」

 

「はい。 そのように伝えておきます!」

 

「よろしく頼む」

 

「他にご用命はございませんか?」

 

「あ。 作戦に参加したニケも、一緒に来るよう伝えてくれ。 武装した状態でな」

 

 

それと、と更に付け加える。

 

 

「例の量産型……ツライとピナもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令部からの呼び出し?」

 

 

珍しい出頭命令に、アニスは疑問符を浮かべた。

直接伝令しなければならない事情というのは、重要なものか碌でもない話か、だ。

 

 

「ラピとアニスも一緒に来るようにとのことだ」

 

 

指揮官は私情なく素直に伝えれば、不信のアニスは皮肉混じりに明るく言う。

 

 

「ふぅん。 コレってアレかしら?」

 

「あれって?」

 

 

ラピが感情なく聞けば、皮肉を加速させた笑顔を振りまき、くるりとターンして踊ってみせる。

仮にも指揮官の前だ。 堂々振る舞って良い態度ではない。 けれど、その辺も構わずハッキリするというのがアニスの強みであり悪癖だ。

諦観している、というのが正しいだろうが。

 

 

「1個分隊にも満たない戦力でブラックスミスを倒すなんて〜すごいな〜、これからもEDFの忠実な犬として頑張ってくれたまえ〜ってヤツよね?」

 

「|地上部隊、それも重武装のコンバットフレームの支援があった。 私たちの功績は少ないわ」

 

 

ラピは真面目に言うが、今すべきは命令の遂行。

誰が活躍したか、賞賛される価値があるかを議論している場合ではない。 事の発端であるアニスはシメるように促した。

 

 

「だとしても行くわよ。 早く行って、ちゃちゃっと終わらせるんだから」

 

「……武装してくるようにと言っていた」

 

「…………」

 

 

追加の命令に、妙に重い空気になる面々。

アニスは笑顔を消して顰めっ面だ。

 

 

「んっ、これは嫌な予感がするわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ。 君たちか」

 

 

本部で通された部屋は、綺麗に整っていて規律を感じさせる空間だった。

その中央にいるは、呼び出した張本人にして軍部の偉い人、アンダーソン副司令官。

そして、脇に量産型(スタッフ)2名が待機している。 装備が傷付き、薄汚れていて、部屋からすると場違い感が否めない。

 

 

「ねぇ、あのふたり、地上で会った……」

 

「静かに」

 

 

アニスが気づき、ラピが咎める。

発言が許されてはいない者は、基本的に黙っておく。 前の世界線よりニケの地位は回復しているとはいえ、その辺は人間も変わらない。

 

 

「ようこそ。 EDF本部の副司令官、アンダーソンだ。 まぁ好きに呼んでくれてかまわない」

 

「ではアンダーソン先輩で」

 

(……適切ではないかと)

 

(……指揮官様って、もしかして大物?)

 

 

姿勢を正したまま、真顔で返答する准尉。

開口早々にボケなのかマジなのか分からん問題発言をかますモンだから、ラピとアニスの両名は内心ツッコミを入れるのであった。

 

 

「……それはちょっと。 では、アンダーソンということで」

 

「分かりました」

 

「君たちをここに呼んだ理由だが、1つテストをしたくてね。 まぁ難しくないから気楽に臨んでくれ」

 

「テスト?」

 

「今の状態のまま、シミュレーションルームに行ってもらう。 そこで詳細を聞くように。 以上だ」

 

 

武装して来い、の理由に合点がいき頷く准尉だが、疑問を口に出してしまうのはアニスであった。

 

 

「え……その話をしたくてここに呼んだの?」

 

「アニス」

 

「なによ。 気になることは聞かなきゃ」

 

 

ラピに咎められるも、アニスは引っ込まない。

シミュレーションルームに行け、というだけならわざわざ呼び出す事もないと思ったから。

他の場所、士官がいたなら怒鳴る者もいただろうが、アンダーソンは怒るでもなく淡々と答えてやる。

 

 

「君たちに直接会ってみたかったんだ。 それだけだが?」

 

「…………」

 

「では。また会おう」

 

 

本心なのか、隠し事があるのか。

その真意は誰にも分からない。 だが。

 

 

「質問があります」

 

 

別れる前に挙手する准尉(新米)がいた。

真っ直ぐな瞳に、揺れる不安と疑問。

 

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 

腕時計をチラッと見るアンダーソン。

向き直ると、声色変えずに言ってくる。

 

 

「1つくらいなら答えられそうだ。 質問したまえ」

 

「マリアンの侵食は楽園(アーク)で始まったようですが、何か知っていますか?」

 

「「!!」」

 

 

そして、アニスの態度とは別方面(ベクトル)で、愚直(ストレート)な疑問を投げかけた。

 

 

「ええ!? 指揮官様、その話をここで!?」

 

 

流石に驚くアニスとラピ。

気になるけど、下手に首を突っ込めば消されかねん重要な懸念に、焦りのツッコミが入る。

 

 

「マリアン……一緒に作戦に出たニケか。 破壊されたという。

残念ながらその質問には答えられないな。 我々も事情を調べているところだが、1つだけ確実に言えるのは、アークの防護壁は最高だ。 絶対に破ることはできない」

 

「……そうですか」

 

 

何か隠しているのか、それとも。

アンダーソンの人となりは分からない。 出会ったばかりのようで、そうでもないような、不思議な感覚だけが付き纏う。

 

 

「さて、次の会議があるので退席してくれるかな?」

 

「はい。 ありがとうございました」

 

 

踵を返し、扉の取手に手をかけた時、背後から声をかけられる。

 

 

「ああ君。 もし誰かが何らかの意思を持ってニケに侵食を埋め込んだとして。

君が手も足も出せないほど巨大なものだったとしたら。 君はどうするかね?」

 

「1発喰らわせます」

 

 

即答。

それはいつかの、神話を生きた英雄たちの言葉。

質問しておきながら、唐突で脳筋な、けれど真っ直ぐな返答に、思わず笑いが込み上げてしまう。

 

 

「ははは、君はただの指揮官ではないか。

それとも先の大戦の英雄にでも憧れたのか……と、時間だな。 では皆行ってよろしい。 また会おう」

 

「はい。 失礼します」

 

 

ガチャッと音を立てて扉が閉まった。

暫く見つめたのち、口が開かれる。

 

 

「さて、君たちは あの候補生(准尉)の下に配属となる」

 

 

残されたミシリス製の量産型……プロダクト12と23に向けられた言葉が部屋に児玉する。

 

 

仲介人(カットアウト)を通じた総司令部命令(最高位のコード)だ。

私にはその意図は分からないが……ツライにピナといったか。 君たちは強いコネがあるようだね?

それとも、あの准尉とニケたちに何かあるのかな?」

 

「……すみません。 お答えしかねます」

 

「同じく。 申し訳ナス」

 

「まぁ良いだろう。

上からの命令に背く訳にもいかない。

情報部も君たちに注力しているようだしな。

…………くれぐれも、頼むぞ」

 

了解(ラジャー)っす」

 

 

12のツライさんは雑な敬礼を返し、23のピナはしっかりと返す。

そうして部屋から出ていった。 見た目には貫禄のある量産型(スタッフ)だが、それでもその域を抜けない。 背嚢(ランドセル)つきの背中はそう、見えてしまう。

 

 

「シフティー君。 本当に あの2人が人類にとって重要な戦力なのか?」

 

「はい。 脳には蓄積された戦闘(バトル)記録(データ)だけではなく、戦局を左右するほどの情報を蓄えています。

けれど十分ではありません。 ラピとアニスの部隊に同伴し、成長させる必要があっての行動です」

 

「にわかには信じ難いな。

だが総司令部や情報部の君が言うんだ。 信じてみようじゃないか……私もハッピーエンドが好きでね」

 

 

こうして時代は再び進み始める。

時計の針は前へと回り始める。

 

その先に見る光景が何なのか。

幸せか、不幸か。

それは誰にも分からないままだ。

 




短め。
更新常に未定

【気紛れ設定】
正史だと中央政府とEDFで管轄が曖昧だった。
この世界線では未来情報を元に改善が図られ、前よりは明確に分かれている。

先の大戦は神話、伝説扱い。 特にストーム1の英雄譚は人外過ぎて、御伽話のような扱いになっている。
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